三重の旅 大蛇峰


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 昨晩、緊急避難で「道の駅 熊野・花の窟」へやってきた。海岸沿いのこの場所は海風が強いと思われるが昨晩の風は山風なのでここでは思った程強くなかった。また車中泊の車も多く、隣接しているファミリーマートの明かりも頼もしい。
 レアケースだが、唯一上げるとすればほぼ海抜ゼロメートルなので津波があった場合はおしまいだ。だが、その場合は防災有線放送やスマホのアラートで察知できるから何とかなると思うのだ。

 周りに住宅などもあり大型車のアイドリングも聞こえてこない。たまに強い風が吹くが凶暴に車体を揺らすほどでない。ラッキーな事にトイレ近くの平坦な場所に陣取る事が出来て心地よい三重の車中泊一泊目を過ごすことが出来た。

 シェードの隅から漏れて来る浜辺を照らす明るい日差しで目が覚めた。外を見ると朝日をゆったり眺める人も見られる。清々しい場所だ。出発前に確認すると隣接に「花の窟神社」という名勝がある。緊急避難だったのでそこまでの情報は得ていなかったが改めて調べると世界遺産ということで見逃すべきではなさそうだ。まだ朝早い時間なのに訪れる観光客もちらほら見られる。


泊地の道の駅はこの隣 登山前に鳥居をくぐる


「いざなみのみこと」登場


ご神体の岸壁 大きくて全体を写しきれない


詳しい説明と写真

 予定していた駐車地は昨晩突風吹き荒れる道の駅から逃走してきた国道42号沿いにある。先発者の車が三台。日曜日でこの状態だからこれから登る大蛇峰(おおじゃみね)はどちらかというとマイナーな部類かもしれないが、自分には丁度良い感じだ。


駐車帯到着 先客数名か?


少し車道を戻り左脇から取り付く


序盤はよく整備された杣道


次第に道が怪しくなってくる


もはや「ルート失わないでね」状態に


苔むすごろ岩の急登

 登りは直登コースとし、時計廻り周回で帰路に烏帽子岩を踏むルート。周回の分岐点あたりから斜度がきつくなるとともに道が不明瞭になってくる。所々に赤テープがあるのでそれを逃さなければ良いのだが、たまに疎らになるとうっかり道を失いかねないのでなかなか油断ならないルートだ。ようやく主稜線に乗るとほどなく山頂へ到着した。山名板が無く三角点のみの寂しい山頂からは西側の山並の眺望が少々。七里御浜が僅かに見えるのみであまり眺望は良くない。後で知ったが山名板は小さなものが木の枝に下がっていたようだが気づかなった。


ようやく辿り着いた山頂は珍しく山名板無し 三角点のみ


山頂からの眺望は西側の山並

 山頂を辞して快適な稜線を南下。鞍部から正面の大岩を廻りこむようにして登り上げるとそこが烏帽子岩だ。岩によじ登ると絶景が待っていた。大蛇峰登山随一の眺望で登山者は皆これを見たくて登るのだ。


烏帽子岩からの眺望がこのルートのメイン 新鹿湾が美しい






熊野灘が眩しく光る


歪曲した砂浜が伸びる七里御浜 泊地の「道の駅 花の窟神社」方面


すっきりした西側眺望も良い

 ここまで人に逢わなかったが烏帽子岩で一名と交差、岩の上には地元のハイカー二名が居た。栃木から来たと話すと、よくこのマイナーな山を見つけましたねという話になりしばし歓談。下山途中に二人組と交差したのでマイナーとは言えファンはそれなりにいる模様。ともあれ烏帽子岩からの眺めが目当てなのは間違いのないところだ。

 昼前に下山してしまったので午後はのんびり観光と食事でもと思い、途中にある鬼ヶ城へ立ち寄る。隆起と風化と浸食が織り成す奇勝を散策。鬼の見晴台といわれる展望台からは熊野灘が一望できるというが、標高差が150mあるのでさすがに着替えてしまった体で汗をかくのもいやなのでパスした。併設食堂がイマイチだったのでそのまま次のポイントへ移動する。


鬼ヶ城へやってきた




浸食した岩の造形美






標高差約700mを歩いたあとなのでこの辺で終了

 今日の泊地に向かうべく北上する。ナビは効率の良い内陸の道を案内するが、しばし海沿いにこだわって国道311号を進んだ。国道とはいえすれ違い困難な車幅の箇所もありで酷道の部類に近いものがあるが、時折見える海辺の景色は長閑で素晴らしいのだ。大抵のビューポイントは車を停めることが出来ないが「太郎坂広場」は車を数台停めることが出来たのでここでカップラーメンの昼飯とした。気が向いたところで食事出来るのが車中泊の旅の醍醐味だ。

 太郎坂広場は熊野古道の「太郎坂」の登り口近くに位置し、眼下に広がる二木島湾と養殖いけすの幾何学模様が美しかった。


通りすがりの太郎坂広場 良い感じ


ここでカップラーメンの昼飯


規則正しいいけすの模様

 三重県を南北に縦断する高速道路である紀勢道路は紀伊長島IC以南が無料で供されている。観光客のみならず地元の人達にも大変な利便性をもたらしていると言えよう。
 酷道311号を後にしてしばし高速道路区間で移動する。高速区間の移動だけで生活出来る者も居れば、旧道の峻険な道に張り付く小さな漁村にも暮らしはある。格差社会を象徴するようなそんな現状をつくづく考えさせられた。

 尾鷲市内で食料調達後、本日の泊地である「道の駅 紀伊長島マンボウ」へ到着する。一般的にはマンボウは珍しいと思うのだががこの辺りでは名物となっているようだ。串焼きが売っていたがいま一つ食指が及ばす。時間があったので珍しくソフトクリームを食べて併設の公園を散歩しているとやがて夕闇が近づいてきた。

概略コースタイム

駐車地発(08:04)-滑沢(08:27)-大蛇峰(09:39)-烏帽子岩(10:37)-滑沢(11:35)-駐車地着(11:49)

カシミール3Dデータ

沿面距離:5.6Km
所要時間:3時間45分

撮影使用機材
・NIKON Z50
・NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

カテゴリー: 車中泊の旅, 三重県の山 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA