-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
関連山行
2012年08月31日 鏡ヶ沼から須立山と三本槍岳
2012年07月27日 裏那須の三倉山目指すも敗退
11年前、梅雨明けの暑い盛りに同じコースを計画した。目指すは三倉山だが、夏場のロングコース、しかも日差しを遮るものが無い稜線歩きに備えて氷の入った飲みのや蓄冷材も添えたそうめんや冷やしトマトなど。体力を考慮しなかった無謀な過負荷に喘ぐ山行となった。冷水の過剰摂取も、単に体温を下げようとするような飲み方をしてしまい、これがまた疲労を余計に蓄積させた。要は経験不足、思慮不足だったのだ。そしてこの時の思い出が夏山へのトラウマとなったのは言うまでも無い。
そこで今回はリベンジを企てた。水はいつもの山行なら600mlのペット一本と350mlの予備一本。緊急時用に500ml一本だが、今回は予備の350mlを外して代わりに600ml一本をプラス。食料はカロリー補給ゼリー一つとコッペパン、不足時の為にミニドーナッツを加え軽量化を図った。事前の山岳予報だと気温が13度から15度、終日5m位の北風が吹いているとのことであり、これならば多少日差しが強くても大丈夫だろうと踏んだ。
実際に一日歩いたところ、大倉山までは景色の良さも加わって精神的にも絶好調。三倉山に近くなると若干風が止まるようになり多少暑さが堪えるようになる。復路の流石山への登り返しあたりはいよいよ「風よ吹け」と念じ、”下山したらコーラ(Zero)ゴクゴク”が頭の中で渦巻いていた。(笑)
苦手な夏場稜線歩きではあったが、給水タイミングの工夫などもあり幾らか克服に近づけたかもしれないという気持ちになった。
早朝の道の駅しもごうでトイレを済ませる。車中泊で何度か使っているだけに朝の雰囲気が懐かしい。大型が二台停まって一台はアイドリング中だ。丁度タオルを下げた車中泊者がトイレに顔を洗いにきた。
大峠へ向かう林道は観音沼森林公園を過ぎると一気に心許なくなってくる。以前乗っていたパジェロミニならなんてことは無いのだが、車高の低いシャトルでは慎重に走る必要がある。
途中、山肌がブルーシートで覆われて養生されていた箇所があり、ここが今日の行動で一番懸念された。昨日の雨で山全体が水を含んでいる。もし帰りに崖崩れにでもなると閉ざされてしまう可能性が高いからだ。幸いにして帰りにも無事通過出来たが、深山に分け入る林道はこういったリスクが常に付きまとうから注意が必要だ。
駐車可能な最深部は鎧沢橋の手前に三か所ありロープで駐車位置を明示されている。7時前だが一番奥とその手前は満車で三番目に停めた。(下山した時には路駐の車も多数あり)
11年前の7月は林道終点手前に駐車し、同8月の記録を見ると終点まで乗り込む事が出来たとある。もっとも途中の路面状況を見るとシャトルなどではとても入れないような道だ。
今回は鎧沢手前からなので幾分林道歩きが長くなった。決して早朝とは言えないが鬱蒼とした森を進むのはやはり心細い。いつも付けている熊鈴では無く、深山の藪山歩き(最近はそういった山行も絶えて久しい)用に使っていた音量の大きな熊鈴を派手に鳴らしながら進む。
駐車地から樹林帯歩きで標高差200m程を稼ぐとそこが大峠。一瞬にしてほの暗い樹林から解き放たれ、燦燦たる那須の奥座敷に上がり込んだような風景が拡がった。自分の熊鈴の大音量に振り向く休憩中の登山者が二名。ここからは稜線歩きだからもう鈴は要らない。外してポケットにしまった。さぁ、それでは稜線を楽しもうではないか。日差しは強いが気温と風が絶妙の塩梅。今日はいけるぞ。
写真で見るとまったく大したことのないように見えるが登ると結構大変。流石山の稜線肩に乗るまで標高差約300mは水平距離700m足らずで一気に登らないといけない。だが、稜線に乗りさえすればあとの行程は緩やかなアップダウンの連続なので楽になる。もっとも帰りは暑さが加わってそううまくはいかなかったが。
おぉ、三倉山が見えた 山頂に着く頃には完全にガスが無くなってくれば良いが
キスゲ小沼には蛙の卵が沢山 近くで見ると少しグロテスクだった
旭岳は東から見ると峻険だが西側からは案外穏やかな印象を受ける
そうそう、この三倉山のイキった姿を見て断念した思い出が・・・
三倉山の本峰(二ノ倉)のいきり立った姿。来るなら来い!的な姿に打ちのめされた過去の自分に決別すべく(超大袈裟)リベンジの今回は「今行くから待ってろヨ」なノリで歩いて行ける。
一ノ倉(1854m三角点峰)から西に延びる県境稜線もまた壮大で素晴らしい。見る分にではある。ここを突っ込んでいくとやがて男鹿岳北の大川林道に出るのは間違い無いが、途中で幕営も必要、また車のデポが無ければどうしようもない。自分には到底無理だがそそられる稜線ではある。
三角点峰から二ノ倉(本峰)へのコルへ向かう部分は腰高の笹 道形はしっかりしている
ラスボスがいきり立つ脇で、しんちゃんのケツがおちゃらけ・・・
眼下に出っ張っているのが一ノ倉 あと少し頑張って訪問すべきだった
ラスボスに取り付いている時に二名の下山者がいた。一人は車を隣に停めた方で自分より暫く後に出発した割には林道であっという間に追い抜いていった方、凄い健脚だ。
コルから70mの標高差を登りきった山頂には二名の登山者が休憩中であった。自分もザックを降ろし二人の会話に耳を立てる。両名ともかなり登山経験が豊富なようでとても自分などが口を挟めるようなレベルではなさそうだ。
山頂からの景色は360度の贅沢な眺め。今となって惜しまれるのは眼下の一ノ倉まで足を延ばさなかったことか。地形図を見るに標高を30m下げて10m登り返せば良いのだが実際に見るともう少しありそうな気もする。
これは帰宅してから調べて知ったことだが、三倉山の北側を通り唐沢山から音金集落に行くコースがあるが、大峠に車を置いて自転車で音金集落まで進んだのちにに半時計廻り周回をしている人がいる。未踏の一ノ倉を片付ける意味合いからも今年の秋に涼しくなったら計画する予定だ。
※7月に山開きが行われる時は音金からバスが出て大峠側迄送ってくれるという。だがコロナ禍で山開きはしばらく行われていない模様。
山頂のお二人もそろそろ下山かという雰囲気ではあったが、最後に登頂した自分がトップバッターで山頂を後にした。下山の途中では何人もの登山者とスライド。皆、この長丁場を延々と歩いてきた同志だな。
下山開始 加藤谷川源流に落ち込む谷筋が迫力あり 道もこの辺は滑落に注意が必要
流石山までの戻り稜線 いささかくたびれた脚と無風、照り付ける日差しで案外疲れる
先ほど山頂に居た人の話だと飯豊山だという(上のほうの雲間に浮かぶ山塊)
三倉山も遠くなった 右手の土倉山は稜線伝いに歩けそうだが無雪期の記録が見当たらない
最後の下降は膝に厳しかったがなんとか大峠まで降りてきた やれやれだ
大峠は日差しサンサンでとても休めたものじゃない。少し下って樹林帯の木陰でようやくザックを降ろして休憩とした。一本目のペットボトルを開けて二本目と替える。無理すれば一本で済んだかもしれないが脱水症にでもなると単独者はダメージが大きいので務めてペースを保ちながら飲んだからこんなものだ。三倉山の山頂では直射日光ですっかり食欲も無く一口齧っただけのパンを取り出した。しかしこう暑くてはやはり喉を通らない。そもそもこういうシチュエーションでパンというのは不適なのだと改めて思い知らされた。カロリー補給はゼリーで済ませているので腹は空いているが構わず下山してしまおう。
驚いた事にこの時間(13時前)なのにまだ登ってくる人が居たが、もし三斗小屋までなら納得だ。そういえば三斗小屋も一度は泊まってみたいものだな。どうにもやりたいことだらけで体力と時間とお金がそれらを待ってくれているかが一番の心配事だ。
下山途中で三倉山の山頂を共に過ごした一名の方と抜かれつ抜きつ。もう一名の方も自分の後から姿を見せていた。結局三人がほぼ同時にゴールという感じになったがいやはや暑い中皆さんもそして自分もお疲れ様である。真夏にこのルートどう?と問われても固くご辞退させていただきたいと思うのであった。次に来るのは紅葉が深まる秋だろう。
概略コースタイム
駐車地発(06:52)-林道終点(07:21)-大峠(07:51)-流石山(08:50)-大倉山(09:47)-
三倉山(三ノ倉、三角点)(10:05)-三倉山(ニノ倉、本峰)(10:24)-休憩-行動開始(10:38)-大倉山(11:09)-
流石山(12:01)-大峠(12:45)-駐車地着(13:45)
カシミール3Dデータ
沿面距離:15.4Km
累積標高差:(±)1,140m
所要時間:6時間53分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル5mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値
撮影使用機材
・NIKON D5600
・AF-P DX NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G VR
・AF-P DX NIKKOR 10-20mm 1:4.5-5.6G VR
まっちゃんさん 三倉山お疲れさまでした。
私は山頂の石祠と標柱が建てられた15年前の山開きの日の翌日に登りました。
三倉山本峰まで行くと登り甲斐がありますよね。
それ以前には友人たちと山開きの日に音金から登りましたが、こちらも唐沢山までで結構疲れました。帰りは大峠経由で林道終点でバスの送迎があって楽しましたが。
裏那須の稜線は天気に恵まれた記憶があまりないのですが、飯豊連峰まで見えていい天気だったようですね。
最近はいい間隔で山歩きされていますね。暑い夏ももっと標高の高い所に行かれれば暑さに弱いとおっしゃるまっちゃんさんでもどこでも歩くことができるのではないでしょうか。
昨日は本当に良い天気でした。
それだけに内心バテが心配でしたが何とか歩き通す事ができ、満足のいく山行になりました。
まずは今年の盛夏に八ヶ岳あたりをと思っているのですが、出来るだけ短いコースを思案中です。