-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
『栃木の山150(随想社)』に掲載されている栃木市の琴平山のことは以前から知っていた。ガイド内容を見ると2時間に満たないルートが紹介されている。特に眺望が良い訳でもないのでそのうちに・・・と思って記憶から遠ざかっていたのだ。
今年の冬は茨城県の山を丁寧に歩いて行こうと思っていたのだが、おりしも栃木県に緊急事態宣言発令。山を歩く行為自体は感染予防上問題は少ない。特に自分のようにあまり人と接する機会が少ない場所を好む場合は尚更だ。
そういう事情だとはいえ、緊急事態宣言が発令されている都県ナンバーの車を迎える茨城県民の心を思うと、余計な刺激はしないほうが良いかなと思ったりする昨今のコロナ事情である。
ならば、ということでネタ帳をひっくり返していると、琴平山とその周辺を周回するちょっとした散策ルートが目に入った。途中で三角点を二つ拾えるのもお手軽。標高400m未満のだらだらとした稜線を歩くのも冬場ならではの楽しみだ。
歩いてみて知った最初の三角点の名前が長坂山ということ。帰宅してからネット検索をすると自分の歩いたルートと同じ周回を何人もの方が歩かれていた。そして二つ目の三角点が高冨士山(たかどさん)という名前であることも知った。
琴平山自体は山というより神社がその本体と言って間違いなく、沢山の人に歩かれているであろう登山道はすなわち参道である。しかし、そこから北へ延びる稜線、そして時計回りに続くトレイルが久々のルートファインディングの山歩きとなった。
最北の384mPまでは快適な登山道の様相、そこからはよくある自然林の尾根、やがて尾根の乗り換えの入り口に神経を使うようになり、枯葉が積もる急斜面を慎重に降りるようになる。時折藪の濃さに翻弄されたり、久々の充実した歩きとなった。前半は何も考えずに歩いていて確かに散策路然(384mPでぼーっとしてミスあり)であったが、後半は久々に気合の入った歩きとなったのである(笑)
ストリートビューで精査したもの、駐車地について最後まで決められなかった。ガイドブックには琴平山の登山口に数台スペースがあるように書いてあったが、実際に行って見ると停めるのはかなり難しい。
東へ戻ると路側が膨らんでいる箇所があちこちにあるので何処に停めても支障は無さそうだが、南柏倉公民館前の広場がもっとも駐車に適していると思い、ここに停めることにした。
準備をしていると地元のおばさんが散歩をして脇を通過していく。「山に登るので停めさせて貰ってよいでしょうか」と尋ねると快諾を貰った。
登り詰めた先は落ち葉降り積もる急登の参道 (太陽の光はフォトショップでちょっとイタズラ)
とにかくこの落ち葉が滑って歩きにくい。参道の真ん中は狭い溝になっているが、上から見ても落ち葉に覆われていて実態が解らないので不意に足が取られるので結構油断出来ないのだ。
山頂より西に僅かに下ったあとに登り返すと、そこに電波塔があり「琴平の杜 野乃花苑」なる看板、そして東屋があった。地元の方々の憩いの場なのかもしれないが、この季節花は無いし訪れる人も少なそうな印象を受けた。
巡視路入り口から先はしばらくよく踏まれた立派な道型が続く。流石巡視路とは思ったが、かつての道として一般の往来匂わす鉄製の道標を二か所で認めた。文字は既に判別出来ないが、この周回の北端である384mPから更にその先まで続く太い道には何らかの需要があったに違いないと思うのだ。
電波中継所のある三角点ピークが長坂山であることを古い木製の山名板で知る。すぐ脇には防災無線の中継所もある。生活に必要なリソースが配置された典型的な里山稜線なのである。
長坂山の北側より ススキがちょっと邪魔だが、なかなか抜けの良い景色
いくつかピークを越えると次は巨大電波塔のピーク。こちらも北東方面が開けていて景色が良い。鉄塔基部は広々と敷地が柵で囲われていて、少しものものしい雰囲気がある。
少し先に進むと進行方向右手に軌道が現れた。電波塔に保守資材を運搬するトロッコ車軌道のようである。
しばらくルートと並走していたが、このあと濃くなった篠藪が終わるといつの間にか軌道は見えなくなっていた。地形図を見ると北東に林道が描かれているのできっとそちらのほうへ降りていったのだろう。
384mPからルートは東へと方角を変える・・・
のだが、それまであまりにも立派な「登山道」が続いていたので、つい、ぼーっとしてたのだ。
正確には登山道ではないんだけどね。
と、言い訳はともかく、気が付いたら北の尾根に引き込まれそうになっていた。
終始しっかりとした道型はなおも北に続いているところを見るに、そのまま北進すればR293に繋がる林道(地形図には描かれている)へ接合するのではないかと推測。いずれ機会があれば検証してみたいところだ。
384mPから進路は東へ 序盤は混合林のどこにでもあるような尾根を行く
この昼食地点あたりから、のんびり散歩モードはおしまい。地形図には破線なんかが描かれているが道型も踏み跡も全くない。GPSを出してコンパスを合わせながら慎重に進むようになる。
標高差50m程の登り返しにじんわりと汗をかく。ふと立ち止まった先に見える大きな人工物。高富士山の山頂にある社だ。
ゴルフ場のある北側からは登山道が整備されており、地元の小学生が登る山らしいが、来し方の西側はともかく、南側に至っては標高を50m下げるあたりまで尾根形は認められないのっぺら坊の急斜面である。
突然立派な社のある高富士山へ 297.9m三等三角点 点名:千塚
南へ降下を始めると、足元には落ち葉が深く堆積しており、鹿も難儀しながら腹をこすりつけてジグザグに降りた跡がそこかしこにあった。この区間のことを考えると半時計周りが絶対に楽だなと思う。こういうルートを見極めづらい場所は絶対的に登りが優位だからだ。
鹿トレースを有難く拝借しながらようやくコルまで降りると、あとはゆるやかに降下していくだけ。だが今度は下るほどに藪が濃くなってくる。典型的な里山スタイルだ。
斜度が緩みいよいよ尾根も終盤の頃、右手に拡がる伐採地との間に鉄の柵が張りめぐされている。柵の中に入るつもりはないので柵に沿って降りていくと今度は左からゴルフ場の電柵の挟み撃ち。一旦はゴルフ場の敷地に入って進むも、流れボールに直撃されるのもいやなので、鉄の柵が見えなくなった頃合いで再び電柵を跨いで山中へ復帰。もっとも平日の今日はプレーしている人も見られず閑散としていたけれどね。
尾根末端は伐採されていて丸坊主 民家の裏手という悪コンディション 手前で尾根を離脱した
あの裸の尾根末端まで歩ければコンプリートだったんだけど 流石に丸見えじゃちょっとねぇ
残りの車道歩きをのんびりと楽しむ。今日は途中で会った人は朝のおばさん一人と帰りの車道歩きで会った立ち話に夢中な主婦二名。いつもながら思うのだが、こういった行動をしていると新型コロナって何?、密って何?って思う事があるが、やはり現実に還れば自分も今日の感染者数に一喜一憂する一人なのであった。
概略コースタイム
駐車地発(08:56)-琴平山 東参道入口(09:18)-琴平山(09:49)-電波塔(10:02)-鉄塔(10:17)-
長坂山(10:39)-巨大電波塔(11:07)-384mP(11:26)-昼食休憩地(11:48)-昼食休憩-
行動再開(12:31)-高冨士山(13:40)-ゴルフ場接合(14:35)-車道へ降下(14:44)-駐車地着(15:11)
カシミール3Dデータ
沿面距離:13.3Km
所要時間:6時間15分
栃木市の琴平山・・・?と思い、自分も引き出しに仕舞ったままの「栃木の山150」を久々に読み直しました。
アレンジを加えた周回コースも歩き応え十分にありそうですね。
コロナ禍の今冬は自分もいつになく里山歩きが増えています・・・と言っても、まね事程度ですが
この本で、栃木の山も結構歩き残しがあるなぁと改めて感じました。
緊急事態宣言が解除されるまでは県内歩きが続きそうです。
ご無沙汰してます。
ほぼ同じ軌跡で2015年の2月に歩いてました。
384mピークは意識していないと直進してしまいますね。
北のトンネル方面へ歩かれる人もそれなりにいるのだと思いました。
下りの尾根の突端は当時は伐採されておりませんでした。
ちなみに駐車地は少し広くなった路肩に停めました。
この時期県外に出るのはやはりためらわれますよね。
小生の車は那須ナンバーなのですが、県北以外は栃木県内でもなかなか行きづらいです。
長坂山と高富士山の山名が解っていれば野球親爺さんの記事も検索出来たのですが、
帰って来てから読ませていただいたのが残念でした。
384nPはホントにぼーっとしてましたよ(笑)
我々の登山行動なんてそんなに人と接触する機会があるわけじゃないんですが、
やはりこの節ためらわれるものですよね。