鳴蟲山周回


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

鳴蟲山の過去の記事
    2008年03月22日  二股山と鳴蟲山

 冬場に歩きたい里山ネタ帳第四弾。今回は鹿沼の鳴蟲山である。10年前は南の林道を車で上がれるところまで上がって、残りの林道を徒歩で詰めて山頂直下へ最短で・・・というエコルートであった。
 今回は、羽賀場山の登山口である長安寺側の尾根を取り付きとし、鳴蟲山西尾根へと周回し大芦川へ降下した。久々に登場のワインレッド号にて車を回収した。


大芦川沿いの空き地に止めさせていただいた。奥の右手が長安寺


目論見の尾根末端にある神社の石段を上がる

 石段を上がるとすぐに小さな社がある。社の扉は普通きっちりと閉じられているものだが、どういう訳か扉が開け放たれており、中に鏡のようなものが二枚見えた。自分のような信仰心の希薄な者にも明らかに正視してはいけないという雰囲気が醸し出されている。


扉が開いてご神体が丸見え 正面からの撮影が憚れる

 ご神体に気後れし、脱帽して二礼二拍手一礼でお参りをし、背面を通過する無礼を詫び本日の無事をお祈りした。
 たまに歩く人が居るのか、はたまた獣道なのか、社の脇に踏み跡がある。結局はトラバース状に登る際に社の真後ろを通過するので結果的には大差ないが、やはり真後ろから直接取り付く不敬者はいないようである。ご神体の迫力がなければもしかしたら自分は真後ろから登ってしまったかもしれない。


この裏手が本日の取り付きとなる

 かなりの急斜面で四つ足でなければ進めない、だが足もとが丁度良い硬さでグリップがよく効いてくれる。そして程よい間隔に生えている木から木へと渡りながら高度を稼げる。


等高線通りの急登を登り切った箇所から。下りには絶対使いたくない

 取り付きの急登が結果的には本日の最大の難所だったと言ってよいだろう。あとはいつもの地味尾根が展開していく。しばらくは高度を徐々に上げて行くだけなのでルートも難しく無い歩きが続く。


あとは穏やかな尾根が続く


今日も寒いが陽が射せば足取りも軽いというもの

 尾根の方向が西に向かい、一つピークを乗り越すとそこは伐採地。鳴蟲山直下の紅白鉄塔の箇所を除けば本日随一の眺望ポイントであった。


南に開けた伐採地へ出た。日差しが嬉しい


集落を挟んで向かい側の400mクラスの峰々も時間をかけて歩きたい箇所


伐採地頂部より食害ネットが綺麗に巻かれている

 伐採地より先は、木の根元部分に食害防止ネットがきちんと巻かれている超現役の植林地である。時々書かれているヤマサの印は確か羽賀場山でも見かけたことがあるので同じ方(会社)の所有林なのだろう。


ヤマサ屋号の樹が続く


森の中の静かな571.6m三角点 「上久我」


国土地理院のデータは571.62mなので栃木の山紀行さんの誤記?

 今日は取り付きの登り以外は至って穏やかなルートであり、藪も殆どといってよいほど無かったが、三角点から先の頂稜部は幼木密集ゾーンである。だが、未だ葉先が柔らかいので顔に当たっても痛くないので問題無し。やがて林業者による間伐が行われてスッキリしていくのだろう。


しばし、幼木の海を泳ぐ


鹿沼の山は基本的に筋肉質(岩交じり)である


登り、そして下る


特別な意味が追記されているようだ


送電鉄塔 新栃木線№212

 鉄塔手前では北の谷筋で銃声を二発聞いた。こちらもホイッスルを鋭く二回吹いて牽制すると、そのあと発砲音はしばらく聞こえなくなった。
 鉄塔を過ぎて西へ延びる尾根に差し掛かると、今度は犬の鳴き声が南側から聞こえてくる。よく耳を澄ますと二頭のようで、一頭の鳴き声は恐怖を感じたような訴えかけるような鳴き声である。人間にとっては広大な山中でも犬達にとっては僅かな距離である筈だから、もし自分の出現を警戒するなら間合いを詰めてくる筈だ。だが彼らの鳴き声の大きさは一定しない。自分のが進むと当時に彼らも移動しているようだ。野生犬だと始末が悪いが、ハンター犬であれば以前5~6頭に囲まれた経験ががあるのであまり不安は無い。だが、鳴き声の悲痛な感じも手伝って早めに通過すべしと先を急いだ。


南いわき幹線273鉄塔より伸びる巡視路と合流 プラ階段が歩きやすい

 北の林道から上がってくる巡視路と合流する。ピッチが実に心地よいプラ階段は山を歩く事を仕事としている方々が設置したことがよく伝わってくる。行政が誂えた予算が付いたから敷設しました的な階段は大抵ピッチが変で妙に歩きにくいが、この階段はかゆい所に手が届く的な気配りが嬉しい。(巡視路は登山者のものではないのだけど)

 暫く登っていくとハンターが何やら携帯で大声で通話中。『とにかく回収するしかねーな』という言葉が聞こえてきた。丁度通話が終了したところなので、「先ほど通過してきた付近で二匹と思われる犬の鳴き声を聞いた。うち一匹は怪我でもしているような雰囲気であった」と伝える。
 すると北の林道方面か?と尋ねられたので、東の尾根の南の谷周囲に犬が居たという話をした。やはり何か事故があったようで、それまで愛想の良かったハンターは顔を曇らせてしりつぼみの挨拶。先ほどの犬の鳴き声は、追い詰められた獲物に反撃されたか或いは事故で流れ弾を受けたか判らないが何らかの怪我をしているに違いない。


本日初めて見る道標

 本日初めての道標を見れば後は一投足で紅白鉄塔へ。樹に覆われた尾根通しだった為に青い空が目に沁みる。


鳴蟲山を象徴する紅白の南いわき幹線274鉄塔

 鉄塔の所で福島から来た三人組とお会いした。北の林道から巡視路を使って1時間半で登ってきたそうだ。福島から栃木のこんなマイナーな山へ何故と思ったが、話を小耳に挟んでいると、日本中のあらゆる山に登られている様子。北海道の登れる山は全て登ったなんて話しもしていたので、恐らく時間も財力も豊富なのだろう。そのどちらも無い自分には少しジェラシーを感ぜずにはいられない話であった。


羽賀場山~お天気山の稜線が相変わらず格好良い


二股山方面

 食事を終え福島の三人に別れを告げて山頂を踏む。紅白鉄塔が無ければこの山頂も静かで良い雰囲気であるのは間違いないのだが、やはり紅白鉄塔の箇所の印象が強いので鳴蟲山の山頂は分が悪いだろう。


相変らず地味な山頂は今回は通過のみ


山頂から少しだけ進んだところで西側眺望が一瞬得られた

 山頂から西へ向かうルートは北の尾根に入らなければ正解なのだが、尾根形が明瞭になるのはある程度下ってからなので、安全そうな所を進路だけ気を付けながら下っていく。案外急だが危険個所ではない。


出だしの降下がきついが危険な箇所では無い

 急降下をやり過ごすと時折岩交じりになったり、痩せ岩稜があったりと変化がそこそこあって楽しめるルートだ。


時折岩交じりになったり変化もほどほどに楽しめる


そして穏やかなルート


コンパスを合わせて目的の尾根を拾っていく


こういう苔?のようなものが沢山生えていた


終盤藪が煩くなるが、ルートを外したくないので直進


最後はここをダイレクトに降りてフィニシュ


道路に降りて改めて羽賀場山稜線の美しさ


学校跡地にデポしたワインレッド号の元へ


駐車地に戻って来た。背後のピークが朝のルート

 『虎岩』という案内板があって気になったので車で寄り道をした。見れば、なるほど見事に虎の模様をした美しい岩があるではないか。実は下の写真に写っている男性が撮影の為に岩に水をかけたらしく、それで一層鮮やかな光沢を放っているようだ。


『虎岩』へ寄り道する


うーーーん。確かに珍しい模様。まさに虎そのもの


迫力だね

概略コースタイム

駐車地発(08:13)-神社石鳥居(08:16)-神社(08:21)-伐採地(09:09)-571.6m三角点(09:28)-
新栃木線№212鉄塔(09:59)-巡視路と合流(10:36)-道標設置個所(11:01)-紅白鉄塔(11:06)-
昼食休憩-行動再開(11:44)-鳴蟲山(11:47)-
427mP(12:52)-林道接合(13:06)-自転車デポ地(13:23)-駐車地着(13:52)

カシミール3Dデータ

沿面距離:8.3Km
累積標高差:(+)1,001m (-)933m
所要時間:5時間10分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

自転車区間距離:4.9km 所要時間:29分

カテゴリー: 鹿沼・粟野の山 パーマリンク

鳴蟲山周回 への8件のフィードバック

  1. リンゴ のコメント:

    こちらの鳴蟲山や羽賀場山は未踏の栃百です。
    いずれはと思いながらも機会に恵まれず。・・・が、どうせ歩くなら冬場でしょうね。
    ただ、ハンターさんが多いのが問題かな?
    虎岩は一見の価値あり。撮影してみたいです。

    • まっちゃん のコメント:

      どちらも超地味な山なので、冬場の時間つぶし的な山に
      なってしまうかもしれません。
      ハンターさんは登山道を歩いている分には問題ありませんが、
      自分のように「あんた、何処から歩いて来たの?」と問われるように
      なると少し注意が必要です。でも、彼らはかなり慎重に行動して
      いますから不用心に猟場の谷に入って行かなければまずズドンはありません。

      虎岩は感動ものでした。
      機会があったら是非撮影においでください。

  2. chikoやん のコメント:

    栃木の山を歩かれてる人のレポで時々目にする「鳴蟲山」
    ずっと、なんて読むんだろう。と思いながら、そのままスルーしてましたが
    ようやく、調べました。字の通りだったんですね~。(^O^;
    鹿沼の山って、ホントに馴染みがなくて、木の間からちょろっと見える
    景色がとっても新鮮です。
    それにしても、出だしの斜面。恐ろしい角度で登っていますねぇ。
    登ってる時は一生懸命でただ進むだけ、、なんでしょうけど、改めて見ると
    自分をほめたくなっちゃうような斜面ですね。

    そして、虎岩。こりゃすごい!! です。(^^)

    • まっちゃん のコメント:

      漢字変換で一発で変換されないので、単語登録してます。
      あ、でも今使っているWindows10だと”むし”で変換出てきますね。

      出だしの斜面は確かに一生懸命登りました。
      ヘイサ!ホイサ!ってな感じで、休憩の時は太い木に掴まって。
      登り切って上から見ても下が見えなかったです( ;∀;)

      虎岩凄いでしょう。
      自分もまさかの邂逅でした。あのあたりにあんな凄いものがあるとは
      トント知りませんでした。

  3. ケン坊 のコメント:

    おはようございます
    鳴蟲山は一度目は下大久保側から...違う山(P)に登り、
    慌てて下山してルートを変えて歩きだしたら崩落していたので諦めて...
    リベンジは上久我の馬返から楽な林道歩きで栃百達成しちゃいました
    紅白鉄塔の手前で合流個所がありましたが、もしかしたらまっちゃんが
    歩いてきたコースとの合流だったのかな~?
    (馬返側も3コースあり、他のコースとの合流だったかも知れません)
    山頂には祠が多かったような記憶がありましたが、スッキリした山頂の
    写真に見えて...別な山頂?  って思っちゃいました
    虎岩は一度見てみたいです!  今年の暖かい時期が良いかな?

    • まっちゃん のコメント:

      道標があった箇所が南北のルートの合流点のようです。
      山頂の祠は今回写真掲載しませんでしたが、立派なやつが数基ありました。
      地元の方の信仰の山なんですね。
      虎岩は一見の価値ありです。お近くにお寄りの際は是非!

  4. 野球親爺 のコメント:

    鳴蟲山に登ったのは10年以上でした。
    まっちゃんさんが取りついた所はあまりにも急に思われましたので、もう少し東から登った記憶があります。
    下りは山頂から606Pに下りてあとは適当に塩沢集落に下りました。
    何でここが栃百なのかと思いますが、赤白鉄塔のお蔭でしょうかね。

    • まっちゃん のコメント:

      鳴蟲山に限らず栃百の選定理由って知りたくなることが多々ありますが、
      知ればその山を歩くにも思い入れを感じながら歩くことが出来る?かも。
      まぁ、究極、一人ひとりの百名山だと思うのであえてそういう部分は
      ベールに包まれていたほうが良いのかも知れませんね(*´ω`)

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