角田山

-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 昨晩の泊地「道の駅 SORAIRO国上」での一夜はなかなか快適であった。自分が車中泊をする場合にチェックするのは「トイレに近い場所に駐車可能か」「地面はフラットか」「大型の駐車スペースから離れているか」の三点を重視している。
 譲れるのはトイレからの距離だけだがこの道の駅は全てにおいて満点。日曜の夜という事もあり場所取りに苦労する事も無かった。離れた所に停めたトラックが朝方アイドリングしていたが殆ど気にならない音量で大変ぐっすりと眠る事が出来た。早朝の車内最低気温が3.5℃と結構下がり、顔周りが冷たい。ニット帽を持ってこなかったのが悔やまれたが顔をシュラフの中に潜り込ませてなんとか凌ぐことが出来た。体は万全の防寒体制なので自宅の布団並みの暖かさで快適そのもの。久々の車中泊にしては上々の首尾だ。
 もう一つ道の駅選定のポイントを上げるとすれば併設の入浴施設の有無だ。その点ここは「てまりの湯」が敷地内にあるのでこれも合格となる。個人的評価で僭越だが、今まで泊まり歩いてきた道の駅を五段階で評価するなら星四つはあげたい。

 また、今回から導入した湯沸かしポットが思いのほか良い感じでポータブルバッテリーとの相性も抜群。締め切った車内で火を使うのは大変危険なので低消費電力の電気ポットは大変助かる。このアイテムについては後日別途記事で紹介させていただくつもりだ。これまで使っていた「ワクヨさん」は残念ながらリタイアとなった。
※ワクヨさんの基本性能の問題では無く自分の所有するポータブル電源との相性の問題がリタイアの要因


道の駅国上の朝 裏山の国上山も機会があれば登ってみたい

 シェードを外して荷物を片付けて走行モードへ。気温が低い時期のこの作業は結構辛いものだが今日の天気はどうだ。ちょっと肌寒いがこんな快晴なら自ずと心が弾むもの。

 道の駅裏手にある国上山にもハイキングコースがある。更に広域循環バス「やひこ号」を使えばここを拠点として弥彦山登山口に回ることが可能で、弥彦山から国上山への縦走も計画出来る。朝はバス待ちのハイカーの姿が散見、夕方には縦走を終えたであろう人が車の元へ戻る姿も見られた。今回は足早に通り過ぎたこのエリアだが、こんな縦走プランも織り交ぜながらじっくりと再訪したいものである。


R402を北上 間瀬下山海水浴場より見た北アルプス方面

 角田浜駐車場で準備を済ませ本日の時計回りルート(桜尾根コース)へと入る。道標が無かったのが気になったが、事前に地図にインプットしてあるポイントからして間違いない。太い道形が上へと延びている。多数の犬連れでの入山は遠慮されたしの看板だけがあった。

 序盤は灌木の自然林で日がよく差し込み明るい雰囲気。中盤は左右植林帯でやや暗め、だが途中から左手に浜の風景がちらちら見えるようになるとようやく海沿いの山を登っているという実感に足取りが軽くなっていく。


角田浜から登山開始 一旦国道を跨ぎ少し登った地点から


高度を上げると海が広がる光景に思わず足が止まる

 基本的にあまり眺望の無いルートであるが道はしっかりしているし通過に気を遣う場所も無い。途中からカタクリやスミレが見られたが多少旬が過ぎてしまった感もあった。
 登り詰めて灯台コースと合わせるとあっという間に山頂へ到達。ここは何もないのでお楽しみはこの先の向陽台となる。向陽台の存在を知らずに下山しかけた人がい、て自分や他のハイカーが奥へ進むのを見て引き返してきた。花も盛りを終えてしまったこの時期、山頂で戻ってしまったら残念度はかなりあるだろう。


山頂は眺望も無いが周辺は広場となっている


観音堂がある 向陽台からは絶景が得られる


越後平野が一望


佐潟と日本海 遠く新潟市街地


新潟市街地アップ


眼下の上堰潟公園 綺麗な形をしている また、升目のような田に水が引かれたらそれも美しいだろう


遠く見える山は八海山だと思うが自信無し


向陽台の見事な桜 丁度見頃だ

 向陽台の眺望を充分に楽しんだら、さぁ下山。先ほど何もない山頂と書いたが、山頂広場にも桜が美しく咲いていた。路傍の花は終わっていたがそれでも良い時期に山を歩いていると実感するのであった。

 桜尾根コースとの分岐点を見たところ、桜尾根への道標が無かった。角田浜側にも無かったことを考えると桜尾根は本来歩いて欲しくないルートなのであろうか。他の何本かあるルートに向けては道標が完備されているので少し不思議に思えた。桜尾根は植林帯を通過しているので私有地問題があるのかもしれない。

 さてさて、いよいよ下山のプロセスにかかる。実は角田山で一番楽しみにしていたのがこの灯台コースの下り、灯台に向けて海抜ゼロメートルへ向けての下降である。


下山は灯台コースを行く 本日のハイライト


沖に浮かぶ佐渡島の高峰、金北山も冠雪あり


この景色が見たかったのだ ラクダの背に向かって続く稜線が実に良い


右手は登路の桜尾根 かつて海底にあったであろう特徴的な岩が露出する奇異な光景

 角田岬から南にR402(越後七浦シーサイドライン)を下ると幾つかの奇岩巡りになる。駐車可能なポイントが殆ど無いため車窓から楽しむことになるが、ハンドルを握っていると消化不良になってしまう。ここもまたじっくりと歩いて巡りたいポイントとなった。

 角田山周辺のこの変わった地質について調べると研究論文の抄録が見つかった。要は「新生代中新世寺泊期の水中火山岩類が分布している」ということである。登ってきた桜尾根側は至って穏やかな土の道であったが、灯台コースはこの特徴的な岩が露出していて大変歩きにくい。登りでこちらを使うと思いのほか体力を搾り取られるようで、上がってくる人たちは一様に苦しい表情を隠せない。自分はといえば、山サイトの写真に頻出している爽快な灯台コースを是非下りに使いたいという気持ちもあったが、登りはなるべく楽をしたいという日和見もあった。正解だったようである。(次回は灯台コースで登りますとも)


海面を跨ぐアーチ状の岩が目を引く


馬の背状態だが道幅は広く鎖があるので危険は無い


あそこめがけて降りていくのだ


大分近づいた だがもう少し


朝は数台だったが平日といえども人気の証


やっと灯台へ 碧い海をバックに白亜という言葉が良く似合う


灯台より桜尾根 桜は無かったような気がする


さぁ、もうすぐ海抜ゼロメートルへ


ゴール!

 下りは景色を楽しみながら特に時間をかけてゆっくりであったが、早い時間の下山終了は想定内。昼食は、はなから外食と決めていた。海沿いのお店をGoogleで検索して向かう。その道すがら、あちこちの冠雪の高峰に感動することしばし。哀しいかな山の名前が判らない。山中で綺麗な花を見てもその名前が判らないのに通じるものがあるかな。まぁ実際にそこを歩くようになれば身をもって覚える事も出来るだろうが、果たして残り少ない(体力気力的に)人生でどこまで行けるかは未知数である。


高峰が多くても名前は判らない とにかく美しい姿に感動


和風レストラン 庄屋」見た目よりはリーズナブルなランチであった


平日はガラガラのようだ 一人ぼっちの部屋に通されてゆっくり食事


六日町に向かって車を走らせると八海山の雄姿が自然と視界に入るようになる

 道の駅に入る前に汗を流したかったので湯沢温泉へ立ち寄る。共同浴場の「駒子の湯」をチョイスした。良い感じの温泉であったが、リサーチ不足で露天風呂が無かったのがちょっと残念。温泉といえば露天は欠かせない我儘オヤジである。
 名前の由来は川端康成の小説「雪国」に登場する駒子ということだ。館内には「雪国」展示コーナーもありそこで休憩することが出来る。


湯沢温泉まで足を延ばして共同浴場「駒子の湯」で汗を流す

 道の駅に戻る途中で地元系スーパーで今夜の食事を調達する。車中泊の時は必ず地元ブランドのスーパーを訪れて県民ショーでやっているような地元でしか見られないような食材を探しているが、何せすぐ食べられて少量となると見つけるのが難しいのだ。今回も特に目新しいものは無かったが、地元メーカーの比較的大きな菓子パンを明朝の朝食にと選んだのみであった。

 今晩の宿は「道の駅 南魚沼」。R17沿いにあるので車の通過音が心配だったが、国道から100m程奥まっているので車内に入りこむとさほどではなかった。またこちらの道の駅もトイレ至近で平坦な、しかも大型スペースから離れた場所が取り放題。まさに三拍子そろった好条件だ。星四つにしたいところだが入浴施設が併設されていないので3.5かな(笑)

 明け方の車内最低気温が6.7度で昨晩よりは暖かい。昼間の歩き疲れも手伝って思い切り熟睡することが出来た。車中泊では熟睡出来たりできなかったり、その日の外的要因と自分自身の体調もあってなかなか快眠を得るのは難しい。だが回数を重ねて色々と工夫をすることにより大分楽になってきたように思うのだ。


道の駅南魚沼にて 夕日を受けてほんのりと染まる桜(桜じゃないかも?)

概略コースタイム

角田浜駐車場発(07:40)-時計回り登山口(07:45)-山頂(09:16)-向陽台(09:25)-角田浜駐車場着(11:21)

使用機材

・NIKON D5600
・AF-P DX NIKKOR 18-55mm 1:3.5-5.6G VR
・AF-S DX NIKKOR 18-140mm 1:3.5-5.6G ED VR
・iPhone 13 Pro Max

カテゴリー: 車中泊の旅, 新潟県の山 パーマリンク

角田山 への2件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    桜尾根は一部私有地が含まれるので非公式ルートとなっている様です。
    ただ、オオミスミソウ(雪割草)が多く咲くので特に春先は人気のコースとなっています。
    新たに導入した湯沸かしポット、気になります。

    • まっちゃん のコメント:

      桜尾根はやはり私有地含みだったのですね。納得です。
      今回はカタクリが少ししか見られませんでしたがピーク時には人気の尾根になるのでしょうね。

      湯沸かしポット記事はもう少しお待ちください。

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