二岐山


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 日曜と月曜日は予報で天気が期待出来そうだったので、福島の山旅再開である。土曜日の夕方に道の駅しもごうに入り2泊3日で歩く。

 結果的には二日間とも予報を遥かに下回る天候で山頂からの青空は望めなかった。また一日目の二岐山は登りだしが快晴、山頂に向かうにつれガスが濃くなり下山がすっかり終わるとまた爽やかな秋空に。下山時刻の山頂眺望がどうなっていたは判らないが、また「降りれば晴れる」にやられちゃった感濃厚なり。

 まぁ、視界ゼロという訳でもなかったし、登山途中のプロセスも結構楽しめた山、そしてひたすら急登急下りの山、そんなイメージの二岐山であった。


二岐温泉駐車場からスタート 大型バイクで来て登山という人も居た

 今日のルートは二岐温泉駐車場からの時計回り周回コースである。バス転回所でもある駐車場はキャパ充分な広さだが、ここに停める車は少ない。二岐山に登る人の殆どは登山口近くにある駐車場へ置いてピストンのようであり、ここに停める人は周回コースか或いは大小白森山ピストンの人のみのようだ。


舗装が切れて林道入り口へ 左手は小白森山~大白森山登山口となる


樹々に覆われまさしく”林道” 歩いていても気持ちよい


脇を流れる沢(二俣川)も清冽で美しい


御鍋神社の鳥居あり

 長い林道歩き、1時間ほどで御鍋神社の鳥居を見る。手前の駐車場は砂利だが収容台数がかなり大量にあり、ほとんどの登山者はここへ停めて山頂ピストンという雰囲気だ。道理で先ほどから何台もの車が林道を歩く自分を追い越して行ったのも合点がいく。さて、御鍋神社だが、数分の寄り道だというから沢音のするほうへ下ってみる。


少し下った所に杉の古木と共に社がひっそりと建つ


古老口碑に曰く・・・ 口碑とは、思わずググってなるほど


鈴の上にお鍋が逆さに掛かっている 軽く手でポンポンはたいてみたが音はしない


御鍋神社より戻り少し進むといよいよ登山道へ 立派な道標がいざなう


登り始めから急登が続く 所々にこの立派なタイプの道標が設置されている

 最近どこの山に行っても急登でお出迎えというパターンが続くが、二岐山もまた然り。胸突き八丁ならぬ八丁坂を登っていく。流石に胸突きとまではいかないが、連続する急登に喘ぎながらの登りも気力体力充実の登山初日なら半ば愉し。

 この立派な道標は登山道随所に配置されていてランドマーク足り得る。設置された方々の二岐山愛を感じるものだ。


昨晩か今朝のあられ やはり寒い筈だ


もう少し、あと少しと祈っていたがやはり空は晴れず

 ブナ平周辺の平坦地でしばらく体力を温存した後に続くスパルタンな急登の男岳坂。朝登り始めた時は青空が拡がる上空も、登るに従いただひたすら白く太陽の光も望めない。

 下山ですれ違った人の話では「山頂はガスで全く何も見えなかった」という。あぁ、安達太良山の再来か。今日は予報は良かったのになぁ、と落胆することしきり。それでも時折ガスが切れかかると一気に光が差しこみ再びガスに閉ざされる。そんな時の経過にやきもきしながら登っていく。急登との闘いのみならず眺望期待の葛藤との闘いだ。

 そんな闘いの末、ぱっとあたりが急に開けた。山頂だ。お天道様は?うーーむ残念。でも、低く垂れこめた雲の下にある程度の視界も得られているではないか。気温の低い山頂からは凛とした那須の山並、そして甲子旭岳のピラミダルな山容が誇らしげに屹立している。


甲子旭岳は頭が雲に隠れ、那須の山は初冬の装い


大倉山~三倉山稜線もまた厳しそうな雰囲気

 実は直前まで三倉山をと考えていたのだ。大峠から三倉山へのピストンは九年前に夏場の暑さで敗退した苦い記憶があり、ようやく日差しが照り付ける稜線歩きが苦にならないこの時期をと狙っていた。チャンス到来と思いきや一足早い寒波の到来で那須の高峰に冠雪ありとの情報が入ってきた。念の為に金曜日に道の駅しもごうへ架電してみるとやはり上の方は雪が付いて消えていないとのことであった。

 雪がしっかりあるとすると、携行する装備やウェアも考えないといけない。第一ノーマルタイヤの、ただでさえ雪道性能が貧弱なシャトルで大峠までの林道が走れるのか。果たして林道の路面状況はどうなっているのか。むしろそちらのほうの心配が大きい。ということで三倉山は今年はもうパスすることとして次案の二岐山となったわけだ。


冠雪の山並が美しい 方角的には浅草岳だと思うのだが


東に拡がる羽鳥湖高原


下山方面、眼下には風車が三基並ぶ 一番奥の風車は1007m三角点峰、『岩山』のようだ


雲に押しつぶされそうな猪苗代湖 磐梯山は見えず


阿賀川流域下郷市街


昨日、会津田島から二俣山と誤認した鎌房山上岳(左)と下岳の双耳峰

 那須方面以外は雲間から陽が射しそれなりに眺望を楽しむことが出来た。残念なのは猪苗代湖の向こうにある磐梯山を始めとする山々が見られなかったことか。

 独り占めの山頂であったが、女岳から一人登山者がやってきた。なんとはなしに会話すると、やはり県外からの方らしく、先週の日曜に福島入りして一週間登り歩いているという。西吾妻山は積雪でラッセルするも夏道が見つけ出せずに途中敗退したとか。今年は紅葉も中途半端なのに雪が早くて・・・そんな会話で山頂を後にして女岳へと進む。


下山路の途中にある女岳


女岳は樹に囲われていて眺望ゼロ

 女岳へは一旦90m標高を下げてから50mの登り返し。最近の山行(今年10月から)は食事は行動食のみ携帯で山頂での休憩時はカロリー補給ゼリー一個のみとしている。シャリバテも無いし昼食後のあの腹が重い足も重い、というのから解放されて疲れが少ない。従って今日のような休憩後の登り返しもラクラク・・・でもないか(;’∀’)
 でも、やはり目的達成の山頂や思いのあるピークではお湯を沸かしてカップラーメンとしたいところ。まぁ冬場の地元里山歩きまで我慢しましょ。


地獄坂の始まり 登りに使うとかなり地獄 だが下りも結構地獄


延々とロープ付きの急坂 滑る足もと故にロープに大いに助けられる

 女岳から程なくすると地獄坂の道標あり。何を大袈裟なと降り始めるとこれが言い得て妙。ずっと、本当にずーーーっとロープが張られているが、大変大変お世話になった。湿った地面は落ち葉が堆積していて、この急勾配ではかなり高い頻度ですってんころりんが目に見えている。地図を見ていて北側は大変だなと思っていたが、実際こちらを登りに使ったらかなりハードな登りであるのは間違いない。地元の方なら二度目の二岐山は足試しに登るのも良いかもしれないが、県外のハイカーはちょっと敬遠してしまいたくなるハードさだ。


終盤の穏やかな林になり胸なでおろし人心地となる


登山道ラストは木の鳥居をくぐる


二俣明神様の境内を歩いてきたようだ


野生動物達への気配りを忘れずに


こちらの登山口にも立派な道標あり でもこっちからは登りたくないなぁ

 ポータブルトイレが設置されたこちらの登山口にも何台か停められるスペースがあるが車は一台も無し。やはり北側登山道は人気がないようだ。皆さんは大駐車場がある南側の御鍋登山口からのピストンのようだ。そういえば山頂であった方も「本当は周回するのが良いのでしょうが、今回は南からのピストンです」と言っていた。出来れば周回と、こだわってしまう自分のような者がこの道を行く。まぁそれも面白いのではと思った。


下れば晴れるの法則は今日も当たりか(~_~;) 見えているのは(たぶん)女岳


下郷市街の日帰り温泉、なんと330円(税込)

 下山後は二岐温泉の日帰り入浴を探したが、もともと件数の少ない温泉場であり、コロナの影響か廃業っぽい感じの所もちらほら。残るのはお高そうな感じの旅館しかなかったので近在の湯本温泉に行って見ると、やはり状況は同じで閑古鳥が鳴いていた。

 一旦温泉は諦めて下郷市街へと車を走らせると途中で日帰り入浴330円の看板が目に入った。とりあえず汗が流せれば御の字である。

 『弥五島温泉 郷の湯』は、建設会社の資材置き場で融雪用の地下水を掘ったら湧いたという温泉で、利益追求より公共性重視でこの価格。シャンプー石鹸は持ち込み(購入も可)はもちろんだが、車中泊者たるものそんな備えは当然万全である。

 源泉かけ流しだが、泉質は無色無臭なので温泉感は希薄。だが公衆浴場としては充分リーズナブルで納得できる内容だ。道の駅しもごうを拠点とする場合、是非立ち寄りたい入浴ポイントである。


地元系スーパーで食料調達

 温泉でさっぱりした後にコーヒー牛乳ならぬ200ccの缶コーラ(これ結構希少品)をグイっとあおって火照りを冷ましたあと、ほどない距離の地元系スーパーで今夜の食事の調達をする。昨日行った会津田島のヨークベニマルと比べると流石に品ぞろえがいま一つだったが、桧枝岐方面になどに入るとなると最後のスーパーが鬼怒川温泉のリオン・ドールなので、それに比べると泊地のそばに店があるのは大変助かるのだ。


道の駅しもごうで営業終了時間待ちしていたら夕方の光が綺麗に

 道の駅しもごうに帰りつくとまだ時間は4時少し前で、日曜日ならではの賑わいで営業時間真っ只中といった喧噪である。おでんと玉こんにゃく売りのおじさんの声も高く、出入りする車は後を絶たない。

 駐車場の隅のほうに車を停めて横になって本を読んでいると俄かに外の日差しが黄金色に輝きだした。思わずカメラを下げて車から出てぶらぶらすると美しい夕景が繰り広げられている。夕日が届かない三倉山は深い陰影を見せてはいるが、この夕焼けで明日の天気も期待できるであろうか。いや、予報では期待出来るはずなんだけどなぁ。

 やがて人も引き始め、徐々に静けさが訪れようとする道の駅。いつものように夜を迎える支度を初め、今日もまた車中泊な長い夜が始まる。今晩は寒さとの闘いになりそうだな。


三倉山は来年へ持ち越しだな


そういえば観音山の積雪期登山も宿題


夕空とワンコが絵になるね

概略コースタイム

二岐温泉駐車場発(08:22)-舗装道より林道へ(08:30)-御鍋神社(09:20)-御鍋神社登山口(09:32)-
八丁坂(09:40)-あすなろ坂(09:49)-ブナ平(10:10)-男岳坂(10:29)-男岳(10:58)-笹平(11:22)-
女岳(11:29)-地獄坂(11:40)-女岳坂(12:17)-二岐林道登山口(12:46)-アスファルト道接合(13:17)-
二岐温泉駐車場着(13:29)

カシミール3Dデータ

沿面距離:11.8Km所要時間:5時間7分

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二岐山 への2件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    車中泊も、そろそろ厳しい季節となりましたね。
    二岐山はブログを始める前に勤務先の山仲間と山開きの日に登っています。
    やはり周回コースでした。
    レポを拝見しながら懐かしく思い出しています。

    • まっちゃん のコメント:

      10月の初旬は冬シュラフで少し暑いくらいの福島でしたが、
      今回はインナーシュラフ入れて丁度良い感じ。ただ顔が冷たくて辛かったです。
      その辺の事は次の記事で詳しく書きますが、この先どの辺の温度帯まで出来るか課題ですね。

      しかし、ここのところスッキリ青空といかない山行が多くて、まぁ質を量でカバーしているような
      そんなところです。山天気予報見て鼻息荒く出発するんですが、なかなか結果が伴いません。

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