-『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
今年は9月10月が多忙で山行、とりわけ紅葉の山行に縁が無かった。那須や日光の紅葉で名高いエリアとまでもいかなくても、またバイクツーリングだけでも必ず毎年紅葉は見ることが出来ていたのでいささか寂しいものだ。
ウェザーニュースの紅葉チャンネル(ネット)を見ていたら庚申山が紅葉のピークをほぼ過ぎつつあるが未だ見頃であるという。それでは、ということで庚申山行きを決定したのだ。
庚申山は今回が初めてで、いままで行かなかった理由は駐車地から登山口までの4Kmの林道歩きを嫌っての事。元来ピストンコースがあまり好みでないのに加えて往復8Kmの林道歩きがどうにも乗り気にさせてくれなかったのだ。山自体は是非登ってみたかったので、どうせなら一部分だけでも周回出来る『お山巡り』ルートを加えることにした。
久しぶりの山行故に、気合を入れて4時20分に自宅を出発。まだほの暗い日光のメイン通りを過ぎて足尾へと車を走らせる。自宅を出た時は星が見えていたが、段々明るくなってくると思ったより雲が厚い。日中の晴れ間を期待したいところだが。
かじか荘前を通り過ぎ林道ゲートに着くと既に駐車スペースの空きが少なくなっている。自分も早いほうだが皆さん皇海山狙いなのだろうか。仕度をしている間も2台やってきて、大きな車は置けずに少し手前の駐車場に戻ったようだ。
舗装林道を暫く歩くとゲートがもう一つあり、ここからは砂利道で歩きやすくなった。後続の足の早い単独の人に(自分が遅いだけ)2人抜かれた。自分の体力だと序盤のこういったアプローチ区間で無理して飛ばせば、必ず後半バテるので抑えて歩く。慌てることは無い。明日も休みだし時間は沢山あるさ。
林道右手に忽然と現れる「天狗の投石」。同じような大きさの岩が綺麗に積み上がっている。下部のほうなどは城の積石のようにきちんと並んでいるいるので、なんとなく人工物的な雰囲気もするが自然現象だとすればかなり珍しい光景だろう。
かつて、この片道4Kmの林道歩きを自転車でどうにかならないかと考えた事があるが、駐車地から一の鳥居まで標高差が200m以上もあり、だらだらながらも結構登りの区間がある。自転車で来たら一の鳥居までに余計な体力を使ってしまうことになるのは必定。歩きで正解であった。(帰りは下りなので気持ち良さそうだが)
一の鳥居から始まる登山道は、序盤は遊歩道のようなしっかりとした道を進む。周囲の景色は色付きとは縁遠い落葉の世界。初冬の趣だ。果たしてこのまま登山中は紅葉を見ることが出来ないのであろうか。
かつて庚申講が盛んだった頃に埋設されたという丁目石がこの百丁目以外にも登山道沿いに続く。中には上半分が折れてしまったもの、草葉の影に埋没しかかっているものなど様々だが、文久年間(1861年~1863年)に埋設されたということだから約150年前のものとなる。このあと通過する猿田彦神社は建屋だけで百坪あったという。こんな山奥に当時の資材搬入力で、かくも大きな社殿を作ったいにしえの講のにぎわいに思いを馳せた。
やがて大きな岩に出くわす。鏡岩、別名孝子岩というその由来の説明書きの文章が簡潔にして秀逸。単語の選択と短い文章の組み立てでかくも「伝わる」説明になっている。
いろいろツッコミどころが多く、そもそも「娘を犠牲にして自分が助かるのはどうよ」とか、猿化した娘と遭って本当にそれと判ったのか?などというつまらん話は無しとしても、この猟師の末娘もいじらしいではないか。昨今ならば親父が勝手にした約束なぞ知らぬとそっぽを向かれるのがオチだ(;´∀`)
お次は夫婦蛙岩。蛙の夫婦が仲良くおんぶをしている様子が目に浮かぶ。
仁王門の岩の間を通って進んでいくと、やがて猿田彦神社跡に到着する。ここからコースは二分されて庚申山荘を経て直接庚申山に向かうルート、そして今日歩く予定の『お山巡り』ルートに分かれる。
『お山巡り』ルートは、庚申山荘の裏手に聳える衝立のような岩稜沿いを歩く奇岩奇石の連続するコースだ。庚申山に登るだけなら山荘脇の登山道から行けば70分程で登れるらしいが、そこをわざわざ遠回りして2時間余計にかけて山頂を目指す事になる。
猿田彦神社跡にて休憩を入れて右手へと進む。宇都宮大学ワンダーフォーゲル部の「嶺峯山荘」を脇に見ると、すぐにジグザグに付けられた笹の中の道となり尾根を目指して登っていく。
いきなり岩やはしごが出てくるのかと思っていたが、序盤は普通の山歩き。尾根に出てからも案外勾配は緩まずゆっくりと登っていく。後続の二人組に追い着かれるが今回は先が長いので無理せずお先にどうぞ。
ようやく階段が出現。特に階段が無いと通過出来ないような難所ではないが、そろりそろりと登っていく。南への眺望が段々と開けてきた。右手に伸びる庚申山の山頂から北東に伸びる稜線は、地形図からも読み取れるように勾配が緩慢で尾根幅も広い。遠目にみると笹藪だけで灌木は少なく案外歩きやすそうだ。途中の1821.7mP(オロ山)までだと片道1.8Km。寄り道するには少し遠いが機会があったら歩いてみたいものだ。
この尾根は通称中倉尾根と呼ばれ、360度眺望の続くルート(鉱毒で木が立ち枯れているので景色が良い)らしい。道標やピンクリボン皆無の完全ルーファンコースと言われているので心動かされるものがある。銅親水公園を起点とした周回山行記録などもあり、今後候補にしたいルートだ。
尾根を登り切ると、岩壁沿いを伝い歩く『お山巡り』の中核部に差し掛かっていく。一旦崖地を下って立派な吊り橋を渡る頃になるとまさに岩の間を縫うといった表現が相応しくなってきた。
僅かな距離だが痩せ尾根を慎重に通過すると「本社の見晴らし」に出る。標高差200m真下にある庚申山荘の屋根が小さく見える。
(動画:本社の見晴らしから見える風景){映像が暗く風切り音が少しうるさいですが、ご勘弁を}
見晴らし脇にある狭い隙間をくだるのが鬼のひげすりだ。ここも立派な梯子が設置されているので通過に危険はまったく無い。
帰りに撮影したものだが、下の写真(左)の分岐道標。このしっかりとした道標を見落とし、一旦庚申山荘方面へ降りかけてしまった。どうも降下が続くなと思ってGPSを覗いたら・・・やっちまったぁ。如何に漫然と歩いていたかの証だろう。ルートがあまりにも明瞭だったので気にも留めずに歩いていた、というのは言い訳でしかない。標高差約100m、時間にして往復25分のお仕置きを受ける事になったのである。
くぐる必要は無いが、匍匐前進でも子供くらいしか通過出来ない大胎内など、こちらの本コースも奇岩奇石が多い。『お山巡り』ルートは「初心者は遠慮願います」と案内板にあったが、こちらのコースも初心者ならずとも注意が必要な箇所があった。
やがて傾斜が緩むとその先にひっそりと山頂があった。眺望が無いのは知っていたので、さっそく西にある展望地へ進むと既に数組のハイカー達が休憩中であった。
ここからの眺めは秀逸で、まず正面にどっしりと鎮座する皇海山に心を奪われることだろう。皇海山から三俣山へ伸びる手前の稜線、そして奥中央には白根山の姿が日光の中心であるかのように見えている。
(動画:庚申山の西展望地よりの風景){映像が暗く風切り音が少しうるさいですが、ご勘弁を}
昼食休憩後、皇海山へと向かう道をちらっと窺う。この先、鋸11峰を経て鋸山へ登り皇海山をピストン、六林班峠から戻ってくるコースに憧れるが、その場合は庚申山荘での一泊が必須となろう。あまりにも名高いルートであり、また先般皇海山に登った時の群馬ルートは栃木県民としてどうも裏口入学のような気がしているのは確か。いつの日か実現したいものだ。
大胎内の分岐を今度は間違いなく下山路として降りていく。庚申山荘にかなり近くなると岩壁の基部ともいえる箇所をを通過するが、下写真(中)でそのスケールを窺うことが出来るだろう。
休日なのだからだろうか、庚申山荘には管理人さんらしき人が居た。中を覗いて見るとザッグが多数デポされている。早朝此処を出発して皇海山巡りをしているのだろう。小屋泊まりの経験が無い自分にとっては憧れだが、まずは装備を入手して経験者に連れて行って貰うしかなさそうだ。
思いの外疲れていたので、予定していた「天下の見晴らし」往復を取りやめ下山の途につく。猿田彦神社跡から先は来た道だが、時折射す日差しが朝より眩しくて鮮やかな陰影を作り出す。紅葉というより黄葉の森を下っていくのは気分が良いものだ。
ようやく一の鳥居まで戻ってきたが、庚申七滝も次回「天下見晴らし」を訪れる時のためにとっておこう。あとは長い長い林道歩きを坦々と行くのみ。まだ3時だというのにに空が今にも泣き出しそうだ。そんな林道脇の樹々、傍らの山腹の樹々は残り少ない秋を惜しむように懸命に色づいているようにも見えた。
概略コースタイム
駐車地発(6:13)-2カ所目のゲート(6:40)-一の鳥居(7:21)-百丁目石(7:49)-鏡岩(7:55)-夫婦蛙(8:07)-
仁王門(08:18)-猿田彦神社跡(8:33)-支尾根(8:56)-岩稜到達(9:27)-本社の見晴らし(9:46)-
庚申の岩戸(10:15)-一ノ門(10:24)-道迷いに気づく(10:36)-一ノ門へ復帰(10:58)-
庚申山頂上通過(11:35)-西の展望地着(11:38)-昼食休憩-行動再開(11:58)-一の門(12:46)-
庚申山荘(13:23)--猿田彦神社跡(13:34)-一の鳥居(14:45)-駐車地着(15:44)
お山巡り、なんかとっても楽しそうですね(^^)
庚申山は以前からコウシンソウの時期に行こうと思っていたのですが、他の山でも丁度花盛りとなる季節。
そんな訳で毎年その頃になると存在を忘れてしまいます(^_^;)
来年こそは行くぞ~!勿論片道4Kmの林道歩きを承知の上で・・・。
お山巡りはガイド本によっては「上級者のみ」なんて書いてありますが、古賀志山の裏コースなんかを考えると全く安全です。まぁ行政としては注意喚起をしておかないと事故があった時に問題となるからかもしれません。それだけ中高年の登山が普遍化して殆ど経験の無い人が何処にでも登ってしまう事の裏付けなんでしょう。
花ハンターのリンゴさんにとってはなかなか手の回らない山域かもしれませんが、来年はコウシンソウのレポートをお待ちしてます。お山巡りは本当は子供が小学校の高学年~中学生くらいなら連れて行ってやると面白がるかもしれません。今となってはお互いオヤジだけで楽しむ他ないようですね(^_^)
こんばんは。
ケン坊も一度登ってますが、まっちゃんとは逆まわりでした。
取り付けの往復が一番きつかったような記憶が。
お山めぐりは最初から覚悟していたので、それなりに楽しんで
歩いてきました(魔女は少し調子を崩して苦労しましたが)。
まっちゃんのログで蘇ってきました...あの時の感動と苦痛が。
山頂直下の急登区間は結構堪えますね。
お山巡りはケン坊さんの歩いた時計周りの方が、後半連続する下りで楽なんじゃないかと思いました。
猿田彦神社跡からだと岩峰まで結構登ってそのあと高度を下げてまた山頂まで登り返し。
(自分の場合は道間違えで100m降りて100m登り返しのおまけ付き)
最近一日遅れの筋肉痛が常態化していたのに、一晩で筋肉痛が出たのは若い頃の再来か?
いやいや単に筋力不足なだけのようです┐(´д`)┌
こんばんは。実は、3日に庚申山…という話が、我が家でも出ていたんですよ~
前回の「天下の見晴し」ではなく、お山巡りを含めて山頂を踏むコースで。
ただ去年の同時期(11月の連休)ではツマラナイと、止めにしましたが、
まあ、結局はNon夫が本調子ではなかったので(呼吸器系疾患でペースが
上げられない)、実現は厳しかったかなぁ… 行動時間も長いですもんね(^^;)
最後があの林道とはいえ、やはり万全でないと…と思います。
でも、まっちゃんさんのレポで、お山巡りのイメージがよく分かりました。感謝です。
なんだか石裂山に似ていますね、整備の仕方を拝見していると。クサリもかかって
いるし、ハシゴもしっかりしているし。ツツジの季節などを狙って出かけたいです(^^)
P.S. 鏡岩のくだり、思わず「ぷぷ、そうなんだよね~ ( ´艸`)」でした
石裂山と同じ。
まさにその通りです。
整備してるが故に事故は好ましくないという雰囲気はありました。
純粋に登山と考えると、絶対通過できない箇所に梯子がかかっていたりするので、いわば、バリエーション登山とか表現しても良いかもしれませんね。
Non夫さん、最近調子が優れないようですね。
お大事にしてください。
こんばんは
7月社山 8月茶臼岳 9月新湯富士と
昨年同期に比べて
がくんと山歩きペースが落ちてる私から見ると
どの写真も、、『怖く』感じます。
吊橋も、鎖も、はしご、ステップが刻んである岩場も、、、
そしてなにより、
私の場合、駐車場ついた時点で運転疲れ、、、そして、林道歩きだけで
疲労がピークに達するような、、、そんな気さえしますです(滝汗)
でも
皇海山は一生無理でも
庚申山は、いつかチャレンジしたいんですよね~~~
そのとき
また、このログを参考にしますので
じぇったい
ブログは閉じないで下さいね!!(ペコリ)
高所恐怖症な方だとちょと厳しいかも知れません。
でもでも、
どんな分野でもそうですが、怖いと思うのは人間の基本的な防衛能力だと思います。
怖いもの知らずという言葉がネガティブに用いられるのは、そういった訳だと思います。