-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
栃木百名山で未踏の萬蔵山。県北と言って良いこのエリアはやはり宇都宮からだと遠く、延び延びになっていた。栃百制覇を意識して栃木の山を歩いている訳ではないが、残り少なくなってくるとやはり気になってくるというのが人間の性である。
ということで、今回は萬蔵山を歩いてきた。
というよりも、萬蔵山も歩いて来たというのが正解か(笑)
久々の薮三昧。こってりと一日かけて歩いた萬蔵山である。
駐車地は随分以前にバイクで偵察に来ていたので心配なかったが、一つ重要な事を失念していた。
というのは、周回ルートでドンピシャ駐車地に戻るのが当初の予定であったが、着地地点がズバリ民家の裏手ではないか。流石に人様のお宅の裏手から下山するのは憚れるので、ここはフィニッシュ直前にルート変更すべきであろう。
石で出来たメガネ橋を渡ると、薄暗い木立へと登山道は進む。日が殆ど差し込まないので実に冷え込む。ダウンのジップを首元まで上げて肩をすぼめながら進んで行くと、やがて堰堤に突き当たって脇の階段を登ると一旦林道へ出た。
ありがたや、朝日の差す林道を暫く行けば、八溝縦貫道と交差し、いよいよ本格的に登山道となる。枯れ滝である白糸の滝を過ぎると程なく雲光教寺の山門を見上げる階段。
山門にはかつて何らかの像が置かれていたのだろうか。今は既に廃れて主なき寂しき風情。
百名山本のパブリックコースながら、以外に不明瞭な登山道を踏み跡を頼りに登っていくと、程なく萬蔵山の山頂へ着いた。
「何故この山が百名山に選出されたのか不明」と語られる意見に自分も激しく同意する。雲光教寺の存在を除けば選出評価の視点が何であったのか是非知りたいところだ。
山頂から東の尾根に踏み出すと、始めはすっきりした尾根筋だが、やがて藪が徐々に姿を現すようになる。
植林が切れ辺りが明るくなると、それ来ました・・・とばかり藪が行く手を阻む。左右の逃げ場も少ないので正面突破。所々に痛い枯れ枝が潜むので油断ならない。
後半は竹の藪だったので泳ぐように進めば案外楽勝だ。ようやく藪ゾーンを抜けてみれば黒い山パンツを履いてきた事を改めて後悔。ホコリだらけだ。まぁこの後、人に会う事もないだろうから構わないが。
山仕事の人の、踏跡濃き稜線を自らもまた辿る静かな山旅。やがて伐採地を左手に見ながら眺望が開ける。道なきルート、特に鬱蒼とした植林帯を歩いていると、こういった伐採地の出現は一服の清涼剤だ。
(下写真左)気持ち良さそうな斜面にほだされて、ついつい下降してしまった。登り返しの急登で息が切れるが、明るい斜面を自由自在に登るのは実に心地よい。
稜線に戻り伐採地のヘリを伝いながらいよいよ頂部へ。この頂部が「栃木百名山」本で紹介されている497mPのお富士山である。今日のルートの後半に踏む富士山とは異なる。
来し方の萬蔵山が黒々と鎮座する風景に別れを告げ、再び暗い植林帯を進むと次のポイントは関谷沢の頭。関谷沢が南東に伸びる沢の事なのか、或いは北西の細い沢の事なのかは不明である。
関谷沢の頭で尾根の乗換をしなければいけなかったのを失念した。いい加減高度が降り過ぎだなと思いGPSを覗くと、アチャー、外したね(^^;) 罰ゲームは・・・リカバリに一汗かきました。
総じて歩きやすい尾根道は植林境界となっており、様々な印の赤ペンキが続く。GPSを林業に役立てるというテーマの本を持っているが、確かにこれだけ広大なエリアで権利関係を明確にするとなると、測量を重ね定期的に境界について確認を行い結果を明確にしなければならないのは自明の理。放置しておけばたちまち自然が人間の定めた境界などうやむやにしてしまいかねない。
お次のピークは西ノ入の頭だ。ひっそりとしたしたピークには幾つかの山名板が架かっていた。
北の方面が枝越しに明るくなる頃、時間は少し早いが腹も空いてきたので休憩としよう。
今年は暖冬で、先日歩いた鳴神山などはむしろ暑いといったほうが当てはまる程であったが、今日はめっきり冷え込んでいて風も幾らか強めだ。鳴神山は暑くて山シャツ一枚で歩いていたが、今日はフリースも脱がず、ダウンもフードを立てながら歩いてきた。今ひとつ日差しが欲しかったが、この先どうなるか解らなかったので花瓶山を枝越しに望めるこの場所で昼食とした。
いつものカップラーメンで一旦は暖まった体も、食後のコーヒーカップを持つ手があっという間にかじかんでくる。長居は無用だ。体を動かしていればまだましだろう。
暫くは明るく陽が射す尾根筋を行く。途中途中で「ここで昼食にすれば良かった」と思うような気持ちよさそうな日溜りの枝尾根があった。
(下写真、中・右は遠い枝尾根、あそこまで寄り道はちょっと辛いかも)
一旦、林道に降りる箇所は少し性急過ぎて密藪を強行突破。(下写真中)
林道に出て少し進むと、
やはりそうか。林道の左右にピンクリボンが結ばれていた。右手のリボンから眺めると藪の無いスッキリした斜面が上に伸びていた。ここを下れば楽に車道へ出られたのだ。残念残念。
暫くの間、付かず離れずの車道に別れを告げ、左右両側から陽が射す明るい稜線に思わず心踊らせれば497.5m三角点の富士山へ到着だ。地形図では此処より直線にして北東800m先にある富士山という地名表記との関連が知りたいところだ。
また、途中通過してきた伐採地頂部は栃木百名山本にお富士山(497mP)とされているが、これは誤記ではないか。
伐採地頂部は地形図で見る限り560m級ピークである。497.5mのこちらの富士山と誤認しているような気がする。出版物に公平正確性を期するなら、ここは栃百本に改めて調査して欲しいところだ。
ちなみにこの三角点を国土地理院の基準点閲覧サービスで調べると、基準点コードTR35540217401、点名が「富士山」となっており間違いは無い。栃百本の「お富士山」には三角点は存在しないので、点名としての名前も当然存在しない。
地元で古くから呼ばれる俗称というのもあるが、その場合は石祠があるなど、何かしら信仰との関係があるものであるし、山名板を掛ける諸氏のターゲットから外れる訳がないだろう。いずれにせよ真相は謎である。
富士山より下降を続けると再び伐採地が現れた。日光連山より更に南側の山より始まり、那須岳の北方に向けて見通せる大パノラマ。胸のすくような好眺望にしばし足を止めた。
伐採地よりゴルフ場内の施設を傍目にしながら下降して一旦車道へ降り立つ。すぐさま向かいの山へと取り付くと、見るからに鬱蒼とした枝の煩そうな藪だ。
ゴルフ場の西を巻くようなこの稜線には、やはり山仕事の人の踏み跡が見られる。だが、先ほどまで歩いてきた区間に比べると圧倒的に薄く、日差しが無く暗い。だが、場所によっては真新しい幼木の刈り取った跡なども見られ、まめに手入れされているように感じられた。
今日のルートでは全く見かけなかった岩を見つける。変化に乏しいルートであっただけに、岩を見て何故か和んでしまう。
先ほどの岩は単発と思いきや、進むと所々に大きな岩が露出している。広い山中に仲間の少ない岩は、一箇所に寄り添っているようで、一体何時の時代からそこにじっとしていたのであろうかと思わず問いたくなる。
この先、藪は一旦濃くなるも最後の390m級ピークから本日最後の降下である。朝方のお悩みで地図を広げてしばし再考す。
事前計画では東の尾根を下り、ドンピシャ駐車地という目論見であったが、そのドンピシャな直地点がずばり民家のど真ん中だったのでこれは却下。道路直前を左右に振っても、下から見る限りいやらしい斜度があったのでこれも却下。
結局は一番無難な南の尾根を下ることにした。尾根の芯は藪が濃いので少しそれを避けながら下ると案外急斜面だ。幸い、グリップの効く土だから問題は無い。あっという間に高度を下げて下に小屋が見えてきた。
あっちゃぁ、こちらも民家だったか。薪が沢山積まれた小屋の脇に納屋のような建物があった。幸いに人の気配は無さそうである。こんな所に番犬でもいたら大変な騒ぎになっていた筈だ。やはり里山の着地点はしっかり偵察をすべきと反省した。
駐車地からのピストンならば2時間もかからないだろうが、こうして一日かけて歩くのもまた一興。終盤のゴルフ場西側尾根はあまりにも殺伐としていて、山遊びとしてはいささか蛇足に感じないでもない。だが、思いがけない岩との出会い、そしてパソコンに落として出来上がった軌跡を眺めると、まるで猫の顔に見えなくもない(耳が片方無いけど)輪郭に一人喜びを隠せない、そんな藪歩きであった。
概略コースタイム
駐車地発(08:52)-白糸の滝(09:11)-雲光教寺(09:19)-萬蔵山(09:33)-藪(09:55)-伐採地頂部(10:27)-
関谷沢の頭(10:45)-コースミスよりリカバリ終了(10:57)-西ノ入の頭(11:21)-昼食地点(11:38)-昼食休憩-
行動再開(12:11)-八溝縦貫林道へ一旦接合(13:03)-富士山(13:23)-伐採地(13:37)-車道へ(13:56)-448mP(14:20)-ゴルフ場最接近(14:35)-岩を見る(14:59)-民家納屋裏に着地(15:23)-駐車地着(15:29)
カシミール3Dデータ
沿面距離:12.1Km
所要時間:6時間37分
萬蔵山、懐かしいですね。
私は山頂を中心に少し歩いただけですが、こんなルート取りができるとは流石です。
栃百の選出理由は定かでありませんが、同じエリアに偏らない様に広く万遍無く・・・と聞いたよな記憶があります。
なるほど。
栃百の選出理由にはエリアに偏らないというのも含まれていたんですね。
深田久弥の日本百名山などはそれなりのこだわりがあって選出したのでしょうが、
栃木百名山も選出理由を纏めたら出版出来るんじゃないかなと思います。
郷土の資源だから偏っていてもOKですから面白い企画になるんじゃないでしょうか。
気になってる萬蔵山
ガイドブックでは お堂の左を登って山頂、、、
ネットでは 道じゃなくて藪!とか、、書いてる人もいたような、、、
ピークハントだけなら
その藪?も そんなに苦じゃないでしょうか??
って、、、この部分が 一番気になる私。
あ、、、あと まっちゃんが停めた場所
一台くらいのスペースですかね?
とりあえずの さわりの 足跡は、、、これにて (^_^;)(^_^;)
ありゃぁ、お堂の左を登るんでしたか。
ガイドを全然読まずに行ったので、踏み跡なりにお堂の右を行きました。
左には道は無かったような・・・
で、右に行くと直ぐに「これ行けるの?」的な雰囲気になってきますが、
踏み跡を追って取付きの急斜面を登ると古い仕事道に合流。
しばらくして尾根に直登するリボンが現れましたが、「登山道だからこれは無いだろう」と暫くそのまま進むと、やがて踏み跡は道を外れて直登し始めました。
と、まぁ道標も何も無いのでこれじゃ一般のハイカーにちと厳しいのではと思いましたが、余計な道標を付けないのがこの山域を仕切る「黒羽山の会」の方針なのかなぁと思ったりして登りました。
で、改めてガイド本を見ると、
うーむ。やはりお堂の左手から真っ直ぐ登るのが正解だったようです。
自分が登ったのは491mP寄りにトラバースするバリエーションルートだったみたいですね( ´∀`)
車は、写真の箇所に三台は置けます。他の所に路駐も可能かもしれませんが、あまり人が来ない山なので多分大丈夫でしょう。
こんばんは。
数年前に萬蔵山を歩いたときは、入り口に雪が残ってましたが
それより何より、コースが不鮮明だったので、珍しく藪漕ぎの
真似ごとをした記憶があります...
そんな萬蔵山は”ついでに”登られたというまっちゃんは流石!
歩いた軌跡を見ただけで、レポ見ずに圧倒されてます(@_@)
今回も下見があったんでしょうか?
それとも(それ用の地図で)地形を読んで企画する?
いずれにせよ真似できないケン坊は読者に専念します>笑<
ケン坊さんはお堂の左手を登られたのでしょうか。
どうやらそちらが公式コースのようで、萬蔵山までは全く下調べ無しで登った自分は回り道をしちゃったみたいでした。
今回は駐車地をかなり前に偵察しただけでした。
でもこれが一番重要で、どうしても自分は現地で駐車地を探すというのが出来ない性格でして、
何は無くともこれだけは決めてから山に行くようにしています。
綺麗な周回歩き、お疲れ様でした。道路歩きも殆どなかったようですね。
萬蔵山を初めて登った時に、二度と登るものかと思いましたが、なんだかんだで3回も登ってます。
それも地元の山ならでこそで(家から登山口まで30分かかりません)、遠くから来られる方々は一度で充分と言うか、一度で勘弁と言った気になるでしょうね。
確かに萬蔵山単体だとちょっと拍子抜けですが、
周回にするとなかなか面白いルートとなりました。
山頂から東の尾根はガッツリ痛藪。そのあとは展望の伐採地あり、そしてスパイス程度の小籔あり。
シメはゴルフ場西側のうるさい藪でデザート。
そんな感じの一日でした。
いま気になったのですが
カメラ用のポーチ
すでに使われているんでしょうか?
使い心地は、、、と
感想を聞きたかったのです (^_^;)(^_^;)
PS 余談ですが
また 仙人ヶ岳の岩場で
レンズの保護フィルターの縁
ガリガリ 岩にぶつけてしまって、、、、
すっかり
戦場カメラマンのカメラのようになっています (T_T)
PS2 落ち葉 超ローアングルの写真 ステキですね!!
次回、、、わたしも 真似していいですか?? ペコリ
鳴神山からポーチを使い始めました。
長時間装着時の違和感が心配でしたが、ウエストベルトに程よいテンションがかかって意外と良い感じ。
カメラはハンドストラップのみなので、手を滑らせて落とす可能性がありますが、今のところ気をつけているので大丈夫そうです。
今まで、コンデジは胸ベルトの所に付けたポーチに収納していたので素早く取り出し素早く格納でしたが、比べると流石にいささか手間取るようになりました。
もっとも、一番時間がかかるのはシャッターを押す時間かな。
なかなか思った写真は撮れませんが、それでも下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるで、設定をいろいろ変えてアングル変えて撮ってるので、明らかに以前の山行より時間がかかるようになりました。
コンデジの時は結果なんかあまり考えないでとりあえずシャッター押しっぱなしでしたから。
ローアングルは可動液晶パネルだと楽に撮れますね。
今回初めて実践で使ってみました。
真似なんてとんでも無い。自分もネットで拝見した方の作例を真似ているだけですから。
亀三郎さんならもっと素晴らしいショットを撮られますよ。
でも、こういう構図ってピントの位置が難しいです。
もうちょっと数枚葉っぱにピント合わせるべく絞れば良かったなと思ってます。
縦構図でも数枚撮ったのですが、どれもイマイチで、この一枚が残りました。
液晶画面で撮ったその場で仕上がりを確認するのは難しいですね。
萬蔵山って、どこよ。。って、カシミールで検索しちゃいました。(^^;
地形図を見ながらルート外の山の中を自由自在に歩けてしまうなんて、
ホント、尊敬です。
しかも、ルートミスのリカバリーを、罰ゲームと笑ってしまえることも。(^O^;
伐採地からの眺望もいい雰囲気ですね~。
それにしても、人間の感覚は、不思議なものです。
谷川岳ロープウェイまでの120キロはちっとも遠いと思わないのに、大田原までの
110キロは、すげぇー遠い。と思ってしまいます。(笑)
未だに自由自在という域には達していませんが、
こういう場所を歩き始めた頃に比べると、僅かながらでも学習成果が出ていろいろと先が読めるようになります・・・
と言っておきながら今回のようなミスもしちゃいますが。
頭の中では大枠のルートを考えながら歩いているのですが、樹林に囲まれた同じような所を長時間歩いていると段々方向感覚が麻痺してきます。
まぁ、こうなるのは当然なので、そこで現在位置の確定と地図読み、当然GPSも併用するのでルートを失う事はほぼないのです。
でも、緊張が切れた一瞬。例えばとあるピークに到達して、次に進むべき進路角、乗らなきゃならない尾根筋をしっかり見極めないでずんずん進んでいくと今回みたいになっちゃいます。
自分も含めて、こんな所に行く人達はそういったことが全体で面白いから歩いてるんだと思います(^_^)
100Kmですか。
自分はその距離で日帰りはよっぽど気合入れないと厳しいかも。
帰りに温泉で一泊とかだったらその距離でも是非行きたいところです( ´∀`)
こんばんは。萬蔵山は、林道から周回しましたね。右から登って、左でした。薄いところはありましたが、迷うほどではなかったような。
一見、面白くもなんともない山ですが、こんなに伐採地があって、展望がいいなら、また、歩いてみようかなあ。お花の時期もカタクリなど、結構咲いているらしいです。
ホント、山頂に登るだけだとちょっと拍子抜けしちゃう、かつての多気山のような山ですね。
せめて山頂だけでも伐採して景色が見えるようにすれば少しは人気が出るのかもしれませんが。
もっとも植林帯なので、遊びで山に入る人達の意見は採用されるべくも無し。
それがまっとうな考え方だと思います。
春先はカタクリが咲くんですね。その時期に静かな尾根周回するのも良さそうですね。