-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
関連山行
2016年03月20日 大佐飛山、確かに遠し
2015年05月17日 大佐飛山、遥か遠く
黒滝山には二回登っている。一度目は大佐飛山偵察の春。そして二度目は大佐飛山本番の時の通過点。
二回とも、山頂から右手に見えるすうっと延びる尾根が気になっていた。
尾根の途中にある鴫内山もいつか登ろうと思っていた山だ。
そんな思いで今回は黒滝山へ至近距離を残す剣先までの山行となった。
一週間前に鴫内山に登られた方の山レコを拝見すると、予定の駐車地はびっちりと積雪があったが、いざ到着してみれば途中の道路もコーナーに若干の凍結が残るのみとなっていた。
ただ、駐車地の先からまとまった雪が残っているのでこの場所まで訪れる人(ほぼ登山者だろう)が案外多いことが窺い知れる。
今日は先行者の車が一台あった。自分も結構早い時間に出発したほうだが、どうやら先行者は大佐飛山狙いの早や発ちなのかもしれない。百村山直下の「新登山口」が最近のデフォルトなのに比べ、此処から大佐飛山を目指すのは未だ少数派なのだろうか。後から車が上がってくる様子も無い。
駐車地から少し積雪の道路を進むとすぐ登山口の道標が見えた。一面雪に覆われているので何処が登山道であるか判らないが、適当に登っていくとすぐに雪が消えて立派な登山道が現れた。
鴫内山までは行政が整備しているらしい。なるほど、ジグザグの立派な登山道が続く。やがて鉄塔へ出るが、鉄塔の真裏に濃い踏み跡があるも、ロープで進入を遮断している。道標に従いピークを回り込むように進むとやがて尾根末端よりまた次のジグザグが鉄塔の真裏の高みへと延びていく。
先ほどの鉄塔裏の踏み跡はショートカットだったのだなと理解し、やがて真下が鉄塔である場所に到着すると、そこもまた下は倒木で行く手を遮り、上はやはりロープで直登を遮蔽している。
道を整備している側の、勝手にルートを拓いて欲しくないという意向が強く伝わってくる。少なくとも税金が投入されているわけだから、自由に歩くのは好ましくないという気持ちは自分も素直に感じるところであった。
標高1100mあたり、突き上げた尾根形付近で一気に雪が出てくる。チェーンスパイクを履いた。ここまで先行者の足跡を見つけることは出来なかったが、アイゼンの踏み跡で一名であることが判った。
今日は晴れの予報に期待してやってきたのだが、依然空は重くまた周囲を覆うガスも濃い。風はさほどでないが雪が出始めたあたりから気温はかなり低いので雪面は良く締まっていて実に歩きやすい。ただ、所々雪の無い場所があって土の上を歩く局面もあり、チェーンスパイクは大活躍である。
今の季節は夏道が全く判らないが、それでも赤テープや道標を辿って行けば迷うことは無い。また、急登区間が何か所かあるが、必ずトラロープ付きなのでこれを目標にすれば良いだろう。お陰で地図を一回も開くことなく鴫内山の山頂へ到着することが出来た。
温度計があったので覗いてみるとマイナス10度を示している。体感的にそこまでは無いと思うのだが、時折ちらつく雪が溶けるという概念を排除したが如く堆積していくのを目の当たりにする静寂な空間だ。
予想外れの天気に意気消沈するも、まずは先に進んでみよう。そしてどうしても興に乗らなければ適当なピークで引き返したっていいじゃないかという気持ちになると案外心が軽くなるものだ。
古倉山までは緩い登りなので気楽なのだが、あいにくのホワイトアウトで何も見えない。西側は何か風景が拡がっていると想像される場所でも見えるのはガスばかりである。その分、カッチリと冷え込んだ樹氷の美しさが映える。
古倉山からミニ天空回廊を進むと一瞬切れたガスの向こうに、雲間から照らす太陽の光に輝く大きな高みが姿を現した。カメラを出す間もなく消えてしまったが、そこが剣先である。
コルから高みを目指していくと何故か一部分だけ雪が変色して腐っている。ここは近づかないのに越したことはない。樹の多い右手は若干斜度もきついが、そちらへ逃げて高度を上げた。先行のアイゼン氏は剣先を巻いたのだろうか、足跡ともここでお別れとなった。
いよいよ登り詰めんとすると最後の僅かな区間は真正面からだと急で近づきがたく、そしてホントの最後は灌木藪で覆われているおまけ付き。背中に背負ったスノーシューが引っかかるので藪は嫌だなと思い、少し巻いて端の何も無い所からよじ登って山頂の肩へと到達した。
何も無い、そして何も見えない剣先には昔からそこを守ってきたような風情の白骨樹が一本。晴れていれば直線距離にして580mしかない黒滝山の姿さえも今日は全く見えない。
天気が良ければ西村山までと思っていたが、今日はここまで。来年の良く晴れたもう少し雪質が良い時期、出来れば二月後半かな。再チャレンジしましょう。
風はないのでゆっくっりと食事をして休憩をした。そして白骨樹に別れを告げ、来た道を戻る。ガスが薄くなってきて目の前の古倉山が思いのほか大きな事を改めて知る。
下山路は、徐々に明るくなってくる周囲の景色に時折足を止めながらなのでなかなか先に進まない。でも往路の分も取り戻さなきゃね。時間はまだある。
やっと青空に包まれ、眩しくてかけたサングラス。でも樹林帯に入ってしまえばチェーンスパイクでさえもさようなら。
そういえば、今朝先行していたアイゼン氏は大佐飛山からの帰り道、どのあたりを歩いているのだろう。今日のこのルート経由での大佐飛山もまた良い雰囲気であるが、距離的にはこちらの方が遠い感じもする。流石に体力的に厳しいので自ら実行しようとは思わないが、ロマンあるルートだと思うのだ。
鉄塔よりジグザグを忠実に降りて無事登山口に着いた。車は朝と同じ二台のみ。アイゼン氏を待つ車と我がパジェロミニだけであった。
追記.
実は先ほど山レコを覗いたら、先行アイゼン氏は大佐飛山から鹿又岳、日留賀岳へと日帰り周回された鉄人の方であった。いやはやそのスケールの大きさと言ったらもう声も出ない程。朝のうちはすこぶる天気が良かったようで、自分も是非来シーズンは大佐飛山とは言わずに西村山までチャレンジしたいと意を新たにした。
概略コースタイム
駐車地発(06:35)-鉄塔(07:08)-雪が多くなる(07:35)-鴫内山(09:00)-1450m(09:12)-1491mP(09:32)-
古倉山(10:18)-剣先(10:54)-昼食休憩-行動再開(11:00)-古倉山(12:06)-鴫内山(13:12)-
鉄塔(14:30)-駐車地着(14:49)
カシミール3Dデータ
沿面距離:13Km
累積標高差:(±)1,185m
所要時間:8時間14分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値
このルートは個人的には好きな所です。
所々にちょっとどうかなと思う物はありますけど。
昨年11月に剣先の先の藪に突入して引き返しましたが、今年は無雪期に黒滝山まで行きたいです。
何年かぶりに大佐飛山に行こうかと考えているのですが、鴫内山経由も思案中です。
体力気力が持つかは分かりませんが。
登山口の車はきりんこさんの車かもしれません。
野球親爺さんが昨年このルートを歩かれたのも記憶に新しく、
鴫内山自体が初めてな自分はまず積雪期で行ってきました。
無雪期、剣先の先のコルから黒滝山へが簡単そうで難しそうな気がしますが、
山頂の南南西は等高線が緩んでいるので激藪なのではと想像しますが、
皆さんどのルートなんでしょうね。早速自分も情報を集めたくなってきました。
先ほど山レコ見て車はkirinkoさんのものだと分かりました。
記事中にも追記しましたが、物凄い歩きをされる方なんですね。
まったくもって異次元の歩きです。
鴫内山経由の大佐飛山、ご報告楽しみにしております。
こんなルートがあるのですね!
今度、歩いてみたいです^^*
きりんこさんの記述も確認しました。この体力、行動力ほしいですよね。
とくちゃんならこのルートで大佐飛まで楽勝ですよ。
もっと雪の多い時期に黒滝山までいくのも面白そうですね。
自分レベルでも危険個所が無いので安心ルートです。
それにしても、きりんこさんは超の付く鉄人ですね。
もはや真似をするとかそういうレベルではないです。
近くて遠い男鹿山塊ではありますが、やはりあの天空回廊は魅力です。
今でも再訪したい1番手の山は大佐飛山。
それにしてもkirinkoさん、人間業とは思えませんね(^^;)
そういえば、リンゴさんは歩き始めの頃に大佐飛山にお仲間と
行かれたんでしたよね。
今のリンゴさんなら充分楽しんでくることができるでしょうが、山歩きに体が慣れていない頃
に大佐飛山に行かれたというのはある意味凄いです。
こんばんは
相変わらず人知れずの山並みを歩くまっちゃんって凄いな
しかも雪道で相方もなく、余程、地図やコンパスに自信が無いと
歩けない山ばかり...
ケン坊のように踏み跡があっても歩けないド素人には感嘆の連続です
以前の「黒滝山レポ」の時は、もしかしてガイドがいたら歩けるかなと
思ったりもしましたが、一年また一年と逆に遠ざかって行くような感じです
絵文字で拍手したいですが、尻切れコメになりそうなので”拍手”>笑<
トレースの無い雪道は藪山や植林地の尾根分岐が多くて見通しの悪いと所を歩いているより遥かに楽で安全です。
というのも絶対的に見通しが良いので・・・
というのは比較の話ですが。
もっとも、奥日光のスノーシューコースなんかは積雪期を考慮した案内があるので安心安全。
スノーシューはレンタル出来ますからあとはウェアさえなんとかなれば、
是非来シーズン雪の中を歩いてみませんか。一度歩いてしまうと病みつきになること間違い無しです。