北八ヶ岳方面 一日目

 過日の会津駒ケ岳車中泊作戦にて、涼しさはやはり標高が力なりと痛感した。
 帰宅後、標高の高い登山向けの車中泊適地を検索していると、いくつかの箇所が候補にあがった。
 標高が高いということは登山自体で登らなければならない標高差も少なくて済む。暑さ嫌いの自分としては行動時間が短縮されて願っても無いこと。早速それらを拾って北八ヶ岳界隈を歩く事にした。

 初日は移動のみ。一人で行くのだから高速なんて使うのはもっての他。時間で金を節約するのだ(爆)
 とはいっても下道200Km超えはなかなか骨が折れる。群馬県を横断するのに随分時間がかかったような気がするが、まだまだ往路で元気があるので勢いで走り切ることが出来た。

 それにしても暑い。途中、昼飯をとる為に『道の駅みょうぎ』に寄る。既に温度計は37度を越していた。あまり食欲も無いが、とりあえず腹に入れておかねば。
 この道の駅には、妙義山の登山口として登山者専用の駐車エリアも用意されている。眼前にそびえる山を見るといつかは登ってみたいと思うが、この酷暑の中で標高が1000m位のこの山に登るのは熱中症確定満貫レベルだ。涼しく(ちょっと寒く)なったらこの道の駅に前泊して登るのが良いだろう。

 佐久の市街地で今夜と明朝分の食料と水を調達し『蓼科スカイライン』を登っていく。標高があがるにつれ、気温計も気づけば20度台前半へ。エアコンを切って窓を開けると、少し湿っぽいが冷たい空気が心地よい。下界の酷暑が嘘のようだ。

 今日はひたすら移動だったが、『蓼科スカイライン』の途中に建設中の巨大パラボラアンテナがあった。思わず車を停めてカメラを向けた。比較対象物が写っていないのではっきりしないが、右下の建物も決して小さい訳ではない。このアンテナで宇宙からくる微弱な情報を傍受しようとするのだから大きさも頷けるというものだ。


JAXA 臼田宇宙空間観測所 GREAT54m局 (建設中)

 車の気温計が19度になった頃、今日の目的地である大河原峠へ到着。
 標高が約2100mもあると流石に涼しさも桁違いだ。


本日の車中泊地 大河原峠 蓼科牧場方面は昨年の台風被害で通行止め

 時間はまだ夕方の4時だから、設営して車内に閉じこもるのには少し早い。窓を全開にして涼しさを感じながら読書としゃれこむ。
 会津駒ケ岳の時に利用した『道の駅ひのえまた』ではアブの執拗な来訪で苦労したが、ここはアブやその他の虫はほぼ居ないので快適だ。たまに虫が飛んできても違う窓から抜けてくれるので世話無し。虫も閉じ込められないで済むので良いだろう。


トランクルームからの眺め 涼風が心地よい


右端の浅間山とその山塊

 遅い組の下山者の車が次々と走り去っていくにつれ、駐車場は段々と閑散としていった。一番最後の人は日没後の7時くらいだったかな。もうその頃には自分もすっかり設営が終わり、夕食後のコーヒーをシュラフに包まれ飲んでいた。

 寝る前にトイレに行こうと車外に出ると漆黒の闇が辺りを支配していた。夕方、眼下に見えた浅間山麓に広がる佐久市街地の明かりが宝石をちりばめたように輝いている。そして、空を仰ぎ見るとプラネタリウム以外ではめったに見られない沢山の星のまたたき。

 駐車場には恐らく週末しか営業しないであろうカフェや、当日は利用者が無くて無人の大河原ヒュッテがあるが、電気はきていないようだ。従ってトイレは一切の明かり無し。駐車した場所から数十メートルも離れているので、灯りを提げていかなければ辿り着くことさえままならない。子供の頃にトイレが怖くて行けないなんていうトラウマは無い(昨今の家屋ではそんなトイレはほぼ存在しないが)自分だが、ここだけはちょっと・・・
 昼間のことだが、トイレの入り口にある虫よけのネットを暖簾よろしく、くぐって中に入ると決まって何処からわからないが「こつん」と音がするのだ。恐らくドアか窓の建付けが悪くて空気の流れでそうなるのだろうが、薄暗いせいもあって結構不気味感がある。

 いままで、極めてよく整備されて灯りがこうこうとしているトイレがある道の駅しか車中泊に利用したことが無かったので、正直今回はガツンときたのは確か。頻尿の自分としては夜でも最低2回くらいはトイレに行きたい方だが、流石に今晩はなんとか頑張って朝まで我慢したい。それでも深夜2時頃に寒さで目を覚まし、仕方が無くトイレ行きを敢行した。
 空の星はますます美しく、周囲の闇の静寂さは妖しくも深まっていた。ライトのあかりだけではとてもトイレまで歩いて行ける自信が無い。申し訳ないが、車から少しだけ離れた笹薮の周囲を照らして何もいないのを確認してさっさと用を足して退散。背後からクマにガブリとやられるんじゃないかとヒヤヒヤだった。『車中泊仲間』は数台居たが、皆さん夢の中であろう。

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