-『スーパー地形』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
中倉山の過去の記事
2021年10月18日 中倉山と沢入山
三寒四温ではないが、徐々に春めいてきた。雪のある山にもう少し登りたいという気持ちはあるが、今回は残雪期にあたるだろう足尾の中倉山を登った。中倉山は2021年の秋に登っているが、その時は山頂から西に稜線を辿り沢入山まで歩いた。
中倉山の山頂からの眺望は素晴らしく、荒涼とした松木渓谷を挟んだ中禅寺湖南陵の山並み、そして栃木群馬両県境の山嶺を眺める好眺望ポイントで人気の山。そんな中倉山を残雪期に一度歩いてみたいと思っていた。
銅親水公園駐車場から先は、松木渓谷の作業関係者のみが入れる林道となり、ここを延々と一時間程歩いていく。途中、仁田元川対岸の崖に猿の群れが移動する姿が見られ、時折鋭く響く鹿の警戒する鳴き声。奥に続く林道は奇麗に舗装されてはいるが徐々に自然の中に分け入っていくという雰囲気がある。
衝撃的な光景があった。別な場所だったが、林道脇に二頭の鹿の亡骸を見た。急に腐臭がして目をやると、頭と脚だけを残して無残にも横たわる姿。必要とする者たちについばまれ、引きちぎられた自然の掟。春を越せなかった彼らの身を思い自然の厳しさを垣間見る一幕であった。
地道な活動だが煙害の後世を生きる者として意義が良く理解できる
林道をコツコツ進んでいく 正面のピークは仁田元川を挟んで中倉山の南方にある1251m三角点峰だと思われる
ようやく登山口へ到着した。もっと手前からアプローチするバリエーションルートもあるようだが、岩場や急斜面、ザレ場も多く、この山に慣れた人以外は登山道を歩いたほうが無難だと思う。
登り始めは落ち葉も優しい疎林のジグザグな登山道を行く。約1290mの尾根末端まで地形図上の谷をストレートに登るような感じだ。上の方に行くと若干岩交じりになるもジグザグは変わらない。
つづら折れの登山道が際限なく続く 直登なら大変な区間だけに助かるのだが、なかなかキツイ
頂稜部から南に延びる尾根に乗れば、あとは穏やかにここを進む。徐々に残雪が増えてくるもさほどでもなく、暫くはツボ足のままで進んだ。
山頂へは直接向かうコースと北東に巻きながらのコースがあり、以前と同じ後者を選んだ。南に面したトラバース区間は再び雪が消え、落ち葉の道になった。
山頂の南東稜に乗り上げる箇所は少し雪が深く、踏み抜きもあって少し手こずった。しかし、稜線に乗り上げるともう絶景が始まる。雪は浅くもい背の低い灌木が所々行く手を阻み、登山道がところどころ雪で隠れていてルートが判然とせず歩きにくい。鹿のトレースは流石に効率よく、これを追って行くと楽に進むことが出来た。
山頂の南東尾根末端から上を目指す 登山道が所々雪で覆われていて不明瞭だが鹿トレースが案外歩きやすい
登ってきた箇所を振り返る 雪のある箇所と無い箇所がミックスで歩きにくい
左手の波平ピークも雪付だと遠く感じる それに風が強くて立っているのが大変
「お天気ナビゲーター」では中倉山で10m/s程度の風を予報していた。前日の雨を降らせた低気圧通過後で等圧線が混んでいたから、近隣の社山の20m/s予報が妥当なところ。何故中倉山だけ風が弱いのかとは思っていたが、やはり今日の稜線部は風が強く、時に20m/s程度もあっただろうか。この先雪付の岩稜を耐風姿勢で進むのもためらわれる。予定では以前と同じように沢入山までと考えていた。この先に更に広がる景色や波平ピークにも未練があったが、孤高のブナに挨拶をして下山することにした。
※波平ピークとは沢入山手前にある石積みのピークで、そこに枝を刺したところサザエさんに出てくる波平さんの一本の髪の毛のように見えたのでそう名付けられたということらしい。枝は往来する登山者の手で時に更新されているのかもしれない。
山頂稜線から離れると風も遮られ小春日和 残雪もシャーベット状となる
登山道を塞ぐ枝ぶりがシカの好物? よく探すと登山道以外にもところどころに見られた冬の貴重な食料源
林道途中から印象的な1017m三角点峰 横場山という名前がある 機会があったら登ってみたいものだ
左:1017m三角点峰 中心:中倉山 この角度だとなかなかカッコイイね
一般車進入禁止ゲート手前の展望台ベンチで昼飯を食べ、駐車場へ戻り本日の山行終了!
コースタイム等データ詳細
YAMAP掲載 https://yamap.com/activities/38403068
山レコ掲載 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7894927.html
撮影使用機材
・NIKON Z50
・NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR