-『GPSmap60CSx』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
那須の三本槍の手前に控える赤面山。スキー場跡地を詰めて登るコースが一般的であるが、夏などはさぞ暑くて大変だろうとこれまでなかなか山行の候補に挙げてこなかった。また、積雪期の手軽な雪山としてはかなり前から意識はしていたが、那須エリアは晴れたとしても有名な強風地帯である。山頂に立ち踵返しで即下山というのは流石に興ざめだ。積雪量と天候、とりわけ風について気にしながら機会を伺っていた。また、なるべくトレースが無いバージンスノーも要点(理想はゼロ)。
好機は到来した。南岸低気圧の通過で山間部も積雪量を増した感のある週末、高気圧が広く日本を覆い関東北部はほぼ高気圧の中心部に位置する。快晴無風の条件は揃った。後は現地の積雪量とトレースの有無だけだ。
スタートだけは誰にも負けじと早朝に自宅を発つ。高速代を奮発して那須高原SAのETC出口より一般道を走った。ところどころMtジーンズ那須の案内があるので道に迷うことはないが、沿道はコンビニなども無く見事な田舎道であった。出掛けの7-11で必要な物をすべて入手していて正解だった。信号も殆ど無いので、宇都宮からこのエリアに来るには高速使いで最短時間かもしれない。
今まさに日が登ろうとしている白河スキー場跡へ到着すると既に先客ありや。どうやら日の出の写真を撮影しようとしているカメラマンの車が一台。日の出の寸劇が終わるとすぐ撤収していった。支度を終えて歩き出そうとすると車が一台止まった。スノーシューを車から降ろしたから赤面山狙いは間違いないだろう。
スキー場跡に踏み出すと一面のバージンスノーだ。これは期待出来るぞ。序盤は何処から登ってもスキー場跡地内を行くわけだが、セオリー通り、脇の少し高いところを辿るようにしてルートを決めた。雪質はパウダーとは程遠いが、恐らく数日前の降雪が少し緩んだあとに再凍結した感のある表面が固めで下は比較的柔らかい。スノーシューでおよそ10cm~20cmの沈み込みだ。
少し高度を上げると山スキーのシュプールが残っており、そこに積雪がかかっている。降雪前に訪れた山スキーヤーによるものだろう。
一本目のリフト終点から更に上にあるゲレンデ跡にとりかかる。樹が無いので広大な壁が立ちはだかっているように威圧感がある。ここまで来ると山スキーのシュプールも皆無となり、何一つ通過痕の無い神聖なこのゲレンデをこれから一歩一歩踏んでいくと思うと思わず身震いをしてしまうほどの喜びに包まれる。
実は後続に二名の登山者が居た。一人は途中で上着を調整している時に追いつかれて会話をした。好天に恵まれた事を話題として自分が先発した。新雪で自分もかなりバテながらだったが、時折後ろを見ると彼もペースを落としながらゆっくりと登っていたようだ。
もう一人は一本目のリフト終点で追い付いてきた男性だが、この方は上から見る限り登るペースが早くてこれは間違いなく追い越されるなと感じた。自分には到底張り合うほどの体力はないので今日の山頂一番乗りは諦めかけていたが、大きな一眼レフを首から下げた彼は撮影の時間にかなり割いているようで、結局山頂には自分が余裕で先着出来たのである。
二本目のリフト終点より、いよいよスキー場から離れて本格的な山道となる。というのは夏道の話で、この季節は原則何処を通っても問題ないが、GPSで方角を決めて進んで行くと沿うようにしてピンクリボンがところどころに見える。どうやら間違ってはいないようだ。
明るい自然林を登っていき一旦広い場所へと抜ける。BCの人にはうってつけの場所だろう。ここより進み、赤面山の南東の曖昧な稜線に差し掛かると茶臼岳と朝日岳が顔を覗かせる風景に感動する。
奥に小さな頂きが見えるがあそこが恐らく山頂であろう。(実際は山頂手前の小ピークが見えている)最後の登りもまた自らの選択で雪面にルートを築いていく。山頂付近は踏み抜く回数も増え体力の消耗が多くなってきたが、もうすぐ一番乗りで山頂を踏めるという気持ちで一歩また一歩と足が自然に出てくるのが可笑しい。
山頂直前は風が強く、雪面が複雑にえぐられていて次の一歩を置くのも困難なくらいだが、慎重に進みようやく山頂の見事な海老の尻尾を見ることが出来た。見れば、前黒山に続き今回もまたウサギに先を越されたようだ。
物凄い好天に無風。周囲の山々のなんと神々しいことよ。このコンディションで最後までトレースリーダーとなり山頂を踏んだ喜び。正直、最近の山行の中ではベストと言っても過言でないだろう。
時間は早かったが湯を沸かしてカップラーメンとコーヒーでのんびり景色を楽しんでいると、後続のカメラマン氏がシャッター音をさせながら登ってきた。ひとしきり山頂を撮影したあと、更に前岳へと向かっていった。彼ほどの脚力なら造作もないことだろう。地形図を見ると50m下ってさらに50mの登り返しで前岳に到達出来るのだが、眼前の様子から吹きさらしの稜線は近づきがたい雰囲気も感じられる。
コーヒーが終わる頃、今度はBCスキーヤーの三人組が登ってきた。彼らも今日の好コンディションにいたく感動している。どうやら年配の一人は本来単独で残りの若者二名と途中合流したような雰囲気だ。
(山頂からの風景動画) ゴーという音は湯を沸かしている音
景色を充分堪能して下山の途にかかる。程なく先ほどの年配スキーヤーがシュプールを描きながら追い越していった。
今回は尻セードデビューを目指しザックにぶら下げてきた。下山時に少なくともスキーゲレンデで使えるんではないかと期待していたが、いざ滑ろうとしても雪が柔らか過ぎて腰をかけると埋まってしまって滑るところではない。急斜面で試みても全然だめだ。悪戦苦闘している姿を登ってくる人に笑われてしまった(笑)。ちょっと残念であったが、食事の時に尻にひいて本日のお役御免である。
下山中に実に沢山の登山者やBCスキーヤー、ボーダーに出会った。コース全般にこれといった危険な箇所も無いので人気があるのもうなずける。若い単独女性がボードを背にしてガシガシと登って行く勇姿にも出会った。
登山組は比較的年齢の高いグループが多かったが、雪に足を取られて皆お疲れ気味。すれ違う度に「もう下山ですか?山頂まで行ったんですか?あとどのくらいですか?」と必ず問われる。「朝一で登ってきました」と答えるのが内心少しこそばゆい。あなた達が登っているそのルートは自分が朝付けたんですよと喉まで出かかる。
車の元まで戻ると朝はがらがらだった路駐が列をなしており大盛況。時折通過する車のドライバーは一体此処に何があるのかと理解に苦しむだろう。道路からはフェンスで覆われていてゲレンデの様子は伺えないからだ。ここよりMtジーンズ寄りの路側にも沢山停まっていた。これだけの人達が赤面山を目指す中、雪面の一番美しい状態を堪能出来たのが今日の一番の収穫だったのは間違いない。
概略コースタイム
駐車地発(06:39)-一本目リフト終点(07:40)-二本目リフト終点(08:31)-山頂(09:37)-食事休憩-
行動再開(10:31)-二本目リフト終点(11:00)-一本目リフト終点(11:17)-駐車地着(11:46)
早いですね。
午前中にサクッと登って来られるとは・・・
真っ新な雪原を歩いての山頂1番乗り、そしてこの展望・・・いや~、堪りませんな~(^^)v
シーズンに数回あるかないかの好天気に恵まれて良かったですね。
私はこの週末は山休み、次の週末に賭けてますよ。
那須で風が無いのはこの時期かなり希少。今回は運が良かったのだと思います。
天気にもよりますが、自分も今シーズンあと二回位は雪を踏みに行きたいと思ってます。
リンゴさんのように県外遠征は自分には無理ですが、八海山神社詣でと枡形山散策はやはり外したくないところです。あともう一箇所行きたい所もあるのですが、うかうかしていると春が来ちゃうかもですね。
バージンスノー...おめでとうございます。
自然界が全面的にまっちゃんに味方してくれたようで。
きっと気持ち良いんでしょうね。自分の軌跡だけが...
あぁ~ケン坊だったら涙が出ちゃうかも?
それにしてもまっちゃんの状況判断というか状況を分析する
力には感服です。
今日は天気も悪いので”確定申告”に行ってきました...
昨日とうって変わって今日は天気が悪く久々に家の掃除とその後家内と映画を見に行きました。
それにしても、”確定申告”かぁ。良い響き。
まだまだ甲欄で源泉徴収される身が5年近くもあると思うとため息が出ます。
こんばんは。今回はタイトルだけで全てを物語っていますね。こんな日もあるんだなぁと、
信じられないようなお気持ちだったのではないでしょうか。「眼下に雲が…」なんて
風景も、朝が遅めの我が家はとてもじゃない、見られませんでした。羨ましい~(^^)
不発に終わった尻セードは、次のお楽しみですね。ちなみに奥日光・三岳峠では、
急斜面であれば、やや沈みながらも滑ることが可能でした。雪の積もり方は、
森林限界と森の中とか、そうした違いなのでしょうね。
今回は本当にラッキーでした。
特に無風が一番ありがたかったです。
尻セードは今シーズンにリベンジ予定ですが、雪が柔らかすぎてもダメなのでなかなか難しいですね。
お久しぶりです。
赤面は未だ登っていず・・・。
やっぱり那須のえび具合はいい感じですね~!
気になるのは鬼面です。登ってる人いるのかな?
そして、霧降行かれたのですね。スノーシューは、働き者でよきアイテム!
ご無沙汰しております。
鬼面山は無雪期だと山頂部が背の低い灌木薮で苦労するという話を聞きます。
攻めるなら雪のある間のほうが良さそうですね。
自分も宿題にします。