まだまだ行きます

 車をぶつけてしまって自粛している思いきや、そんなことも無い。
 ただ、代車で車中泊はチト厳しいものがある。広さとか装備とかそういう観点からだ。
 そこで、安宿で歩きつなぐことに当面はチェンジするしかないという考えに至ったのである。

 先週の本州の天気は全般的に芳しく無かったが、今週は反動のように好天が並ぶ。
 ちと残念なのが仕事の予定を合間に入れてしまったので、そこは外せない。いくらリタイヤしたとしても社会人として最低限のルールは守らなきゃいかんだろう。あと、老いた母の通院だとか自分の通院だとかプータローも結構忙しいのだ(;^ω^)

 そんな忙しさの合間をかいくぐって(それは一般的には忙しいとは言わないのだが)月曜、火曜と群馬方面へ足を延ばしてみた。ちょっとコスパが悪いが、今はとにかく晴天のタイミングと失われゆく時間を大切にすべきなのだよ。

 で、ただ群馬方面に行くのもつまらないので、ヤマレコでアカヤシオ見頃の情報を得ていた氷室山・宝生山・十二山・根本山、ついでに熊鷹山を歩いてからというルートにした。

 林道作原沢入線は佐野側で通行止めになっているということなので、沢入側から入った。事前の予報で、ある程度の風は覚悟していたし、実際林道を走っているうちは斜面に遮られていた為に風の強さが感じられなかった。だが林道の最高標高点に着いて車を停めると、代車の軽自動車など吹き飛ばされそうな強風が峠を吹き抜けているではないか。

 目と鼻の先にある宝生山まで様子を見に行ってみようと車を降りると、風速30mくらいはあろうかという強風に体が流されそうになる。これはとても無理だ。アカヤシオどころではない。林道をそそくさと降りて沢入駅に着くと何事もなかったようにそよぐ風。たまに息継ぎするような少し強めの風が吹くが、峠上でこの程度の風ならば・・・と悔やまれるもこればかりは仕方がない。

 道中手軽に楽しめる観光スポットでもないかと考えながら走る。だが60過ぎのオヤジが一人で遊べる所なんざそうそうは無い。ままよとひたすらハンドルを握り榛名湖までやってきた。山で食べる予定だった食料を始末するため、湖畔でランチタイムと洒落こむ。少し風が強くて寒いが、たまにはこんなのも良いだろう。

 この二日間のメインの予定は、明日、二ツ岳と相馬山に登ることだ。車中泊計画でのこのエリアははあと一座、水沢山も考えていたが、流石に今回は時間と体力で割愛する。

 食後、案内板をしげしげと眺めて、周囲が火山の外輪山であった事を改めて学び直すことにより、見渡す山々の一つ一つに登ってみたいという感慨にふける。いずれも標高が1300m~1400m程度で、湖畔が1100mくらいなので、標高差300m程度のピークが周囲にポコポコある光景というのも珍しいと言えば珍しい。火山地形固有の切り立った山姿が特徴的で眺めていても飽きないのだ。


榛名湖周辺もいろいろあってじっくり歩くと数日かかりそうだ


シンボルの榛名富士 標高差300mを歩いても良いのだが既に登山服は脱いでしまっている


掃部ヶ岳をバックに 月曜だから顔はめするような観光客もおらず閑散としている


馬子さん不在 留め綱を離していてもおとなしくて動こうともしない

 榛名富士はロープウェイがありお手軽に山頂をGet出来る。登山道でも往復2時間もあれば登ってこられるのだが、今日はすっかり歩く意欲が無くなってしまったので観光収入に貢献することにした。300mの標高差を2分50秒で運んでくれるのだからこれはありがたいことだ。

 二台のゴンドラが同時に動く仕組み。自分は先頭のゴンドラに一人で乗り込んだら後から来たおばさまグループが乗り込んで来てあっという間に密に。聞き耳を立てると、どこぞの登山ロープウェイに乗って以来だとか、最近二度ほど登山道で榛名富士に登ったなど、どうやら仲良し登山仲間のようだ。


ロープウェイの往復券(850円也)を買った

 山頂駅に降り立つとすっきり見えるのは南側主体。西側は浅間山の白い姿がロープウェイの施設越しでスッキリとは見えない。それでも、登山など関係の無い観光客なら結構満足度のある風景。夏季でも16時で営業終了だが、高崎の市街地の灯りを眺めながら山頂駅からビールでも飲むなんていうのをやったら結構受けるのかな。もっとも市街地からの距離が案外あるので集客が難しいというのもありか。頼みは近くの伊香保温泉だが、温泉で手足を伸ばしてくつろいで、そして飲んだくれていればここまでは足を延ばさないのかもね。


高崎市街地を望む 大昔の火山地形なのでこういうスパっと切れ落ちた風景があちこちにある


山頂駅から三角点ピークへ数分


一等三角点 点名はずばり「榛名富士」


ド派手な社殿 冨士山神社


明日登る二つ岳と特徴的な山姿の相馬山がよく見える

 伊香保温泉経由で車を高崎に向けて走らせる途中の『伊香保温泉 高根展望台』からの眺望もなかなかに素晴らしい。後で知ったのだが、ここには四等三角点(点名:高根)がある地点だった。


十二ヶ岳、中ノ岳、小野子山 起伏があってハードそうだがこちらも近々歩きたい山だ


長野県堺の高峰


 チェックインする時に「高崎は気温が低くなりますのでエアコンがあるお部屋をご案内させていただきます」とのこと。料金変わらずなのでラッキーだね。腸のご機嫌を窺いながらスーパーで総菜を漁るのは車中泊と変わらないが、そこに一品缶ビールが加わるのが少し嬉しい。普請がチープな高崎のビジネスホテル。隣室の男性がYouTubeを見ながら軽く笑う声、荷物のチャックを閉める音まではっきり聞こえていくそんな宿の夜が更けていく。

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