-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
赤薙山、丸山の過去の記事
2015年02月28日 丸山から八平ヶ原へ
2012年02月19日 赤薙山
2011年02月19日 雪の丸山に登る
2010年08月29日 女峰山を目指して
2009年05月09日 快晴の赤薙山と丸山
2008年09月13日 久々の山行にグロッキー
2007年07月08日 雨の丸山を登る
二年前に、丸山から八平ヶ原へノートレースの雪面を降りたのが強く印象に残っている。今年の県内は全般的に雪が少なめなような気がするが、加えて日々の生活圏内もそして山にも春の気配が色濃くなってきた。先週の釈迦ヶ岳も随分と雪が少なかったから霧降高原はもう限界もしれない。これ以上待っていると、今年はもう気持ち良い雪遊びは出来なくなってしまうだろうと考え出かけることにした。なお、今回は赤薙山から下山して丸山に向かう際、焼石金剛から直接丸山を目指す積雪期ならではのルートも歩くことにする。
駐車場に着いて山のほうを見ると雪の少なさに愕然とする。雪の着いたこの斜面を過去三回登ってきたが、やはり3月に入ってしまうとこんなものなのかな。八平ヶ原への下りの深雪の為にスノーシューを背負い、赤薙山への備えとしてアイゼンもザックに忍ばせてきたが、スノーシューの代わりにワカンを選択しなかったのをちょっと後悔。大した重量でもないのだが、背中にスノーシューの微妙な重さを感じながらの出発だ。やはり邪魔でないと言えば嘘になる。
序盤をツボ足で登り、小丸山への急登になる前にザックを降ろしてスノーシューを履いた。先行氏は一名、12本爪のがっちりしたアイゼンで少しグズグズになりかけの雪に苦労しながら登っている様子。もうちょっとカリカリになっていればアイゼンのほうが良いかもしれないが、こういった場所では適応レンジの広いライトニングアッセントのほうが楽ちんだ。ヒールリフターを使えばほぼ直線で登っていけるところが素晴らしい。なによりも無駄なスリップが無いので体力の消耗も最小限。まさに道具に助けられるとはこのことだ。
呼吸の乱れに時折を立ち止まりながらも、気が付いたら小丸山へあっという間に到達。脇に控える丸山もまったくもって雪が無し。急登では活躍したスノーシューだが、この先では邪魔者なってしまうのかとちょっと心配になる。
先行氏は小丸山手前の展望台で休憩を終えるとすぐに降りてきてしまった。この先は視界に入る登山者は居ないが、雪には縦横無尽にトレースが付いていて、ここ数日にかなりの登山者が歩いた様子が見て取れる。
高度を上げるに従いいくらか雪質は良くなってきたが、依然ツボ足でも全然問題なさそうな感じ。スノーシューを外すのが億劫だったのでわざとトレースを外したりしながら登っていった。
赤薙山を遠くから眺めるとき、必ず思いを寄せるのが焼石金剛と山頂の黒木の森を繋ぐ湾曲した痩せ尾根である。この時期は遠くからもひときわ白く輝いていて一目でその場所を確認できる。
無雪期なら笹に覆われた小路に導かれるこの稜線はさほど危険は無いが、今の時期はふとした不注意で簡単に滑落する可能性もあり、その場合間違いなく数百メートルは落ちるはず。2012年に赤薙山へ登った時はトレースも無く文字通り痩せ尾根の感があった。斜面側の雪庇がどこまで安全か解らず、ビビりながら森側にへばりついて歩いたのを思い出した。
今年は雪の少なさもあり思ったほど危険は感じなかった。それでも斜面を覗き込むと、ここを落ちたらヤバいなぁと背筋がゾクゾクとする。
夏道の道標が森の中へと折れるが、先行者のトレースは直進。しばらくこれを追うも、やがて森の中へと吸い込まれていく。
樹林の中では小回りが利かず、扱いづらいスノーシューに手こずり始めた頃、ようやく山頂へ到着した。雪の量は五年前と同じくらいだろうか。西の肩へ行くと、相変わらず威風堂々とした女峰山がようこそとでも言いたげな雰囲気で鎮座していた。
山頂をかけ抜ける風は、登りでかいた汗にはいささか冷たすぎる。長居は無用だ。一口エネルギー補給をして、アイゼンを履くため外したスノーシューを再びザックにくくりつけた。
下山を始めると、途中で一組の男女の登山者と交差した。今日はいったいどれだけの人が山頂を踏むのだろう。
森の中はアイゼンを履いていても滑りやすくて気を遣うが、再び痩せ尾根に出ると斜度も緩み暫くは快適な下りとなった。
さて、焼石金剛よりいよいよ本日の核心部前半である。無雪期にどういう状態であったかは明確に記憶に薄いが、恐らく笹が繁茂して歩き難い草原のような感じなのだろう。それでも斜度は緩いので今の時期ここを歩かないのは実に勿体ないと常々感じていたのである。
焼石金剛から見下ろし、登山道の尾根筋と左右を分けるいわゆる派生尾根の左手へと一歩踏み出すと、そこは見渡す限りのノートレースが拡がる。雪質は上質とまではいかないが少なくとも全く踏まれていないので柔らかさは充分にあり、踏み抜きも頻発する。立ち止まってスノーシューを再び履くまでにそうはかからなかった。
登りの尾根は、ひたすら締まったトレースをスノーシューで踏んでいくストレスがあったが、ここにきてようやく喉のつかえが取れたような気分になった。
小丸山から下ってきた豆粒のような登山者が丸山を登る様子が見えた。よく見るとトレースがあちこちに点在していて山頂へは数ルートが認められる。だが、あえてそのどれも外して登って行こうと狙いを定めて降りると、鞍部から取り付いたのは2011年とほぼ同じ場所で、岩交じりの急斜面を登っていた。途中で夏道に合流すると踏み跡多数でもはや立派な道になっている。これを嫌って少し膨らみながら回り込んでほどなく山頂へ。
山頂には先ほど豆粒ほどに見えた先行のグループが賑やかに陣取っており、自分のような単独者にはとても居心地が悪い。東側は春霞で景色も良くないし、赤薙山方面を少し眺めたあと直ちに山頂を後にした。
山頂から北に進むと、しばらく真新しいトレースが付いていた。これだけ人が沢山入山しているのだから、ノートレースの八平ヶ原下りは難しいかなぁと一旦落胆するも、すぐに足跡は途絶え、その先は無垢な雪面がどこまでも続いているではないか。足跡の持ち主は先ほどの賑やかなグループの一人で、恐らく偵察にでもきたのだろう。
今日の本当の目的はこの区間の下りであっただけに、ノートレースは何ものをもってしても代え難い条件なのだ。今年もこの場所をこうやって降りられることに感謝感激である。二年前は急斜面ながらパウダースノーに膝まで埋まりながら豪快に下ることが出来たが今年はそこまで雪質は良くない。逆にスノーシューではコントロールしづらい局面もあって多少難渋したが、やはりこの綺麗な稜線に足跡を刻みながら降りていくのは爽快このうえなしである。
急斜面は時折尻セード交じりで、やがて斜面が緩んでくると八平ヶ原はもうすぐ。ダケカンバの林を縫ってサクサクと下り、ようやく平らになった所でザックを降ろした。
特に何も無い場所だが、今の時期は葉が落ちてなんとなく遠くまで見渡せる明るい林がとても心地よい。ここで昼食を食べてコーヒーを飲むのも今日の大きな目的だったのだ。
残るルートは丸山の裾野をぐるっと回り込むようにして旧ゲレンデ方面へ進めば良い。適当に進んでいくと道標を見つけてラッキーかと思いきや、進むべき先はトレースも希薄にして侮れないトラバースにいささか難渋する局面も。
すぐ下に車道が見えているのでそちらに逃げちゃえばなんてことはないのだが、それじゃつまらないってもんだ。
レストハウスからの旧登山道に合流する。ゲレンデ跡に出ようと思って窺ってもネットがきっちり整備されていて進入する隙は皆無である。二年前は所々”抜け穴”な箇所があったが今はきっちりと整備されている模様。
山スキーの細長いトレースの残る登山道を下って駐車場へ戻ると、天気予報通りに雲が出てきた。見上げる丸山もすっかりガスに覆われつつある。
今年も僅かであるが一味加えた雪の霧降高原ルートを堪能できた。そして来年も是非、出来ればさらにひと捻りして雪面に遊びたいものだと心から思った。
概略コースタイム
駐車場発(07:13)-キスゲ平(07:57)-焼石金剛(08:34)-赤薙山(09:09)-焼石金剛より未踏ルートへ(09:48)-
鞍部へ(10:19)-丸山(10:31)-八平ヶ原(10:56)-昼食休憩-
行動開始(11:36)-夏道へ合流(12:09)-駐車場着(12:24)
カシミール3Dデータ
沿面距離:6.3Km
累積標高差:(±)781m
所要時間:5時間11分
※累積標高差は、『国土地理院基盤地図情報数値標高モデル10mメッシュデータ』よりカシミール3Dにて算出した値
先週の当初の予定の場所を歩かれましたね。
私もたまたま昨年の3月の第1週に赤薙山に行ってました。
昨年よりは雪はだいぶ残っているようですが、それでも少なめなんですね。
丸山からの下りが面白そうです。来年以降に歩いてみます。
花粉症の症状が出てしまったので、雪の残る高い山に行ったほうがいいようです。
霧降高原から赤薙山辺りまでは平野部の気候の影響を受けるので、
積雪期は厳しさは無い代わりに程よい遊び場なんですね。
釈迦ヶ岳もそうですが、来年はもう少し早い時期に行こうかなと思っているのですが、
花と同じで休みと天気が合致するのが現実的には一番難しいものです。
花粉症始まりましたか。となると、暫くは植林地歩きは地獄ですね。
自分は何年か前に古賀志山で、いざ花粉症発症か?という時がありましたが、
その後なんとか乗り切ってます。
雪山シーズンもあと少しで終わり 赤薙山を楽しんできたんですね。
天気に恵まれ青空の下 スノーシューでトレースを描く いいですね。
私は何か急に 体力が落ちているのを 実感し始めています。
気持ちが あまり山に向かわないんです。で 自転車とか バイクとか(笑)。
まっちゃんの ブログ楽しみに ちょこちょこ覗きます。元気に山に向かってください。
せろーさんが体力が落ちてきたなんて、
自転車乗ってるとそんなことはないんじゃないでしょうか。
逆に自分なんかはいつまで経っても体力が付かなくて、現状維持がせいぜいです。
今年はバッテリーあがり対策でバイクからバッテリー外して室内保管。
たまに充電してますが、もう少し暖かくなったらバイクに載せて始動です。
小丸山辺りまでは多くの人が歩いている様子ですが、流石に赤薙山、そして丸山から先の八平ヶ原となると静かな雰囲気になりますね。
来シーズンはこの辺のルートも候補にしたい思います。
参考になりました。
小丸山までは階段利用の人も多いので結構な数の人が歩いているとと思います。
自分がこの区間を歩く場合は、朝の早い時間なのでまだそれほど人影は多くないですが。
焼石金剛から丸山へ向けて真っすぐ降りるルートは皆さん案外歩かれていないですが、
特に危険な事もないので是非お勧めします。
あれあれ、同じ日の空とは思えないような色ですねぇ。(笑)
季節を問わず、一度、赤薙山くらいは・・・と思いながら、なかなか
出かけられていない霧降エリアです。(^^;
なんででしょ。。
痩せ尾根にビビッてる。ってのが、一番の理由ですが、、、
やっぱ、その痩せ尾根の景色ってのが、美しいですね~。
目の前に迫ってくる女峰山が何とも雄大です。(^^)
その痩せ尾根の数百メートル落ちる斜面に、遠くから見るとトレースのようなものがついていました。
猛者がアタックでもしたのか?と思いながら近づいてみると、デブリ(雪崩の堆積物)でした。
まぁ、それだけ急なので落ちたくないですが、無雪期は全然大丈夫。飛び込み自殺したい方は
別ですけど(笑)
裏から見る女峰山って、なんかキリっとした感じがあって自分は好きです。
赤薙山に登る理由はこの女峰山と、東の平野部を見下ろしながらの爽快下山かなぁ
と思ってます。
こんばんは!
丸山、雪ないですねえ!
実は、丸山~八平ヶ原歩いたことないんです。
春になったら歩いてみよう^^*
丸山~八平ヶ原は来年の雪がふんだんにある時期に是非歩いて貰いたいです。
今回の自分が歩いた雪質ではちょっとへなちょこでしたが、北斜面なので、しっかり降っている
時期なら超パウダーは間違い無しです。
パウダー深雪の時に八平ヶ原から丸山へ登るのを考えた事もありますが、恐らく途中で
ラッセル疲れで撤退になりそう。
まずは下りで深雪の季節にと自分も考えてます。
こんばんは
天空へと続く回廊(階段)は雪無しで登れるんですか?
もっとも、まっちゃんは雪の中を登ったんでしょうが...
赤薙山や丸山、そして八平ヶ原をこの時期に歩く方が
居ること自体がケン坊には信じられません>苦<
人それぞれに持って生まれた能力も違えば、生まれた
後の生活の過程が異なるので...人生は人それぞれ
だからこの世は面白い なんて自分を慰めてます
今回も素晴らしい写真を何度も何度も観なおしています
残念ながら、階段は未だ歩いた事がありません。
雪の無い時期は階段しか選択肢はないですが、この時期は階段を登ってしまっては
勿体ないです。
でも、日光キスゲの季節に階段を使ってのんびり登るのも良いなぁといつも思ってます。
日光キスゲの時期って梅雨時なので、文字通り『霧降高原』になってる可能性が高いのが
ちょっと残念。
パンフレットに掲載されているような青空の中登ってみたいです。