梅雨明け一番の太郎山


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

太郎山の過去の記事
    2010年11月07日  光徳牧場より太郎山周回

 梅雨明け一番の山歩きは日光の太郎山。

 約11年前の太郎山初登は光徳牧場から山王峠に登り、新薙を降りてデポした自転車で裏男体林道を快走というなかなか気合の入った山行であった。今回は一ケ月半ぶりの山ということと梅雨明けの暑さに体が対応できるか小手調べの為、山王峠からのピストンとした。

 お天気ナビゲーターの気温予想では山頂の昼頃の気温が15度と大いに期待が持てたが、結果的には山頂は24度程度と決して登山には快適と言えない状況であった。だが、青空は何処までもスッキリと晴れ渡るなか、日光の奥座敷である風景を心ゆくまで楽しむことが出来た。


 ちょっと気になっていたのが駐車スペースだった。早く行けば良いだろうと6時前に着いてみると登山口付近の数台のスペースは既に車が置かれている。光徳牧場側に少し下がった所に5~6台程度停められる場所があったのでそちらへ。
 無事滑り込んで準備をしている間にも隣に一台入って満車となる。この後に来た人は路駐の列をなしていた。そういえば今日は日曜日か。さもありなん。それにしても太郎山も結構人気があるのだなと再確認。


山王林道脇の登山口 見過ごしちゃうかもレベル

 序盤は針葉樹林の下を縫って歩く。景色は無いが極めて涼しい。気温が一桁台だったので一枚羽織って出発するも、歩き出すとすぐにまたシャツ一枚になる。立ち止まると肌寒いが、自分にとってはこれがベストコンディションだ。だが、差し込む木漏れ日の鋭さは真夏そのもの。上部岩稜帯に達した時にどうなるの、かいささかビビりながらも高度を上げて行く。


山王帽子山の頂上より 朝の光を含んだ男体山 裏から見るとなかなか複雑な形をしている

 樹林帯の地味な登りで疲れた頃、ご褒美のようにぱっと開ける眺望。充分では無いが、西側に白根山が見え、なんといっても眼前に鎮座する男体山の存在感が大きい。朝の温かみのある光を受け、そして深い彫りのある複雑な地形による陰影がなかなか美しいと感じた。


まずは一休み

 進行方向右手に目をやるとおびただしい白骨樹の山肌。深山の趣を深くする光景だ。

 このハガタテ薙左岸尾根だが、地形図を見るとなんとなく歩きやすそうに見える。帰宅してネットを調べるとやはり歩いているんだね。こういった尾根は。しかもこの方が歩いたのは登りも下りもバリエーションで。なかなか渋いルートだが、単独でこの深山をバリエーションのみで歩く自信が自分にはない。


白骨樹の並ぶ風景 ハガタテ薙左岸尾根

 山王帽子山からは一旦160m標高を下げてコルへ。笹原の朝露がズボンの裾を濡らすが、遮るものの無い強烈な日差しがどんどん乾かしていくから無限ループだ。登りに転じると再び樹林の中へ、涼しくとも苦しい詰めの標高差400mをコツコツと登っていく。

 今日のコンディションはどうかといえば、やはり気温が低ければ良好なのだが、少しでも日射が強くなると精神的にも肉体的にも辛くなってくるのはいつもの事。これではいつまでも夏の山は登れない。で、今回は給水のタイミングなど工夫をして幾らかましだったかもしれない。あとは半そでのウェアも検討したが、日差しに肌を晒すのは余計悪そうなのでこれはまだ試してはいない。


小太郎山へ到着 奥が太郎山 青空が頭上に拡がり爽快だが、日差しに溶けちゃいそう

 一気に開けた小太郎山からの眺望は、目の前に男体山ファミリーが展開される様子に圧倒される。360度眺望にもいろいろあるが、比較的近くの山がこれだけ押し出し感強く見られるのはやはり素晴らしいだろう。


帝釈山と女峰山、小真名子、大真名子


男体山と中禅寺湖 奥に富士山


白根山


燧ケ岳


飯豊山?


凄まじい岩塔 奥は帝釈山と女峰山

 小太郎山からは岩を二か所超えて行く。はじめの剣ヶ峰は慎重に。とは言え11年前に感じたような恐怖はあまりなかった。丈夫な鎖が設置される前の赤岩山岩稜を歩いた経験があると、ここはさほど難しく感じないから不思議だ。
 だが、南に落ちればただじゃすまないのは事実。安全第一の慎重通過を徹底する。また、二つ目の岩は北側に巻道が出来ていたので、ためらわずこちらを通過。無駄な緊張はすべきではない。


一応難所と言われている岩稜だが巻道が出来ていて安全に進むことが出来る


名ばかりの”お花畑”脇を通過

 お花畑(跡)を右手に見て最後の僅かな登りを終えるとそこは太郎山の山頂。小太郎山と基本的に眺望の差が無いのが少し残念ではあるが、ここまで登り切ったという満足感は大いにある。
 てっきり今日一番の独り占めの山頂だと思っていたら、アンテナを張り出してアマチュア無線の交信中の方が一名居た。何はともあれ脇の木陰に荷物を降ろし、汗を拭き水を飲む。ようやく一息ついた頃合いで日差しの下に出て写真を撮ることにした。


そして太郎山のいただきへ 



太郎山山頂下付近は咲き残りのシャクナゲが見られた もう少し早い時期に来たかった

 一部咲き残ったシャクナゲが嬉しい。実はこのルート、登るに従い岩の地質になると延々とシャクナゲが出てくる。開花の季節に登ればこれだけでもかなりテンションアップすること間違い無い。もう少し早い時期に来れば良かったなと少し残念である。


三本松開拓地 あそこから男体山に登ったのが懐かしい


岩場を超えて小太郎へ戻る


ハガタテ分岐にて ハガタテコースは通行禁止 シャクナゲの藪と化すもなんとなく道型がある

 ハガタテコースは途中のハガタテ薙が崩落して通行禁止になったのがもう20年以上前(調べたら1999年の台風で崩落)ということだが、コース入り口を覗き込むとなんとなく道型が残っている。或いは今でも歩こうとする猛者がいるのかもしれないが、草藪ならまだしもシャクナゲ藪である。下りはともかく登りは絶望的なシャクナゲの抵抗にあう。また、コース自体が急峻な沢沿いにあり、崩落したハガタテ薙は落石の巣窟だと言う。ここは行ってはいけない箇所なのだ。それだけに、ハガタテ薙左岸尾根が物好きに注目されるようになったのも頷ける。


山王帽子山への登り返しをしないと戻れない。ショートカットルートが欲しいぜ(笑)


真夏本番の青空 涼しい時間に歩いて正解だった

 下山途中にかなり多くの登山者とスライドした。その数は恐らく数十人。いったいこれだけの人達は何処に車を停めてきたのだろう。(帰路確認したが、山王峠脇から北側に長蛇の路駐の列が伸びていた)

 コルから小太郎山への登り区間では”やっと登っているような感じの”高齢者もちらほら。このルートは帰りに山王帽子山の登り返しがあるので案外きついのに、あの疲労度で本当に大丈夫なのかなと老婆心ながら思ったりもした。まぁ、それだけこの山が人気がある証左なのであろう。

 下山後は山王林道を河俣側へ降りていくいつものドライブコースで帰ることにしている。太郎山の山頂から北側を覗き込んでいると特徴的な構築物があった。直感的にあそこだなと思った。


山頂から見た山王林道のとある箇所


実際に行ってみた


あそこからこちらを眺めたんだね

 太郎山を眺めつつ、クーラーボックスからアサヒスーパードライゼロを取り出して、プシュと乾杯!つまみは食べ残しの行動食だ。
 車の車外温度計は28度になっているのではっきり言って暑い。標高1700mに近いのにだ。
 ノンアルコールビールはあまり美味しくないと常々思っているので普段はまず口にすることはないが、こういうシチュエーションで飲むと案外美味いものだね。喉が渇いていればなんでも・・・とは敢えて言わないが(;^ω^)

 さてさて、今年の耐暑訓練はなんとか終えることが出来たが、いま一つ日差しにやられた感も残る。今夏こそ挑みたい山が幾つかあるのだが、どの山頂も熱い日差しのバリアにガードされていて自分にとって難攻不落。敢えて曇りの日に攻略というのもアリかもしれないが、それじゃやはり眺望がねぇ。という訳で、梅雨明けと共にそんな悩み多き夏が始まったのである。

概略コースタイム

駐車地発(05:51)-登山口(05:55)-山王帽子山(06:47)-コル(07:09)-ハガタテ分岐(07:25)-
小太郎山(08:13)-太郎山(08:40)-休憩-行動再会(08:58)-小太郎山(09:20)-
コル(10:06)-山王帽子山(10:34)-駐車地着(11:22)

カシミール3Dデータ

沿面距離:8.6Km
累積標高差:(±)1,154m
所要時間:5時間31分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル5mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

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梅雨明け一番の太郎山 への4件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    男体山ファミリーの中でも展望随一と言われる小太郎山、太郎山。
    いつかは登頂したいと思いながらも願いが叶えられずに時が過ぎてしまいました。
    一部険しい箇所もある様ですが、巻道を利用すればどうにか行けるかな?
    今回のような太郎山日和が訪れた際は是非チャレンジしたいと思います。

    • まっちゃん のコメント:

      難所といっても、小太郎山から一つ目の岩場は落ち着いて通過すればOK。二つ目は巻けます。
      リンゴさんなら問題ないと思いますよ。
      一つ目の岩場は体の小さな女性だと少し苦労しそうな感じはします。
      眺望は最高ですのでお勧めですので是非!

  2. 野球親爺 のコメント:

    お疲れ様でした。
    私自身、夏にはそれほど弱いとは思っておりませんでしたが、同じ日写真にも写っています燧ケ岳に熱中症気味でやっとのことで登りました(正確には俎嵓だけなので燧ケ岳とは言わないかもしれませんが)。柴安嵓まで行ったら足が攣って救助隊のお世話になること間違いなしでした。
    塩分補給、水分補給が大切だと痛感した次第です。無理できませんね。

    まっちゃんさんは夏が苦手とおっしゃってますが、今回のお歩きを見るとそうでもなさそうな気もしますが・・・。

    • まっちゃん のコメント:

      燧ケ岳、実は狙っているのですがなんとなく延々と直射日光の下を歩くイメージが強くて
      気後れしてます。湿原の所は平坦でしょうし、燧ケ岳本体の下部はきっと樹林もあるさと思っているのですが。

      まぁ、今年はヤラレル前提で挑んでみたいと思ってます。
      車中泊で日の出前に行動開始の午前中に車に戻る位の勢いで行こうとかと(^.^)

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