-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※守子神社の先より西平岳登山口へ向かう箇所は一部不鮮明な所もあります。地図読みやGPS使用などをお勧めします。
釈迦ヶ岳の過去の記事
2007年06月16日 高原山最高峰 釈迦ヶ岳へ登る
2008年10月25日 紅葉間に合わず!ガスの高原山を歩く
2010年10月16日 大間々より西平岳
懸案の釈迦ヶ岳南面。
本来は西平岳登山口まで車を付けて周回の予定であったが、実は12日にバイクで偵察した折、先般の台風で林道が壊滅的な被害を受けて通行不可であることを確認した。
進入不可能な地点から西平岳登山口までは約1.8kmを残すのみなので、歩いて行っても良い距離だが肝心の駐車スペースが無い。
偵察時に一台駐車していたのを見たが、畑の作業道なので農家の方に迷惑になるのは必至。また、オフロードバイクでも自分の腕前では途中でスタックして脱出不能になりそうな荒れ具合故に、当面は(半永久的か?)このアプローチは諦めることにした。残るは自転車もアリだが、砂利道は折りたたみ自転車にはちとキツイだろう。
それでも、西平岳ルートは捨てがたい。ということで土上平牧場側の守子神社ルートより西平岳登山口に向かうことにしたのである。
守子神社ルートについては野球親爺さんが四季を通じて頻繁に歩かれているのを見て自分も一度はと思っていたが、釈迦ヶ岳南面が未経験な自分としては西平岳南東尾根とセットでと考えた。
前週に偵察済みだったので駐車地まではスムースに進む。準備を終え木の階段から登山道に足を踏み入れ、エンジンの音に振り向くと後続車が一台やってきた。案外人気ルートなのかな。
序盤は至って穏やかな道。刈り払いもしっかりしていて遊歩道レベルの整備ぶりだ。樹林の向こうにひっそり佇む守子神社を見送り西平岳登山口への分岐に差し掛かると、それまで僅かな傾斜だった筈なのに既に50分近くも歩いているのでと少々汗ばんできた。
西平岳登山口への道は初めのうちはしっかりとした明瞭な道であったが、笹が無くなった所で一旦踏み跡を失う。GPSで現在地を確認して道形に復帰出来たが、よく踏まれた道はルートから逸れて直進しているので此処だけは要注意箇所。あとは難しい所は無い。涸れ沢を二箇所渡るが、強いて言えばそのあたりで踏み跡を失うと苦戦するかもしれない。ピンクリボンの類は殆ど無いので笹が途切れた箇所で踏み跡をよく探すと良いだろう。
最後の涸れ沢を超えて高みに登るとひょっこりと林道末端へ飛び出す。この林道は釈迦ヶ岳開拓側より西平岳登山口を経て伸びている林道である。過日の台風で釈迦ヶ岳開拓側の入り口が崩壊する前は、西平岳登山口まで車で入ることが出来た。登山口から先は崖崩れが二箇所あり、四輪車では到底通行出来ない。従って目の前の区間は車が入らなくなって久しいであろう道である。
砂利道を進むとすぐに『登山口』と書かれた小さな道標を見る。下山時に解ったのだが、地形図の破線道が現役登山道として存在するようである。守子神社登山口と西平岳登山口の丁度中間にあるこの登山口の活用度合いは不明だが、ちょっと奥を窺うとこれまた整備されているような雰囲気があった。機会があったら利用してみたいと思う。
大雨の影響で路側が崩れ落ちている箇所、溝状に陥没している箇所も多く、きっちり手を入れないともはや道路としての体をなしていない。やがて橋を渡ると二箇所の崖崩れ箇所。豪雨で流されたのか、以前偵察で見た時より随分土砂がすっきりとしていた。これならバイクで通過は問題無さそうだが、今となってはこの林道の入口箇所の崩壊のほうが深刻である。
守子神社ルート登山口より西平岳登山口まで既に一時間半を要した。準備運動にしてはちょっと充分過ぎる(笑)ところだが、とりあえず今日のスタート点にやっと立つことが出来た。
山道に入るとこれまたきっちり整備された立派な登山道。だが、地味に急登。うっかりしていると思った以上に体力を奪われそうである。道が良いのでピッチを細かく切り丹念に歩けるところが救いだ。標高差100m毎にある道標を見かけると区切りのように立ち止まって小休止する。
今日は幾らか厚着をしてきたのと、冬モードでザックにはラーメンとコーヒー用の水とガスを持って来ている。僅かながらも荷が重いので、軽荷に慣れてしまった身では登りでかく汗も多い。腕まくりをして登って行くと、ふと立ち止まった時の空気の冷たさよ。冬はもうすぐそこまで来ているようだ。
標高が上がり、下山に歩く予定のお隣の尾根や釈迦ヶ岳が見えてくると辛い登りも俄然勇気づけられ足取りが軽くなる。山歩きとは面白いものだ。
麓のほうからじわじわとガスが追いかけてきた。せめて西平岳の山頂に着くまでは自分のリードでと願う。
休み休みのペースでようやく西平岳の山頂を踏み、その先の展望地へ到着。ぎりぎりガスに追いつかれずに間に合ったようだが、この後は釈迦ヶ岳山頂がガスに覆われるには時間の問題。眺望は此処だけと思い、暫し景色を堪能した。
西平岳のガレ場を越えて高度を下げると、お次は立ちはだかる中岳を越えていく。岩に始まりフィールドアスレチックばりの障害物ルートを登り、そして降りていく。
中岳山頂から釈迦ヶ岳側は以前歩いた時に比べて一層荒廃しているような気がした。注意して進めば問題は無いが、蟹のヨコバイのような所も2箇所あるので岩場に苦手意識がある人は難渋するかもしれない。1センチ径に満たない細いトラトープがこれまた頼りない木に張られているが、あてにしないほうが良いだろう。
無事、中岳のアドベンチャーゾーンを抜けると今度は釈迦ヶ岳への電車道の登り返し。ずっと上まで見えちゃうと案外疲れちゃう。スローペーススローペースと自分に言い聞かせても、ついつい息切れして立ち止まることしばし。背後の中岳に苦笑いされているようでついつい振り返ってしまう。
どうにか登り切った山頂は相変わらずの人気の山。ここまでは抜かれた後続者一人に会っただけなのに、山頂は弁当を広げている沢山の人達で賑わっていた。スペース的にはいくらでも腰を降ろす所があるのだが、何となく落ち着かない。南側は既にガスで覆われ眺望無し。写真一枚だけ撮って僅か5分で山頂を後にした。
先ほど登ってきた途中にちょっとした小広い所があって、そこに単独者が居たのを思い出した。「おじゃましてよろしいですか?」と声を掛け、自分もそちらへザックを置いた。
お互い単独同士ということもあり、山の事など語り合いながら静かな時間が過ぎていく。雲海が見たかったという彼はとうとうガスが晴れなかったのが残念のようであったが、自分は念願の西平岳尾根を登ってきた満足感で心地よい時間を過ごすことが出来た。
「お気を付けて」と声を掛けあいながら大間々に下山する彼、そして自分は前山へ伸びる尾根へと踏み出す。麓から押し寄せるガスは遂に行き場を失い中岳をも飲み込もうとしている。抗う中岳の凄みが際立って見える光景だ。
青空が見えないのは正直残念ではあるが、ガスにけぶる登山道もまた情緒が良いではないか。それにしても良く刈り払いされた登山道だ。整備をされている方々に心底頭が下がります。
唯一道標のある分岐点は、右が地形図の破線道で、朝見た林道終点に到達するルートのようである。こちらも刈り払いがキチンとされており死角のない整備状況は素晴らしいの一言だ。
南東尾根は比較的斜度が緩いので、大間々からのルートのように派手さは無くも、のんびり歩きたい人にはなかなかお勧め。
今回の釈迦ヶ岳南面は、西平岳への登りで一名、こちらの尾根下りは山ランの人に一名すれ違っただけの静かなルートである。駐車場がきっちり整備されれば入山者も増えるのではないかと思うが、静かな山を好む者としてはこのままであって欲しいと願う。
標高1200mあたりからはぽつりぽつりと紅葉も見ることが出来た。あまり期待していなかっただけにハッとするような鮮やかな色に出会うとやはり嬉しいもの。今年は山であと何回見られるだろうか。若輩者の戯れ言とお叱りを受けるかもしれないが、残りの人生で見られるのはあと何回?などとセンチメンタルな気分に浸ってしまう静かな紅葉であった。
おまけの情報
下の写真の(中)(右)は一週間前の偵察時に撮影したもの。コンデジの広角端で撮ったのでイマイチ雰囲気がうまく伝わっていないが、両崩落地とも四駆と言えども車底を擦ってスタックする可能性が大だ。
ちなみに西平岳登山口へ向かうほうはこの写真を見る限り端のほうならバイクでOKのように見えるが、途中で溝が左に寄っていたりして突っ込んで行くと戻れなくなる可能性大である。溝に万が一後輪を落とすと深い所は50センチ位あるので、一人では脱出不能になるだろう。
もう一枚の写真は八方湖奥の嶽山箒根神社からの舗装林道の途中である。水流で中が空いて陥没してしまったようだ。こちらも手前側は何とかバイクで進めそうに見えるがやはり先の方で絶望的な場所があったので進行を断念した。需要が少ない道路だけに復旧が何時になるのかは全く予想も付かない。西平岳登山口に向かう林道などは林業や治山関係者に整備して貰うのを待つのみである。
概略コースタイム
駐車地発(07:03)-守子神社(07:32)-西平岳登山口へ分岐(07:52)-林道出合(08:17)-西平岳登山口(08:35)-
野仏(09:43)-二体目の野仏(10:24)-西平岳(10:31)-中岳(11:01)-釈迦ヶ岳(11:37)-昼食休憩地(11:41)-
昼食休憩-行動再開(12:27)-1498m地点(13:04)-1435m地点(13:19)-分岐(13:21)-守子神社(14:13)-
駐車地着(14:48)
沿面距離:13.6Km
累積標高差:(±)1,330m
所要時間:7時間45分
塩谷町の西平岳登山口は随分前に偵察に行ったきり。
そうでしたか。林道が豪雨の影響で壊滅的とは残念。
それよりも以前から気になっていた守子神社ルート。
実はこの間の日曜日に八方ヶ原からの帰りに登山口の偵察に行こうと思っていたところ。
タイムリーな情報、参考になりました。
そこからの往復だけでも十分面白そうですね。
ブログ記事にも書きましたが、西平岳登山口に通じる林道は”経済効果”が極めて希薄なため、
修復の期待はほぼ無いと言って良いかもしれません。
自分もタイミングを少しばかり外した感がありましたが、お陰で守子神社ルートも歩けることが
出来たのは収穫でした。
おはようございます^^
むむむ まっちゃんらしい?ルートで最初からドキドキ
笹がとぎれて 踏み跡みつからず
亀三郎だと、、、そこで遭難可能性あり、、、です
って、、、
ガーミンがあれば なんとかなりますかね、、、
いや、、、どうだろう、、、って
いま 考えています (^_^;)(^_^;)
GPSを持っていて現在地と正しい進みべき方角、あと、エリア全体を俯瞰出来る地図
読みが加わればかなり大丈夫です。
もっとも、正しい進みべき方角に踏み跡があるかどうかは状況次第なのでこの辺は経験
とカンかもしれません。
紅葉も見られたようで、それなりに満足された歩きになったのではないでしょうか。
刈り払いはどこぞの神社の宮司さんがされているようなことを以前山頂で出会った人が話してました。
やはり釈迦ヶ岳に登るのはこちら側からが個人的には好きですね。
釈迦ヶ岳の山頂以外では二人しか出会いませんでしたか。この静寂が続くことを願います。
また歩きたくなっちゃいましたよ。途中敗退を含めて今年はもう3回こちらから歩いているのですが。
野球親爺さんのお陰で大変素晴らしいルートを知る事が出来ました。
守子神社ルートの登山口起点で、ミツモチ山北西より伸びる尚仁沢左岸尾根での周回。
積雪期の前山経由での釈迦ヶ岳登頂。
両山行が自分のネタ帳入りしました。
前山経由釈迦ヶ岳は多少雪が深くても急な所や危険箇所が無いので案外穴場かも
と思いました。
こんばんは。
釈迦ケ岳を登ったとき、中岳や西平岳方面の登山道をジィーっと見つめたことは
ありましたが、実際に歩こうとは思いもよりませんでした...>^‐^;<
登山口に興味を持って地図を見ながら読んでましたが、ため息の世界ですね。
歩いてみたい気持ちが無い訳ではないですが、単独ではその気は起きません>苦<
登山口まで1時間半、全行程7時間...まっちゃんの体力も完全ですね。
拍手です!
林道が崩壊しなければ西平岳登山口からのピストンは比較的お手軽なのですが
(自分は長年、あの等高線の詰まり具合にビビってたのは事実ですが)、
今回のルートだと登山口間の移動に少しばかりかかっちゃいました。
それにしても西平岳への登り。地味に堪えましたよ。
中岳から釈迦ヶ岳への最後の登りがホント、キツかったです。
もっとも、今回は筋肉痛が無かったので上手に歩けた(無駄な力を使わなかった)
みたいなのでちょい嬉しいです。
こんばんは
西平岳からの展望 最高にいいですね
未踏の釈迦ヶ岳 鶏頂山
すごくかっこ良く写っています!!
それはそうと
途中の中岳
レポで難所と分かりました
カニの横ばい、、、岩場苦手の亀家では 無理かも (^_^;)(^_^;)
このログのルートと関係ないですが
もみじラインから
鶏頂山っていうのも この時期かなぁ、、、って
あ
これは 栃木百名山シリーズでのピークハンターとしての
視線です 笑
カニのヨコバイはちょっと大袈裟だったかもしれませんが、水平距離数メートル、滑落しても高さ5〜6メートル位なので、慎重に行けば大丈夫だと思います。
この辺は軽率に言えないのでご自身で判断いただくしかないところです。
もみじラインから鶏頂山は、はじめ、スキー場跡地登りで全体的に楽に登ることができた印象があります。
自分が歩いた時は足を伸ばして釈迦ヶ岳まで行きましたが、どこもかしこもガスだらけでした。゚(゚´Д`゚)゚。
こんばんは
実際 自分が鶏頂山 釈迦ヶ岳に行ってみてから
この山レポを拝見すると
やっぱり違います!!
当たり前かもですが・・・
特に
アイツ(中岳)を越えていく、、、なんていう
表現のひとつ ひとつが・・・
心に入っていくものが 違うんです (^_^;)
いやはや、照れちゃいます。
ちよっとオーバーなだけかも。
高原山の北と南の違いは圧倒的な訪れる
人の数でしょう。