花香月山から鶏足山へ


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

鶏足山の過去の記事
    2007年11月18日  焼森山から鶏足山へ

 以前よりその名前の美しさに興味があった花香月山(はなかりさん)、鶏足山への周回を歩く。
 正月くらいは穏やかな登山道をと思って計画したが、花香月山への一般ルートをまず外して、小藪でウォーミングアップ。だが案外穏やかな山域で鶏足山の登山道に合流するまでの県境尾根は案外歩く人が多く道型も濃い。
 鶏足山から大沢峠までは登山道を利用して下山したが、その先は今年の藪始めとなった。

 倉見集落の入り口辺りに花香月山の登山口はある。登山口といっても山頂直下までドコモ無線塔へ延びる舗装の作業道があるのでこれを詰めるのが一般的なルートのようだ。

集落手前に停める箇所が何か所かある 閉鎖林道が登山口 花香月山の山頂はドコモの無線塔が

 地図を見ると林道の東側に尾根があるので、これを登り花香月山の肩に乗るのが妥当であろうと考え、早々に林道から離れた。

林道を歩きはここまで右に取り付く 薄手だが藪が待っている 振り返る

 伐採地が切れると幾らか藪が出てくくるが小枝がしなる顔面パンチを程よく楽しみながら高度を稼いでいけば、花香月山手前にある無線塔にまず到着。

小枝の藪がちょっとうるさい ストックで払いながらもたまに顔パンチ 落葉の時期は楽しい

一つ目の無線中継所

 進路を塞いでいる無線塔の裏手に回り込むと舗装路が伸びていた。先ほどの道の終点のようである。ここからすぐ右手の高みに取り付くと一投足で花香月山の山頂だ。ここまで道路歩きで登ってくると土の上を歩くこと5分で山頂といったところかな。小藪の尾根を登って正解だな。

その脇を抜けて すぐ右手に取り付くと すぐに花香月山の山頂

 山頂はすっきりした眺望は望めないものの、案外広く明るい。栃木の山のように山名板が賑やかでないのが茨城の山の特徴であろう。というよりも栃木の山のほうが山名板が多すぎるんじゃないかなとも思う。

 山頂より僅かに下った窪地にドコモの鉄塔があり、先ほどの鉄塔とこの鉄塔の二本は遠くからでもよく見えて格好の目印となる。しかし、こんな大きな中継所があるなら、この山域はドコモ系の通信はバッチリだなとスマホを(格安Simのラインモバイル=ドコモ系)取り出すと流石!アンテナばっちり。

  少し先にドコモの鉄塔  

 花香月山から進む尾根は県境となり、ドコモの鉄塔脇を通過するといよいよ落葉の道となる。登山道ではないが、歩く人も多く時折見え隠れする道形で人々の往来を知ることが出来る。

  鶏足山への縦走路はかなり軽快 小笹の道の踏み跡も明瞭

 倉見集落から北西に延び県境尾根を跨ぐ破線道との峠に、道祖神が穏やかな表情で佇んでいる。最近山中で破線道の実在を見ることがあまり無かったが、この道は現在でもはっきりした道形で地形図と一致する方角で伸びていることを確認した。

 目の前に大きな藪の塊が出現し、今日の初ファイトかなと思って中に入ると巻くようなルートに導かれると広い所へ飛び出した。そこに今日初めての道標。このルートを歩こうと思っている人には下世話な道標に感じるが、逆に「ようこそ縦走路へ!」とでも言いたげだ。

石仏(道祖神?)のある峠 味付けのように小藪が出現 おお、道標が

 やがて見通しの良い伐採地へ出た。今日のルートでは鶏足山の北峰を除けば随一の景色であろう。

左端が通過してきた鉄塔二か所 伐採地に出た 登る
180度眺望    

 伐採地を通過すると395.1m三角点の倉見山である。ここも眺望は無いが、素朴な感じの山名板がよく似合う静かなピークである。

手前、鶏足山方面 地元の集落名を冠した三角点  

 山頂のすぐ下に、何故か巣箱があった。かつて土地の方が設置されたのだろうが、そこに住む山鳥の姿は今では見られない。

何故か巣箱があった 明るい尾根を降りていく またまた道標

 道路に行く手を阻まれるが、据えられた丸太を踏み台にして這い上がる。地形図上では道路の先に建物がある筈だが、今は藪に深く覆われている。中を確認するのはパスし、使われなくなったアスファルト道を少し進むとネットで予習した通りに行き止まりの金属ゲートが見える。その手前のガードレールが切れるところで一旦山へ。

丸太を踏み台にして 廃道を進む ネットで予習したとおり此処から迂回

 迂回してゲートの前で再び道標。一般登山者が歩く箇所ならいざ知れず、こんなルートで道標が必要かどうか再度悩むが、この山を愛する方々の愛情表現とでも思うしかないかな(^-^)
 下から上がってくる舗装路は車止めの所から真新しい道路へとつながった。

直進だとここの裏でストップ また道標が 真新しい舗装路を行くと

 登っていくと本日三基目の電波塔があった。比較的新しいので恐らく先ほどの建物跡の設備をこちらりに作り直したのではないかと推測。

 なおも進むと思案峠へ到着である。道標の指し示す来し方に花香月山の表示は無い。だが、ここから鶏足山へは一般登山道となる。流石に藪はまったく無いが、基本的なテイストは手前の尾根と大差がない。言い換えれば花香月山~思案峠は如何に多く歩かれているかということであると思う。

これまた真新しい電波塔 一般登山道へ合流 お馴染みの鶏石に寄り道

 鶏石へ寄り道をする。むしろ突き当りの小岩(小鶏石?)のほうが景色も雰囲気も良いので自分は好きだが、由緒由縁のある元祖鶏石に敬意を払いカメラをパチリ。

 鶏足山の北峰は東側の眺望が素晴らしい。吹く風が冷たく、狭い山頂は満員御礼でとてもザックを降ろしてお湯を沸かすなどという芸当は出来そうもない。滞在数分で山頂を辞して三角点のある本当の山頂へ。
 こちらは景色も良くないので皆さん通過点である。その分ゆっくりと寛げるというものだ。

突端の岩を「小鶏石」と名付けよう(^^; 北峰到着 歩いてきた尾根がよく見える

 冷たい空気の中で食べるカップラーメンの暖かさは格別。スープを飲み込むと体の芯までポカポカしてくる美味しさ。やはり冬の山歩きって最高だ。

 一般的な焼森山からの周回コースは人気ルートなのでハイカーが多く、食事中も多くの人が脇を通り抜けていく。あの中年男はどうしてこんな景色の良くない所で弁当を広げているのだろうときっと思ったに違いない。でも、山の中では誰にも何にも気兼ねせずに食べないと美味しくないんだよね。

 下山は大沢峠へ降りる登山道をチョイスする。出だしは穏やかな尾根道だが、途中で一ヶ所急降下区間があった。

北東方面かな? 三角点のある山頂 登山道を使って大沢峠へ降りる
急降下一ヶ所あり そこまで大袈裟ではないが親切だ  

 岩交じりの急斜面もすぐに終わり、あとは再び穏やかな尾根をだらだら下るとやがて車道との交差点である大沢峠へ到着である。事前に山レコで見た情報によると後はこの道路をテクテク歩いて花香月山登山口まで戻ったとあるが、地図を見ると道路に平行するように尾根があるのでこれを逃す手はない。ただ、尾根は道路で分断されており法面はかなりの高さで取り付く島も無し。

道路へ降りる 大沢峠 尾根を繋ぐには正面のピークへ登る

 道路が蛇行する地点で都合よくガードレールの切れ目がありここから山中に入ればあとは一直線に高みを目指して登れや登れ。呼吸を整え整えようやく稜線に乗れば行く先は案外ワイルド感が溢れている。

ここより侵入 直登をえっちらおっちら うーん結構ワイルドな尾根だね

 藪が薄くなったり濃くなったりで、結局今日は花香月山への序盤とこの最後の区間は藪歩き初めとなったようだ。

気持ちいいいけど時々小藪 こんな所も登って下って 小枝で顔ビンタゾーン

 地図に記載のある273m三角点は4つの石に守られひっそりと佇んでいた。調べると、点名は「開拓」という。栃木の山なら三角点に山名板が掛かっていないのは珍しいが、ここにはまったくその姿を見なかった。まぁ、この尾根の踏み跡の薄さからすると、往来するのは山仕事の人達か狸の類だけであろう。日光エリアでは場所によっては足の置き場に困るほどの鹿のフンに出くわすことが多いが、茨城県境のこちらではたまに鳥や狸などの小型動物のフンしか見かけない。また、意外な事に猪が鼻であちこち掘り返した跡も無いので、動物の生息域としては案外寂しい感じを受けたが、まぁ自分にとっては安全なので良しとしよう。

手薄な箇所はありがたい 273m三角点 点名「開拓」 動物のようにかがんで行くのが正解

 三角点からは真っすぐに降りてフィニッシュの予定であったが、途中の伐採木が放置されている箇所で背丈の高い藪が繁茂していて降参した。脇に林道が見えていたのでそちらに降下して下山終了である。

ここでギブアップ 尾根を外して直滑降 地図には無い林道のゲート

 ゲートの先に降りてくる筈だった尾根の末端が見えている。絵に描いたような尾根の端っこというのはなかなかお目にかかれないものだから、あそこを降りてきたら10点満点だったろうなぁ(笑)

あそこを綺麗に降りてくる筈だった 右手 八瓶山 是非登りたい 花香月山の鉄塔が見えてきた

概略コースタイム

駐車地発(07:35)-林道離脱(07:42)-一番目鉄塔(08:20)-花香月山(08:25)-ドコモ鉄塔(08:32)-石仏のある峠(09:07)-
初めての道標(09:18)-伐採地(09:38)-倉見山(09:50)-二つ目の道標(09:59)-三つ目の電波塔(10:20)-
思案峠(10:44)-ここより一般登山道-鶏石(11:12)-北峰(11:24)-鶏足山(11:31)-昼食休憩-
行動再開(12:11)-大沢峠(12:58)-登山ルートを外し尾根へ復帰(13:07)-273m三角点(13:50)-林道ゲート(14:06)-駐車地着(14:33)

カシミール3Dデータ

沿面距離:12.1Km
累積標高差:(±)1,014m
所要時間:6時間58分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

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花香月山から鶏足山へ への8件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    花香月山・・・名前の由来が気になりますが、ググってもヒットしませんね。
    その美しい山名に想像を膨らませたりします。
    そして、まっちゃんの藪始め?
    顔面パンチも物ともせず楽しそうに歩いている姿が思い浮かびます。

    • まっちゃん のコメント:

      「はなかりさん」と読むところがまず面白いですね。
      鶏足山は10年ぶりでしたが、人気の山で子供連れの方も沢山いました。
      そろそろ雪遊びもしたいところですが、日光方面は益々白さを増して、
      明日辺りは更にその量を増しそう。
      降雪が落ち着いた頃の風の無い晴れた日に・・・と狙っています。

  2. chikoやん のコメント:

    「藪始め」に、思わず「さすが!!!」と思ってしまいました。
    「花香月山」って、ある方のブログで初めて知って、なんて素敵な
    文字列なんだろう。ってずっと思っていました。
    その文字列とは裏腹に~、読図&藪漕ぎパラダイス。。。
    う~ん、県境尾根を辿るロマン~を感じてしまいました。
    今年も、私は入ることのできない、道なき道を進む山歩き~&
    爽快な雪山&ロングトレイル。楽しみにしてますね。
    それから、うれしい、楽しみな孫たんニュースも♪
    今年もよろしくお願いします。(^^)/

    • まっちゃん のコメント:

      藪の中を歩いていると、なんでこんな事してるんだろうと思うこともあります。
      でも、子供の頃の探検ごっこ的なそんなものがあって、一度経験すると病みつき。
      あ、でも生死に関わるような藪漕ぎは自分も遠慮します。
      煩悩多き中高年ですから(笑)

      初孫。今から家内と二人で妄想してます(^^♪

  3. ケン坊 のコメント:

    おはようございます 今年もよろしくお願いします
    以前、何かで花香月山という山名を見たことがありましたが
    まさか”はなかりさん”と読むとは知りませんでした
    勝手に”はなかげつやま”って想像してただけですが...
    今年もまっちゃんらしい(ケン坊のイメージ)山行レポが楽しみです
    鶏足山頂~鶏石だけが共有のコースですが、それ以外は全くの
    未知のコース... ロングコースはケン坊には厳しいかもですね?

    • まっちゃん のコメント:

      漢字でこの山を知ったのは随分前ですが、
      自分もずっと”はなかりさん”だと思ってました。
      登山直前に調べてその名前を知ってちょっとびっくりしました。
      山頂の雰囲気はお洒落な感じと縁遠い感じですが、ロマンチックな名前であることは確か。
      茨城の山って結構奮った感じの山名が多いと思うのは自分だけでしょうか。

  4. 野球親爺 のコメント:

    花香月山(はなかりさん)という名の響きはいいですね。
    鶏足山山頂での混雑を避けてのお食事、やはりゆったりとしたいですよね。

    私は花香月山と鶏足山の縦走は2回に分けてやってます。
    栃木県側からだとなかなかうまいルートが思い浮かばなかったです。
    茨城県側からだとうまい具合に周回できるのですね。

    • まっちゃん のコメント:

      自分も初めは栃木側の下小貫から焼森山経由で花香月山を目指そうと考えていましたが、
      周回にするとなると花香月山から西に降りるしかなくて車道に掴まってしまうのもちょっと
      癪なので結局こんなルートになりました。
      でも、県東部の県境尾根シリーズ面白いですね。
      冬場の時期のネタに丁度良いなぁと思いました。

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