-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
今日はいよいよ武尊山へ登る。「道の駅 みなかみ 水紀行館」を6時半に出発。この道の駅は今年5月にも利用しているので状況は解っていただけに安心して一夜を過ごすことが出来たが、隣接する地元スーパーの総菜品揃えに若干の難があった。
武尊神社のある登山口には7時過ぎに到着した。今日のルートも泥濘ありとの情報の為スパッツを装着。厳しい山なので装備や衣類のチェックを慎重に行う。二日前に降雪しているので念の為チェーンスパイクもザックに入れた。
しばらくは砂利林道を行く。若干荒れ気味ではあるが、ある程度床下が高い車なら充分通行可能だろう。四駆車なら余裕だ。自分の車(ホンダシャトル)は低床なのであちこち擦りそうでやめておいたほうが無難なレベル。いずれにせよ道幅は狭く、すれ違いは非常に困難なので車で進むなら完全に自己責任となろう。
周回の分岐点 ここより登山道となる 山頂まで3.7kmとある
次の写真ではいきなり一本目の鎖場となるが、ここまで来る途中も急登でなかなか大変であった。特に手小屋沢避難小屋がある尾根に乗り上げる直前の急登に体力を搾り取られる。後ろから登ってくる若者二人組に抜かされた。よくぞあんなペースでこの急登を登れるもの。若い体力が羨ましい。このあとも男女ペアに事もなげに抜かれた。この山に登る人の体力アベレージは思いのほか高いのだ。また、徐々に泥濘箇所も増えて歩くのに気を使うようになる。それもまた疲労に拍車をかける。だが、後半の下りの地獄に比べればまだまだマシなほうだった。
鎖場は若干濡れているので充分に注意が必要だが、ホールドはふんだんにあるので慎重に通過すれば問題無い。場所によっては鎖にこだわらないほうが安全な箇所もあるので冷静にコースを見てから手足を出せばよい。我ら宇都宮市民ホームの古賀志山~赤岩山稜線の岩場を歩いているとさほど難易度は高くないと感じた。
五番目の鎖場を登りきるとそこが山頂西尾根の肩。山頂がやっと見えた。ビクトリーロードだがまだ山頂まで結構ある。だが見えている安心感はある。
緩い登りの後に最後の急登。ここまでの登りに体力をかなり奪われているので牛歩。だがしかし確実に近づく山頂。最近は安易に山頂に立つことが多かったが、久しぶりに山頂を待ち焦がれる辛抱の登山である。
所々に雲がかかっていて完全にすっきりした眺望とはいかなかったが、それでも胸のすく360度の景色が拡がる。谷川連峰はその姿をあらわとし、至仏山や尾瀬方面もよく見通せる。浅間山は山体上半分が雲に覆われちて少し残念。
なんと言っても圧巻なのが武尊山から東へ南へ延びる稜線上にある中の岳、家ノ串山、そして剣ヶ峰。南西に見える稜線はこれから進むべきルートでその先には鋭利に空を衝く剣ヶ峰山。荒々しい光景が拡がる。
ちなみに剣ヶ峰2083mPは通称川場剣ヶ峰、南西にあるのは剣ヶ峰”山”というように山の文字が一つ付くのが紛らわしいが、外観は川場剣ヶ峰が台形状であるところが違いだ。
剣ヶ峰山までの稜線は上から見たほどハードでは無かったが、出だしの急な下り石畳に滑らないように気を使った。やはり登りにかかると山頂までの疲れが重くのしかかる。駐車場で隣に停めた車の方と武尊山まで前後し、山頂でも会話したのだが、その方は南側のルートは経験済で川場スキー場から登る場合は剣ヶ峰山を越えてくるのでルートの様子に明るい。話によると剣ヶ峰山も簡単に登れてしまえそうに聞こえた。
分岐から山頂まで僅か100m、標高差50m。だが疲れた足に地味にキツイ。先行者一名の彼も牛歩状態。お先にどうぞと言われたが自分もペースを上げられない。二度目のタイミングでやっと追い越したが、ピークまで都合三度は立ち止まり肩で息をしただろう。
正直、直前まで尻込みで剣ヶ峰山はパスしようかと思っていたが、いざピークを踏むとやはり達成感がある。諦めないでよかった。振り返ると先ほど見た逆の風景の先に大きな武尊山が見えた。
ルートの前半は急登あり鎖場ありでそれなりに大変だったが、実は最大の難所は剣ヶ峰山から先の下りの区間であった。泥で滑りやすい急斜面。所々深くえぐれた箇所もあり小柄の人はかなり苦労するだろう。身長173cmの自分もなかなか大変だ。足を置く場所を慎重に選択する連続。それでも時折ヒヤリハット。滑落とかそういう感じでは無いが泥だらけになるのは目に見えているし小さな怪我は充分あり得る。流石にカメラはザックにしまい両手をフルに使って降りていく。
何度か沢を渡りながらようやく標高が1600mに近くなると斜面もゆるみ穏やかな登山道になってきた。一番大きな沢でザックを降ろして顔を洗った。冷たい水が疲れた体を引き締めるようだ。飲めるものなら喉を鳴らして飲みたいと思ったがそれは流石にやめた。1600mから1500mあたりは紅葉が大変美しく、泥濘の急降下に折れかけた心を癒してくれたのは言うまでもない。
トイレがあるので車中泊したいところだが、車中泊お断りの文言あり
今回は比較的ポピュラーな武尊神社起点ルートであったが、他にも南側からアクセスする主要三ルートがある。いずれも距離が長く標高差は同じ位あるハードなコースだ。今回のルート以外は単純ピストンとなるが、懐の深い武尊山。機会があったら体力と相談してチャレンジしたいと思うのだ。
概略コースタイム
駐車場発(07:23)-周回分岐点(08:10)-手小屋沢避難小屋上(09:11)-一本目鎖場(10:03)-武尊山(10:57)-
昼食休憩-行動再開(11:23)-剣ヶ峰山分岐(12:18)-剣ヶ峰山(12:25)-周回分岐点(14:43)-駐車場着(15:25)
カシミール3Dデータ
沿面距離:12.7Km
所要時間:8時間2分
撮影使用機材
・NIKON Z50
・NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
武尊山お疲れさまでした。
剣ヶ峰山からの下りが核心部位でしたか。段差、泥濘は神経を使いますね。
分岐からの剣ヶ峰山は急なので逡巡しそうですが、登らなかったら後悔したでしょう。
嘗て剣ヶ峰山側から武尊山に登った時は武尊山山頂直下の急斜面をやはり牛歩で進んだ思い出がよみがえりました。
泥濘後のご褒美はだいぶ良かったようで、赤く染まった登山道が素晴らしいですね。
最近登る山はことごとく泥濘地獄でしたが、今回はそれに急登急降下急段差が加わりなかなかの消耗でした。
登りは当然辛かったですが、下りは精神的にやられました。
ご指摘の通り最後の紅葉はまさにご褒美でした。
剣ヶ峰~武尊山間はどちらも最後の登り返しが辛い部分ですね。
それまでの登りが辛いだけに余計感じます。
武尊神社からの周回コースのレポが多い様ですが、最近はこのコースが最もポピュラーなのでしょうか?
武尊山山頂から剣ヶ峰山への稜線は絶景ですね。
自分は随分前の夏休みに武尊牧場からのピストンで歩いた事があります。
鎖場は2~3カ所あったかな?ピストンなのでちょっと単調でした。
再訪があるとしたら残雪期の武尊山に憧れています。
どのコースも一様に標高差距離とも長いのがこの山の特徴ですね。
自分は単純に周回したいという気持ちで選択しましたが、なかなかハードなルートでした。
残雪期は雄大な景色でしょうね。憧れますが自分の脚力で登れるかどうか自信無しです。