韓国旅行(3日目 10月15日)

 訪韓前から80%から100%の降雨確率の予報が出ていたので、三日目は傘を差しても行動出来るところを考えていました。家内はインサドン(仁寺洞)のお店でショッピングをしたいということだったので、ホテルに飛行場への迎えの車が来る正午頃まで別行動としました。

 チョンロオーガ(鍾路5街)に向けて地下鉄に乗っていた時の出来事。ドア脇に立っていて向かいの席に座る青年と一瞬目が合ったと思ったら、彼は自分の荷物を席に置いてやおら立ち上がりこちらに近寄り「チョギ チャリ エ アンジュセヨ」(そこの席にかけてください)と話しかけてきました。
 突然のことだったので驚いて一瞬の間の後に「ゲンチャナヨ」(大丈夫ですよ)と答えるのが精一杯。

 韓国では儒教の教え濃く、年長の人には必ず席を譲る、年長の人より先に食事に箸を付けない、年長の人の前では煙草は吸わない、年長の人と向かい合って酒を飲む時は必ず顔を盃ごと横に向けて乾杯する等々、民族に深く根付いている習慣があるようです。日本人から見ると笑えてしまう話ですが、初対面の時に必ず相手に尋ねるのが年齢で、これを確認しあうことで相手との関係が決定します。不明なままだと、どう相手に接すればよいのか解らないので落ち着かないのでしょう。たった一歳違いでも年上の人は年下の人の面倒を見なきゃならない(食事の時は奢ってあげる)し、年下は年上の人に失礼のないように接しなければならないというしきたりのようです。
 日本だったら、自分のような中年が列車内で立っていても誰一人声を掛ける人はいないでしょうが、流石韓国と唸らせられる一幕でした。降車駅で彼に近づき「コマッスミダ」(ありがとうございます)と言って別れました。爽やかなソウルの思い出です。


クワァンジャンシジャン(広蔵市場)

 チョンロオーガ(鍾路5街)に向かった理由は登山用品店巡り。あれだけ登山人口があるのだからさぞかし店も多くて激安な用品が揃っているのでは、という浅ましい気持ちで出掛けたのでした。
 正直、三日目の行動は全く予定していませんでした。前の晩ホテルでタブレットであちこち見ていたらたまたまチョンロオーガ(鍾路5街)の登山用品街へ行った記事が乗っていた、という思いつきプランです。(ホテルの無料Wifiでタブレットからネットに繋がるのでいろいろ便利です。でも日本のブログへのコメントは海外のサーバー経由の投稿をを禁じている場合が多いようです)

 地下鉄駅から通りに出てみると、成る程、登山用品店が並んでいる。でもまだ時間が早くてどこも開店していません。しかたがないのでコーヒーショップで暇つぶしをしましたが、ここでもまた店内の無料Wifiが使えます。韓国ってほんとにIT大国です。

 コーヒーショップから出て暫し周囲を散策しているとクワァンジャンシジャン(広蔵市場)のハングル文字が目に飛び込んできました。そういえばガイドブックの隅に小さく載っていたなぁと思い出しました。今調べてみると、あまり日本人観光客も行かない地元の人が利用する市場だそうです。


白熱灯の灯りが暖かい

 屋根が掛かっているので雨も気にならないし、白熱灯の雰囲気がとても心地よい。まだ早い時間なのでアジュマ(おばさん)達は仕込みで大忙し。たまに暇そうなアジュマと目があっても呼び込みの声もかからないのが釜山の市場との違いかな。自分が日本人に見られなかったのか、あるいは此処では日本人お呼びで無い、という事なのか。とにかくディープなソウルの本物市場を見たような気がします。大体、ナムデムンシジャン(南大門市場)やミョンドン(明洞)に行くと看板も呼び込みも日本語だらけ。でも、ここカンジャンシジャンではその片鱗も皆無でした。


アジュマ達は仕込みで忙しい

 カンジャンシジャンから戻る時にプチ迷子になりかけました。「あの建物はさっき確か見たよなぁ。すると地図の現在地はここの筈」なんてやっているうちにまた同じ場所に。こりゃリングワンデル(山用語で遭難して同じ場所をぐるぐる回る事)だなぁ、とちょっと焦りました。ここは落ち着いて街の道標をよく読んでまずは地図の正置(北側に地図の上と合わせる行為)だな。ということで多少苦労したものの事なきを得ましたが、もっときっちり地図をを読んで更に小さなコンパスでも持って行けばよかったとマジで反省しました。


登山用品街

 登山用品街は、確かにいくつかの専門店が並んでていて、MILLETやMAMMUTなどに混ざってK2という韓国オリジナルブランドのショップの店などもありました。どこのお店も平日故にガランとしていて、言葉も殆ど解らないのに流石にそこに足を踏み込むのも憚れます。一件だけ勇気を出して入ってみました。よく見れば掘り出し物があるかもしれませんが、ざっと見たところ特段安い訳でもなく敢えてこの街で買うことも無いかなぁと思いました。


MAMMUT


 


東大門の衣料品街外れ

 トンデムンシジャン(東大門市場)方面へ近づくと古い商店が立ち並ぶあたりにNORTH FACEのパクリものなどの激安品が並んでいます。こちらもちょっと買って帰るにはアレなのでパスです。


お昼は鍾路の地元っ子向けのククス店で

 時間が押してきたので最後は食事。今度こそはあっさりしたものを食べましょう。結局前回の韓国旅行の時もチョンロサンガ(鍾路3街)あたりでククス(にゅうめんのような麺)を食べた記憶が。今回も同じ鍾路エリアでククス店に入りました。


マンドゥ(餃子)ククス

 小ぶりの餃子が入ったマンドゥククス(4000ウォン)、屋台以外は必ず二人以上で食事する風潮のある韓国にしては珍しく、女性が一人だけの姿が目立つ店内でした。韓国人は一人で食事をしていると、「可哀想に、一緒に食べる人も居ないの?」と思われるそうな(^_^)

 ホテルに無事帰り着き、やがて家内とも合流。現地旅行会社の担当者に拾われて帰国の途についたのでした。

 今回の韓国旅行は、釜山行きのKTXの切符を取った以外に計画的な事は何もしておらず、殆どその場で行動を決めていった超気ままな旅なのに意外とエキサイティングな内容となりました。何よりも、自力で移動する自由さと不安感、そして現地の人達の世界へどっぷり浸かれる充足感。これを旅の醍醐味と言わずしてなんと言いましょう。そんなややこしい面倒な旅は嫌い。お金をバンバン使ってうまいもん食って楽しい所行こうや。という人も多いでしょうが、少なくとも自分はそういう旅は好きではないのは確かなようです。
 一般の旅行者が韓国に行き経験する「焼き肉」「エステ」「マッサージ」は今回も皆無。ましてや、ソウルなら観光客が必ず訪れるミョンドン(明洞)やナンデムンシヤン(南大門市場)にも足を運ばず。韓国行ったのに焼き肉食べて来なかったの?じゃ一体何しに行ったの?と質問する人も多いです。そんな時は、旅の楽しみ方もいろいろあるって事を知ってもらいたいなといつも思ってます。
 もっとも、肉を食べられなかった同行の家内はちょっと残念だったようですが(^^;

 次回の韓国旅行は釜山へ飛行機で飛んでKTXでキョンジュ(慶州)観光と、念願の屋台飲みが目標です。宿泊もヨグヮン(旅館)とレベルアップしたら最高。でもその前にもうちょっと語学力をアップしたいところです。

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韓国旅行(3日目 10月15日) への4件のフィードバック

  1. 亀三郎 のコメント:

    こんばんは
    韓国の鉄道事情??、思い出しました^^
    空席あるのに、ドア近辺で立ってると
    「おじさん、あそこに空いてる席があるから座りなさいよ」と
    わざわざ言ってくる女子高生がいたり、
    買い物袋を持ってつり革に掴まってると
    座ってるおじさんが
    「わたしの膝の上へ荷物を乗せなさい」って言ってくるし、、、
    韓国って、そうゆう国なんですよね
    懐かしく記事を読みました。
    それから
    食べ物のほうですが
    マンドゥククスも食べました。
    赤くて辛いものが、もう食べたくないときのチョイスです。
    あと、、、カルグクスも!(笑)
    カルビタンもそうでしたが
    お肉なので、まっちゃんにはダメですね~~~

    PS 旅は自分なりがいいですよ!
       わたしも偏食中年なので、、、食べられないものが一杯
       サムゲタン、、、絶対ダメ、、、
       モンモンタン、、、なんて、、とんでもないっす
       地元の人から
       美味しいのに、、、あ~~もったいないって
       よく言われましたが
       食べられないのは、、どうしようもないですから(滝汗)

    • まっちゃん のコメント:

      幼い頃から身につけた習慣が自然と出てくるんでしょうね。
      儒教的な生活週間は日本ではかなり希釈されている、というか形を変えて伝わっているのかなぁ、と思いました。

      モンモンタン。初めて聞いたので調べてみたら補身湯のことだったんですね。
      確かに犬は腰がひけちゃいますね。
      今回の訪韓でも犬は一頭しか見ませんでした(^◇^;)

  2. Non のコメント:

     こんばんは。そういえば、TVの中で、年上の人とお酒を飲むときに、年下の方が
    横を向いて飲んでいたシーンを思い出しました(韓ドラは見ないので、それ以外で)。
    電車で立っているだけで、声をかけてくるなんて… 風習ってある意味すごいですね。
     「沿線の山岳地帯も総じて標高500m程度にとどまり」、この一文は、さすが、
    よく見ていらっしゃるなあと(^^) 私も新幹線(韓国のは料金が安いですね!)
    から外を眺めながら、あれで何mくらい?なんて、考えていましたが。これって、
    ちょっとした地形マニア??(^^;;)
     旅の楽しみ方は人それぞれ。ほんと、そう思います。息抜きの旅も大切ですよね。

    • まっちゃん のコメント:

      異国文化を楽しむという意味では今回の旅行は実り多いものでした。
      他の外国も行ってみたいですが(今冬に例の北欧行きがありますが)韓国は今後も幾度となく足を運びたい異国の地になると思います。

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