富士山は微笑む儚き晴天


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 『道の駅ふじおやま』の夜はトラックのアイドリングが少々うるさかったが、事前にその情報を得ていたので少しトラックの駐車エリアから離れた所に陣取ったので案外気にせずに眠ることが出来た。

 また、今回からシュラフの下に敷くマットをエアー式からクッション材の入った、いわゆるごろ寝用マットに、枕もニトリの低反発に替えたら快適な寝心地にびっくり。なぜもっと早く替えなかったのかと後悔するほどだ。
 特にエアーで膨らますマットはグニュグニュした感じがどうにも馴染めなかった。また枕は通常使っているのとほぼ同じタイプなので馴染みがあってフィット感抜群。環境の厳しい車中泊にはより快適な寝具が重要であることを改めて確認したのだ。


 さて、本日の山歩きは富士山眺望の歩き。愛鷹山山塊の黒岳と山塊最高峰の越前岳を登る。
 天気予報は今週あまり良くなかったが、晴れ確定の今日を除いて他にタイミングは無しと考えていたのだ。
 アラームで目を覚まし、スマホで天気予報を見るとなんと急変、曇りではないか。これじゃ富士山は見られないなぁ。ついてないなぁ。でもカーテンをめくると降り注ぐ日差しの明るいことこのうえ無し。
 車外に出てみると、なんと目の前にでっかい富士山がどーんと見えているではないか。昨日は曇っていて見えなかったが実は既にこんなロケーションに居たんだね。

 いつまでこの好コンディションが持つか判らない。とにもかくにも早立ちして機会をつかみたい。大慌てで支度をして朝食を済ませて登山口へ向かった。


今回は山神社より富士見峠を経て黒岳ピストン後、越前岳から割石峠へと周回する


いろいろと情報の多い登山口


重厚な松永塚の石碑脇を進み登山道へ


火山地形らしい岩交じりの序盤の登り


富士見峠直下にある あしたか山荘(無人小屋)

 富士見峠で主稜線に乗る。名前だけで実際に富士山が見えないのはどこの山も一緒だがここも眺望ゼロだ。
 とにかく富士山に雲がかからないようにと念じながらここまで登ってきた。休みもせずに峠から更に一登りすると黒岳展望広場に着いた。
 おぉ!バッチリじゃないか。雲一つ無い空に大きな富士山。やったな。だが山頂はもう少し先。そこからも目当ての眺望が得られるはず。


そして、黒岳展望広場へ ドーンと富士山眺望が素晴らしい だが山頂はもう少し先


広い黒岳山頂へ着いた

 展望広場からのほうが好みという方もいるらしいが、自分は山頂からの富士山のほうが広々とした感じで好感が持てる。
 何はともあれ、雲一つ無い富士山の雄姿。手を延ばせば届きそうな迫力。これこそが見たかった風景だ。
 南から富士山をじっくり見る機会はあまり無かっただけに宝永山火口の巨大さに改めて驚く。

 眺望を楽しんでいる時、ふいに大きな爆発音に驚かされた。真横で大きな太鼓を打ちつけられた時のように、はらわたの底に響くような重い音。そう、お隣の自衛隊の演習場で大砲が発射されたようである。

 今までの人生でここまで大きな爆発音を聞いたのは正直初めてだ。このあとも越前岳に向かう道すがら、約30分おきくらいに大砲の発射演習が行われていた。そのあとは中小火器の発射音が連続、下山にかかる頃にはヘリのホバリングする音やらが聞こえてきた。
 自衛隊の演習場を抱える地元の方々にとっては日常的な出来事なのだろうが、初めて耳にする者としてはなかなかショッキングであった。


山頂から見る富士山はすっきりくっきり威風堂々 流石日本一の山だ

 望み通りの富士山眺望を眺めることが出来たら、今度は越前岳に向けて標高差500mを登らなければならない。むしろ山歩きとしてはこれからが本番だ。


黒岳は自然杉が多く、天然記念物に指定されている


越前岳に向かう稜線の途中より真向いの鋸岳~位牌岳稜線を見るポイント


この区間はかなり危ないらしい ロープ、ハーネス、ヘルメット要だとか 今回はこの右端あたりから谷筋を降りた


富士見台

 富士見台からの富士山は中腹に西から雲がかかり始めていた。まぁこれでも充分素晴らしいと思うのだが、富士見台から先に進むこと10分位、ふと樹間から富士山を見るとなんと!ガスに覆われて裾野さえも見えなくなっていた。まさに間一髪。実にツイていたと言わざるを得ない。だがしかし、翌日最高にツイてない事が起こるとはこの時知る由も無し。{予告二回目}


富士見台からの富士山 この程度なら全然OKレベルだ


越前岳山頂到着 可愛いお地蔵さんがお出迎えだ


後続の方、北側から登ってきた人達でこのあと数人の山頂となる 平日とはいえ人気の山だけに登山者は多い


北西に冠雪の高山あり


南側は海 海を挟んだ向かい側は伊豆半島北西岸


駿河湾


呼子岳方面へ少し下った所から 富士市の市街地 高速道路もよく見える


そして、呼子岳もお地蔵さん こちらはピンクの服を着ている 呼子岳の眺望はあまり良くない


愛嬌のある笑顔に心が和むね


越前岳を振り返る 雲が優勢の空となってきた


終始ドンパチやっていた東富士演習場方面

 周回ルートはその気になれば鋸岳と位牌岳を巡ることも可能だが、県外遠征でリスクは犯したくないので素直に割石峠から下山ルートへと降りていく。


その名の通り 割石峠は岩が引き裂かれたような印象


岩の割れ目の先に海


峠からロープ急登で鋸岳へと向かうルート だが今回は見送り


割石峠からは延々と火山特有の岩のゴ―ロ下り地獄が続く 蓼科山を思い出すな 


沢筋まで降りてくると石積みがあちこちにあった


謎の廃タイヤ 現在の路面状況では担ぎ以外でここに持ってくることは不可能 林道に車が走った時代の名残か


珍しい花が咲いていた 調べたらキブシ(木五倍子)というらしい

 軌跡地図を見ていただくと分かるが、山神社駐車場から割石峠に向けてかなり奥の方まで(標高954m付近)林道が伸びていたような痕跡がある。所々にコンクリートで出来た橋などが懸かっているので需要があって道路を整備していたのだろう。現在はほぼ自然へと還ろうとしており頑丈な四駆車でも到底進入は不可能。そんな途中の場所に打ち捨てられていた廃タイヤが時間の経過を語るようで物悲しくもあった。


車の乗り入れはここまで

 無事下山を終え、山神社駐車場から車を走らせると一面の菜の花畑が目に入ってきた。駐車場に停めてみると先ほど歩いた黒岳と越前岳が一望出来るではないか。今夜の泊地に向かうにはまだ時間も早いし、車のリアハッチを開けてお湯を沸かしてコーヒータイムと洒落こむ。


麓まで戻ってきた『パノラマ遊花の里』 終わってしまったが眼下には梅や桜が咲く 右が黒岳、左が越前岳

 菜の花畑には秋はコスモスが咲き揃うインスタ映えポイントらしい。生憎今日は雲に覆われ、主役の富士山はお隠れになっている。それでも菜の花畑には熱心に自撮りする女子の姿が見られた。きっと休日にはそれなりに賑わうのだろう。


後ろに富士山ドーン!な筈だが既に雲の中

 名前はパノラマ道路と言うが、今日は自衛隊の特殊装甲車両ばかりが行きかう道路。やがて箱根の山に向かい高度を上げていく。夕方になると往来も無い寂しい峠を越え、本日の泊地である箱根ビジターセンターへと車を停めた。


箱根まで戻ってきた

概略コースタイム

山神社駐車場発(06:53)-富士見峠(07:37)-黒岳展望広場(07:50)-黒岳(07:59)-鋸岳展望地(08:54)-
富士見台(09:34)-越前岳(09:54)-呼子岳(10:57)-割石峠(11:11)-大杉(12:05)-タイヤ廃棄箇所(12:22)-
山神社駐車場着(13:01)

カシミール3Dデータ

沿面距離:12.1Km
所要時間:6時間8分

カテゴリー: 車中泊の旅, 静岡県の山 パーマリンク

富士山は微笑む儚き晴天 への2件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    今回の旅は箱根方面でしたか。
    多分、一生登ることはない富士山ですが、富士山ビューポイントの山から眺めたいと言う希望は持ってます。
    そして気になる予告?
    続編、お待ちしております。

    • まっちゃん のコメント:

      確かに富士山を登るという気持ちにはなかなかなれないですね。
      富士山自体は素晴らしい山。出来れば麓から登ってみたいというチャレンジ心はありますが、五合目から上はもはや観光地という感じになっちゃっているんで、こうなるヘリかなんかで山頂を踏むツアーでもあったらそれで充分という気にもなります。

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