8月19日(水)
三日目も特に予定は立てていなかったが、とりあえず博物館を見ておこうということで今日も炎天下へと歩き出す。ホテルの斜向かいの人民委員会庁舎の前は昨日ベンタイン市場に行く時も通り過ぎたが、しげしげと眺めるとなかなか凝った作りだ。思わずカメラを取り出して撮影(一枚目の写真)すると向こうから衛兵の吹く鋭いホイッスルが鳴り響いた。
軍事施設が撮影禁止なのは承知していたが、どうやら至近で庁舎を撮ってはいけないようだ。ちなみに正門にはライフルを構えた兵士が立番している。
ホテルから500m程歩くとホーチミン市博物館へ到着。時代を感じさせる建物にベトナムの歴史や革命に関する展示がされている。ベトナム語と英語の解説のみで我々には展示内容を正確に理解出来なかったが、雰囲気のある建物の内外や道路の喧騒を逃れた空間にほっとしたひと時を過ごすことが出来た。エアコンが入っていればもうちょっとのんびり過ごせたかもしれない。
博物館を後にして再び人民委員会庁舎前へ戻りホーチミン像へ立ち寄る。ここの傍らにも兵士が3人程おり、ビーチパラソルの下で待機している。はためにはドリンク片手におしゃべりをしているだけに見えるのだが。
ホーチミン像と人民委員会庁舎の写真をアングルを替えて撮っていた時、像の置かれているスペースにある階段に足を掛けた途端にまたあの鋭いホイッスルが鳴った。振り向くと兵士が手を降って駄目だと言っている。
石段の上が聖域なのか、あるいは何か機密情報があるのかは不明だが、庁舎の撮影といい、望遠で撮れば何も隠せるものはないだろうと考えると、やはり精神的なもの=儀礼的なものがあるような気がした。
もうおなじみのドンコイ通りを南下し、昼食はバインミーの専門店へ。バインミーはフランスパンに様々な具を詰めたいわゆるサンドイッチのようなものだ。本来は屋台や道端の露天で食べるジャンクフードらしいが、ビギナーツーリストにはガイドブックで紹介されたお店のほうが安心だ。
訪れたお店は肉系の具以外もメニューになっている。自分はカニのバインミーを注文した。冷房が無かった博物館の後の炎天下の街歩きも相変わらず厳しく、キーンとよく冷えた333ビールで思わず喉が鳴った。
さてさてこの後の予定はというと、買い物熱が収まらない家内と娘はドンコイ通りを探索。自分は単独でちょっと冒険、サイゴン動植物園を目指すことにした。ここから約2Km程度しか離れていないが、大雑把に市中の様子が解ってきたとはいえ、一人で行くのはやはり緊張する。
中心部から徐々に外れていくとまったく観光客の姿が見られなくり、いよいよ異国を旅しているという感が深まる。事前に携帯で家内に電話が通じる事は確認しておいたので、何かあっても余程のことでない限り大丈夫だと思うが、こういうリスクを避けていると遠路はるばる海外旅行に来た意味が無いと常々思う。自分の存在以外が全て異国によって包囲されている状況というのは鳥肌が立つような緊張感と快感。うーん、何処か藪山に通じるところがあるかもしれない。
動物園の長い塀沿いに歩いて行くと、路上散髪屋があったり学校(のような建物)があったりと、なかなか生活感に溢れていた。
ちなみに、下写真中はバスの終点のようで、始発時間待ちの運転手が車内で昼寝をしていた。さして広くない道路にバスが何台も路駐したままの状況に、警察や行政も一言もなしというのが如何にも鷹揚なとところと見てとれる。
入り口を見つけて動物園に入ろうとしたら、係のおばさんにShow Me Ticketと呼び止められる。入場券売り場を探してキョロキョロしていると、Outsideと言われた。一旦通りに戻るとなるほどチケット売り場があるが、あまりにも目立たないのでこれはわかりづらい。
休日はベトナム人家族で賑わうというが、流石に平日は閑古鳥が鳴いているようだ。Ticket Please と下手な発音で5万ドン紙幣を出すと、「なんだ日本人か」といった顔つきでチケットを手渡してくれた。
動物園自体は特に変わったところもないが、何となく動物の管理が緩めで、動物達も「本気出せば脱走なんて楽勝さ」と言いそうな雰囲気。もっとも、動物園もゆるゆるだが、動物達も日本の動物園と比べると気のせいかゆったりと暮らしているような気がする。観る者の気ぜわしさを映しだしているのかもしれない。
ここ、ベトナムでは園全体がのんびりした空気に包まれているように感じた。
特筆すべきは、熱帯ならではのヘビやイグアナの爬虫類コーナーが充実していること。
以下写真、ヘビ類が苦手な方は拡大しないでください。最後にウサギ捕食中のヘビ画像あり。
爬虫類ゾーンを抜けると珍しい山猫がお出迎え。驚いたのは園内に猿やリスなどが放し飼い(野生?)されている事だ。動物達との距離感が妙に近いところもなかなか魅力的だ。
一ヶ月前に生まれた話題のホワイトタイガーの赤ちゃんは、飼育室内で母親とお昼寝中。半年位経つと親から離して飼育するというが、今回は監視カメラの画像のみであった。
入場した門と反対側の北門から園外に出ると、バイクのエンジン音が鳴り響き、物売りのおばさんが腰かけている風景に、「やはりここはベトナム」と再確認。
帰りは別な道で帰ろうと思いGPSとマップを頼りに歩く。少し雨がぱらついてきたので気分的に焦っていたせいか、一箇所曲がるところを間違ってしまって、リングワンデリングしてしまった。さっき見た景色がまた現れてオヤと思いGPSとマップを慎重にを再確認しながらホテルへ無事帰ることが出来た。
ホテルで家族と合流し、今日の最後の観光である水上人形劇のシアターへタクシーを飛ばす。夕方はホーチミン市内もラッシュアワーなので実際には歩いたほうが早いくらい時間が掛かってしまったが、乗ったタクシーの運転手が短気な人でクラクション鳴らしまくりである。此処では道路の至るところでクラクションが鳴るのはさほど珍しいことでは無いが、乗車中の僅か15分位の間に一体何回クラクションを鳴らしたのか。こんなに連続で聞いたのは恐らく人生で初めてじゃなかろうか。おまけに、交差点で歩行者を轢きそうになって我が家が「あー」と騒いでも、クールな顔でいつもの事さ的にNo Problemと言い放つ。いやはや、なんとも・・・である。
水上人形劇は壇上の6人の演者による楽器演奏と歌に合わせ、水を満たした舞台の上を操り人形がダイナミックかつ細やかな演技をするというもの。筆足らずなので詳細は詳しいサイトを参照されたし。旅行会社のオプションツアーだと食事付きで5,000円とかになっているが、我が家は自力で移動して劇場でチケットを直接購入なので一人あたり10万ドン(約550円)で済んだ。オプションツアー儲け過ぎなんじゃない。
全席指定なのだが、我が家が指定された席は通常席の更に前に臨時設置された追加席だった。後ろががらがらなのにこれってひどいんじゃ無いかなどと思っていたら、開演間際にツアーでやってきたと思しき人達であっという間に満席になった。もうちょっと時間が遅ければチケットを買うことすら出来なかったかもしれない。なかなか人気のようである。
いざ劇が始まると、近いほうが楽しめるステージの大きさで、最前列の自分達が砂かぶりの特等席となった。逆に、最後部の客は人形が小さく見づらくて不満が残ったのではないだろうかな。計らずもラッキーな結果となったのである。
劇の内容はベトナム語なので全く解らないが、貰ったパンフレットによると17部構成の寸劇からなる。言葉は通じなくても何となく雰囲気はわかる。右側真ん中の女性と左真ん中の男性の歌声がなかなか素晴らしく、合いの手の掛け声は6人全員だったり、手前のドラムのおじさんはよそ見が多いがなかなか迫力あるビートを叩き出す。全体的には素朴ながらも楽しめる内容であった。ネット評では”繰り返し見る程ではないが是非一度は見ておきたい”とされている。まさに言い得て妙だ。
ちょっと気になったのは公演内容の撮影が禁じられていない事。勿論自分もこうして写真を撮っているのだが、状況を気にしながら小さくなってシャッターを押していた。ところが隣に座ったインド人家族のデジ一を抱えたお父さんは、時折レンズを交換しながら連写するは、舞台が暗いシーンになってもストロボを発光させるはで(流石にこれは係の人に注意されていた)、ふと後ろを向くとタブレットで動画撮影中の白人観光客とか・・・日本じゃちょっとあり得ない光景にもびっくりだ。
いつの日かベトナムがより成長した暁に、ようやく彼らのパフォーマンスが商品として保護される事を願うばかりである。
夕食は再びドンコイ通りに戻り、家内が希望した店に行くも満席で断られる。適当にあたりを物色してMON HUEというベトナム北部のフエ地方の料理店に入った。
フォーとはまた違ったタイプの麺など数品に舌鼓を打ちながら、最後の333ビールで今日一日に乾杯。
おまけ
こんばんは
ホイッスル 吹かれると緊張しますか
わたしなら ドキドキしちゃって ダメかも
最悪 どっかに連行されて そのまま帰国出来なくなるとか・・・
へんなこと考えてしまいます 笑
でも まっちゃんは それから ひとり動物園も体験されて
藪山同様の緊張感?を味わい 楽しめたようですね~~~
わたしなら
ひとりなら
もそっと ちがう系統の場所を見学したいような気も・・・
でも そうゆう場所は 万国共通一番危ない場所ですから
へんな色気??は 出さないほうが賢明でしょうね (^_^;)
あはは。ちがう系統の場所ですか。
言葉が解らないと最強危険地帯かもしれないですね(笑)
ベトナムは一応社会主義国家ですから、「西側」の人間から見るとこういった規制や規則があるのは頷けることです。
ガイドブックによると、政治体制や国情に対して批判的な言動は公安にチェックされる可能性があるとか。
変わったところでは、三人の真ん中に入るのを嫌がる習慣があるので、ベトナム人に真ん中に入って貰って三人で写真を取るのは超Badな行為らしいです。
こんばんは。お邪魔するのが遅くなって申し訳ありません~ まっちゃんさんは、暑い夏に
蒸し暑さ抜群の国へ家族旅行… という夏休みを過ごしていらしたんですね。
私も遠い昔、家族(父母と姉、私)でタイ旅行をしたことがあります。
今となっては、とてもいい想い出ですね~ ああ、そういえば家族で行ったなぁって。
考えたら、ちょうど両親もまっちゃんさんくらいの年齢だったかも… なんて考えたりして。
そういえばベトナム=雑貨のイメージがあります。お父さんには興味薄ですよね(^^)
そうなんですよ。
ベトナム=雑貨=我が家の女衆のパラダイス
ということで、自分はひたすらベトナムのおじさん化 してました。
というのは冗談ですが、
エキゾチック一杯で自分も目一杯楽しんできました(^-^)