二股山と鳴蟲山

アーカイブ:今市鹿沼の山達

投稿日:2008年03月22日 22:32

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-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 宇都宮から真西を眺めていると、山頂が足袋の爪先のように二股に分かれている特徴的な山容が目に付く。北峰、南峰を持つ双耳峰の二股山(ふたまたやま){570m}である。遠くから見ても二つの頂の間のコル(鞍部)ははっきりしており、是非一度はあそこを歩いて見たいと思っていた。

 今日はH君の都合が付かない為、久しぶりの単独行である。単独行なので、安全の為なるべく人の多い所へ行こうと考えていた。二股山は古賀志山などに比べるといま一つメジャー度を感じないが、行ってみればどうしてなかなかの賑わいの山である。

 鹿沼の街から二股山の南側を巻くようにして県道を進み、ほぼ西端に位置するあたりで林道へ乗り入れる。すぐ舗装が切れるが間髪入れずにパジェロミニを4駆モードへ。FF車なら充分走れる道だが、やはり何となく安心感が漂う走行だ。

 ほぼ突き当たったあたりに広々とした駐車地がある。台数的には10台以上は軽く置けるだろう。この先も4駆車ならあと数百m先の林道終点まで登れそうだが、充分な広さが得られない事や右側の崖が一部崩れかかっていたりで安心して駐められるのはやはり先ほどの駐車地である。

 駐車場の片隅にコース詳細図が張り出されていた。2月に下見に訪れた時は無かったのだが、今回はこの駐車地からのピストンしか考えていなかったので、次回訪れる時は是非参考にしたいところだ。

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二股山への林道入り口    広い駐車地    コース詳細図

 駐車地より登り始めると、伐採された坊主山が一部崩落していたりして殺伐とした雰囲気を感じる。また、駐車地の左手の斜面を見ると相当に巨大な岩が露出していてこちらも圧迫間がある。

 沢添いの道を登っていくとやがて植林帯に入るが、古い伐採の跡が片づけられずに苔むしていたりして、これまた雑然としているところがガイドブックやネット記事でもよく指摘されているポイントだ。確かにどちらかと言えば「綺麗では無い」という印象を受ける。

 ジグザグの比較的緩やかな斜面を登る頃には、すっかりいつもの落ち着いた雰囲気の植林地歩きとなる。山頂から伸びる主尾根に着けば、向こうに見える建物はNHKのテレビ中継所。この中継所を越えるとすぐそこが二股山北峰である。

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登り初め    雑然としている    NHK中継所

 途中眺望ポイントが全く無かっただけに、東側だけとはいえ開けた景色に暫し癒やされる。

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中継所のアンテナ    北峰頂上    古賀志山方面

 ザックを降ろして休憩していると、単独の中年女性が息を切らして登ってきた。荷物からガイドブックを取り出して自分の歩いて来たコースの事、今日はこれからもう一座登らなければならない事などを話して元気に去っていった。
南峰に向かう急な下りから声がしたと思ったら、今度は比較的年齢の高い女性が数人顔を出す。下から岩をよじ登るので上で見ているとさながら顔が突然ニョキっと現れる感じだが、一番最後はおじいちゃん。もう70は過ぎているだろうか。いやはや元気なものだ。

 おじいちゃん達に刺激されて急な下りをそろそろと降りる。なるほど気を付ければ大した事は無いが、やはり先ほどの高齢者グループは凄い。何故ならば、このコルから南峰への登り。私は慎重にそしてぜいぜいと肩で息をしながら登ったのだが、高齢者グループは事もなげにやすやすとクリアしていったのだから。

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鹿沼市街方面    北峰から南峰    コルから南峰への急登

 コルからの急登で息を切らせると南峰頂上。樹木越しに北峰で休憩している人が見える。激しいアップダウンだったせいか気持ち的には随分離れているような錯覚に陥っていたが、水平距離はさほど無いので会話の声もよく聞こえる程だ。

 南峰からは日光方面や東側も眺望がある。駐車地に張られていたルート図が此処にも有り、この先5分位で展望地があるというので取りあえず行ってみる事にした。

 南側に突き当たる感じで木が刈り払われた場所が展望地である。恐らく粟野や西方、葛生方面の山並みが見えているのだろうか。浪々と拡がる低山の山並みが美しい。

 一旦南峰へ戻り、少し時間が早かったが昼食とした。下山は往路をそのまま戻る。駐車地からの周遊コースもあるようだし、新設の道標があちこちに整備されているので次回はもう少し研究して登ってみたいと思う。

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南峰頂上    日光方面    展望地より南側

 さて、思いの外早い時間に下山してしまったので今回はおまけ案として用意していた鳴蟲山(なきむしやま){725m}を登る事にした。かなり高度を稼いだ地点まで車で登れるということなので、時間が無い時のチョイ登りにでもと思っていたが、二股山のお隣さんとも言うべき場所なので車の移動も時間が掛からず絶好のチャンスである。

林道から県道240号へ戻り更に西へ進む。鳴蟲山へのアプローチは送電線の作業林道を使って一気に山頂直下まで車で進入出来るという。この林道は2駆車だと少し不安があるかもしれないが、パジェロミニにとってはまったく問題無い。途中、新設の砂防ダムが眼前にドカンと現れたりなかなか荒々しい道なので、安全の為に悪天候の時や台風後などは近づくべきではないだろう。

 林道の全区画半ばあたりで通行止め。たまたまそこに軽トラを止めて作業をしていた林業関係者の方の話によると、つい最近までは鉄塔直下まで行けたのだが最近路側が崩れてこの先は通行止めになったとの事。見上げると目標の山頂近くの鉄塔も大きく見える。このまま林道を30分も歩けば着くだろうということなので車を置き歩行開始だ。

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鳴蟲山へ向かう林道入口    ここで通行止め    行く手に目標の鉄塔

 通行止めのゲートの向こうは石を積んで車の往来が出来ないようにしてある。ゲートだけでは強行進入してしまう人が後を絶たないのだろう。石積みの向こうを見るとなるほど谷側がスッポリと崩れ落ちた形跡がある。一応修復はされているものの、やはり谷側が脆い感じでここを車で通るのはかなり危険な感じがする。

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石を積んで通行止め    崩落箇所    崩落箇所より

この崩落箇所を過ぎると後はまた通行になんの支障もない道が続く。ただ、流石に往来が無いせいか、草木に浸食されて廃道化している感もある。ヤブの中に忽然と現れるカーブミラーにドキっとしたりする。

 春を通り過ぎて初夏が訪れてしまったのでは無いかと思わせるような陽気の中、額に汗しながら林道を登り詰めると小広い部分で道がヤブに消え入っている。ふと右手を見ると何やら鉄製の簡易階段がある。さて、道標も無いしどうしたものかと思い階段を登って見る。見上げた感じはまさに鉄塔直下なのでルートが有るのかと思ったが、見渡しても何も無し。一旦ヤブに突っ込んだ顔を引っ込め広場へ戻る。

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廃道化している    林道終点    謎の階段

 林道の先のヤブを見ると僅かに刈り払われている道がある。鉄塔に向かって若干遠巻いた感じがするが、少し辿って見ると蛇行しながら鉄塔へ向かっているので間違え無いだろう。荒れているとはいえ、広場までが舗装林道歩きだったので土が足に優しい。
ほぼ登り詰めた頃、山頂より下ってくる尾根道に合流する。上手を見るとあの巨大な鉄塔が広々とした空間に設置されていた。
鉄塔直下からの眺めは後の楽しみにとっておき、まずはもう少し先の山頂を目指す。山頂は樹に覆われており眺望は殆ど無い。数個の石祠がカラフルな鉄塔とは対照的にひっそりと佇んでいた。

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鉄塔は間近    尾根に出る    鳴蟲山頂上

 鉄塔のところまで戻り、ザックを降ろしてしばし休憩だ。北側に羽賀場山~お天気山の稜線が大きく見える。この稜線は笹目倉から丁度反対側の北側を眺めた時も感じたが、かなり起伏のある尾根だ。以前から歩いて見たいと思っていたが、近くで見るとやはりかなりアップダウンが激しそうで、ハードな縦走になることだろう。

 東側に目を転ずると、先ほど登ってきた二股山の双耳峰がよく見える。雄大な180度パノラマに暫し時間を忘れていると、鳴蟲山では本日初めてのハイカーと出会った。彼もまた単独行。お互い静かな山行である。

 帰りは登路を戻るが、遙か下のほうに主の帰りを待つ愛車の姿がゴマ粒のように見えた。終始南側の眺望を楽しみながらの下山。楽しい春の山遊びであった。

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274鉄塔から続く送電線    274鉄塔    羽賀場山~お天気山
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二股山    二股山の南側    ゴマ粒のようなパジェロミニ
概略コースタイム
<二股山>
駐車地発(10:11)-北峰(11:00)-南峰(11:10)-展望地(11:19)-南峰着(11:31)-
昼食休憩-南峰発(11:49)-駐車地着(12:30)


<鳴蟲山>
駐車地発(13:03)-林道終点(13:25)-山頂(13:44)-林道終点(14:05)-駐車地着(14:27)

コメント (8)

せろー:

コメント投稿日:2008年03月24日 20:25

まっちゃんこんばんは 二股山と鳴蟲山登ってきたのですね。
天気が良くて 視界良好 暖かな春を満喫されて気分は最高でしたね。
パジェロミニも大活躍ですね。私は渓流釣りのシーズンになってきたので
こころは渓に向いちゃてます。でも今度少しの時間が空いたら せろーを駆って
林道をのぼり 鳴蟲山登山をしてきましょう。

先日19日に 川越の街散策と東京青梅市の吉野梅郷へ 女房孝行のバスツアーにいってきましたよ。
まっちゃんも 奥様孝行 努々忘れるなかれ。これ夫婦円満の秘訣なり。

    アルコール入り せろーでした

まっちゃん:

コメント投稿日:2008年03月24日 22:15

せろーさん、こんばんは。

オフ車(バイク)なら崩落箇所もラクラククリア出来るので最上部まで行けちゃいますよ。
是非登って来てください。鉄塔の足元から見る風景というのも一興です。

奥様孝行ご苦労さまでした。
我が家も先日「温泉に行きたい」という話が出ていましたが、娘と二人で却下したのでふくれております。
そろそろ花の綺麗な季節なので、外出は楽しくなりますね。

Non:

コメント投稿日:2008年03月25日 22:45

 こんばんは。一気に拝読しました。二股山も県内ではメジャーになりつつあるようですね。
もっと人の数も少ないと思っていました。何気に栃木百名山の踏破を狙う方も多いのでしょうか…

 とりあえず私も歩いてみたいと思っていたので、すごく参考になりました。「コース詳細図」も
大変ありがたいです。…と、この詳細図、かなり細かく書かれていますね。
どういう方が書くんだろうと、少し考えてしまいました(^^;)

まっちゃん:

コメント投稿日:2008年03月26日 23:27

Nonさん、お読みいただきありがとうございます。

やはりブームなんですね。古賀志山の過密ぶりが段々と周辺に拡がっていくよう。

「コース詳細図」はどなたか有志の方が作成されているのでしょうが、あれだけ精細だと大いに助かりますね。

今回私が駐めた駐車地から周遊コースが取れるようなので、次回の二股山も楽しみです。

なお:

コメント投稿日:2008年03月29日 17:32

まっちゃんさん、こんんちは。
日光の鳴虫山とは"むし"違いの鳴蟲山ですね。

じつはこの山、MTB乗りの秘密のスポットだったりします。
過去に「初日の出 MTBツーリング」などもあったようです。
僕は参加しませんでしたが、おそらく上久我方面(石裂上日向線)から
入山していたように記憶しています。

しかし、元旦の早朝から山頂にMTBがウヨウヨしている風景を想像すると、
ちょっと異様ですね^^

まっちゃん:

コメント投稿日:2008年03月29日 21:58

あ、なるほど。確かにあんな感じの林道ならMTBは良いかもしれませんね。

でも、競輪選手のようなフトモモ無いとかなり辛そう。
私はオフロードバイクが日々欲しくなっている今日この頃です。
パジェロミニも良いですが、やはり気軽にUターン、後先考えずに進入出来るのはやはりオフロードバイクですよね。

亀三郎:

コメント投稿日:2015年05月12日 10:33

こんにちは
石の通行止め 崩落地
どちらも、、、記憶に 写真にないっす、、、(^_^;)(^_^;)
だいぶ
まっちゃんが行かれたときと変わったんでしょうね
それはそうと
駐車地から山頂まで
40分!!
ううう
うちは
その倍の80分っす、、、(T_T)
(たしかケン坊さんちが70分くらい
入口の看板で、徒歩65分、、、)
何だかなぁ
こんなに
スピードが違うんですかぁ ショック
もしかして、、、走ってます??

まっちゃん:

コメント投稿日:2015年05月12日 21:46

亀三郎さん

過去ログにレス。ありがとうございます。

駐車地といっても、亀三郎さんが停めたところからだいぶ登ったあたり(恐らく全体の1/3位進んだところ)まで車で行ってそこから歩いているのでそんなに歩く速度は変わらないですよ。

そうですか。崩落地は無いんですね。
ということはバイクで鉄塔下まで行けるかもしれないですね。
今度散歩がてらチャレンジしてみます。