中山から鶏鳴山北尾根を登る


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

鶏鳴山の過去の記事
    2010年12月12日  風雨雷山~笹目倉~鶏鳴山
    2007年11月03日  静寂の鶏鳴山
関連山行
    2016年12月24日  先週に引き続き・・・

 2016年冬シーズンの開幕!

 まずは、懸案の中山である。もちろんこの山単独で登ってしまっては味気なさすぎる。そこは鶏鳴山へつなげて周回となるが、鶏鳴山の北側直下は急斜面で難渋した記録もあるが、はてさて如何に。

 近間という安心感も手伝って朝7時少し前に自宅を出発した。いつもの通勤時間だが、今日は天気も確約されたような青空が拡がり心も晴れ晴れ。

 長畑の三たて蕎麦を過ぎ、西へ進んで林道のチェーンがかかった所が今日の駐車地である。丁度先行者が出発したところで、彼らの後ろ姿を見送りながら自分も支度をする。

 林道を歩きはじめ、最初の橋がかかった所の少し手前が今日の取り付きだ。渡りに船ではないが作業道があるのでそこを拝借して尾根へと乗ることが出来た。

手前が中山、奥が鶏鳴山 先行者一台あり ここより取り付き

 中山は登山道が無い山だが、一般的なルートはもう少し先に進んだ鶏鳴山登山口と称される付近から東に登り上げる記録が多い。

 一方、南尾根の末端からスタートする記録も幾らか見られたが、自分は地図を眺めていて登るなら此処しかないとはなから心に決めていたのだ。
 いざ、踏み出してみれば多少の枯れ藪があるものの概ね快適な尾根歩き。さほど急ではないが、しかし楽もさせてくれない植林尾根を詰めていく。鶏鳴山登山口から東へ登り上がる尾根と合流する地点で本日初めての赤テープを見た。このあと赤テープは鶏鳴山まで一つも見ることはなかった。

まずは尾根の芯に乗る 多少煩いがまずまず 左手に下山予定の尾根が見えてきた

 本日初めての岩を見るともう一登りで中山の三角点へ到着。山名板が一枚も無い静かな山頂だが、石に囲われた文字の刻みが重厚な雰囲気の三角点が迎えてくれた。

 山頂から僅かに下ると向こうに明るく開ける景色が見えてくる。伐採地である。

本日初めての岩 中山の三角点 伐採地があった

 地味尾根だから、こんな景色が何よりのご褒美。山仕事の人以外でこの景色を見ることが出来るのは、こんなマイナーなルートに足を踏み入れた者だけの特権だろう。

 伐採地のへりを進み、下っていく尾根にうっかり吸い込まれそうになった。進むべき方角はと、コンパスを出すも下から上がってくる古い作業道で尾根形が寸断されていてよくわからない。よく目を凝らすと200mほど下のほうに二筋の尾根形が見えた。斜面を直滑降しながら近づき再度コンパスを出して無事ルートに乗ることが出来たが、今日一番難しかった箇所であった。

 再び鬱蒼とした地味尾根をコツコツと進む。時折差し込む木漏れ日に有難さをつくづく感じるのは冬ならではの情景かもしれない。

女峰山は雪雲の中 地味尾根をコツコツと 木漏れ日とはまさにこの事だね

 この山域は林業が盛んだったようで、山のあちこちに作業道が縦横無人に交錯している。ここまで来る間にも何本も進路をクロスし、ピークを巻く作業道を見た。つい誘惑に駆られて踏み込みたくなるが、何処に連れていかれるか解らない不安を感じ、頑なに尾根キープを貫いてきた。だが遂に下から上ってきた作業道と進路が一致。四輪でも通れるような立派な道だ。

 その作業道もいよいよ途切れ、突き上げた先には鹿よけのネットが出現。先には目指す鶏鳴山が明るく聳え、うす暗い植林地を歩いてきた目に眩しく輝いていた。 

再びコツコツと 進むべき方向と作業道が一致 鹿よけネット出現

 ネットが開いている所から向こう側に入って進んでみたが、ネットの伸びる方向が自分の目論見と一致しているかどうかは不明。藪が薄いので捨てがたいが、これまたとんでもない所に連れていかれてはたまらない。引き返して稜線を忠実に辿っていくと、やはりネットは徐々に眼下にさよならをしていった。

ネット沿いは多少煩い 左奥が鶏鳴山、北尾根はかなり急峻 ススキをかき分け

 振り返ると中山と618mPが双耳峰のように仲良く並んでいる。南が谷になっている稜線は陽だまりで心地よいことこのうえなし。サクサクと踏みしめる落ち葉が膝に優しい。

 進路が大きく湾曲して840m級Pあたりにさしかかると鶏鳴山の鋭角なピークが正面になった。宇都宮方面から見る鶏鳴山は頂稜部が長く台形の山という印象が強いが、北側から見るその姿はむしろ槍のようである。

右奥中山、手前618mP 陽だまりの稜線は心地よし 鶏鳴山を正面に捉える

 手前の鞍部まで降りるといよいよ今日のルートの中核である急登区間の開始だ。実のところ、この手前の840m級Pへの登りも案外落ち葉で滑りやすい侮れない急登であった。ネットの記録には難渋する北斜面と錯誤した方もいるようだが、自分も異論の無いところだ。

 さて、鞍部からの登りは序盤は足がかりも多く、意外な事に出現するトラロープの存在にちと大袈裟では?と思っていると、徐々に斜度もあがりその凶暴さは遺憾なく本領発揮。

 広尾根で危険は特に感じないが、落ち葉でグリップが効かないし掴まる木がまばらなのでまさに四足歩行で進まざるを得ない。気が付けばトラロープにお世話になりっぱなし。この区間が難渋、というのを身を持って実感した次第だ。
 今年の春に登った男鹿岳の栗石山への急登を彷彿させるような登りであったが、むしろこの位の斜度だと雪が締まった所をアイゼン等で登ったほうが楽ではないかとも思う。

段々と急になるが・・・ トラロープ出現 延々と伸びている

 ようやく上部に平坦な部分が見えてきた。最後まで延々と張られたロープにすっかりお世話になってしまった。設置された方に大いに感謝します。

 ロープの終点からすぐ登山道に合わせると北峰へ到着だ。やれやれ大休止としよう。

うまく伝わらないがかなり急登 ありがとう。トラロープ 北峰で食事休憩
真正面の男体山も雪の中 小来川の集落を向く石祠 古賀志山から鞍掛尾根
先ほど通過した眼下の中山 手前の火戸尻山、奥が六郎地山 土沢IC方面の500数十m無名峰

 コーヒーを飲んでいると冷たい風がいくらか強くなってきた。そういえば今日は日光連山は深い雪雲の中。しばらくはあの方面も厳しい季節になるのだろう。

 鶏鳴山の山頂は今日は通過点。その先に進むと、しばらくは落ち葉をカサコソと踏みしめる軽快な散歩道である。

今日は山頂は通過点 心地よい落ち葉歩きがしばらく続く 鶏鳴山を振り返る

 後半も案外アップダウンが多くて今日はなかなか体力を搾り取られるが、815mPで東に向かえば本格的に下山開始だ。

コブの木 後半の登り返しは堪えるね シンプルな道標

 6年前に小来川集落より笹目倉を経由して鶏鳴山を目指した時に歩いた稜線を覗き込む。この先の境界尾根を東へ進み石尊山へと抜けるルートが宿題となっている。

 終盤は変化の乏しい植林地下りを続けるとやがて林道へ接合した。先ほどの「下山道」の道標もそうだが、こちらの「登山道」も「どこへ」が抜けているところが渋いね。

 実は帰宅して知ったことが一つ。今回の自分の下山路は分県登山ガイド栃木と栃木の山150で紹介されている815mPからの下りルートと一致しているが、何気なくめくった下野新聞栃百本は815mPから北東尾根を進むのではなく、南側にある境界尾根の一本北側を下り、林道志路手線と接合している。
 境界尾根で石尊山への計画で使うのは無駄な回り道になってしまうが、次回鶏鳴山を歩くときは是非辿ってみたいものである。

 駐車地に着いてみると朝の先行者の車がまだ止まっていた。片側デポでどこまで出かけたのだろう。相棒の存在がちょっぴり羨ましい一瞬であった。

笹目倉方面への下り 懐かしい 林道へ出た この道標も渋いね
霜柱の林道を行く 綺麗な沢を見ながら 今日の山遊びは終了

概略コースタイム

駐車地発(07:59)-取り付き(08:06)-岩(08:45)-中山(08:52)-伐採地(09:00)-618mP(09:26)-
作業道(09:46)-鹿よけネット(09:57)-840m級P(10:53)-鞍部(11:07)-北峰(11:40)-昼食休憩-
行動再開(12:33)-鶏鳴山(12:38)-947mP(13:00)-815mP(13:30)-林道接合(14:21)-駐車地着(14:41)

カシミール3Dデータ

沿面距離:11.3Km
累積標高差:(±)1,236m
所要時間:6時間42分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値

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中山から鶏鳴山北尾根を登る への10件のフィードバック

  1. 野球親爺 のコメント:

    最近、調子が上がっているようで何よりです。
    多分まったく同じルートをほぼ10年前に烏ヶ森の住人さんの記事を参考に登りました。
    懐かしく記事を拝見いたしました。
    自分の写真を見返すと中山には当時の栃木の山に殆ど必ずあった栃木の山紀行さんと山部さんの板がありました。もう撤去されてしまったのですね。
    鶏鳴山北斜面にはまだロープは設置されておらず、凍結もしていて、這いつくばりながら登った記憶があります。
    来年は酉年なので以前にまっちゃんさんが歩かれたように西側から歩こうかと考えてます。

    • まっちゃん のコメント:

      やはり北尾根はロープ無しで登られたのですね。
      自分はロープが無かったら大難渋だったと思いますが、今回のこの周回は
      ある意味体力のバロメーターのような気がしました。
      この周回が辛いと感じたらそろそろ山歩きも転換点かなって。
      日々衰えていく体力ですが、今後も時々歩いてみたいルートでした。

  2. リンゴ のコメント:

    季節も冬となり、いよいよ本領発揮といったところでしょうか。
    鶏鳴山は過去に1度だけ、当時ブームだった「さるやの石」探しに登ったことがあります。
    完全にブログネタ用でした(;^ω^)
    笹目倉山に続くルートはいつか歩いてみたいと思っています。

    あっ、そのカップラーメン、今日自分が山で食べたのと同じだ(笑)

    • まっちゃん のコメント:

      やはり寒い時期は自分は絶好調のような気がします。
      というのも・・・
      単なる暑がり?
      冬はオーバーヒートしないので調子が上がります(^_-)-☆

      笹目倉への尾根も超が付くほどの地味尾根ですが、冬場のトレーニングにはうってつけの
      好ルートだと思いますよ。

  3. ケン坊 のコメント:

    こんばんは。
    徐々にコースが延びて、これからますますまっちゃんの本領発揮ですね。
    鶏鳴山は栃木百名山への挑戦ということで1回だけ...
    その日はダブルヘッダーで笹目倉山も登ったんです(車移動ですが)。
    それにしても凄いな~ ケン坊から見たら別世界の話です

    • まっちゃん のコメント:

      鶏鳴山は東からの登山道でも結構骨の折れる山だと思いますが、
      ダブルヘッダーで笹目倉も登られたのですね。
      標高差なら笹目倉から尾根通しで鶏鳴山のほうが楽かもしれないですよ。

      あちこち歩きたいルートは浮かぶのですが、以前のように綿密に下調べする時間が
      なかなか取れないのが悩みどころ。
      でも、最近は駐車地の下見なんかはストリートビューでも結構出来ちゃうので便利な
      時代です。

  4. chikoやん のコメント:

    あらら、まっちゃんも、来年の干支シリーズですか?
    小来川付近の山深い感じは、近くを車で通るだけでも
    素敵な雰囲気だなぁ。と思いますが、、、
    あっ、、その、、、、
    ミーハー登山しかできない私にとっては近づきがたいエリアでもあります。(^^;
    尾根をつないで歩く。。。なんて経験をしてみたいなぁ。と思っています。
    山の上に石碑を立てて、、、ここでも、信仰の対象となっていたんでしょうね。
    コーヒーを入れたり、スムーズにカップラーメンにお湯が注げるやかん。
    ほしいアイテムの一つだったりします。(^^;

    • まっちゃん のコメント:

      山のミーハーはむしろハイキング的に本流ではないでしょうか。
      自分もミーハーに憧れているのですが、恥ずかしくてなかなか実行に
      移せません。

      まず、身なりからして駄目です。
      とても人前に出られたもんじゃありません。

      かくして、隠れキリシタンの如く人の影を避けてひっそりとした地味山に出現するのです。

      ・・・と、ちょっと大袈裟でしたが、

      やかんはマイベストアイテム。
      っていうかいつもこれ一つです。
      だって山ではお湯沸かすしかしないので(爆)
      あ、かつて一度だけペペロンチーノを作ったことはありましたが(奇跡)

  5. 亀三郎 のコメント:

    いろいろ地図みて考えてました
    駐車地から815ピーク コブの木経由の山頂 そして ピストンでも
    かなりきつそうですね (^_^;)(^_^;)
    あと、案外 ルートが迷いそう??
    ガーミン見れば大丈夫か?とか いろいろ想像してました。

    未踏の栃木百名山なので
    挑戦したい気持ちはあるのですが・・・・

    • まっちゃん のコメント:

      うーん。そうですね。
      815mp経由は若干心もとない感じの所もありますが、むしろ下山に使った
      ほうが良いかもです。
      登りはガイド本に載ってる東か登るルートで周回するのが良いと思いますよ。
      久しぶりの亀三郎さんの山行記事お待ちしております。

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