榛名山周辺


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 昨晩から群馬入りした。今回は榛名山外輪山の登り残しを楽しむのがの目的。そしてもう一ヶ所気になっていた山を歩く為の三泊四日の車中泊である。

 昨日は終日雨だったので移動のみの一日だった。せっかくだから、県民ショーでやっていた「シャンゴ」という地元系パスタ店で腹を満たしたり、「群馬県立歴史博物館」を見学した。こんなゆったりした時間を過ごすのもたまにはよいものだ。

 群馬県立歴史博物館は国宝指定された「群馬県綿貫観音山古墳出土品」が展示されている。出土品というのは割とあちこちの郷土博物館で展示されることが多いが、こちらは全国でも数少ない国宝指定のものだという。この手の物にまったく造詣が無い自分も神妙な面持ちで見学をさせていただいた。

 もうすっかり定宿ともなりつつある「道の駅 くらぶち小栗の里」に車を停めた。駐車位置もいろんな事も勝手知ったるなんとやら。なんといってもこの道の駅は静かで良い。夜間トイレに行くのに階段を僅かながら登らなければならないのが唯一の欠点だが、横を通る道の往来が少ない、夜間に長時間アイドリング停車する大型がまず来ない。車中泊者数が少なくても高崎市の出張所の駐車場の一部なので極めて治安が良い(さそうに感じる)。ということで自分の中ではかなり高レベル評価だ。

 併設の風呂が無いのは残念だが、車で10分もしない所にある、特定の成分ならば日本一濃いと謳っている「あいまがわ温泉ふれあい館」が楽しみなのだ。移動日である初日は特に汗もかいていないので登山後に訪問したが、茶褐色の濃厚なお湯に浸かると疲れがすっかり取れるような感じだ。もはや榛名山方面に足を延ばした際は絶対に立ち寄りたい箇所となった。日本一については以前はHPに掲示されていたが今は削除されている。事情は分からないが、壁に印刷物が掲示されていおり今でも宣伝されている。もっともそんな評価など見聞きしなくても実際に入ってみれば判る筈。いままで入ってきたどんな温泉よりも強烈だってことは。

 さて、年甲斐もなくチャレンジしたシャンゴの超大盛スパゲッティ(日替わりお勧めのカレースパゲッティ)が若干胃袋に残ってはいたものの、夜が来ればメシは食べるもの。途中のスーパーで入手した食料を拡げて車内で夕食とした。車中泊でアルコールを飲まないのは以前にも書いたが、夜間に緊急移動しなければならない時の為だ。道の駅での車中泊はあくまで睡眠を伴う”休憩”であり、何かの事情で車を移動しなければならない可能性は排除できないからだ。

 今回も夜間の大型トラック駐車や隣に停めて長時間アイドリングするする車も現れなかった。お陰で快眠を得ることが出来た。また、車中泊も回数を重ねて慣れてくると狭い車内で快適に過ごすノウハウや行動順序、持ち物の淘汰などが進んでくるとなかなかスムースになってくる。懸案のお湯沸かし事情も前回の新潟から導入したポットの電力消費量が思いのほか少なくて大変心強いツールとなった。(新潟の記事でも書いたがこのポットについては後日別記事で詳細説明予定)
 ポータブル電源残量は三泊して5メモリ中2メモリ使用なので5泊くらいは充電無しで行けそうだ。もっとも今回は徹底的に節電する事に心がけ、スマホやその他の小機器の充電は手持ちのモバイルバッテリー総動員体制だったのも功を奏したようだ。

 明けて27日、昨日の天気が嘘のような快晴となる。低気圧が去ったあとなので山は強風~暴風の予報が出ていたので、初日予定していた榛名山外輪山歩きは明日にずらし、2日目の予定だった天狗山周回を前倒しすることにした。

 天狗山は榛名山外輪山のもう一つ外側、榛名神社の南に位置する。外輪山と榛名湖が作り出す箱庭風景は当然見られないが、南から西にかけての眺望は素晴らしいということで予定に入れた山である。今回は榛名神社を起点とし地蔵峠を経由する時計回りとした。

 榛名神社周辺は無料駐車場が潤沢にある。お土産やさんはともかく、市営などの数が半端ない。神社山門手前あたりまで無料駐車場の看板が出ていたので、もう少し上部に停めれば良かったかなと後悔しながらも急な参道を登っていく。既に息が乱れ汗が滲んできた。今日は気温が高そうだからバテなきゃ良いが。


榛名神社手前に沢山ある無料駐車場の一つに停めた


平日早朝故に観光客や登山者の姿はまだ無い


榛名神社山門脇の林道を進む


一般コースは右手だが今日は地蔵峠からの周回だ

 地蔵峠コースは沢詰めのコース。斜度は緩く徐々に高度を上げていく。今では若干荒れ気味ではあるが、かつては南東の箕郷集落から榛名神社を目指す往来が盛んだった時代があったのかもしれない。


地蔵峠が見えてきた

 地蔵峠から主稜線に取り付くと疎林の明るい尾根だ。稜線吹き曝しの風が寒くて堪えた。お守りでザックにしまっていた薄手のダウンに袖を通す。この尾根は僅かではあるが痩せあり岩ステップあり。結構なバリルート感があってなかなか面白い。YAMAPなどを見るとほとんどの方が地蔵峠を経由せずにピストンで天狗山を登っているが、俄然このルートのほうが楽しいのではと自分は感じた。


しばらくは明るい稜線だが結構緩急があり面白い

 地蔵峠から少し登ったあたりで南側眺望がまず得られ、ルート中の最高標高点である大鐘原ケ岳前後で更に開ける。北を見ると榛名富士、奥に控える左の烏帽子ヶ岳、右の相馬山がその異形の山姿の一部を覗かせている。このデコボコ感が榛名山の魅力だと自分は感じるのだ。


ルート最高点の大鐘原ケ岳周辺で眺望が開ける


北東側は赤城山の右半分、そして前橋市街地、手前の三峰山も登ってみたい


こちらは高崎市街地


谷を挟んで真向いの覗岩だと思われる


花は全般的に少ないが、たまに見るミツバツツジが鮮やか


國常立命の碑周辺には沢山の神々が祀られていた 山全体が神域のようである


穏やかな笹道を下っていく

 天狗山ピストンコースと合流し一登りすると双耳峰のコルに出る。右手の西峰へまず進む。程なく木の鳥居が現れた。その上の平坦地にかつて社殿があったようで基礎石だけが残されていた。更に進むと眺望が無い地味な西峰山頂に到達する。


天狗山西峰直下に古い木の鳥居


西峰は眺望もなく地味だが山名板が素晴らしい


少し先に進むとこちらは神様が一人祀られていた


コルに戻り東峰の入り口 既に賑やか


まずは天狗様がお出迎え


鮮やかなプレートがある山頂祠


そして岩天狗登場!胸すく眺望だ


先ほど居た西天狗はかように地味


西天狗の端に浅間山


南西方面


中央アルプス山脈 手前は荒船山、さらに手前は妙義山

 天狗山から鏡台山に向けては延々とトラバース状の道を行く。ピストンルートを上がって来た本日最初の登山者とスライドした。榛名山外輪山に比べていささか華にかける感もあるが、山懐に分け入る感覚に浸れるこのルートはこのトラバース区間での体力セーブも可能なので結構お勧めかもしれない。くどいようだがピストンだけだと少し物足りないので地蔵峠周回が良いと思うのだ。


古代からそこにあった岩 あれが崩れてきたら日頃から信仰心がほぼ無い自分などひとたまりもないな(笑)

 鏡台山もまた双耳峰であるが、北峰は何も無し。そして三角点のある南峰は露岩の先の眺望が良好だ。基本的に西側に見えるのは天狗山と一緒だが、北側に2021年の秋に歩いた掃部ヶ岳から李が嶽への稜線が見渡せるのが嬉しい。


鏡台山南峰(三角点)より掃部ヶ岳から李が嶽への稜線


北西方面


掃部ヶ岳アップ


天狗山を手前から 左手が大鐘原ケ岳方面


登山口まで降りてきた


お店も閉まっていて閑散とした神社前通り

 下山後は車を榛名湖へ走らせ、湖畔駐車場でお湯を沸かして食事とした。山の中で食べないと荷物が軽くて済むので随分楽だ。湖畔には外食するお店もあるのだが、今日は積んで来た食料で過ごすとしよう。午後ももうひと歩きするから食後は熱いカフェオレにて糖分を摂取。


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※蛇ヶ岳への直登路は登山道ではありません。参考にされる場合はご注意ください。


榛名湖畔へやってきた

 「頭文字D」の聖地看板がかかるヤセ尾根峠駐車場からスタート。臥牛山の質素な道標を見て暫くは遊歩道のような所を進む。遊歩道を左に見送り登山道らしくなってきた頃にGPS軌跡のスイッチを入れ忘れた事に気づいた。


ヤセオネ峠駐車場から少し進むと登山口がある


序盤はなだらかな遊歩道の趣


途中から一変する むしろ踏み跡さえ薄くなってくる

 途中より俄かに踏み跡も薄くなってきた。人気登山エリアの榛名山ファミリーの中では不人気不遇の山かと思いきや、北側には意外や意外の見渡す限りの好眺望が拡がった。山サイトで知ってはいたが今日の好天と相まって大当たりに思わず胸が弾む。駐車場から20分もかからずにこの眺望は超コスパ良しと言わざるを得ないだろう。


ほぼ山頂付近で好眺望地点あり


なかなか素晴らしい だが知識不足で山座同定出来ないのが悲しい


アップで


反対側は榛名富士と掃部ヶ岳 右端は烏帽子ヶ岳


赤城山もスッキリと見えた


蛇ヶ岳方面の下山は踏み跡がどんどん薄くなる


ルートは明瞭だが明らかに一般向きではない


笹の中の道型を探しながら降りていく


幼木の植林地なので本当は歩くべきでは無かったかもしれない

 一旦眼下の林道まで下降した。だが地図と照合すると林道が新しく出来たようで随分様子が違っていてイメージと一致しない。林道を進むと途中に正面の稜線に突き上げる明瞭な道型を見た。道標は無かったがそこを途中まで登ってみた。地形図を見ると境界線ルートのように見て取れるが右手(西側)に尾根が続く雰囲気が感じられない。いま一つ自信が無いのだ。
 仕方がないので地図に描かれていない林道を暫く西へと進む。時折GPS画面で現在地を確認するが流石にこのままだと本来の想定ルートから離れ過ぎてしまう。頃合いを見て登れそうなと取り付きから直登開始。標高差も僅かだし藪も薄かったが、久々の直登はなかなかに骨が折れる。無事登山道に復帰した時はザックを降ろして大休止。


蛇ヶ岳へのルートを失ったので適当に尾根形を拾う


だが、苦労して登った蛇ヶ岳には眺望無し


明日登る烏帽子ヶ岳が枝越しに鎮座していた

概略コースタイム

駐車場発(07:16)-榛名神社山門(07:26)-地蔵峠への分岐(07:31)-地蔵峠(08:07)-大鐘原ケ岳(08:34)-
國常立命(08:57)-天狗山西峰(09:19)-天狗山東峰(09:30)-鏡台山北峰(10:20)-鏡台山南峰(三角点)(10:31)-
天狗山登山口(11:00)-駐車場着(11:17)

カシミール3Dデータ

沿面距離:8.1Km
累積標高差:(±)724m
所要時間:4時間1分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル5mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

¶臥牛山と蛇ヶ岳はGPS軌跡投入忘れありの為データ欠如にて割愛

撮影使用機材
・NIKON D5600
・AF-P DX NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G VR
・AF-S DX NIKKOR 18-140mm 1:3.5-5.6G ED VR

カテゴリー: 車中泊の旅, 群馬県の山 パーマリンク

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