小倉山と外山、瀬尾の愛宕山


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

外山の過去の記事
    2011年01月08日  毘沙門山と外山


 かねてよりネタ帳を温めていた日光の小倉山を歩く事にした。
 取り付き地は初めから決めていたが、駐車地に頭を悩ますも、ストリートビューで精査すれば日光スケートセンターの広大な駐車場が適確ではないか。
 いざ駐車してみると自分以外は全く姿無し。スケート場はシーズンオフなのか、はたまた今日は休館日なのか。

 ガラガラの駐車場を後にして出発。ズタズタになったトレッキングシューズを更新したので今日は慣らし歩きとなる。量販店で入手したキャラバンの靴だが、今まで履いていた同じキャラバンの下位モデルとなり約半値(15,000円くらい)。やはり一日歩いた感想としては値段なりであった。もっとも、軽いのでそういった意味では疲れが少ないのだが、登山道を外したハードな歩きになるとかかとのサイドなどが少し弱い感じも否めない。履いて一日で結論が出てしまったが、まぁ暫くは贅沢を言わずにこの靴でいこう。次に買うときはやはりしっかりしたのを買うべしと反省した。

日光スケートセンター駐車場より外山 今日は新しい靴の慣らし 小倉山

 駐車場より車道を少し歩き、予定していた取り付き地点より入山した。赤ペンキがやたらと多いが、そのすべては林業の為のものである。

 右手が植林帯、左手は自然林。時折松が混じる防火帯のような穏やかな広尾根が直線的に続く。危険な感じも、また暗い感じも無い。登山者のものというより、山仕事の人の付けたものなのだろうか。良く踏まれた道は、初めて登山道以外を歩くような方にもお勧めかな。
 それでいて、上のほうで急に沢山の足音が聞こえて目を上げると、5~6頭のシカの群れが慌てて横断していく姿が見えた。今日は山仕事の人が休みなのでシカ達もきっとのんびりしていたのだろう。

此処より取り付く 穏やかな尾根を行く 何の記号なんだろう
左手に外山   山頂まで一直線

 進路が西に振られ、軽く登り返した次のピークが山頂である。眺望も無く山名板が一枚落ちていただけだが、見る事すら珍しい図根点標石の存在が目についた。しかも真新しいのだ。

静かな山頂へ到達 珍しい図根点標石 山名板はこれ一枚

 山頂より乗っ越す感じで尾根を北に降りればゲートのある林道に接合した。林道を南に少し戻ると洒落た感じの建物、小倉山温泉へ。こんな奥まった場所に隠れ家的な雰囲気で存在すると俄然興味が出てくるではないか。帰宅後ネットで調べると、明け方2時まで露店風呂の営業をしているらしく、運がよければ風呂で野生のシカに遭えるという。

 さもありなん。先ほど群れにあったばかりか、ほうぼうの地面を見れば鹿のフンだらけで足の踏み場の無いほど。害獣扱いされるシカは気の毒だが、確かに増えすぎているというのは何処の山を歩いても実感できる。

 小倉山温泉より更に南下し、右手に次の建物(廃業?休業?)がある箇所の脇を抜け、裏手の林を沢に向けて降りる。地形図には道が描かれているが今は完全に消失している模様。

尾根を降りきるとゲートのある林道へ 隠れ家的な温泉 沢に向けて林を下る

 かつて自然観察コースだったのであろう。忽然と道標のかけらが地面に落ちているのが目に入った。今や周囲を見回しても自然観察コースの片鱗はまったく見当たらない。

 改めて地形図を眺めると道は赤沢を跨いでいる。かつては橋があったのだろうが、見渡しても橋のようなものは無いので渡渉するしかなさそうだ。新品の靴を濡らしたくなかったので、いつもより慎重に渡りやすい所を探した。
 向こう岸に上がるとすぐ林道に面した。この林道をそのまま南に下って登山道に向かっても良いのだが、今回は東側から登る予定なのだ。

今はその片鱗さえ見当たらない ここで渡渉 林道を少し上がり

 予定していたポイントからだと少し上のほうでキツそうな感雰囲気がする。一旦見送り、少し林道を先に進んで突破口を品定めしていると手頃な小尾根が見つかった。斜度のキツイそこをガシガシと登っていき、やがて穏やかな太い尾根に乗り換えた。下のほうに登山道が見えたが、GPSで現在地を確認してこの尾根で間違い無しの確信。上のほうが岩などで塞がれていれば登山道へトラバース、それもかなわなければ一旦高度下げかな。

ここより取り付く キツイ斜度に倒木が邪魔をする 荒れた所もあったが

 ぐんぐんと高度を上げていき、鉄製の手すりがある登山道へ合流した。あとは一投足で山頂へ到達。

 二回目の外山だが、広い眺望で感動的な女峰山絶景が迎えてくれた。

最後は登山道に突き当たった そして山頂 相変わらずの絶景

  二週間前に登った赤薙山と丸山 痩せ尾根も雪が少なくなった

 昼食後は山頂より北へ向けて急降下する。出だし、西側にすこし振りながら降りてしまったが、山頂から見えた鞍部を目指して僅かに軌道修正する。鞍部からは穏やかな尾根道が続くが、実に道型がしっかりしているのに驚く。

雲竜渓谷を抱く壮大な景色 今年は黒岩尾根から女峰山かな 外山の山頂から急降下後は穏やかな尾根道が

 登山道でもないのにどうしたことだろう。もう少し北に行けば霧降高原方面から稲荷川に降りるハイキング道があるらしいが、どう考えてもこちら側は外山の山頂に繋ぐか下の集落に落下傘下山するしかないので、明らかに一般的ではない筈なのだが。

登山道と見違えそう 心地よい木立を縫って まさに登山道

 どこまでも進んでいきたくなる明るい尾根歩きの誘惑を振り切り、目論見の地点より下降に転ずる。この尾根の続きの楽しみはネタ帳の上位入り確定である。

 下山で予定した尾根を降りていくと、標高差30mを残した所で急に切れ落ち始めた。少し岩交じりなのと、地形図の等高線から考えられない斜度。想定外だが無理は禁物だ。危険なので撤退して降りられそうな所を探しながら戻る。途中のシカ避け柵を追ってみると、運よく柵が下降を始める箇所を見つけたので、これに沿って下っていった。

此処より尾根形を探りながら下降   下山は最終的にここより西へ

 やがて小屋のある場所に飛び出したが、人や犬の気配は無いのでまずは一安心。ここでワンコなどに見つかって大騒ぎになるのを一番心配していたが、事なきを得た。

外山が左手に大きく見える 鹿避けネット沿いを降りると 小屋のある所に降りた

 最後は別荘地のような家が並ぶ中、延々と車道歩きとなる。ここに住んでいる人はどんな人達なのだろう。生活の拠点とするにはいささか不便な気もするが、別荘なら贅沢なものだ。まぁちょっと自分には縁が無い世界だが、一度くらいはこんな所で暮らすのも悪くはないかなとちょっぴり思いながらぶらぶら歩き。

 駐車場手前の車道は大きく周り込むような感じになっている。今更歩行距離の短縮も無いが、林に突入してショートカットしようとしたら、最後は法面に阻まれて結局車道に戻る始末。急がば廻れを絵に描いたようになってしまった。林の中でまたしても2頭のシカと出会ったのはおまけだろう。

西側から見る外山 駐車場手前の法面 駐車場より再び外山


 一旦撤収し、車で少し離れた所にある三座目を目指す。

 大谷川左岸の県道247号を今市方面へと走り、丸山公園を過ぎた先にある広場に駐車した。此処もGoogleMapで下調べをしていたのだ。

 車を降りて歩き出すとすぐ『愛宕神社』の道標があり、ここを折れると民家の間にある小路に吸い込まれていく。

八坂神社手前の駐車地 民家の脇を通って行く 車一台くらいなら通れそうな幅

 恐らく伐採の重機道として作られたであろう道は手入れがされており、途中までは車でも充分往来可能、斜度がきつくなる上部でも4駆車やオフロードバイクなら楽勝であろう。

 林道終点からいよいよ登山道となるが、すぐ道標が出て左が弁天様となる。鬱蒼とした森の中に、少し褪せてきたとはいえ朱塗りの欄干が鮮やかに目に映る。

砂利林道に立派な道標が 弁天様に寄り道してみる  

 登山道へ戻って少し登ると、上のほうに数体の石神が見られた。首が欠けたものもあるが、神社の前衛を守るが如しである。

 続く鳥居をくぐり石段を上り詰めると愛宕神社がそこにあった。

山頂直下は数体の石神が守っていた 鳥居と石段を上がると 愛宕神社
     

 社殿の裏手に大きな石祠があり、基部に三匹の獣が控えているのが大変珍しかった。猪なのだろうか。今までこういった石像は見たことが無いが、ネットで調べると周囲の似たような神社でも散見されているという。

裏手に珍しい石祠がある 三匹の猪が守っている かなり珍しい

 一旦駐車地まで戻り、かたわらの”八坂神社”へも足を延ばした。録事尊は、ぱっと見磨崖仏のようだが、正確には大きな石に刻み込んだような感じである。所々彩色されているのもまた珍しい。

 突き当りにある八坂神社は、東電の所野第三発電所裏のフェンス裏手に春の日差しをたっぷりと受けてと佇んでいた。

 そういえば、外山の山頂は沢山の石仏石像が置かれていたし、今日は信仰の里山歩きだったのかもしれない。後半、くしゃみと鼻水に悩まされながら(花粉症では”無い”と自己暗示)だったのはちゃんとお参りをしないで通過したバチが当たったせいなのかな。珍しく神妙な心持で駐車地を後にした。

最後に八坂神社へ 珍しい磨崖仏 八坂神社は発電所のフェンスの裏手にあった

概略コースタイム

駐車場発(09:30)-小倉山取り付き(09:36)-小倉山(10:04)-林道へ接合(10:17)-小倉山温泉(10:24)-
赤沢の渓谷へ(10:28)-外山東側の林道へ接合(10:37)-外山取り付き(10:41)-登山道へ接合(11:03)-
外山(11:10)-昼食休憩-行動再開(11:57)-853mP(12:22)-石像(12:34)-尾根末端で撤退(12:47)-
シカ柵沿いに下降開始(12:56)-小屋(13:00)-駐車場着(13:50)

《愛宕山》

駐車地発(14:07)-林道終点(14:20)-弁天様(14:22)-愛宕神社(14:31)-駐車地着(14:52)

カシミール3Dデータ(愛宕山は含まず)

沿面距離:8.6Km
累積標高差:(±)626m
所要時間:4時間20分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

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小倉山と外山、瀬尾の愛宕山 への8件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    外山は一般の登山道から1度登った事がありますが、いくつもの鳥居を潜り辿り着いた山頂には多くの石仏群。
    信仰色の濃い里山と言う印象でした。
    小倉山から・・・なるほどこんなルートもあるんだな~と。いつもながら流石です。
    で、愛宕神社の猪の石像は珍しいですね。実際にこの目で見たくなりました。

    • まっちゃん のコメント:

      毎年正月3日には山頂の毘沙門天堂で縁日が行われ、
      福銭貸しとといって、賽銭を逆に授かり、それを元手に
      翌年には倍にして返すという面白い信仰行事があるそうです。
      信心の無い自分は「それは年利100%というやつでは?」
      なんて思っちゃいますが、明日を信じて生きていく勇気を貰う
      というのが正しい評価なのでしょうね。

      愛宕神社の猪の石像は確かに珍しいです。
      ネットで見ると、日光地区には愛宕神社がいくつかあり、そのどれもに
      猪の石像があるそうです。

  2. chikoやん のコメント:

    「外山」と聞いて、真っ先に浮かんだのが、湯元の方の「外山」でした。(^^;
    それまで意識して見たことなかったけれど(というか、あのあたりはほぼ素通り(^^;)
    なんともピラミダルな、かっこいいお姿の山ですね。
    山に神様を宿らせて信仰の対象とする。そんな雰囲気は、大好きです。
    おやおや。。。
    杉の木が並ぶエリアでくしゃみ鼻水。。。。
    今年は、20度越えの暖かい日がまだないためか、まだまだ花粉が飛び続けるんだ
    そうですよ。(T_T)
    例年なら、徐々に収束に向かう頃なんですけどね~。(^O^;

    • まっちゃん のコメント:

      市街地のはずれにたんこぶのように見える外山。
      一度意識してしまうと、とことことん目につくようになりますが、遠くから見ると
      背景の女峰山に隠れてしまって目立たない感じな地味な一座です。
      その代わりですが、山頂からの景色は女峰山方面も南のほうも遮るものの
      無い絶景です。
      将来、脚力が衰えて山に登るのが辛くなっても年に一度くらいは訪れたいなぁ
      と思ってます。

      くしゃみ鼻水ですが・・・
      帰宅してとりあえず胃の中をアルコール消毒してから寝る前に薬を飲んで
      一旦収まったものの、薬が抜けた翌日午後から職場でまたぐずぐず始まりました。
      雨が降っていたので花粉じゃないとすればただの風邪?
      やっぱり外山の山頂の神様の背中側を降りて行ったバチがあたったのかなぁ。
      お賽銭上げてちゃんと拝んで来なかったのを後悔してます(;´∀`)

  3. ケン坊 のコメント:

    こんばんは
    ケン坊も一回だけ”外山”は登りましたが栃百のために...
    やはり動機が不純ですね>笑<
    まっちゃんのような”本当の山行愛好家”からしたら恥ずかしい!
    でも山頂の裏手から見る女峰山等の日光連山の眺めは抜群で
    今でもその時のことが浮かんできます
    小倉山、愛宕山って初めて知りました まっちゃんならではの縦走ですね
    実家の方のも愛宕神社がありましたが何か関係があるのかな?

    • まっちゃん のコメント:

      外山は住宅地の裏手にあるので、登る場合は駐車地に苦慮します。
      今回はスケートセンターの駐車場利用でしたので問題は全く無かったですが、
      一度目の時はちょっと強引停めてしまった点が反省でした。

      この山は手軽に登れて眺望良好。
      これからも折をみて登ろうかなと思ってます。
      正月三日の縁日の日も登ってみたいなぁ。

      日本全国で愛宕の名が付く神社は約1000社もあるそうです。
      日光地区の愛宕神社でイノシシの石像が見られるのは、
      この地域の固有の事情なりがきっとあったのでしょうね。

  4. 野球親爺 のコメント:

    しばらく前の真夏に小倉山と外山を歩いたのですが、まっちゃんさんのような周回をすればよかったと今は思います。でも今も昔もこういう風に歩けるとは自分には思い浮かびませんけど。外山の北に延びる尾根は面白そうですね。
    愛宕山の猪たちは記憶になかったのですが、自分で撮った写真を見たらしっかり写ってました。猪とは思っていなかったかもしれませんね。注意力の差が出てしまいました。

    • まっちゃん のコメント:

      真夏に小倉山と外山、これはきつそうですね。
      暑さに弱い自分なら小倉山の山頂でギブアップかもしれません。

      愛宕山は南西の520m級Pにも関心があったのですが、
      ガッチリ藪でガードされていたのと流石に疲れてきたのでおとなしく山頂ピストン
      で下山しました。
      今回の山行で見えた小倉山の東にある804m三角点が形が良くて、是非
      登ってみたいと思いました。

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