二日目も天気は良かった。ただ高層のガスは依然として居座り、ホテルの窓から見えた南アルプスの雄姿も朝の早い時間だけであった。これといった予定も立てていなかったが、まずは昇仙峡に向かう事にした。
昇仙峡で思い浮かべるのはやはり我らが栃木の鬼怒川龍王峡だが、周囲の風景はかなり違った趣である。今回は車窓から眺めるだけであったが、奇岩露岩が作り出すダイナミックな山肌に圧倒された。ここに紅葉が加わればまさに鬼に金棒。是非そのシーズンに渓谷散策をしたいものだ。
今回は偵察ということにして昇仙峡の最奥部であろう金櫻神社へ足を延ばした。境内裏手の山に登ること20分で富士山遥拝所から富士山を眺めることが出来るという。見ればちょっとしたハイキングコースの体である。丸腰スニーカー、家内と一緒なのでここはパス。ただ嬉しい事に雲間から富士山が顔を見せているではないか。
往路をそのまま甲府へ向かう途中の和田峠見晴らし広場からも富士山が見えた。この場所は甲府市街地と一緒に見ることが出来るビュースポットのようだが、如何せん春霞が邪魔。やはり冬か晩秋の空気がスッキリしている時期に是非眺めてみたい景色だ。
昇仙峡の入り口でもある和田峠見晴らし広場より 甲府市街地と富士山
次は甲府市内を南下して山の神千本桜へと向かった。駐車場から先は登山道になっており、ルート上には桜並木が続き山の神神社に至る。こちらもハイキング支度はしていなかったのでパスとしたが、いずれ桜の季節に合わせて歩くのもよかろう。駐車場からは八ヶ岳や辛うじて北岳が見えているが空気の澄んだ時期は絶景となるのは間違いない。
甲府に戻る途中、山神社の里宮と思しき場所に桜と桃畑が見事に彩を見せていた。
最後の訪問地は名も無き桜塚。小高い場所にひときわ目立つそのさまに思わずハンドルを切り、細い道を辿った先にあった。桃の木を一株従えた畑地の中の見事な桜塚。山梨の旅を終えるにふさわしい印象的な風景であった。