-『GPSmap60CSx』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースは全て一般登山道ではありません。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
日光の鳴虫山は駅から登れる山ということで県内外のハイカーにも人気の山である。また、アカヤシオの季節のみならず中高年ハイカーから絶大な支持を受けているようで、平日といえども山頂に人が絶えることは無いという。
そんな賑わいの鳴虫山の東方に静かに控える高平山。宇都宮から日光に向かって走っていくと今市を過ぎたあたりから意識はあまりしなくてもその山容は自然と目に入っている。普段からしてそんな地味な山である。
明確なルートは無く、北西の尾根末端に車を置いてピストン、鳴虫山から稜線伝いでピストンという記録は目にする。さて自分はどうするかと考えたが、鳴虫山といえば、以前火戸尻山まで縦走して小来川の新谷集落へ降下したことを思い出した。地図を眺めていると新谷集落から高平山まで線が引ける。帰りは車道に出て、歩きか自転車。そんな素案で偵察を数度行っていた。自転車のデポ地に苦慮したが、春の芽吹きを迎える前に歩いておきたいルートと思い実行することとした。
東小来川公民館前の広場に車を置かせて貰った。ここより歩くこと数分で目論見の取付き地である神社へ到着する。
地元の人に手入れされている神社なのだろう。こざっぱりした石段を登り、男體山と記された比較的新しい灯籠脇を進む。神でも仏でも義理以外は滅多に合わせることの無い自分だが、今日は手を合わせて裏手から入山する無礼を詫びた。
今日の天気予報では午前中が晴れと報じていた。植林帯歩きに終始する筈だから多少の曇り空でも構わないのだが、やはり木漏れ日が明るいと気持ちも弾むというもの。序盤は道路沿いに点在する民家のそばを登って行く。高度を幾らか稼いだ頃、鳴らすのが憚れた熊鈴を取り出した。三連のやつと大音量の一個を足し、にわかに賑やかな単独行となる。
途中より岩が出始めると、単調だった植林帯も変化があって面白くなってくる。かつて山で仕事をしていた人達の残した物が点在するのが興味深い。
788.5m三角点には標石の上にR.Kの山名板。いや、山の名前は無いから山名板じゃないか。基準点成果等閲覧サービスで調べると、点名は「東沢」とある。プレートが風で飛ばぬように石が乗せてあったので撮影後に自分もそうした。
暫くすると赤松の明るい尾根となり開放的な雰囲気に浸れる。頬を撫ぜる風も暖かく、心地良い春の山行だ。北東方向の景色が枝越しに見られるようになり、遠く今市の毘沙門山の反射板が光っていてすぐにそれと気がついた。
おそらく、あれがそうだろうと思われる高平山を正面に見ながら、伐採地頂部に向かって高度を一旦下げる。下方の視界が良い下りは爽快。
812mPとその次の810m級Pで軽く進路ミスをする。仕事道として歩かれているのかどうかは不明だが、このあたりの小ピークからは結構紛らわしい踏み跡が枝尾根に伸びている確率がかなり高い。
こうした完全にルートファインディングルートではGPSでカンニングしながらでも時折進路を錯誤することがあるが、最近は流石に慣れてきて怪しい箇所はなんとなく解るようになってきている。しかしながら、尾根の乗換で本来乗り換えるべき明瞭な尾根形が見いだせなかったりすると、つい広い方へと行きたくなる心の甘さは未だに残っているようだ。
進路が東へと大きくたわみ、幾つかピークを越えると本日初めての石祠と出会った。更に進むと松が稜線を塞ぐように倒れていた。かなり年数が経って今ではシロアリに食い荒らされて見る影もないが、さぞ立派な木だったのだろう。反対側から根の部分を眺めても、はてさて倒れる原因が思い付かない。神仏のなせる業かな。
植林帯の稜線は、林業者の意図するところなのかどうかは不明だが(広尾根は防火帯となっている山もあった)往々にして余計な植物が生えていない。だからこうして自分もやすやすと歩き通せるのだが、高平山を目前にして珍しくも灌木の薮が出てきた。葉の茂る時期は通行に難儀するだろうが、今の時期は造作も無し。
ワイヤーロープが残置された地点より緩やかに登りきるとそこが山頂だ。四方木に囲われていて眺望が全くない静かな山頂に、幾つかの山名板が滅多に現れない登山者を待ち続けていた。
山頂の手前に幾らか開けた場所があった。椅子のようにカットされた切り株もある。山仕事の人が作った「きこりの椅子」で食事としようではないか。枝越しに見える日光の山を眺めながら静かな雰囲気を楽しむ昼食は至福の時だ。
山頂から暫くは赤テープの続く急降下。赤テープといえば新谷からずっと一本も見なかったが鳴虫山からのルートと合わせるあたり(石祠手前の東へ方向替えする地点)幾らか赤テープが出るようになった。やはり鳴虫山から来る人が多いのだろうか。我が新谷ルートは鹿の真新しい踏み跡以外は全く見かけなかった。
ひとしきり下りを続けると、山中では珍しいお地蔵様に出会う。お地蔵様の定義に詳しくないのでなんとも言えないが、単に石仏と言ったほうが正しいのだろうか。穏やかとも涼しげともとれる不思議な表情で、一体いつからそこにそうして佇んでいるのだろう。
下りも終盤になると木の根元の所にペンキが塗られていたり、にわかに仕事の気配が濃くなってくる。尾根なりに進んでうっかり一本隣の尾根に引き込まれてしまった。行く手が谷へと収斂されているのを見ておかしいなと感じてGPSを見ると右手の高みに本来進むべき尾根が見えた。帰宅してGPSのログを見ると随分派手に間違っているが、やはり何か目立つ物に引き寄せられてルートミスをするのは先ほども書いたが注意すべき点と反省。
丸見えだったので少し高度を上げて無理の無さそうな箇所をトラバースして本来のルートに復帰した。
今回設定したこの下山路は地形図で見ると実線の道として記入されているが、実際には道なぞどこにも無い。かつてブル道として拓かれた形跡や木道の遺構も見当たらない。もっとも、木が未だ成長していなかった時期に航空写真で線と捉えられ道として地形図に記入されたのではないかと推測するが、真実は地元の人にでも聞かなければ謎だろう。
最後の最後は眼前の10m標高差のピーク超えを放棄して、草に覆われた仕事道へと進む。もうどう進んでも車道はすぐそこだ。
予定の地点より幾らか北西に寄って車道着地となったが、これが実は結果オーライだったのだ。予定着地点は民家の裏手で、庭先には番犬殿が気持ちよさそうに昼寝を決め込んでいる。そんな場所の裏山にバキバキと音をさせて降りて行ったらどうなるかは火を見るより明らかだ(くわばらくわばら)。
下山地点近辺に自転車をデポ出来なかったのには理由がある。この周囲は意外と民家があり、あまりにも目立ちすぎるということと、ほうぼうに目立つ「私有地に付き立入禁止」の看板。どうやら山菜採りの人が山を荒らして迷惑しているらしい。自分も目的こそ違えど私有地を通行している可能性は高いので肩身が狭い。ひときわ目立つワインレッド号をそんな集落の片隅に留め置くのも気が引け、少し離れた場所へと繋いだのであった。
後は小来川へ向けて自転車で快走!と行きたいところだが、途中の峠まではひたすら押し歩きだ。一速にシフトして無理やり漕いで行こうなんて思わない。かつてそれをやって足が攣ったことがあったから。コツコツ押し歩きすればいつか終わりはやってくるもの。
峠で最後の水を飲み干して残す2Kmは本当にヒャッホー!ブレーキをかけただけで一切漕がずに駐車地へとフィニッシュした。
朝は誰も居なかった公民館は大音量のカラオケの音が鳴り響いていた。長閑な山あいに爺ちゃん達の気持ちよさそうな歌声が響き渡っている。こういった人が多そうな場所では、車内の見える所に「今、山に行っています」とでも書いた物を置いておけば良かったなと反省しながら駐車地を後にした。
さて、定番化しつつある山行後の立ち寄り湯であるが、小来川といえば「福寿荘」を狙うしか無いだろうと常々思っていた。以前、山行でない時に一度福寿荘を訪れたことがあったが、日曜日にも関わらず休業であった。今回も駐車場から降りたら福寿荘の人らしき女性に「今日は休みなんですよ」と伝えられる。どうにも相性が悪いようだが、こうなると是が非でも訪れたくなるものだ。廃業なんてことになる前に行かなくちゃという思いを募らせている。
ちなみに、循環泉で湯船も小さいということで最近の温泉施設に比べると見劣りするが、温泉の味わいはそれだけでは無いと思う。経営も大変だろうが、こうした鄙びた所も残り続けて欲しいと勝手ながら願うところだ。
福寿荘をおもしろおかしく、かつあますことなく説明したサイトを紹介するので参考にされたし。これを見たらあなたも福寿荘に行きたくなる?!
いつもなら車に乗り込む前に肌着(下は流石にそのままだが)まで着替えてから運転するのだが、今日は僅かな距離で温泉だぁと思ってそのままでいるので少し気持ち悪い。後半の自転車で幾らか体が乾いてきているのでまぁいいか。風呂は何処にしようと考えながら結局宇都宮が近くなってきてしまった。R293へ折れて、こちらもかねてよりの懸案の「ただおみ温泉」へ立ち寄ることにした。
こじんまりとした温泉だが、空き加減と源泉掛け流しは良い。47度という丁度良い温度の源泉が湯口から注がれているがこれの下で打たせ湯が如く肩を委ねるとじんわりと疲れが取れていくのであった。
概略コースタイム
駐車地発(07:42)-取付き地点(07:47)-560mP(08:17)-788.5m三角点(09:22)-812mP(09:57)-
鳴虫山ルートとの交差箇所(10:32)-854mP(11:04)-高平山(11:25)-昼食休憩-行動再開(12:06)-
地蔵様(12:21)-ミスからリカバリ開始(12:30)-ルートへ復帰(12:35)-車道へ着地(12:48)-
自転車デポ地(13:08)-(自転車)-駐車地着(13:39)
こんばんは。またまた渋~~いところを狙われましたね! この山に登られたのも、かつて
鳴虫山から縦走なさった経験が活きているのでしょうが、なかなか思いつかないですよ。
我が家は土曜は動けず、日曜にカタクリ山散策と相成りましたが、しばらく植林を
歩いていないと、不思議と、なんだか懐かしいような気分になってくるんですよね(笑)
これも山病に1種でしょうか。コースミスなども、なんだか羨ましく拝読しました(^^)
殆どが植林帯だったので、たまに自然林の尾根になるとそれはもう「ありがたやありがたや」ってな感じでした。しかし、自分は花粉には鈍感なほうですが、症状の重い方だと今回のような場所は生死にかかわるかもしれませんね(^^;
これから花の季節~秋までは自分も普通のルートに落ち着いていく傾向ですが、今回のようなコース歩きを覚えてしまうと冬場はこの山行スタイルからなかなか足を洗えないかもしれません。
高平山、聞き慣れない山名でしたが、マニアックなルートを好む方達にとっては興味を抱くエリアでしょうか。
今回も何度かの偵察を経て、充実した山旅となった様ですね。
樹間からの日光連山がいい感じです。
市場で働く人”だけ”が入れる市場の中の隠れた食堂。そんな感じでしょうか。
華やかな鳴虫山はさながら、観光客向けの小奇麗なお店が軒を重ね、
かたや高平山界隈は、お店の場所もメニューもよく解らないような常連さん(山仕事の人)だけのお店。
そんな雰囲気はありました。
こういった渋い箇所からだと見慣れた筈の日光連山も神々しく見えるので面白いものです。
こんばんは。
高平山という名前は鳴虫山などを地図で見てた時に漠然と
見てたような記憶があるものの山自体は全く知りませんでした。
まっちゃんらしいと言うのでしょうか、こういう山歩きをされるって
ある意味、ケン坊から見ると”修験者”のような存在>笑<
今回は早目に熊鈴を取りだしたようですが、熊の出没も近い?
雪が消え熊の出ない間に登れる山は無いのかな...>笑<
修験の割にはコーヒーの茶菓子に7-11のロールケーキを持ち込んだりと、実は全然ピクニック気分です。
熊はねぇ。どうなんでしょうか。実際ここまでの植林地だと食べ物も無いので恐らく生息はして居ない筈ですが、「移動中」というのはあり得ますね。今回は大音量熊鈴+いつも腰に下げているホイッスルがお守りでした。
こんばんは。
今回のルート、まっちゃんさんのこだわりを感じました。
北からにしろ、東からにしろ、ピストンだと味気なく思います。
山頂から三方に延びる地形図の実線はなんなのでしょうか。意味不明ですね。
ただおみ温泉はその傍を車で何十回となく通っていますが、混んでいるように感じて入ったことはありませんでした。適度に空いているのですか?何となく狭いように見えますが、そうでもないのでしょうか?
距離が長い分静かな一日を過ごすことが出来ました。
地味な山頂ですから、そこへ到達するまでのプロセスを楽しむ山だと思います。
ただおみ温泉もマイナーな山と同じとお考えいただければ良いと思います。
お隣のロマンチック村の温泉が鳴虫山ですね。
確かにただおみ温泉で混雑するとちょっと辛いかも。
おはようございます^^
渋い山、なかなか家ではハイクのコースに選べませんが
ログを拝見するのは、楽しいです!
それにしても
お地蔵さま、珍しいと私も思います
けっこう山の中ですよね
ふもとの方ならば、けっこうみかけますが・・・
お顔もいい^^v
それから
福寿荘
サイトをぐぐってみました
こちらも渋い
嵐ファンならいかなきゃですね 笑
個人的には
カランが2個だけは、ちょっと苦手かも、、、
湯船から出たくても、、、カランが使用中、、、
これがダメです (^_^;)(^_^;)
高平山周辺は植林帯なので、登山者よりも山仕事の人のみがごくたまに入山するといった感じ。
そういった人跡稀な場所で渋さも一層・・・といった感じでした。
福寿荘、これは確かに激シブですね。
数回チャレンジして未だ入湯出来ず。そのうち廃業しちゃうんじゃないかと心配です。
何やら訪問前に電話しておくと対応してくれるとかくれないとか。
いずれせよ、そのうちに制覇しておきたいポイントです。