-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
雨巻山、高峯の過去の記事
2021年03月03日 県境尾根を繋ぐ
2019年01月19日 雨巻山、足尾山から境界尾根
2010年01月31日 仏頂山と高峯
2007年12月24日 2007年、歩き納めの雨巻山
県境を繋ぐシリーズ第三弾。
本当は実地偵察などしながらもう少しルートを練ってみようかとも思ったが、地形図を眺めていたら、『あ、これでいけるじゃん』。
問題は駐車地だな、ということでストリートビューで付近を何度も仮想偵察した。
駐車候補地は複数あった。現地に着いてみると、取り付きポイントである深沢の星宮神社の前にかろうじて一台のスペースを得ることが出来た。ストリートビューだと狭そうな感じだったが問題なく置ける。地元の方に特に迷惑をかけることもなかろうと考えこちらへ停めさせていただくことにした。
また、カメラは前回に続きマイクロフォーサーズミラーレスのOLYMPSU E-PL6を持った。今回も藪区間が多いことが予想されたのと、眺望は殆ど期待出来ない筈なのであえて一眼のは不要と判断。画質よりも重さ重視。藪や急坂、岩場で身軽に動けるほうが有難い。
藪が多いならば、レンズは今までの経験でベストマッチなLUMIXの20mmF1.7の登場だ。一応OLYMPUSのM.ZUIKO14-42mmもザックに忍ばせてきたが出番は無し。出だし14mmのレンズに慣れていると20mm(フルサイズ40mm換算)はは若干画角が狭く感ずるも、被写体から自分が離れれば良いという基本を再確認させられた。
設定は、先週の惨憺たる結果を鑑み今回もいろいろと変えてみた。レンズの差による影響が大きいのかどうかは解らないが、基本設定の変更と共に、自動だと過露出(オーバー)気味に自動設定されるのを意識的にアンダー側に補正することと相まって、案外NIKON的な雰囲気になることに気が付いた。まだまだ納得のいくものではないが、小型軽量なこのカメラは藪歩きや装備を軽くしたい時は捨てがたいものがある。最近絶望感があって手放そうかとも思っていたが、もう少し使い続けてみるかという気持ちにさせられた。
神社裏から取り付く。暫くは穏やかな植林帯の広尾根を進む。途中から背の低い藪が出てくるがまったく問題無し。右側の沢沿いで何やら動物の歩き去る足音が聞こえてくる。ゆっくりした足捌きから想像するに、猪であろうか。この山域はシカは皆無(糞がまったく落ちていない)なので残る大型動物といえば猪しかいない筈だ。
藪を踏む穏やかな足音からすると、突然の侵入者に気づかれぬうちに去ろうとしている雰囲気が読み取れる。自然との間合はお互い常にこうありたいものだ。
以前、猪同士の喧嘩に出会った事があるが、その鬼気迫る迫力はやはり生きていく凄まじさとエネルギーを感じるものであった。いざ正対したならば丸腰の人間など容易に太刀打ちは出来ないものだ。
また、途中で猪の立派な糞を見ることが出来た。いきなり私事で申し訳ないが、ここ一年来腸に不調を抱えている自分としては誠に羨ましい限り。キッチリ消化された後の残渣にふさわしい黒々(人間は黒くならないけど)とした良い糞であった。
シカの糞はあちこちに黒大豆を落とし廻った節操なさ。決まった同じ所にこんもりと盛り上がった、見るからに締まりが無いように感じるべちゃっとした溜糞のタヌキ。山を歩いていると色んな動物達のメッセージが伝わってくるから面白いのだ。
雨巻山主稜線の到達するまで半分くらいの所で忽然と木の無い広場が出現した。広場の隅に人工物である白い杭が打たれていたが、何か書かれていたのか判別不能。こちらの標高は約450m。実はこのあとの高峯からの下山で歩いた北尾根にも全く同じような広場あった。こちらは440m。謎が深まる。
平坦地を突っ切ると、それまでも不連続に表れていた藪が幾らか濃くなってくる。場所によっては下をくぐり抜ける局面も出てくるが、最後の急登区間を迎えるとやがて歩きやすくなった。
無事登山道に合わせて雨巻山の山頂へ到着。常連さん達の姿はまだ山頂に無い。時間を見ると星宮神社から一時間ちょいだから、雨巻山の東の横っ腹を直登するこのルートはなかなか効率が良いと言える。
ここから見える景色は東側のみ。先般歩いた仏頂山から仏ノ山峠、更に北進して鶏足山へ向かう稜線が霞の濃い景色の中に浮かんでいた。
さぁ、今日は一旦下ってまた高峯に登り返しだ。先を急ごう。
流石は登山道。何も考えずに道を進めば良い気楽さもともすれば緊張感に欠く。だがそんな心配も無用。深沢峠へ向かう道標を見た地点で県境尾根は登山道から離れ直進方面へと向かう。今回のテーマは県境尾根歩きだから、ここは追従するしかないのだ。
雨巻山から高峯に向けて歩いた人のトラックを見ると、県境を辿り切った人は見かけなかった。それだけに歩くのはよほどの物好きのみのようで、たちまち濃厚な藪に行く手を阻まれる。目指す方角を維持することが難しくなると歩きやすい所を求めて右往左往。トレースをご覧いただくと右に左にとブレまくっている様子がよくわかる。
藪からぽっかり抜け出た個所で境界杭を見つけてほっとする しかし進むにはまた激藪が待っている
そして道路向かい側 楽そうな左手から登ろうと思ったが、なるべく県境から離れたくないので右側へ直登
歩きやすい所を登っていくと県境から少し離れていることに気づく。GPSで確認すると県境は右手の谷にあるように地形図に描かれているが、流石に藪の沼のようなあそこを今更歩く気になれない。と、そこへ左からやってきた正規登山道に合流する。
程なく平沢林道に到着すると数台の車が停まっていた。小貫方面から陰気な登山道を辿ってくるルートは廃れ、こちらの立派な登山口から高峯にアクセスするのが最近のトレンドなのかもしれない。
ここから登る高峯が最短だ しかし、序盤は階段地獄が待っている
登山口からの序盤は階段の連発だが、しっかりと端に踏み跡もあってこちらを粛々と登っていく。階段というのはどうも歩幅が合わないので嫌いだ。
急登が一段落し、尾根の向きが東に変わるポイントで老夫婦が休憩中であった。本日最初に遭った人間。そのあとは数名のハイカーに会う。相変らずの人気エリアである。
高峯を通過し、赤いペンキの標石箇所より北尾根へと踏み込んでいく。序盤は道型も濃く問題は皆無のように見えたが、すぐに濃い藪に進路を奪われる。地形図の破線道は藪に深く閉ざされている為、進路角を合わせながら歩きやすい所を進んで行くと、どこからともなくまた踏み跡が出現する。向かう先は求める方角に一致する。これを追うとどうやら目標のルートに乗れたようである。
進むに従い段々とすっきりしたいつもの地味尾根の様相を呈してくる。落葉の時期ならではの日溜りハイクに思わず鼻歌が出そうだ。
下げ傾向の稜線であったが、標高差40m程を登り返したピークを覆っていた藪をくぐると再び平坦地の出現。深沢から雨巻山への登路の途中で出くわした平坦地とほぼ同じ広さ。そして敷地脇にある白い杭。ネットで調べるとヘリポート跡ではないかという情報もあったが、近くに建造物や構造物、登山道へ繋がるルートも無いのでそもそもヘリで着陸する意味があるのかどうかという疑問。いずれにせよ謎は深まるばかりである。
その痕跡など、とうの昔に消失してしまった地形図上の破線道が東へ方角を変える時、そこから溝状の道形がはっきりと現れてきた。恐らく古い時代の木材搬出路(木道)であると思われる。
古の伐採搬出路へ拾われこれを進む 下に行くに従い尾根は激藪になっていくが、木道は歩くに支障無し
林道の切通しの下に、なお木道は続く。だが、進むつれ段々と穏やかな様相になっていく。こんな里山でもやはり上の方と里近くでは雰囲気ががらりと変わってくるから面白い。何が違うかと問われても明確な回答は出来ないが、明らかに「生活の匂い」がしてくるような気がする。上部の方は自然が支配する領域、下の方は人間が管理している空気感がある、そんな感じをなんとなく受けるのである。整備された登山道ではなかなか感じることが出来ないこういう感覚こそ里山歩きの醍醐味だとつくづく思うのだ。
高峯(右側)から歩いて来た尾根が見渡せる 今日も楽しい里山歩きが出来た
概略コースタイム
駐車地(星宮神社)発(08:25)-広場(09:06)-登山道へ合流(09:25)-雨巻山(09:31)-
398.6m四等三角点:扇形(09:59)-車道接合(一回目)(10:29)-車道接合(ニ回目)ここより登山道(10:47)-
パラグライダー基地(11:19)-昼食休憩-行動再会(12:12)-登山道離脱 北尾根へ(12:19)-広場(12:55)-
伐採搬出路へ接合(13:13)-車道着地(13:37)-駐車地(星宮神社)着(13:48)
カシミール3Dデータ
沿面距離:9.6Km
所要時間:5時間23分
雨巻山から高峯へ県境を忠実に辿るとは素晴らしいです。私は登山道に逃げました。
さて、雨巻山の東、高峯の北の平坦地ですが、以前高峯の北の平坦地は歩いたことがあって、かつての窯の跡ではないかとのご指摘をいただきました。実は北の389Pも平坦な広場になっていまして、その界隈に数か所同じような人工的な平坦地があるということはなかなか興味深いです。地元の人はもしかしたらご存じなのかも知れませんね。
雨巻山から高峯への県境は最後の方だけ激藪で正面突破は叶わず。
トレースをごらんになってもわかる通りですが1m先も見えないような状態で右往左往でした。
正確に県境をなぞった訳ではないので「チャンレジはした」レベルです。
平坦地は窯の跡という説もあるのですね。
やはり里山はいろいろあって面白いです。