三重の旅 番外の大和三山


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 本来は三重県内に留まる筈だったが、急遽予定変更となり奈良県にいる。昨晩の泊地は「道の駅 吉野路大淀iセンター」とし、概ね好条件で良い夜を過ごすことが出来た。

 どこの道の駅でも農産物の販売は盛んで、朝になると農家さんが納品に来るのはよく見られる光景だ。この道の駅は橿原市街南部にあり農産物の扱いが多いらしい。日が昇る頃には続々と軽トラが集まり、台車を引きながら出荷作業にいそしむ音に包まれる。関西弁とひとくくりに出来ないような奈良弁なのだろうか、活気溢れる言葉のやり取りが飛び交う。覚悟を決めて車から降りて見ると、なんと・・・昨晩寝ぼけまなこでトイレに通った時に歩いた広場はすっかり農産物で埋め尽くされているではないか。なかでも、あたり一帯がすっかりオレンジ色で覆われた蜜柑コーナーの品数の多さは圧巻。

 今日は基本的に観光と考えていたが、いわゆる”観光”をしたのではつまらない。考えた末に大和三山を歩く事にした。山とはいえ一番標高差のある畝傍山で120m程度。他の山はさほどではない。支度も山装備ではなく普段着にスニーカーとした。

 大和三山(やまとさんざん)とは、橿原市に位置する香具山(かぐやま)・畝傍山(うねびやま)・耳成山(みみなしやま)の三山のことを指す。日本史や古文の教科書で目にされた方も多いとは思うが、中大兄皇子が万葉集で大和三山を詠み込んでいることは有名である。

 今日はそんな大和三山を巡り、橿原や明日香の街並みを眺める。仕上げは大和三山を振り返ることが出来る甘樫丘(あまかしのおか)を散策。

 まず一か所目。一番標高差のある畝傍山から。

 駐車地を探すのが大変だった。急な予定変更だったので事前の情報収集不足。神武天皇陵の駐車場付近から地形図に道が描かれているのでそちらをうろうろするが一向に登山口は見当たらない。また、通りがかりの人に尋ねるも要領を得ない。仕方がないのでグーグルマップで検索すると正反対の方面に駐車場があることがわかりそちらへ移動。

 だが現地近くに行くと細い道が更に細くなり目的地に着いても何も無い・・・ではなくあった。やっと三台位停められそうな小さな駐車場である「畝傍山口神社駐車場」。有名な山だからもっと大きな駐車場がきっとあるはずなのだが。
 とりあえず歩き始めるもさて登山口は何処。うろうろしていると高齢の方々がジャージ姿で歩いてくる。道を尋ねることが出来た。話を聞くと近所に住むこの方達もこれから登るそうで、基本的に悪天候の日以外は登る日参登山のようである。


やっと探し出した畝傍山登山口 鳥居の脇を入る

 穏やかな登山道ではあるが、途中で道標も無く道が分かれている。中には道が崩壊しているコースもあった。道標を少し整備すれば良いのにとは思うが、里山なので勝手にコース外を歩かれる事が多いのだろう。体が温まってきた頃に山頂に到着した。


ひっそりと三角点あり


西側眺望が開ける 左が葛城山、右は金剛山 山の向こうは河内そして大阪

 山頂の東側に行くと老人が一人腰掛けて風景を眺めていた。ずっと昔からそこに座っていたのかと錯覚するような佇まいに日々の積み重ねを感じる。樹の間から見える山、耳成山と天香久山を教えて貰った。


耳成山


天香久山

 下山にかかると先ほど道を教えてくれたご老人達が登ってきた。挨拶をする。下りの道は道標があり、それに従うと登山口の神社まで穏やかな道が続いていた。

 二番目は耳成山。山の南側に公園がありそこの駐車場に停める。公園の北側から山上にある山口神社の参道が登山道である。ゆるゆると登るとすぐに山口神社に着く。ここもやはり日参登山の方が多く、山門あたりに沢山の老人たちが集まり話に花を咲かせていた。そこの脇を少し登ると山頂である。


お次は耳成山へ登る


控えめな山名板が一枚


樹間から畝傍山 角度によって見え方が全然違う


山口神社の参道を降りる

 そして最後は天香久山である。香久山・天香久山・香具山・天香具山といろいろな字があるがどれも正解なようである。印象としては大和三山の中で一番登山道の雰囲気を持つ山であった。


大和三山の最後は天香久山




山頂には國常立神社がある


石柱に小さな山名板


こちらから見える畝傍山はすっきり円錐形


手書きで描かれた山地図は結構珍しいかもしれない


登山口付近にたわわに実る柿が風情あり

 最後は仕上げの甘樫丘へ。ここが一番観光色が濃いので駐車場も大きなものが用意されていた。公園として整備されているので道はしっかりしている。散歩の人の姿も多く、春は桜も美しいという。思いがけない紅葉にしばしベンチで時を過ごした。


最後は大和三山を全て見ることが出来る甘樫丘へ


予想外の紅葉に感動






甘樫丘展望台から畝傍山 背後は二上山


耳成山


そして天香久山


畝傍山と耳成山


耳成山と天香久山


東側の丘陵地 瓦屋根の家々が点在する雰囲気が良い


伽藍が見える光景

 予定外の寄り道はここまで。史跡など多い明日香ではあるが、それらを本当に楽しむには少し前もって勉強しておいたほうがより深みが出ることだろう。何はともあれ、悠久の時を経ても変わらぬ丘に登り、古代の香りを一瞬でも楽しめたのは収穫だった。

 さぁ、明日からは予定通りの行動に戻る。三重県に戻らないといけない。今晩は四日市郊外に素泊まりの宿を予約してあるのだ。ここでポータブル電源やモバイルバッテリー類の充電、そして人間のほうもアルコール補充と布団での睡眠をとる。

撮影使用機材
・NIKON Z50
・NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR

カテゴリー: 車中泊の旅, 奈良県の山 パーマリンク

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