再訪、高平山


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

鳴虫山、高平山の過去の記事
    2015年03月28日  植林帯、時々自然林 静寂の高平山
    2011年12月17日  鳴虫山~火戸尻山~675mP
    2008年04月29日  アカヤシオを満喫、鳴虫山
    2007年06月20日  平日の鳴虫山


 鳴虫山のアカヤシオが見頃、という記事を目にした。
 タイミングを合わせるのがなかなか難しい花山行だが、情報が上がったのが水曜日頃。なんとか日曜までもってくれればと思い、計画をした。
 また、今回は腹案であった高平山への周回も加え、どちらかといえば後者のほうがメインで花のほうはついでににといった感も正直あり、ちょっと不純なアカヤシオ見物となった。

 車を大谷川の河川敷にある無料駐車場へ停める。日光駅へは5分程度のアクセスなので、案外この駐車場は穴場と言えるだろう。
 道路を跨ぎ、先にあるちょっとレトロな感じの跨線橋で日光駅手前の線路を渡る。橋の周囲は古河電工の敷地らしく、門で閉ざされた部分には入ることは出来ないが、跨線橋は通行禁止の表示も無く、時折人々の往来もある。だが、手すりの低さや橋の材質などは今の時代ちょっと怖い感じもするレトロな橋でもある。百聞は一見に如かず。機会があったら是非渡ることをお勧めする。

大谷河川敷駐車場 女峰山の春はまだ JR日光駅を跨ぐ

 国道を超えて住宅地の中を進んで行くと、シャクナゲが玄関先を飾る光景も日光ならでは。なかなか見ない珍しい風景だ。

こんな便利な跨線橋があったとは 住宅地の裏手を進み 民家に咲くシャクナゲ

 見慣れた看板のお馴染みの登山口からゆっくりと登り始める。
 後続も先行も、沢山の人達に出会う。流石人気の山だ。思い起こせばメタボに喘ぎながら山歩きを始めて2年後にようやくこの山に冒険気分で登ったのが懐かしく思い出される。

お馴染みの登山口 山桜が青空に映える ツツジの蕾はまだ固い
さて登って行きましょう 鳴虫山登山ではランドマーク 相変わらず木が邪魔

 高度を上げるとお目当てのアカヤシオがちらほら。思った程の花の濃密さは無かったが、今年はもうアカヤシオは見られないのかなと諦めかけていただけに満足することが出来た。
 人が入りそうに無い小尾根に枝ぶりの良い株があったが、流石にこれだけ大勢の登山者が居る中あそこへ行くには勇気がいる。一人の山中なら造作のないことなのだが。

アカヤシオが出てきた 根っこうねうねの急登 隠れ男体山

 山頂へ着くと、こんな朝早い時間から一体・・・と思うほどの沢山の登山者でひしめいていた。途中で追い越された人は三人だが、追い抜いてきた人は多数。彼らもじきに、そしてその後にも累々と登山者が居るのだろう。つくづく人気の山を実感した次第だ。

 さて、とりあえずアカヤシオを見ることも出来たので目標の半分は達成したことになるが、今日の核心部はここからがスタートとなる。

 「この先に登山道はありません」の看板を跨ぎ先へと進む。登山道を歩きに来た訳ではないので、まったくもって問題は無いのだが、看板を見るとなんとなく背徳感を感じるのは日本人の証?(笑)

山頂へ到着   今日の核心部へ向け出発

 一歩踏み出すと、火戸尻山へ縦走した時の記憶、光景がすぐさま鮮やかに蘇ってきた。そう、先ほどまでヒトの群れの中で蠢いていた自分だが、静寂のこちら側に身を置いた瞬間に覚醒とか緊張とかそんな感じに包まれた。サクサクと落ち葉を踏む自分の足音、歌うような鳥のさえずり、やっと山へやって来たという気持ちになれた。

こちらには華が無いがいつものことさ   シカ柵に沿って

 見栄えも劣るが、僅かなの花弁しか持たないアカヤシオも、ただ一人通る進路に咲くのを見ると心和むもの。一旦開けた個所から見える高平山はまだまだ遠く、振り返れば北から見る鳴虫山の珍しいシルエット。

ぽつりとアカヤシオも嬉しいね 高平山見えるも遠い 振り返って鳴虫山

 5年前に歩いた時の996mPは伐採されていなかったが、今回は切り開かれた大展望だ。眼下の919mP、そしてその先には火戸尻山が頭をのぞかせている。更に奥には六郎地山へと繋がる境界尾根が荒々しい姿を見せている。思えば火戸尻山へ向けて歩いた時も直前の伐採地で六郎地山の大きさに感動し、後日そのピークを踏んだことが懐かしく思い出される。
 今日の風景からつながる次のターゲットはあの境界尾根。そんな思いを胸にしまい、996mPを後にして進むべき方角へと下る。

少し小藪が煩い区間も 眼下の919mPと火戸尻山 鶏鳴山そして右手には笹目倉
伐採地脇を急降下 正面の高平山、ルートは下部で右に大きく回る 伐採地頂部を振り返る

 樹林帯に吸い込まれると再び淡々とした尾根歩きとなった。ここまで比較的柔和な雰囲気のルートであったが、996mPから東に進路が変わると徐々に岩が出てきたり痩せ尾根だったりと野性味が増してくる。
 急登に多少難渋するもようやく892mPへ到達。時間も良いし行程の先も見えてきたのでここいらで休憩としようじゃないか。

再び淡々と こちらもシカ柵が出てきた 左端、伐採地頂部 右端、鳴虫山
ツツジが鮮やか 段々と岩が出てくる 892mP

 先を窺うと殺風景な周囲を照らすが如く一株のアカヤシオ。決して花付きは良くないが、花を眺める者の往来もまずは無いだろうにと思えば愛おしくなるというものだ。気が付くとそこへザックを降ろしていた。
 日が当たれば思いのほか気温が高いが、樹林の中は比較的涼しい。だが、カップラーメンも熱いコーヒーもそろそろ仕舞の季節がやってきたようだ。

 さぁ、まだ先は長いので長居は無用。目の前の尾根を北に下って行っても今日の着地点付近に到達するのは解っていたが、それでは初志貫徹ならず。距離は残すも今日の目的地は高平山である。

昼食地のアカヤシオ 明瞭な尾根下りが楽しい  
    この岩は流石に巻いた
再びツツジ鮮やか   食後の登り返しはキツイ

 小来川からのルートと合わせると再びその時の記憶が蘇ってきて、まるで昨日歩いたように思い出されるので不思議なものだ。年々記憶力の低下が著しく、人の名前など電話口で咄嗟に失念したりすることが多いのに、こんな特徴の無い植林地の尾根の様子を思いだしてしまうのだから人間の記憶なんて都合のよいように出来ているのかもしれない。

石祠あり 小来川の柏木集落を向いている 痩せ尾根に注意

 高平山の肩に乗り、緩やかな小径を進めば懐かしい山頂である。相変わらず眺望は皆無だが、前回より日差しが良いせいか随分明るい山頂という印象を今回は持った。

そして穏やかになると 今日の目的地、高平山へ到着 後は下るだけ

 山頂からは下り一辺倒。序盤こそ穏やかだが徐々に急斜面となる。逆方向で登りに使うなら胸突き八丁だ。地形図には山頂から三方向に破線道が描かれているがその痕跡が皆無なのは北尾根もまた同じ。
 下部で重機道と方向が一旦一致するが、ここは引き込まれずに別れを告げ再び尾根を進む。

急下りを振り返る 重機道に一旦合流 昼食の892mP

 下るに従い藪が段々と煩くなってきた。地形図を見る限り、さほどではない等高線の詰まり具合なのに若干切れ落ちている箇所から覗くと、雑多な種類の強固な藪が通さないぞ言わんばかりである。斜度が緩ければ突っ込んで行っても良いのだが、今日の長丁場歩きの疲労感もあって戦意喪失。おとなしく重機道へと逃げればやがて沢音も大きくなり下山も終盤であることを知る。

藪が煩くなってきた 重機道跡へ逃げる 水清らかな堰堤へ降りた

 堰堤の冷たい水で顔を洗いさっぱりしてから先へ進むと、目論見の着地点付近は急な藪地であった。重機道で楽をしてしまった残念感も多少感じていたが、あそこを降りてくるのもさぞや骨が折れるだろうに。結果的にはこれで良かったようだ。

  予定ではこの辺に降りたはずだが 今や乗り入れは不可能だろう

 最後に開けられたのはいったい何時なのか知る由もないほど、錠前が錆びついたゲートを超えると、タイヤ痕が残る砂利林道へ出た。あとは舗装路を繋いで日光駅までのだらだら歩き。今日はなかなかにロングな歩きだったような気がするが、低山徘徊も流石にこう気温が上がってきては暑がりの自分にとってはそろそろ限界かな。来年に向けてまたネタの仕込みに精を出して想像猛だしく妄想の日々。次のシーズンが待ち遠しいものである。

古いゲートへ到着 ここからは轍も明瞭な林道へ そして最後の車道歩き
外山と小倉山 日光ICを上から見るのも珍しいね 来年訪問予定の804m三角点

概略コースタイム

駐車場発(07:26)-鳴虫山登山口(07:57)-神ノ主山(08:37)-鳴虫山(09:49)-996mP(伐採地)(10:32)-
791mP(11:06)-892mP(11:51)-昼食休憩-行動再開(12:28)-小来川ルートと合わせる(13:01)-石祠(13:31)-
高平山(13:55)-尾根下降断念(14:29)-堰堤(14:41)-林道ゲート(14:52)-県道へ接合(14:57)-
日光自動車道交差(15:33)-駐車場着(15:53)

カシミール3Dデータ

沿面距離:16.1Km
累積標高差:(±)1,320m
所要時間:8時間27分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

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再訪、高平山 への10件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    これはまた、前半と後半では好対照の山歩きとなりましたね。
    人も多くアカヤシオで彩られた華やかな鳴虫山、そして静かで味わい深い高平山までのルート。
    鳴虫山は私もアカヤシオ目的で何度か登りましたが、GWだとちょっと遅かった様な記憶があります。

    • まっちゃん のコメント:

      鳴虫山はアカヤシオ抜きにしても充分人気な山だけに、
      今の時期はより一層の賑わいとなっていました。
      確かに今回の山行は前半と後半のギャップが激しくて、
      ちょっと感傷的な山旅となりました。

  2. せろーG のコメント:

    のんびりと 賑やかな そして静謐な里山歩きを楽しんできましたね。
    連休だと県内の山は やはりアカヤシオですよね。

    この連休 私も何処か 静かな里山歩きをして来ようと思ってます。
    相棒は愛犬ベキ 雌5歳 (人間でいうと 40代後半の やや太めのおばさん)
    山で迷子犬にならなければいいのですが…。

    • まっちゃん のコメント:

      愛犬を連れての山歩き。
      良いですね。憧れるなぁ。
      犬を飼いたい気持ちはあるのですが、特に散歩に関しては
      今の自分の生活では責任持てない状況なので我慢しています。
      子供の頃に飼っていた思い出がいろいろあって懐かしいです。
      定年してしばらくたって、家に落ち着く歳になったら是非飼おうと思ってます。
      ベキとの山歩き。楽しみですね。

  3. 野球親爺 のコメント:

    アカヤシオの鳴虫山、人が多いので何となく落ち着きませんね。最盛期は見事なのですけど。
    人知れず咲くツツジを見るほうが優越感に浸れる気がします。
    8年ほど前に今回のルートの反対周りでほぼ同じような歩きをしています。
    写真を見返したら高平山の山名板が結構賑やかだったのですが、今は栃木の山紀行さんのものだけだったのでしょうか。

    • まっちゃん のコメント:

      今回、自分は最盛期を外したようです。
      やはり花山行は難しいなぁ~

      高平山周回のこのルート、地味に長くて結構疲れましたが、
      その分満足感は高かったです。
      山名板は・・・あまり気にしていなかったのですが、確か一枚だけだったような。

  4. ケン坊 のコメント:

    こんばんは
    鳴虫山はアカヤシオを目指して登ったことがありましたが
    残念ながら殆んど終盤だったので良いイメージが残ってません
    でも再訪したい山と思っている山の一つ
    ところで”高平山”ってどこにあるんだろうって考えちゃいましたが
    考える必要はありませんでした...だって”GPSMAP”が
    載ってるのに恥ずかしいですね しばらく経ってから気付きました
    相変わらずの縦走踏破 お疲れ様でした

    • まっちゃん のコメント:

      鳴虫山のアカヤシオの本当の最盛期を知らないので、
      やはり一度くらいは見てみたいという思いが強いです。
      でも、タイミング難しいですね。
      やはりリタイヤしていつでも行ける身にならないと無理っぽいなぁ。

  5. 亀三郎 のコメント:

    隠れ男体山
    アカヤシオ越しに それでも 雄大に感じる写真
    いいですね~~~^^v
    わたしも おなじようなアングルで撮った記憶がありますが
    花がないので、、、、
    面白みがありませんでした (^_^;)(^_^;)


    それと
    ランドマークからの女峰山 (赤薙山?)
    た、、、たしかに、、、あの木がじゃまなんですよね 笑
    思い出しました!!

    • まっちゃん のコメント:

      すみません。コメント遅刻でしたm(__)m

      本当はもっとスッキリとアカヤシオ&男体山で、
      これぞ日光!
      という画にしたかったのですが、そうそう都合の良いポイントは
      無いようで、写真は難しいものだなぁとつくづく感じてます。

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