-『GPSmap60CSx』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
半月山の過去の記事
2007年9月16日 半月山から茶の木平まで
3月に入り、日に日に暖かくなっていく。ちらほら花の便りも聞こえてくるも、遠目に見る山は依然白い輝きを放っている。今シーズンの雪山歩きも未だ計画の半分も消化しきれていないが、週に一度あるかないかのチャンスなのだからやむなし。楽しみは来年に持ち越せば良い。
今回は天気図読みが難しく、結局天気予報任せで判断。概ね好天のようだが、矢板方面は風が強そうなのでパス。那須はコンディションが良さそうだが先日赤面山へ登ったのでこれもパス。残ったのは社山か半月山だが、雪の社山は結構きつそうなので、事後の疲労を考慮すると土曜日に登りたいところ。今回は土曜日が天気が悪かったのだ。
結局半月山に落ち着いたのだが、中禅寺湖から単にピストンしても面白く無い。かといって茶の木平まで足を伸ばすのも辛そうだ。途中、狸山から北北西に伸びる明瞭な尾根を下って下山する周回コースに落ち着いた。
まだ夜が明けやらぬ中、車を走らせる。星が全く見えないので恐らく曇っているのだが、昨日見た予報ではそういう要素が皆無だっただけに少し不安になる。白み初め、明智平に着く頃には男体山の勇姿が綺麗に見えるようになった。
準備を終え歌ヶ浜駐車場より出発。中禅寺湖の北と西は青空が見えているが、南側の社山から半月山にかけては低い雲が厚く掛かっている。平野部と近接しているこの稜線は、度々このエリアでも異なった気象状態になっていることを見かけることが多い。まさに今日はそんな感じだ。半月山稜線に出る前に晴れてくれれば良いのだが・・・
湖岸の周遊道を雪のある季節に歩くのは初めてだが、なかなか情緒があって良い。しかし、相変わらず北側は良い天気だが向かう方向はどんよりとしている。
狸窪へ着くと何やらテントが一張。人の姿は見えなかったが、この区域は幕営と火気の使用は禁じられていた筈。まぁ流石に今の時期は問題はないのだろう。
狸窪からは夏道で半月峠経由で登っていく計画であった。だが、トレースは皆無であり、暫くは雪の上に少しだけ出ている柵を目印にしたり、古いトレース痕を探したりしながら登っていく。赤テープなどの目印が無いので基本的には自分でコースを決めなければならない。
夏道がジグザグに付けられている所を、積雪期ならではのショーットカットで直登していく。やがて最後に見た柵からいよいよ夏道は不明となる。もう頼るものは無い。半月峠へ行くためには途中からトラバース気味に進まなければならないのだが、右手を見ると大きな谷がありここに突っ込むのは流石に危険だ。谷の手前で見つけた尾根は若干木がうるさく斜度もあるが、よく締まった雪とスノーシューの相性も良い。此処から半月山へ直接突き上げるほうが安全と判断した。
標高差200m以上のノートレース急登、それも枝をくぐりながらだから結構辛いはずなのだが、何故か今日は絶好調。一歩一歩しっかりと蹴りこみながら着実に高度を上げていけるのも、やはりMSRのライトニングアッセントのお陰である。固めの雪質とも相性抜群のグリップ性能だ。加えて、このくらいの斜度になるとヒールリフターの効果も絶大である。散歩用のスノーシューではとてもここを登ることは出来ないだろうし、ワカンやアイゼンツボ足ではきっと数倍以上体力を消耗することは想像に難くない。深雪OK、固めの急登OKとまさに隙の無い性能が遺憾なく発揮されている。岩混じりとかアイスバーンのようなところで無ければほぼこれだけで行けるのではないだろうか。逆にこれで登れないようなところは自分の技量の範疇を超えているだろう。
ひとしきり登り、ようやく上の方に光が見えてきた。見上げると枝の間から鋭い光が幾つか差し込み始めている。やっとガスが切れてきたのだ。山頂からの稜線も近い。登るほどにガスの中に突っ込んでいくような樹林帯の孤独な急登のプレッシャーから開放されると思うと俄然心が軽くなってきた。
一旦突き上げた箇所から尾根の乗換となる。斜度は一気に緩み穏やかな尾根道となり、そしてやがて山頂へ到達。燦々と光り輝く青空と樹氷が美しい。
中禅寺湖展望台の方へ足を伸ばしてみる。夏道と違い、痩せ気味な稜線が続く。途中からガクンと下げていきそうなので無理せず中断し、好眺望のポイントがあったので此処を今日の自分の『展望台』とした。
山頂へ戻り後半のルートへと進んだ。日が明るく差し込む稜線は気持ちが良い。このあたりは流石に登山者の往来も多いらしく多数の足跡が入り乱れている。今朝付けられたと思われる真新しい足跡の持ち主は、早い時間に社山に向かって行ったのだろう。取付きが茶の木平か、それとも半月山スカイライン(旧)か、いずれにしても雪道ならかなりのロングだな。
半月山北東稜線は前日光への眺望が良い。2007年に山を歩き始めて間もない頃に此処を歩いた時もいたく感動したことがあるが、この時期もまた格別。
途中、稜線を横切る鹿の集団に遭遇した。カメラを向ける暇も無く去って行ってしまったが、彼らの脚力は凄まじい。斜度が40度もあろうかという急斜面を長い脚を軽やかに抜きつ刺しつと進めながら、数頭一糸乱れぬペースで登っていく。現場で彼らの足跡を見たが、まったく滑っている様子もない。卓越した脚力と抜群のバランス感の持ち主のようだ。自然の中では丸腰の人間など到底敵う相手ではないのだ。
その後も谷底から5~6頭の群れが向かいの斜面へ登っていく様子を見かけた。先頭鹿のルートを外さず縄が踊るが如き行進は実に見事であった。
ちなみに稜線は鹿の足跡と真新しい糞が多数散乱していた。鹿の糞といえば乾燥した正露丸の大きなやつといったイメージだが、つい先程排泄したばかりなので、出来立ての煮豆のように艶々しているのがリアル。あまりにも多いのでスノーシューの足の置き場に困るくらいだ。
日の当たる稜線は既に雪もシャーベット状だ。もはや雪を楽しめるのもこのくらいの標高では限界のようだ。ビギナーとしてはもう雪山ハイクは今季はおしまいだなと思った。
一旦下りきって半月山第一駐車場へ。今日はここで景色を眺めながらランチである。雪の無い時は車やバイクで何度も訪れているが、今の時期、車の往来はもとより足跡も僅かである。Docomo、KDDI、ソフトバンクのアンテナが設置されていて携帯もバッチリ通信可能だ。そんな人工構築物多数のこの場所だが、今の時期のこの静けさは値千金である。
駐車場脇にある小高いピークのさらにその奥にある狸山へ向けて出発。昨日今日付けられたものでは無さそうだが、スノーシューの古いトレースが一名あり。暫くはトレースと共に進む。
狸山の山頂は眺望も無く相変わらず地味だ。以前来た時に無かった無線中継所で少し殺風景になってしまったが、山名が記されたポールの雰囲気は以前と変わらず安心する。もとより此処は茶ノ木平への通過点に過ぎない場所なのだ。
前に歩いた時に狸山あたりで足が攣ったことを思い出した。最近は休憩時に軽くストレッチをするので攣ることは無くなったが、流石にあの時はちょっと焦ったものだ。
狸山からは今日のハイライトである。前半の登りも結果的には積雪期ならではのハイレベルなバリエーションルートとなってしまったが、こちらは計画済みのバリルートだ。茶の木平まで行かず、かつ延々と車道を使わずにショートカットするには狸山から北北西に伸びる顕著なこの尾根を下るのが一番であろう。最悪雪の状態によっては車道歩きに変更もやむなしと考えていたが、こちらも北斜面なのでよく締まっていて非常に歩きやすい。尾根形は明瞭で引き込まれる箇所も無く方角は一直線である。
雪が無い時期に歩いても面白そうだが、流石に此処は動物達のエリアのようだ。此処もやはり鹿の往来が多く、つい先程通過したと思われる道が尾根にできていた。まさに鹿道だ。暫くは自分もそれを伝いながら降りていった。
初めは厳しかった下りも下に行くにつけ穏やかになってきた。GPSを見ると車道まであと僅か。静かなこの森と別れを惜しむがごとく、立ち止まる回数を増やしながら進む。
やがて道路へと面する。高さ3mくらいの法面のある所に出てしまった。去年の暮れの氷室山の再来かと思ったが、すぐ脇に雪付きの斜面がありそこから道路へと無事出ることが出来た。
後はひたすら車道歩き。近々開通されるであろう道は除雪も行き届いていて現状でも充分通行可能と思われるが、継続的に維持するための予算は新年度から付くのだろう。雪が無くなったら、またこの快走路を走りたいものである。
最近定番化しつつある下山後の立ち寄り湯だが、今日は登山ルートに負けないくらいマイナーな日光温泉をチョイスした。一番有名な「やしおの湯」と、旧今市にある「かたくりの湯」の兄弟温泉である。
受付で「一名お願いします」と言ったら200円ですと返事。それは日光市民料金では?と問うと市民でないなら400円ですとのこと。おおらかというかいい加減というか、まずこの問答からして味わい深し。
やたら狭い脱衣所から浴室に入るとこれまた狭い。シャワー付きの洗い場が二箇所しかなく、シャワー無しのカランのみが二箇所。そして痛かったのがシャンプーの備え付け無しである。
洗い場に腰かけてからシャワーの無いことに気づいたら隣の爺ちゃんが「頭洗うならこれ使いな」といってシャワーを貸してくれた。シャンプーを借りる(貰う)という度胸は流石に無かったので、諦めて備え付けの固形石鹸で頭を洗った。普通なかなか出来ない体験だな、これは(笑)
どうも様子を見ているとほぼ全員が近所の顔見知りのようで、出入りに挨拶が飛び交っていた。風呂あがりに話しているのを聞いたのだが、「土日はいくらか人が多いね」「少しは来てもらわないとねぇ。俺らみたいに80円で入っているんじゃ潰れちまうわな」とか。日光市民なら200円、更に高齢者は80円。うーん、なんともローカル温泉ではないか。
日光温泉の名誉の為書き添えるが、お湯そのものは循環式とはいえなかなか良かった。休憩室も座敷とロビーがあってゆったり。もっともロビーは風呂あがりの相撲観戦に興じる爺ちゃん達が寄り合っていて、とてもそこで休む雰囲気では無い。故障中の張り紙が垂れ下がる建物の中で唯一の自販機(外に出れば玄関に立派な自販機があるのだが)のある座敷で、しばし火照った体を冷やしてから温泉を後にした。
概略コースタイム
立木観音駐車場発(07:03)-狸窪(07:45)-半月山(10:10)-西端へ(10:19)-第一駐車場(11:18)-
食事休憩-行動再開(12:04)-狸山(12:19)-車道へ接合(13:01)-立木観音駐車場着(13:41)
今季最後の雪山は半月山でしたか。
私も奥日光の社山か刈込湖で〆ようかと思ったのですが、年度末の仕事疲れが残り那須高原でお茶を濁してしまいました(;^ω^)
それにしてもMSRのライトニングアッセントの威力を聞くたびに、どうせならワカンよりもそっちの方が良かったかな~と、今更ながらちょっと後悔・・・。
3月が年度末の方は多いですが、逆に自分の会社は夏に年度末を迎えるのでどうも世間とズレるところが難です。
今年は自分も頑張って花の旬を手繰り寄せてみたいものですが、毎年リンゴさんの記事を見て「あぁいいなぁ」と思っているとそのうち花が終わっているという感じのパターンが続いています。
ライトニングアッセントは確かに高性能ですが、ワカンはワカンでまた別な味わいがあります。
雪山慣れしている人はワカンでどこでも行っちゃいますが、少なくとも自分の雪山は極力体力の消費を防ぎたいところなので無理せず適材適所。場合によっては小回りの効くワカンでよく締まった所を歩くのも楽しいですよ。
あ、今年はワカンの出番無かった。来年こそは・・・です。
こんばんは。
雪の半月山でしたか~ 皆さん、那須へ日光へと元気ですね~
ケン坊からすると夏道でも大変なのに雪道ですからね~
やはり雪に足を取られる分だけ疲労感も倍以上なんでしょうね。
今回が雪山は最後とか...
まだまだ日光・那須の山は雪山の世界と思ってましたが、終わり?
休みとの関係もありますから難しいですよね。
200円で温泉とは有り難いですね。公衆浴場並ですね...
2000m未満の山ではすっかり気温が高くて、昼間はグズグズ、朝はカリカリでもう雪質は期待できません。
もっとも、今回自分が歩いた場所はそのくらいのほうがグリップが効いて楽なのですが、やはりふわふわふかふかの雪に膝くらいまで埋まりながら登るのも素敵。疲れますけど。
日光温泉は「日光市民です」と言って入れば良かったな。周囲の状況からすると『超高額入場者』となり収益に寄与した模様です(400円で)。
おー、半月山には、結構まともに雪があるじゃないですか!社山とか見ると、ツボで歩けちゃうので、面白くないなーと思ってましたが、半月山なら、十分スノーシュー楽しめそうですね。
ライトニング・アッセントは、前爪がしょぼくて、蹴りこみが利かないのが、残念ですが、横歯の利きが抜群で、おっしゃる通り、「雪面であれば」ベタ置きで、そのまま登れてしまうのが、嬉しいですね。前爪を利かせて、本格的に登りたいなら、タブスかアトラスですね。
日光温泉って、やっぱりあったんですね!(笑)気にはなっていましたが、場所が分かりづらい気がします。セブンのところから入って行けばいいんですね。今度、行ってみたいです。
社山はやはり入山者が多いのでトレースが出来上がってるのでしょうね。
北側の尾根(上野島尾根、大日崎尾根、松ヶ崎尾根)ならきっとスノーシューで楽しめると思います。
松ヶ崎尾根は熊の気配が濃いということなので積雪期が狙いめかもしれません。
ライトニングアッセントの前爪は確かに心許ないですが、アイスバーン状の所でなければ充分グリップしてくれているような気がします。
日光温泉は激シブでした。
温泉だと思って行かずに公衆浴場だと思って行くと吉かも。
こんばんは。まああ、内容の濃い、楽しそうな山行もとい雪山ハイクですね~~
冠雪の男体山ほか、周辺の山々も見た目が全く違って新鮮な印象です。
内容は熟読できていないので、また改めてお邪魔します~
今回は雪のバリルートで満足度120%でした。
社山は人が多く入っているイメージですが、半月山界隈は案外静かなものでした。
穴場かなと思いましたよ。
いやあ、30度ぐらいの軽アイゼンぐらいならささる程度のクラストバーンなら、グリップするみたいですよ。(あまりお勧めはしませんが。)
結局、ライトニング・アッセントは、ヒールリフターと2枚の横歯が絶妙で、しっかりヒールに乗れば、2枚の横歯が利いて登れるというイメージですね。
まあ、今ならTUBBSやアトラスも同程度の性能なので、値段からして割に合わないですが、買ってしまったし、サイズ的に使い勝手がいいし、踏んだ感じも好きなので、しばらくはライトニング・アッセントがメインです。
スノーシューも各社高機能なものが出ているのですね。
履き比べればいろんなことが解るのですが、流石にお値段が・・・(^^;
ライトニングアッセントはやはり二枚の横歯と周囲のエッジが決まり手のような気がします。
こんばんは。じっくりと拝読&コメントを…と思ってから、随分と時間が経ってしまいました(^^;)
改めて、青空に輝く樹氷、白い稜線、湖を囲む山々と、素晴らしい景色の数々・・・
いいなぁと、憧れ&羨ましい気持ちで拝読しました。無雪期とは全く違って見えるのが良いですね。
見慣れて、少し見飽きた感のある湖畔の道ですら、全く別物に見えます。男体山も幽玄。
我が家は今冬、赤面山で最高の時間を過ごしましたが、もう1回くらい雪山に行ければ
よかったかなぁと、しみじみと感じたNonでした(^^;)
雪山に限らず山のコンディションって難しいですね。
自分は基本的に単独なので、天気に合わせて山に行くことが出来ますが、グループ登山だとそうはいかない。結局は不本意ながらも悪天候をついて登らなければ、なんてこともありますよね。
山歩きのスタイルの話になっちゃいますが、山で非日常を味わいたい自分には、社会的調和を求められるなんてちっとも楽しく無いなぁ・・・なんて、勝手な中年のぼやきでした。
今季はもう雪山は終わりですが、来季に向けてあれやこれやと妄想を始めています(笑)