新潟へ

 最後の車中泊は2021年の11月下旬の伊豆。あれから一年半近く経った。道具一式もすっかりしまい込まれていたが、ようやく再び日の目を見る日がやってきた。

 今回の旅の候補地はいろいろと悩むも、かねてより歩きたかった新潟の低山巡りである。春の天気は変わりやすい。そんななか、久々の車中泊でリハビリも兼ねるので二泊三日のショートで予定を組んだ。

 まずは初日の候補地である弥彦山へと車を走らせる。今までの車中泊の旅はアクセスに高速を使わずひたすら下道。それも味だろう。だが今回は日程の都合上厳しかったので高速代を自分に奢ることにした。

 昨晩の低気圧通過がもたらした季節外れの雪。本州の屋台骨である山脈の手前と向こうでは天気が異なっていた。

 一番心配なのは新潟への県境超えだ。関越道も万が一スタッドレス規制がかかっているとR17の山越えになるが、そちらも積雪となれば行程そのものがアウトだ。夜のうちに関越道の通行規制が出ていたので朝まで心配であったが出発時間になると解除された。よし、出発だ。

 関越トンネル手前あたりから周囲の山肌に昨晩のものと思しきが残雪が随所に見られるようになった。規制は解除されているので大丈夫だとは思うがスピードを落としながら進んでいく。純白を纏った谷側岳は妖しくも神々しく輝いていた。

 関越トンネルを抜けて上越エリアに入ると、とっくに今期営業を終了した各所のゲレンデもすっかり冠雪してコースがあらわとなっていた。まるでシーズンに訪れたような錯覚さえ感じる。

 高速を降り柏崎へ向かう。そこから日本海沿いを北上するのが好きで車でもバイクでも何度か走った事がある。本当は海に落ちる夕日を眺めながら走りたかったのだが、今回は生憎の天気だ。


日本海へやってきた 空模様はいま一つ


海の色はどうして違うの

 太平洋と日本海の海の色が違うというのはよく言われるが、本来海の色が異なるのは海水温度によるプランクトンの量に依存する為らしい。そう言ってしまうと大変ケミカルな話でそれっきりではあるが、やはり冬の厳しい季節に雪を一杯に蓄えた鉛色の空を反映させた深い色・・・と勝手に思ってしまうのも旅人の感傷というもの。

 丁度昼時にさしかかった「道の駅 越後出雲崎・天領の里」で休憩と食事とする。本日のお勧め(リーズナブル)メニュー、ボードに手書きされた「ぶり丼」を頼む。出雲崎周辺では地のぶりが有名らしい。地物なのかどうかはわからなかったっが、程よい歯ごたえのあるよく締まった身。これで税込み850円だからお得な一杯だ。


本日のお得メニューぶり丼をいただく 向こうに弥彦山が見える

 弥彦山スカイラインに入り高度を上げて行くと開けた場所に出た。ハングライダーやパラグライダーの離陸ポイントのようだ。眼下の砂浜が着地点だということだが、今日は風が強くてとても操縦出来ないのだろう。空を舞う姿は無かった。ガスが多い大気が遠い半島の姿を霞ませるのもまた美しい景色だ。雲間から差し込む日差しを受けて海面が鈍色に輝くのも実に画になる光景だ。浜で波の咆哮を感じながら眺めるのも好きだが、高所から見る海もまた素晴らしい。


弥彦山スカイラインから


寺泊方面 空気が澄んでいれば北アルプスが良く見える筈なのだが


海面に写る雲形

 山頂直下にある駐車場に堂々と弥彦山頂の石碑が置かれていた。山にうとい人なら本当にここが山頂なのかと間違ってしまうかもしれない。本当の山頂はここから標高差100mほど登らなければならない。また駐車場から40m程の標高差で展望食堂があるが、そこまで行くのにクライミングカーという有料の箱型索道で上がることも出来る。出来るだけ歩きたくない人にはうってつけだが、登った先が食堂というのもいやはやである。また、駐車場脇にあるパノラマタワーに乗ればほぼ歩かずに山頂並みの眺望を得られるといういたれり尽くせりな観光スポットだ。生憎パノラマタワーは調整中でお休み。

 標高差100mだから自分は駐車場から空身で山頂を目指す。行き交う人々はなぜかクライミングカー利用の人までもちゃんとした山支度をしているのに自分だけ普段着スニーカーで水携行無し。地形図見てこれならばと思ったので判断ミスは無いと思うのだが、車道やロープウェイを使わずに麓から登ってくる人、中には稜線縦走の通過点として歩いている人もいるようでそれならばと頷ける。那須ロープウェイで普段着のままいつもの靴で茶臼岳を目指す人を見る光景よりは違和感がない。


クライミングカーで駐車場から1分で展望食堂へ 自分は歩き


展望食堂前から東側市街地(おそらく燕市)


散り始めの桜


遠く冠雪の高峰が薄っすらと見える


山頂は一番高い電波塔のあたり もう少しだ


山頂の鳥居


ピラミダルな多宝山には車道を跨ぎ登ることが出来る 今日は風が冷たいのでパス


車で上がるもよし、ロープウェイでもよしで観光地としては懐が深い


二色に変わる海面 あそこで潮目が変わるのだろうか


稜線と海原の風景が好きだ


今夜の泊地である道の駅に向かう途中で 弥彦山全景振り返り

撮影機材

・NIKON D5600
・AF-S DX NIKKOR 18-140mm 1:3.5-5.6G ED VR
・iPhone 13 Pro Max

カテゴリー: 車中泊の旅, 新潟県の山 パーマリンク

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