水沢山


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 伊香保温泉に取った宿は素泊まりなのに結構良いお値段。
 それなのに、キーを回して部屋に入ると唖然とした。
 トイレが部屋に無いのは了解済だが、狭小部屋の天井には斜めに梁が入っていて、シングルベッドの脇にやっと屈めるほどのスペースと冷蔵庫と洗面台。
 よくぞここまで詰め込んだものだ。もはや芸術的と言って良いだろう。空調はホテル側の設定のみで循環させる暖気冷気の一択式。風量のみ調節可能だが、切っておいても現在流れている暖気の漏れを遮る事は出来ない。

 チェックインしたのがまだ日没前だったので少し暑かったから、窓を開けようと試みる。小窓を覆うカーテンを開けると眩しい西日が小さな部屋に差し込んで来た。こりゃ夏場は夜限定の部屋だ。

 いつから開けられていなかった知れぬ、たてつけの悪い窓を開け放つと外に拡がるのは縁から下に延びる錆びついたトタン吹きの屋根。哀愁だな。この風景は。

 現役の頃は、あらゆる地方のビジネスホテルのリーズナブルな所を泊まり歩いた経験からしても、ここまで「追い込まれた」スペックの部屋は無かった。そう、思うにこれは添乗員部屋、もしくは従業員部屋なのではないかと。本館の建物から増設連結した別棟のような感じになっており、ホテルのフロア図面を見ると、同じような部屋が他にも5~6部屋ある。

 夜、トイレに起きる身としては、部屋に施錠して数十歩かけて別棟のトイレに行くのは結構辛かった。だが、温泉だけは平等。バイキング会場で一般宿泊客が宴に興じている間に大浴場を独占出来たのはある意味快感。

 とまぁ、こういう不自由さを楽しむのもアリかなと思う。金をかけりゃそれなりの事は出来るけど・・・否、現にお金を払って屋根とベッドとそれに温泉まで付いてくるのだから御の字なのだよ(笑)

 さて、群馬遠征第二弾の最終日は水沢山登山である。
 目を覚まし、スマホで天気予報を調べて愕然とした。昨日まで晴れマークが優勢だったのが一晩明けて曇りマーク優勢で時間帯によっては所々小雨マーク。おいおいそりゃないぜ。山は諦めて観光にするか。でも、これといった計画も無いしどうしよう。

 ベッドの上で逡巡していると、例の小窓から見える空に青空が幾らか見えてきた。よし。とにかく行って見よう。雨脚が強まったら周回ルートを縮小して早めに切り上げればいいじゃないか。


登山口は水澤観世音の石段から始まる


(居ずまいを正さなかったけど)鳥居をくぐり


少し登った先でようやく登山口らしくなった


序盤は結構歩きやすい木の階段 歩幅を合わせるのに苦労せずなかなか快適

 この山は日参登山の対象になっているようで、朝の比較的早い時間だとういうのに既に下山してくる人に多数出会う。殆どがリタイヤ組と思しき年配の方々だが、皆さん足捌きはしっかりされている。流石!毎日の鍛錬の成果と言わずにはおれない。

 直線的に登りそしてピストンで戻るルートがメインなので、よりトレーニング性が色濃い感じがする。そこを毎日に近いようなペースで歩いていれば自ずと脚力も付くことであろう。

 ちなみに、自分の後から登ってきた70代後半と思しき男性を一度は突き放したかと思いきや、一息いれている時にあっという間に追い越され、ついには山頂からUターンしてきたこの方にまたお会いするという始末。自分も決して強い方ではないが、さりとて遅い方でもないと思う。だがこの男性の歩きを見ていると、決して速くないが息も上げずに一定のペースで運ぶ足捌きに相当の年季と鍛錬を感ぜずにはいられなかった。まさに”経験を積む”とはこういったことだろう。脱帽である。


次第に岩の登りになると斜度も上がりキツくなってくる


息せききって山頂主稜線に登り詰める 石像が並び東側に開ける眺望が爽快


山頂直前から先程の石像ピーク 向こうに赤城山


三角点の僅か手前 賑やかな石祠二つ


稲荷大権現のまします山頂


山頂はぐるりと眺望あるも、肝心の天気は涙模様 ぽつりぽつりと雨粒が落ちてきた


十二ケ岳と小野子山 雲っているが辛うじて遠い雪嶺も見ることが出来た


そして、昨日と反対側からの相馬山と二ツ岳もお隣さん

 先着者に挨拶を済ませて西側に降りるルートへと進む。こちら側は参道として整備されおらず、降りていく人は二ツ岳方面へ縦走する人やたまにもの好きが歩く程度のような雰囲気だ。従って普通の登山道然としている。日参登山の人は基本的に水澤観音からのピストンのようで、先ほどまでの登山道の賑わいが嘘のようだ。思わずザックから熊鈴を取り出した。


派手な色の電波中継塔 麓からは上のアンテナしか見えない

 一旦車道に拾われ、進んで行くと立派な「つつじヶ丘休憩所」へ。
 車で上がってこれるので、山歩きはどうも・・・という方に素晴らしい眺望を見てもらうには良い所だろう。


車道脇の立派な休憩所には裏にトイレも併設


水沢山からの北側景色と同じだから、これだけ見たければ車で来るのも良いだろう

 下山路の最後は「憩いの森遊歩道」を通るようにしてフィニッシュ。残る車道歩きは時折右手に水沢山を眺めながらとなる。
 途中にある法水寺は、金ぴかの派手な伽藍が水沢山の麓の広大な敷地に拡がる。
 法水寺は台湾最大の仏教宗派らしく、どうりで日本の寺院とは一線を画した雰囲気がある。調べてみると参詣以外にも台湾料理が食べられたりといろいろと面白そうなので次回この地に足を向けたら訪問してみたい所だ。


車道歩きの途中で法水寺と水沢山 カンフー映画に出てきそうな金ピカな感じと大柄な伽藍配置が新鮮

 予定通り昼食時間前に行動を終えたので、今日の昼食はまたしても水沢うどん。先週食べたばかりなのにねぇ。基本的に好きなんですよ。


そして今回も水沢うどん 今日は最大手の大澤屋さんへ いや、マジでデカイ店内だった 味は普通に?美味い


美味しゅうございました

概略コースタイム

水沢観音駐車場発(07:23)-お休み石(08:05)-水沢山(08:57)-電波中継所(09:10)-一旦車道へ(09:26)-
つつじヶ丘休憩所(09:35)-再び登山道へ(09:41)-車道へ接合(10:31)-水沢観音駐車場着(10:55)

カシミール3Dデータ

沿面距離:8.1Km
所要時間:3時間32分

カテゴリー: 群馬県の山 パーマリンク

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