三重の旅 竜ヶ岳不発


-『ウェイログ』+『GoogleMap』にて作成-

 夜半から断続的に雨が車の屋根を叩く。前夜に気象情報を精査したが、早くても天気回復は午後からになりそうだ。加えて今日予定している鈴鹿セブンマウンテンの三座目、竜ヶ岳のピストンルートである登山口の石榑峠は駐車可能台数が少なく、道路は行き止まりで路駐車が多いとUターンも困難になるという。ここが少し思慮不足であった点で、正直この山域がこんなに人気で混雑するとは思っていなかった。休日となれば絶望的状況だろう。
 天気の回復を待って遅い時間から出発、あるいは駐車場が確保できそうな別ルートも検討したがこちらは登山時間が長くなる上に果たして駐車場が確保出来るかどうか、調べ始めの少ない状況からは判断できない。

 夜中にトイレで目が覚める。車外に出て見ると前の晩以上の車中泊混雑でびっしりと駐車スペースの空きが無いではないか。停まっている車の中を見るとスマホだけが光っている。トイレで会った若者はウェアから靴まで登山仕様で、「今すぐにでも登れますよ」とでも言いたげなギラギラした目つき。いやはや鈴鹿セブンマウンテン恐るべしである。三重南部の大蛇峰や姫越山などのおおらかな山を歩いてきた”おっとり刀”の自分にとってはいささかの戸惑い。次回セブンマウンテンを登る時は平日が前提条件だなと思うのだ。

 朝方になっても雨が断続的に降り続く。竜ヶ岳山頂の予報を見ると9時頃迄降雪とある。それでも若者たちは次々と出発していくようだ。悩むがまずは様子見だ。道の駅を出発して至近のマクドナルドに陣取りマックWifiでまずは情報収集だ。

 窓から見える鈴鹿山脈は重い鉛色の雲に覆われていて、とても回復が見込め無さそうだ。再び山頂の予報を確認すると降雪が9時から12時までに変わっていた。これはもう駄目だな。浅い雪の登山というのも一興だがそこまでの状況を考慮した装備は持ち合わせていない。それに車のタイヤもノーマルだ。今回の三重遠征の最終登山日、後ろ髪を引かれる思いなれど、とりやめ決定だ。

 大台ケ原も残念なことをした。鈴鹿セブンマウンテンのことを知れば残り五座も気になるし、計画段階で選外にした神島もある。それに今回の旅でもっと知りたい場所、行きたい場所、見たい風景も沢山出来た。三重再訪を固く心に誓い最終日の予定変更だ。悩んだ末に、以前から気になっていた知多半島と渥美半島をなぞるように周回し、最終日の宇都宮への距離を縮めることにした。

 はじめに車を降りたのは、車窓から抜けの良い海岸の風景が拡がる「小野浦海水浴場」。強風に晒される海岸からは伊勢湾を挟んだ三重がよく見える。鈴鹿山脈はまだ厚い雲の中。ちなみに後日調べたところやはり同時刻の竜ヶ岳は雪と強風で大荒れだったようだ。


鈴鹿山脈は厚い雲で覆われている


伊勢方面


中部国際空港へ向かう飛行機



 「豊浜 魚ひろば」で海鮮丼の昼食にした。観光客相手でお世辞にもコスパが良いとは言えない内容だが、車中泊の旅では食料調達後に長い時間走行することもあり、生ものはなかなか貴重な食事となるので美味しくいただいた。

 更に南下を続ける。食事が出来るお店もまだまだあったので僅かな後悔をしていると、やがて知多半島最南端の「羽豆岬」へ到着した。海岸沿いの遊歩道を歩き、高台にある展望台にも登り海を楽しむ。


知多半島の最先端 羽豆岬 右奥に神島が見える


水がとても綺麗



 ぐるりと三河湾をなぞるように東へ廻りこむ。渥美半島に入っても結構な距離を走ったが、ようやく今日の最終到達地、旅の終着点、夕闇が迫る「伊良湖岬灯台」に辿り着いた。強風に飛ばされる波しぶき。東の空には黄昏月が旅の終わりを見守るように白い顔を覗かせていた。


夕刻 渥美半島先端の伊良湖岬へ到達


旅の終わり 今回の旅で最短距離の神島 いつの日か訪れん


海とも今日でお別れ

概略コースタイム

撮影使用機材
・NIKON Z50
・NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR

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