風雨雷山~笹目倉~鶏鳴山
アーカイブ:今市鹿沼の山達
投稿日:2010年12月12日 18:55
日光の山並みも日増しに白さを増し、遅い里山の紅葉も静かに終わりゆく。いよいよ里山逍遥の季節到来である。
開幕第一座は先日偵察済みの鶏鳴山周回である。コースは、宮小来川より風雨雷山、笹目倉山と登り、北北西の尾根を辿り鶏鳴山南南東の815mPにて尾根を乗り換える。ここからはガイドブックなどに紹介されている周回コースで鶏鳴山へ至る。鶏鳴山からの下山は、山頂先の石祠のある展望地付近から新谷集落へ向け廃道化した地形図の破線を求めて落下傘のごとく下降。あとは林道へ拾われるという内容である。
最近の山行は早起きが続いたが、今回は近場ということもあって比較的ゆっくりの出発であった。文句なしの上天気に気分も高揚する。
黒川沿いに車を西走させ、眼前にピラミダルな笹目倉山の端麗な容姿が飛び込んでくると、思わず車を止めてカメラを向けた。
笹目倉の端麗な姿 | まずは自転車をデポ | 朝日を浴びて煙る畑 |
新谷の鶏鳴林道終点(施錠されていて一般車は進入不可)に自転車をデポしたのち、日光市役所小来川支所へ車を駐めた。日曜の朝の静かな雰囲気が漂うなか、集落をそっと旅立つ。
登山口は民家の裏手から。前回風雨雷山から笹目倉山に登った時に比べると若干薮っぽい感じだが、一歩踏み込めば道形も明瞭。里山特有の植林尾根の急登が始まる。
民家裏から失礼 | 登山口は少し薮 | 淡々と植林尾根を登る |
恐竜の背骨のような、長い長い尾根道の小ピークを超えていく。やがてこのコース唯一のビューポイントから見える鶏鳴山を眺めながら汗をぬぐい歩みを止めた。更にひと踏ん張りで、風・雨・雷のそれぞれの石祠が行儀よく三つ並ぶ風雨雷山である。今回は礼儀正しく鳥居をくぐって山頂を踏んだ。
鶏鳴山ビューポイント | 風雨雷山 |
再び淡々と植林尾根を詰めていく。たまに急斜面になると踏み跡も掻き消されるが、ひたすら上を目指すべし。
やがて見覚えのあるピークへ到達すると、そこが笹目倉山頂上である。
前回は此処が目標点であったが今日は単に通過点に過ぎない。未だ全行程の半分にも満たないのである。
一旦ザックを降ろして鋭気を養い、いよいよ今日のメインコースへと歩を進める。道標こそ無いが踏み跡も濃い北側の尾根道である。
初めの急降下が終わるとあとは穏やかなアップダウンの連続だ。時たま樹林が切れて通過する陽だまりは、落ち葉の絨毯を踏みしめながら静寂の尾根歩き。
ガイドブックは鶏鳴山から笹目倉までの尾根は読図力が必要としているが、なるほどと思った箇所があった。笹目倉からの登りでは支尾根に引っ張られそうになる所が一箇所だけあるが、他はさほど難しくない。逆に鶏鳴山から下ってくると、いかにも迷いやすそうな要注意分岐が二箇所あった。それだけに、山慣れたベテランさんには面白いコースだと思うが、区間に道標は皆無なのでやはり読図が出来る人かGPSが使える人でないと薦めることは出来ないであろう。
再び淡々と・・・ | 笹目倉山頂上 | 鶏鳴山への尾根 |
途中、唯一東側に眺望が広がるポイントがある。先に進むと薄い薮が出てくるが、忠実に尾根を追うと薮が切れた所に濃い踏み跡が現れる。鶏鳴山から下ってくるとこの踏み跡は行き止まりに見えるが、脇の薮をくぐると先に進めるという按配だ。ここは初めてだと難しいポイントであろう。
再び登りに転じ、815mPに到達すれば、分県別「栃木の山」にも紹介されている周回コースへと接合である。上のほうで熊鈴の音がしている。
唯一の眺望地より | 少し薮っぽい | 登りきれば815mP |
815mPでは埼玉から来たという単独者としばし会話を交わす。お互いこのマイナーな山域で人と遭遇したことに若干驚きを隠せない。
ここからは一投足で鶏鳴山と思っていたが、やはりどうしてどうして、後半いくらか疲れも溜まってきたのかそうやすやすとは山頂へ到着とはいかないようである。
途中賑やかにおしゃべりをしながら降りてくる4人組と挨拶をして947mPへ。枝越しに鶏鳴山の頂が見える。もう少しである。
落ち葉でルートがよく判らない岩交じりの急斜面を慎重に通過し、登り返すとようやく三角点へ到達である。景色は男体山方面が若干で、眺望のメインディシュはこの先の石祠のある展望地である。
展望地からの眺望は西側が胸のすくような日光方面の景色。東側は少し樹が邪魔だが手前の長畑や大沢の集落、古賀志山から半蔵山に至る稜線、篠井富屋連峰などもよく見える。
先客の二人組男性ハイカーと食事を共にしながら、しばし里山談義に花が咲いた。
枯葉の絨毯 | 石祠の展望地にて |
食後のコーヒーが終わった頃には汗ばんだ体もすっかり冷えてきた。標高が千メートル近くもあると流石に空気がピリリと冷たいものだ。
さて、新谷への隠された下山道はいずこに。下降予定地点あたりは薮になっていていまひとつはっきりしない。少し山頂方面へ戻った鞍部から植林帯を下降しながら様子を窺って尾根側にトラバースすることにした。
下降開始予定点から僅か20m足らずの違いであったが、地形図で見る以上に急斜面であり、降りやすいところを拾いながら行くとどんどん進路がずれてくる。当たり前の事だが、下れば下るほど進路軸のずれは大きくなるのだ。目指すは手前の枝尾根の更に一本先の尾根筋なのだが、下りやすいルートを取るとなかなか一筋縄ではいかない。今こうして軌跡を眺めてみるとなるほど、枝尾根に阻まれてジグザグに蛇行している様子がはっきりと記録されている。
枝尾根の終端とも言える岩の下を巻いてようやくトラバースに成功。目論見の尾根に復帰した。もっと早いタイミングで接合したかったのだが、降り初めの急斜面を安全優先で下降を先行させたこと、地形図には記載の無い岩が延々と行く手を阻んでいたのが原因で、ルートとしては若干不本意であったが、結果的にはまずまずの出来であろう。
もっとも、最終的に接合した予定稜線の上方を眺めると綺麗に登っていく様子が見えるので、薮を嫌わずもうちょっとよく探せば尾根の「入り口」が見つかったのかもしれない。この点が若干残念ではあった。次回訪れる機会があったらこの尾根を登り詰めて検証しようと思う。
新谷に向けて下降開始 | かなり急斜面 | 想定ルートから少々乖離 |
樹林の急降下から抜け出した明るい緩斜面で小休止。若干のザレに足を取られながら尾根に取り付くと後は忠実にこれを追うだけである。踏み跡こそ無いが進むべき進路は明瞭。高度が下がり、やがて植林帯へ入るともう迷うことは無い。
暫くして右に左に沢音が聞こえ出し、下山路も終盤であることを知る。
植林帯から一旦脱出 | 想定ルート復帰 | 再び植林帯へ |
尾根の終端で沢に接合すると、そこで廃林道に出会う。冷たい沢水で顔を洗うとまさに生き返った思いだ。緊張から解き放たれた思いで、背中に大きくのしかかる鶏鳴山と別れを告げるように最後の林道区間を歩き始めた。
廃林道は部分的に薮化しており、斜面が崩落している場所も見受けられる。長らく使われていないようで自然へと還りつつあるといった趣だ。下って行くと現役林道としての姿が徐々に現れるようになってくる。
今日は一体どのくらい歩いたのだろうか。一歩一歩、前に出す腿の筋肉がわずかに硬くなっている。きっといつもよりは疲れているのだろう。久しぶりの渾身の里山逍遥にすっかり昂ぶっていた自分を、冬の淡い午後の日差し溢れる林道終点が優しく迎えてくれていた。
自転車デポ地へ無事復帰 | 風雨雷山 | 鶏鳴山 |
コメント投稿日:2010年12月14日 22:47
まっちゃん こんばんは
ミスコースしたという尾根には岩があったとですか?
地形図に載らないくらいな岩場でも、ハイカーにとっては越えられないこともありますもんね。
行動時間が7時間を越えてからのルートロストじゃ、ちょっとあせってきますよねー。
体力のない私だと遭難の心配をする頃合です。
ところで、19日の篠井富屋連峰行は鉱山跡に行くということですが、もしや篠井金山跡のことでしょうか?
歴史好きにはたまらんところです。レポートが非常に楽しみであります。
コメント投稿日:2010年12月15日 22:07
けむさん、こんばんは。
どうしようも無いほど凶暴な岩場では無かったですが、場所が場所なだけに安全優先で通過していたら、どんどん進路角がずれていってしまいました。
一応GPSで確認しながら歩いているので、方角修正は間違いなく出来るのですが、いざという時は二百mくらいなら登り返せば良いやという気持ちでした。
行動開始から約4時間半で、この下降区間でしたのでまだ余裕でしたが、流石に7時間後にあの状況に置かれたら私でも大人しくハイキングコースを下ったと思います。
19日はQ造さんのご案内で篠井本山の金山採掘口跡を見に行く予定です。
けむさんもよろしかったらご一緒しませんか?
コメント投稿日:2010年12月15日 22:33
こんばんわ まっちゃん。ソロ籔山行 今シーズンのスタートですね。
マイナーな地方の山塊にも山人が来てるんですね。
登山ブームも本物になってきたみたい。
国土地理院地図には 鶏鳴山の名称はないんですね。はじめて知りました。
この時期 里山には ハンターが多く入山してますから充分注意してくださいね。
大倉山でホントに 恐怖を覚えましたから。
コメント投稿日:2010年12月15日 23:14
19日はQ造さんのご案内で篠井本山の金山採掘口跡を見に行く予定です。
けむさんもよろしかったらご一緒しませんか?
行きたい! ・・・のですが残念ながら既に予定インです。
くっそー、いつもはヒマなのに。
レポートを楽しみにしています。天気よければいいですね。
行動開始から約4時間半で、
あらら? いったい私はどういう読み方をしていたのでしょう。お恥ずかしい。
もっとも、私の場合3時間くらいでカラータイマーが付いてしまうので、時間を書き換えれば同じ意味のコメというのも情けないお話であります。
コメント投稿日:2010年12月16日 21:23
>里山逍遥の季節・・・まさしくまっちゃんの季節到来ですね。
安全なハイキングコース専門の軟弱ハイカーにとってはワクワクする様な冒険レポが楽しみです。
篠井富屋連峰は残念ながらご一緒できませんが、お二人のレポを参考に時間が有る時に半分でも歩いてみようと思います。
コメント投稿日:2010年12月16日 22:58
>せろーGさん
古賀志山もそうですが、鹿沼の山は結構県外から来る人が多いみたいですね。
逆に宇都宮からも茨城とか群馬の山に行く人が多いんですかねぇ。
今冬は自分も茨城県境行きたいと思ってます。(薮ルート1本計画中)
笹目倉~鶏鳴山間は「休猟区」の看板があったので安心して歩けましたが、新谷の西側の山域では銃声と猟犬の声が聞こえてました。
狩猟許可地域の地図がどこかにあったはずなんですが、せろーさん何か情報お持ちですか?
>けむさん
19日は写真でご報告します(うまく撮れるかな)
>リンゴさん
年が明けて都合が合いましたらどこかの山でご一緒させてください。
花の季節の高原山周辺が特に希望です(^_^)
{自分、花のタイミングにいつも合わないので}