安達太良山不発だがカモシカに出会えてラッキー


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 昨晩の宿、道の駅猪苗代はトイレも綺麗で施設全体の雰囲気もなかなか良かった。
 トイレの至近はトラックのスペースが近い為パス。なるべくトイレに近い一般駐車スペースに陣取ったが、夜間のトラックのエンジン音は気にならなかった。トイレは寝る前一回、夜間一回、目が覚めて一回。これくらいなら多少トイレが遠くれも差し支えないが、照明も何も無い深山の場合は夜間の一回はなるべく我慢したいところだ(笑)

 さて、今回の福島では有名どころの安達太良山と磐梯山を登っておきたかった。だが天気の機嫌はあまり芳しくない。それでも何とか午前中は眺望も得られそうで風もそこそこ(強風ではなさそうという意味)な感じな予報が出ていた。安達太良山に今日は登ることにした。ルートはゴンドラで一気に高度を稼いで周回するお気楽ルートだ。


今日の登山はゴンドラを利用して一気に1350mまで


うーーん。雲の動きがなんとも

 流石にゴンドラを利用する人も少なく、一基を独り占め。密になることは無い。休日とかはどうなるのか判らないが、それでも対面乗車した時にビニールシートを降ろすことが出来るようになっており、飛沫防止は施されている。特にスキーシーズンの冬場は稼ぎ時だからそれなりに乗客も多かっただろう。コロナ対策も大変である。


さぁ、スタート でも既に空は青くない

 ゴンドラ乗り場では幾らか上空に青いものが見えていたのにどんどんガスが浸食してくる。
 おやおや、予報と違うぞ。と言っても仕方がない。後は風が穏やかなのを願うしかない。
 何はともあれコツコツ登るべし。

 登山道は流石に超一流処だけあって整備は完璧だ。何せ楽に登れるように付けられた登山道だからあまり汗もかかない。むしろ泥濘がひどい区間が多く、如何に泥はねせずに通過するかのほうに神経を使った。こういう時に限ってスパッツは持ってきていないものだ。


下界は陽光が届いているようだが標高が上がるとガスに支配されていく

 上の方に遠く見た残雪が段々大きくなり、そこを渡る頃にはガスが濃くなり視界がどんどん悪くなってきた。まだ風が弱いのがせめてもの慰みだ。

 残雪は意外に滑る。せめて4本爪の軽アイゼンでもザックに忍ばせておけばと思ったが、そんな事を考えているうちに残雪区間はあっと言う間に終わってしまった。


やがて残雪が出る頃にはガスに覆われてしまった

 気が付いたら森林限界になっており、徐々に砂礫の道を登って行くと、おお!あそこが山頂の乳首か?
 ガスが濃く立ち込める先に暗く大きな物体が行く手を塞いでいた。


山頂直下到着 一瞬ガスが薄くなってようやく山頂(乳首)が姿を見せた

 これは一体どうやって登るのかなと近寄って見ると、なんだちゃんとルートがあるのではないかと一安心。
 遠目に見る限り、ガスの中、岩の塊をよじ登るしかなさそうだぜオーラが出ていたのだ。


山頂は強風と濃いガス 眺望ゼロだ まぁ、登頂記念(証拠)ということでシャッターを切った


予定では鉄山までのピストン後にくろがね小屋方面下山なのだが

 鉄山までのピストンで火山地形の勇壮な眺望を楽しむ予定であったが、流石にこれではどうしようも無い。っていうか、風が強いぞ。

 恐らくだが、体感では20m~30m位。那須で一度30mの風を受けた時の感じからするとだ。こりゃ堪らない。吹き付けてくるガスでメガネが曇るじゃなくてメガネに水滴が滴る。カメラは駄目だな。ザックにしまった。


鉄山へ向かう稜線 モンスターの目玉のような印が導いてくれるので危ない所へ踏み込まずに済む

 それにしてもこの風の強さはどうだろう。油断していると吹き飛ばされそうだ。左手(西側)の下がどうなっているかは全く見えないが、間違いなくそちらに落ちればただじゃ済まないのは地図を見ても明らか。鉄山行きはキャンセルして牛の背から逃げるようにして下り始めるとあっという間に尾根に遮られて風は弱くなる。下から上がって来る登山者と数人交差したが、結構な登りに息せききって登る彼らが目指す先は、強風地獄とガスに包まれた世界であることが少し気の毒に感じられた。


稜線から離れると風は凌げるようになった あれ、山頂のガスが薄くなってるじゃん


ん!ガスが抜けて来たかな? 今から登り返すか いやいややめておこう

 ”降りると晴れるの法則” 山頂部には未だガスが訪れては去りの繰り返し。だが徐々に天気回復に向かっているのは間違いが無さそうだ。時折後ろ髪を引かれたように、「登り返すなら今が最後のチャンス」とばかりに立ち止まる。登り返した時にまたコンディションが悪かったらがっかりするだけ。旅の行程も残っていることだしここは体力を温存しよう。次回訪れる時に天気も体調もベストコンディションで再訪しようじゃないか。


篭山という山だが道標も道も無い ヤマレコを見ると登っている人は居るようだ 次回訪問予定


那須岳を歩いているような錯覚

 鉄山を見渡せる広場で簡単な昼食とした。
 最近の登山は昼食は簡単な行動食レベルにして軽量化を図っている。
 山での食事としてはいいささか寂しいが、ガスと水を担いでお湯を沸かしてカップラーメンと珈琲を楽しむのはやはり里山クラスのほうが似合っている。


こちらは那須の剣が峰?ではなく、鉄山とその稜線 今あそこを歩けば絶景が見られたなぁ


岩もどことなく鉄錆びた色調

 山の上部は岩ばかりで植物の棲む世界では無かった。だが、くろがね小屋の近くでムラサキヤシオの濃いピンクの花びらを見て人心地ついたような気になった。風が強かったせいもあるが、やはり火山の山は荒々しさと厳しい緊張感に満ち溢れていると思った。まぁそこを歩くのが醍醐味なんだけどね。


くろがね小屋手前でムラサキヤシオ!


 そんな事を考えながら歩いていたら、ふと前方に気配を感じた。
 カモシカが立ち止まってこちらを窺っていたのだ。


突然カモシカに遭遇

 山の中でカモシカに遭遇したのはこれで三度目だが、いずれも先方があっという間に逃げて行ってしまった。
 今回の遭遇は僅か20m足らずの距離でしばらく双方立ち止まり硬直状態。
 カメラを向けてゆっくりとシャッターを切りながら近づいても一向に逃げる様子が無い。10m位まで詰めた所で一旦背中を見せて去って行った。


近づくと一旦は去っていくが

 だが再び立ち止まってこちらを窺っている。おいおいそんなにじっくり見られちゃったらこっちだって恥ずかしいぜ。


まだこちらを窺っている


やがて意を決したように、今度は駆け出す後ろ姿に思わずさようならをした

 上手の藪の中から先ほどカモシカの足音がまだ聞こえている登山道をを下っていくと「馬車道」という案内板があった。
 どうやら昔はこの道を馬車が上がったらしい。時代と共に馬がジムニーにとって代わったということだろうが、今も昔も御者(ドライバー)はやはりつわものだったことは間違いない。


くろがね小屋のジムニーによっては欠かせないこの馬車道

 馬車道から旧道への分岐があり、少し旧道へ踏み込んでみたがこちらにも泥濘地獄が待ち受けていた。せっかく登りの時の泥ハネが乾いてきたのにまた泥まみれになるのが嫌だったので馬車道を選択した。
 何度か旧道に接続するところで頃合いを見計らって覗き込んでみると、何とか泥濘地獄に遭わずに済みそうなのでそちらへ。

 ゴールのスキー場ゲレンデに出る手前の渓谷で顔を洗った。ついでに靴に着いた泥を落とすとさっぱりとした。ふと見上げると山頂の乳首が見える。上空は厚い雲に覆われてはいるがガスは切れていた。だが、午後の急速な天気回復には至らなかったようである。


下山の地点から 遠くからでも乳首はよく目立つ

 下山後は岳温泉で汗を流そうかと考えていたが、事前に調べていた公衆浴場は臨時休業でがっかり。
 岳温泉の日帰り出来る温泉は幾つかあったのだけど、どれもお値段高め。こんなことなら登山口にあった奥岳の湯に入ってくれば良かったなと思うも後の祭りだ。ままよとスマホで検索してスカイピアあだたらという保養施設を見つけた。

 よくあるタイプの温泉だが、源泉は岳温泉。浴槽から安達太良山が一望出来るのが良い。のんびり温泉を堪能したあとは、先客一名の広大な休憩室に陣取ってビールをぐびっと一杯・・・は無理なので、ご当地飲料、酪王のカフェオレで喉を潤ししばし昼寝と洒落こんだ。

概略コースタイム

ゴンドラ山頂駅発(09:15)-1413m地点(09:29)-安達太良山(10:23)-牛ノ背(10:54)-峰の辻(11:15)-
くろがね小屋(12:07)-カモシカ遭遇(12:14)-駐車場着(13:49)

カシミール3Dデータ

沿面距離:9.9Km
所要時間:4時間34分

カテゴリー: 車中泊の旅, 福島県の山 パーマリンク

安達太良山不発だがカモシカに出会えてラッキー への2件のフィードバック

  1. 野球親爺 のコメント:

    安達太良山はお初でしたか?
    カモシカは何となく気品があって少し圧倒されますね。

    乳首山から鉄山までは遮るものがないので風の通り道で那須の峰の茶屋跡辺りと一緒かそれ以上の風が吹きそうですね。
    篭山は岩が多い所ですが、人は多分来ないのでゆったりとできます。

    • まっちゃん のコメント:

      自宅から日帰りとなると安達太良山は厳しい距離(帰りの運転が不安)となります。
      今後はこういう場所に車中泊で登って行きたいと思っています。
      カモシカは本当に動じて逃げないですね。これが鹿だったら秒で行ってしまうのですが、穴があくほど見つめられてしまうと、「何者だあんたは」と言われているような感じの風格がありましたよ。

      篭山は次回晴天の安達太良山に登る時に必ず訪れようと思います。

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