-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
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2015年05月17日 大佐飛山、遥か遠く
昨年5月、黒滝山を歩いた時、遥か彼方に伸びる大佐飛山への稜線を見た。正直、黒滝山でさえ深山の趣を感じたものだが、更に奥深くへと伸びるその稜線を半ば溜息混じりに眺めていたものだ。
栃木百名山の中で無雪期に登るのが絶望的なこの山だが、チャンスは残雪期のごく僅か。今年は何処の山も雪が少なかったが、2月に大佐飛山に登った人の山レコ記録によれば、やはりかなり雪が少なくチャンスは今のうちとだという。内心焦っていた。例年なら4月に入ってからが適期なので心の準備が整っていなかったのは正直なところだ。日々足腰が弱りつつある自分でも、今年ならまだなんとかなりそうだと思いチャレンジすることにした。
巻川林道にある新登山口に着くと、まだ暗闇に包まれていると言うのに沢山の車が停まっており、ヘッドライトや投光機でそこだけが昼間のような明るさとなっていた。幸いにして一台分のスペースを見つけもぐりこむ。
最近、山に行く時には大いに頼りにしているGPV予報と予想天気図を見ていたので今日の風の強さは解っていたが、いざ長丁場に踏み出すとなると山に鳴り響く風の音にはいささか腰も引けるというもの。だが、天気が良ければ良しとしたい所だ。
先行者も風窺いの待機組もある中、一人ヘッドライト頼りで植林地の急登へ取り付いた。
稜線に出るまではとにかく暗闇の中のジグザグ急登。無我夢中で登って稜線へ出てほっとする。ダラダラな尾根が徐々にきつくなって登り切るとそこは三石山だ。未だ光無き山名板をヘッドライトの明かりで照らして写真を撮って見る。そして、徐々に白み始めた登山道に夜明けがやってきて稜線を照らし始めた。日の光のなんとありがたいことよ。
ところどころまだらだった浅い残雪も、高度を上げるにつれてしっかりとした残雪に変わっていく。適度に締まった雪だが、日陰の場所などは部分的にアイスバーン状の所もあって4本爪の軽アイゼンあたりで丁度良いのではといった感じもする。先行者の足跡は未だツボ足。自分も暫くは頑張ったが、途中で安全の為に10本爪アイゼンを装着した。今日の装備は悩んだ末にワカンを携行したが、ここまでの区間も、そして結局最後までワカンの出番は無かった。
風は確かに強いがそれでも10m/sを越える雰囲気ではなく、危険は感じない。予想天気図から見る等圧線の変化を考えても風はこれ以上でもこれ以下でも無いような気がする。そして心配な空も今の所はなんとか機嫌が良さそうだ。
あっさりと黒滝山到着と言いたいところだが、実際には先の長さ故に気が張っていたせいか、あまり感じなかっただけなのか、実は結構疲れていたのかもしれない。
さぁ、いよいよ核心部だ。まずは5月の偵察でKOされた黒滝山南西部の藪地帯。通称迷いの森とも呼ばれているこのエリアは、無雪期には実際先の見通せないジャングルのようになっているのを昨年経験している。それだけに改めて積雪期の有り難みが骨身に滲みる。そしてやけに多いリボンでこれなら迷いようも無いかもしれない。
迷いの森を抜け出し、沢を一本跨ぐとそこからいよいよ大佐飛山へと繋がる尾根道へと踏み出すことになる。森を少し登って飛び出したのが西村山への雪の展望尾根。天空の回廊がこの後待ち構えているのに軽くジャブを喰らったように感動。ザクザクと詰めて登り切った西村山。
山頂からスッキリした眺望は無いが、来た方向にはいささかガスに包まれながら凛とした山並みが見える。小佐飛山もこの方角に見える筈なのだが・・・ 一方大佐飛山方面は更にガスが濃いようで、強い風に乗って流されたガスがちぎれちぎれに飛んで行くのが見える。
二つ目のランドマーク的なピークである大長山は静かな森の中。しかし、大長山付近より辺りの天候が一変する。というより吹き抜けるガスの通り道の中に突入してしまったようだ。
そして天空回廊。うーーーん残念。晴れて青空があれば絶景だろうに。
そんなに気温は低くないのだが、風が強いが故だろうか、霧氷に包まれた木々が連なる。本来なら山頂が近くに見えるべき箇所でも、ひたすら厳冬期の趣を誇示せんとする霧氷を纏った森を抜け、とうとう大佐飛山へ到着した。
黒滝山へ至る途中から抜きつ抜かれつした方と山頂でご一緒した。山の話などで、短い時間だがモノトーンの山頂に花が咲いた。
登山口の賑わいに比べ案外山中で人に会うことがなかったが、山頂に近いところで既にピストンで下山してくる人数人に会った。一体彼らは何時頃に出発したのであろうか。
また、後続では下山時に単独者1名、二人パーティー二組と交差した。最後に会った二人パーティーは大きなザックに銀マットを携行していた。黒滝山付近で13時過ぎだから、途中で幕営して明日は瓢箪峠から鹿又岳あたりにでも行くのであろうか。元気な若者たちのその脚力と気力が羨ましかった。
大長山を過ぎると再び青空が徐々に戻ってきた。どうやら今日のこの山域は大長山が天気の分水嶺かもしれない。青空も顔をのぞかせてきた西村山手前で那須方面の眺望が広がっているであろう方角にカメラを向けた。
黒滝山へ着いてしまえば後は楽勝とすっかり思い込んでいたが、実は全行程の未だ半ば以上残っていることを思い出す。午後になって気温が上がって来た雪面は沈み込みが多くて思いの他苦戦する。黒滝山からは基本的に下っていくだけというイメージが強かっただけに、終盤のこのタイミングで僅かな登り返しがあると結構辛いものだ。
歩いても歩いても、進んでも進んでも、重い足取りにはまだまだ先が遠い。ようやく大佐飛山ルートの深遠さに気がついたのがこの下山路であった。山頂でご一緒した方に、「今年は景色が残念でしたからまた来年来ます」と言った自分だが、やはりこの遠大なルートはそう安々と歩かせて貰える所じゃない!と実感した。と、言いながらも、来年こそは・・・と青空に映える天空回廊を夢見るのだろうなとも思った。
概略コースタイム
駐車地発(04:20)-百村山稜線へ(04:46)-三石山(05:15)-さる山(06:00)-那須見台(06:20)-山藤山(06:43)-
河下山(07:18)-黒滝山(07:38)-西村山(08:05)-大長山(09:08)-1813mP(09:47)-大佐飛山(10:22)-昼食休憩-
行動再開(10:48)-大長山(11:47)-西村山(12:53)-黒滝山(13:16)-山藤山(14:02)-さる山(14:42)-
三石山(15:17)-稜線から下降開始(15:37)-駐車地着(15:58)
カシミール3Dデータ
距離 :18.2Km
所要時間:11時間38分
私は登山を始めて間もないころに大佐飛山に行きました。・・・と言うかベテランの山仲間に連れてって貰いました。
西村山~大長山、そして大佐飛山へ延々と続く白い稜線は忘れられません。
当時は往復13時間くらい要したと記憶しています。
その後全身筋肉痛で2~3日は動けなくなってしまいました。
これで難易度の高い栃百は殆ど踏破したでしょうか?
達成感も味わえて最高の山旅となりましたね。
>登山を始めて間もないころに大佐飛山
そうそう。リンゴさんはこの強烈な体験をされた方でしたね。
恐らく、当時は新登山口が拓かれていなかったと思いますので往復13時間というのは
逆に速いほうだと思います。
青空に映える天空の回廊。是非リベンジしたいとは思いますが、おいそれとは歩けない
厳しいルートという事は自分も身をもって知りました。
雪のコンデションが変われば、下手をすると時間内に戻って来ることも叶わない可能性
も出てくるあの長丁場。流石、大佐飛山です。
意識してなかった栃百ですが、後は男鹿岳と錫ヶ岳の二座、そしていつでも踏める三座を
残すのみですが、完登がいつなのかは自分でも不明です(笑)
こんばんは
最難関?の大佐飛山 制覇!! おめでとうございます^^v
行きたくても行けないハイカーからすると、、、なんとも 羨ましいです!
これから 踏破記録をじっくり拝見して 楽しみたいと思っています~~~
しかし 距離 時間 累積標高差、、、
初めて見る数字ばかりで 驚嘆、、、(;´・ω・)(;´・ω・)(;´・ω・)
行きは気合が入っていて気がついたら山頂みたいな感じでしたが、
帰りが実に長かったです。
もうゆっくり帰ればいいや、なんて頭の片隅に浮かべて写真を撮るのに立ち止まったりして
なかなか先に進まなかった大佐飛山から黒滝山。
そして、黒滝山からの下山は「この先難しい所も無いし、距離もあっという間の筈」という
思い込み。実際にはそんなに優しい下山ではないんですけどね。
歩いても歩いても現在地が先に進んでいないような錯覚で正直焦りました。
大佐飛山初体験は、自分としては比較的「上手くいった」ほうだとは思いますが、
やはり雰囲気に飲まれた感もあり、そういった意味では来シーズンに余裕の心持ちで
リベンジしたいという気持ちが今湧き上がってきています。
この連休中に歩かれるのではと思っておりましたが、実行にうつされましたね。
天空の回廊が少しガス勝ちだったのは残念でした。来年に期待ですね。
帰りの黒滝山からが苦戦されたとのことですが、心理的には黒滝山まで戻るとかなり楽になるような気がします。
栃百はあと5座ということでしょうか。男鹿岳は今のまっちゃんさんの勢いならばすぐにでも行けそうですね。
錫ヶ岳も暑くなる前の6月あたりなら快適な歩き?になると思います。
おかげさまでなんとか大佐飛山を終えることが出来ました。
これも、釈迦ヶ岳の山頂で野球親爺さんから聞いた「今年はもう登ったレコが・・・」
のお陰です。
情報に疎い自分故におっとり刀で4月に入って計画しても、いざ現地に立って黒滝山の
藪化した迷いの森で体力切れといったところが関の山だったと思います。
今回は黒滝山まで戻って気合切れしちゃったみたいです(笑)
来年はペース配分も課題です。
そして、雪の付いた鴫内山稜線を見てしまって、密かに萌え~な気持ちになってます(*^^*)
錫ヶ岳は確かに6月頃が良いかもしれませんね。
真夏は雷も怖そうだし。あとはどのルートで行くかですね。
男鹿岳は車の移動が厳しそうなので悩み中ですが、結局早起き以外に王道無しの
ようですね。
おはようございます
有言実行の”大佐飛山”踏破…素晴らしいですね~
皆さん立派なコメントを残してますが、ケン坊には
暫くの間、”凄い”という言葉だけ…
去年の黒滝山の時でさえ厳しい山と思っていたのに
その延長線上、しかも雪道を倍の距離を歩く?
驚いたのはもう一つ、駐車場に沢山の車が停まって
いたということです。 残雪の季節にしか征服が
難しいということなんでしょうが、それにしても...
もう百名山も夏までに踏破でしょうか
ケン坊は、あと3~4座は何とかクリアできそうですが
残りの10座は”あの世”で登ってみたいと>苦<
時間を見て、ゆっくりと想像しながらまっちゃんの軌跡を
辿ってみたいと思います おめでとうございました
ケン坊さんよりは幾らか若い自分ですが、
もう充分にいつ何があってもおかしくない年齢になってきてますので、
やれるうちにやっておこうという気持ちも肩を押しています。
栃木百名山って実際ホントに意識したことはなかったのですが、
そういう年齢的な側面からもやはり、区切りが欲しいのかもしれませんね。
>残りの10座は”あの世”で登ってみたいと
いえいえ、そんな事仰らずに、
お仲間同士でサポートしあって計画すれば可能な山もあると思います。
あ、でも山の登り方は十人十色ですよね。
自分も心の中の栃木百名山は充分クリアしてるなぁって思ってます。
栃木の山を歩き始めた頃のヘロヘロメタボオヤジが一日に山を20Kmも歩ける
ようになったのですから(笑)
栃百のラスボスをやっつけましたね~。
おめでとうございます。そして、お疲れ様でした。
びっくりするほど標高が高い!!って訳ではないのに、山頂付近は
霧氷がついていたんですね。
それだけ山深く、気象条件も厳しいってことでしょうか。
そこへ着くまでのトレイルが、どれだけ険しく、どれだけ長丁場なのか
想像もできませんが・・・
でも、青空のもとの天空回廊は、想像するだけでもヨダレもんです。(笑)
来シーズンのリベンジ。楽しみにしてますね。(^^)/
今年に入って意識的にロング歩きを重ねてきましたが、
やはり雪があるのと思いの外アップダウンが多くて疲れました。
体力と技術が要求される山というイメージがありましたが、
技術のほうは雪のコンディションでかなり左右される感じ、
体力のほうも雪質に大いに影響を受けますが、今回、体力面はギリギリ
及第点といった感じでした。
青空の天空回廊目指して、また目標が出来ました。
こんばんは⌒o⌒*
長丁場お疲れ様でした~!無事登頂なによりです。
今年は、どこも積雪が少なく、例年の1ヶ月半くらい早い状態でしょうか?
来年、青空と天空回廊みれるといいですね~。
ブログ試行錯誤しながらがんばってやり始めました。まだ地図を張るのができませんが。。。
どうもぉ~
コメント、感謝感激雨あられ(古っ)。
ブログ開設おめでとうございます。
URL教えて下さい。
おはようございます!
よくわかりませんが・・・できました。
http://blog.goo.ne.jp/tokutokuaya
GPSから地図を取り込めるようにしますね~。。。
これから精進しま~す⌒o⌒*
こんばんは⌒o⌒*
ブログはじめて5日目で、自分では見れるのに検索しても出てこない状態に・・・ @。@;
??? 原因解決したらお知らせいたします。はふぅ~~今は、わけわからない状態であります。。。
早速これからお邪魔します。