-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースは全て登山道ではありません。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
関連山行
2014年04月26日 粟野の三峰山
二年前の春に粟野の三峰山を歩いた。帰路、集落に立つ石碑に東の三峰山、西の鼻取山と大栗集落の山として書かれているの見た。三峰山のほうはなるほど、山頂に信仰登山の色濃く、滅多に訪れる人は無いかもしれないが定期的に登拝されている様子が伺えた。対して鼻取山はどうか。
三峰山は地形図に山名表示があるが鼻取山は表記が無い。国土地理院の点名は『入粟野』とある。
元来ハナント山が古来の呼び名であり、近代になり漢字で当て字したのが鼻取山だと言われているという。位置にピンとこない方は参考までに地理院地図のこちらで確認されたし。
アプローチはいろいろと考えられたが、野球親爺さんのルート(野球親爺さんの記事も併せてお読みください)を参考にさせていただく。まったく同じというのも申し訳ないので、少しだけ粟野中央尾根の先を覗く山行となった。
公民館脇に車を駐めて用意をしていると地域の人が訝しげな様子で通りかかる。犬を散歩中の女性には挨拶をされる状況でこの裏手の藪を登るのもためらわれたが、人が居なくなった隙を見計らいえいやと取り付いた。
結構な急斜面で足場も滑りやすい。だが藪が満遍なく繁茂しているので手がかりは多い。直ぐに息があがるが、早く尾根に乗って姿を隠したいという一心から全力で登る。別に悪い事をしている訳ではないのだが、犬などに見つかると大変な騒ぎになりかねないのでこういった人家付近からのアプローチはなかなか大変なのである。
荒い息で肩を大きく揺らしながら日の降り注ぐ尾根に到達。今回は薄手の赤いフリース着用だが、フィールドで動物やハンターに認識されやすいので好ましい。だが取り付きはあえて目立たぬように黒のダウンを羽織って登ったものだから、たちまちの滝の汗である。やれやれ、尾根から下はまったく見えないのでもう一安心。ダウンを脱いでフリースのジッパーを大きく開ければちょっとひんやりした春の風が心地よい。
自然林の尾根は小枝が多少うるさいが特に歩きにくいことも無く、程よい自然さはむしろ好みの雰囲気だ。やがて植林帯になると見慣れた光景になる。日があまり差さない尾根道歩きはともすれば飽きてしまいがちだが、里山らしいその風情を楽しむのも山歩きの愉しみである。
植林地もオーナーによって事業の内容が少しづつ異なるのか、倒木を綺麗に片付けている箇所やそのまま放置されている所などもあり、場所によっては障害物競走ばりに歩きづらい所もあるが、まぁまぁ概ね問題は無し。ルートも変に引っ張られる枝尾根も無く順調である。413.5m三角点(点名、桑沢)は山名板一枚が静かに迎えてくれた。
459mP先は松の岩尾根になる。先が切れ落ちているのでおかしいなとGPSを見ると、どうやら尾根の乗り換えにミスしたようだ。直前のピークまで戻りコンパスを出すが、目指す方向に稜線が見いだせない。というよりも見えていなかっただけかもしれないが、進むべき方向はかなりの斜度があり危険。上から覗くと鹿食害ネットが巻かれた木が目論見の尾根に続いているのでそこを狙って下巻きする事にした。
植林帯までの下降は僅かだか、こちらも結構急勾配。だが、手がかりが多いから安全だ。先ほどの岩尾根の基部が剥き出しになっている下をトラバースするような感じで目的の尾根にどうにか復帰した。
すぐ次の450mPは南に明るく開けており休むのに好適。本日唯一見られたアカヤシオや少しくたびれた感じだがツツジも咲いていた。やはり花は陽が降り注ぐ所にしか咲かないんだね。
アカヤシオのピークから降りた鞍部より地味に厳しい登りが続く。此処に至るまでもアップダウンが続いていたのでなかなか疲れるが、楽をするような登山道があるわけでもなく、ひたすら実直に稜線を追い続ける歩きのいわば醍醐味であろう。歩いてる時は辛い辛いと愚痴っているのだが、今こうして振り返ると楽しく思い出されるのだからある意味病気かもしれない(笑)。
まずは目の前に大きく横たわるハナント山前衛の630m級Pまで標高差200mを稼ぐべし。尾根筋には林業関係の境界を示すポールが点在し、かつて林業が盛んだった頃に使われたワイヤーが残置されていた。
630m級Pから一旦下るととうとうハナント山が見えるようになった。上の方は桜などで綺麗に彩らていて遠目には花の山のようである。地形図に記載のある破線道は今はなんの痕跡も無し。ハナント山から先のエリアでは古い木道跡が見られたが、この破線道ももしかしたらかつての木道だったのかもしれない。
山頂北東尾根に乗れば、一投足でようやく目的の山頂に到着である。周囲の樹に邪魔されて決して眺望が良い訳でないが、陽が燦々と差す心地よい小広い山頂であった。野球親爺さんが登られた4年前は山頂に何も無かったようだが、ここ一年の間に設置された山名板と温度計で以前より幾らか賑やかになったようだ。
地元の人の信仰登山の対象だった三峰山と比べて、あまりにも何もなかった事にいささか拍子抜けした。古そうなものは真新しい山名板が取り付けられた木の根元辺りに落ちていた二枚に割れた古い山名板のみである。
時間も丁度良し。ザックを降ろして定番の昼食休憩だ。実はここの所の二回の山行(大佐飛山と男鹿岳)は体力温存の為に荷物の軽量化を図って昼食のカップラーメンをやめていたが、今日はめでたく解禁。
いさささか日差しで気温が高いがまだまだカップラーメンが美味しく食べられる気候だ。そしてやはり食後のコーヒーとスィーツ(セブンだが)は最高だね。山歩きはこれがなくっちゃ\(^o^)/
山頂から西に降りる尾根はスッキリしていて気持ち良い。食後にいきなりガサガサガッツリじゃなくて良かった。
途中の伐採地から本日初めての好眺望が拡がった。右奥に二股山、そして左に目をやると羽賀場山のゴツゴツした特徴的な稜線が見える。上を見上げるハナント山、下からは林道が伸びてきている様子が見て取れる。
北東にある出口集落より伸びてきている林道と一旦交差し、切通しの向かい側の尾根に再び取り付く。暫くはあまり起伏も無い変化に乏しいルートを地味に進むが、途中の鉄塔からの胸のすくような景色が気を紛らわせてくれる。
やがて下山予定の尾根が見えてきた。最後の区間は尾根の上を走る送電線の上部にある鉄塔まで、そしてそこにある三角点を踏むのが今日のフィニッシュである。
石祠を見た直後の下りが強烈。写真じゃ伝わらないが結構な斜度で逃げ場も無く今日一番の難所だ。慌てず落ち着いてじっくり通過する。
鞍部左手には不思議な感じの窪地があった。カエルの鳴声が聞こえるので湿地ににでもなっているのか。地形図を見ると北西の方角から矢印が書き込まれている。国土地理院の記号一覧を見ると陸上の凹地(小)となっているので間違いなさそうである。
林業の重機道があたりを交錯するようになるが、進路を変えずに今日の目標である最後の三角点(656.5mP)を目指すと笹の小藪となってきた。右手のやたらに立派な重機道が同じ方角に伸びているので一旦そちらに乗り換えると、脇にひっそりと終着点の三角点があった。周囲を見渡しても山名板の類は一切無し。突き刺した枝の先に結ばれた赤テープだけが過去の訪問者の存在を知らしめていた。
少し先に進むと紅白の巨大鉄塔があった。その先には車でも上がってこれそうな道が続いている。恐らく鉄塔保守用の専用道かもしれない。
今日の下山路はこの鉄塔から伸びる送電線を辿ってと考えていたのだが、鉄塔基部から直接下っていくのははなかなか厳しそうな雰囲気がある。そこで、渡りに舟(というか事前に狙っていたので確信犯)の巡視路である。
下って行くと途中にも伐採地があり、本日の最後の好眺望なり。午後になって空が曇ってきてしまったのがちょっと残念だ。
本日最後の283号鉄塔に別れを告げ、なおも巡視路を下っていく。何も考えずに進めるから気楽なもの。階段は好きじゃないが、このプラ階段は歩幅が絶妙に合っていて実に歩き易い。
新緑に輝く林、真っ直ぐな線を重ねた畑のうね、向かいの山を彩る植生の変化。里に拡がる景色は、それまでモノトーンに近かった山歩きから開放された事を実感するのに充分。自転車で駐車地に向かえば、沿道の見頃の桜やはためく無数の鯉のぼりが春を謳歌していた。
8Kmといえども殆どが下りの連続でのんびりしたものだ。遊の郷にある大量の鯉のぼりは二年前に三峰山から北西に伸びる稜線で、そして帰路の徒歩でも見たが、今年は三峰山の対になるハナント山の帰りに見ることができた。こうして、地元、大栗集落の二座に揃って登ることが出来たのである。
概略コースタイム
駐車地発(07:41)-346mP(08:34)-413.5m三角点(09:09)-倒れた石祠(09:29)-459mP(10:11)-
ハナント山(11:44)-昼食休憩-行動再開(12:35)-528mP(13:06)-480mP(13:31)-600mP(14:11)-
656.5m三角点(14:44)-最後の鉄塔(15:10)-自転車デポ地着(15:43)-出発(15:51)-(自転車)-駐車地着(16:42)
カシミール3Dデータ
徒歩区間
沿面距離:13.7Km
累積標高差:(+)1,304m (-)1,229m
所要時間:8時間2分
自転車区間
沿面距離:8.3Km
累積標高差:(-)157m
所要時間:51分
最初にタイトルを見た時は遂に海外遠征か?なんて早とちり(;^ω^)
ハナント山・・・なるほど、そんな謂れがあったんですね。
大佐飛山、男鹿岳と厳しいルートが続いたので今回は軽めかと思えば、相変わらずのガッツリ歩き・・・流石です。
久しぶりのカップラーメンもさぞ美味しかったことでしょう。
県内の山だとアド山がカタカナで有名ですが、
こちらはマイナー中のマイナー。その名を知る人も少ないことでしょう。
海外遠征も憧れちゃいますが、その前に県外遠征です(爆)
山での食事は、最近汁物が無いと辛くなってきました( ;∀;)
こんばんは。
ハナント山って全く耳にしたことも無く、チラリズムの三峰山の名に
てっきり星野の三峰山との先入観が脳裏を駆け巡ったため、
粟野にある同名の三峰山と判るまでに、相当の時間を費やした。
”遊の郷”の文字を見つけ、やっと場所が分かった次第>笑<
年が明けたら、一気に元気印のまっちゃん登場って感じですね~
地図が読める人って尊敬しちゃいます まさに雲上の人
そうなんですよね。
三峰山というと星野のほうが断然有名ですから、普通はそちらのほうが話題になるほうが
自然です。
同じ星野にある谷倉山も北西に尾根を辿ること直線にして約12Km先にもう一つの
谷倉山があるので、ホントややこしいです。
こちらの谷倉山もネタ帳入してはいるのですが、どのルートで歩くか思案中です。
県内でも同じ漢字の山って結構あるものなんですね。
長歩きお疲れ様でした。
自転車を利用するとだいぶ長く歩けますね。
私もそろそろ自転車を買おうかと思う今日この頃です。
528Pと656.5m三角点との間をまだ歩いていないので、参考にさせていただきます。
食後のスイーツもいいですね。そちらも参考にさせていただきます。
このところ、充実したお歩きをされているようで羨ましいです。
計画してみると、車道歩きが8Kmなるので、思わず男鹿岳のアプローチを
思い出しちゃいました。
で、今回は事前のネット偵察?の成果で自転車のデポとなった訳です。
というのも、最近のストリートビュー、凄いですね。
以前は田舎道は省略されていることが多かったですが、今回はストリートビュー
で県道246号を偵察ドライブ(笑)していたら、ポケットパーク水沢を見つけました。
おまけに、山側の斜面を見て、ここなら降りられそうってなところも。
でも、実際に現地行ったら写真より急斜面で「こりゃちょっと無理」ってなところは
あったので、やはり実際に現地を見るに越したことはないのですが。
食後のスィーッって言ってもコンビニ謹製のワンコインに毛が生えた程度のものです。
おはようございます^^
取り付きの写真、、、わたしの山歩き経験から言うと
完全に 道迷いして、、、強行突破の図、、、って絵柄です!! 爆笑
ここから取り付いて 尾根まで
たしかに 息切れ必至のような、、、それ 伝わりましたです。
しかし 山名板 日付が2015年!
ことしから 山の日も始まりますので
この山も 一気に メジャー栃木の里山へ~~~って
位置づけの ランクアップってありそうでしょうか??(^_^;)
以前似たような取り付きで麓の民家の犬に吠えられまくった経験があったので、
別な意味の汗もかきながら登りました。
ワンコって鼻がいいので自分が風上に居るとかなり遠くからも察知出来るみたいで、
姿が見えなくても吠えられる事があります。猟犬達は特に優秀ですよ。
ピーク一つ越したあたりから嗅ぎつけてくることもあります。
ハナント山はメジャー化はちょっと遠そうですが、
以前、東京のツアー会社が『道なき里山を行く』みたいな企画でツアーで登った記事を見た
ことがあります。
旧今市にある寅巳山なんかは干支の年には都会方面からツアーがひっきりなしだった
そうで、何事もコマーシャリズムに乗ってしまうと意外なヒットがあるかもしれません。
アクセスは、途中の林道から山頂ピストンだと手早く登れてプチルーファンも味わえて、
次版の栃木の山150+アルファに掲載か{無責任発言御免}(^_^;)