-『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
歩き残しの栃木百名山。
山頂直下まで林道が伸びていると聞いていたのでなかなか足が向かなかったが、地図を眺めていると南南東の甲(かぶと)集落に下る正規参道の隣に一本顕著な尾根筋があり、またそこにぽつんと置き去りになったような三角点が目に入った。
ルートは松倉山の山頂まではガイド本に従って(結果的に途中ルート乗換で藪こぎあり)登り、下りをルーファンコースとした。相棒は、昨年の社山から連続出場のワインレッド号である。
先日偵察済の峠にワインレッド号をデポする。車一台がやっとの山あいの道を下り木須川沿いを北上して、小学校の跡地であるオオムラサキ公園に車を置かせていただく。
登山口に向けて車道を歩いていると、路傍に石に囲われた三角点があった。地形図に記載のある164.1m三角点である。山の中でなくとも三角点を見ると何故か嬉しくなってしまうものだ。
登山口の案内に従い進んでいくと、やがて民家の脇を通るような細い道となる。やおら後ろから気配を感じると、どこからともなく犬が登場。首輪が無いのでノラらしいが人間には慣れているようだ。他の山でもそうだが、どうも自分は一人で歩いていると犬に人気があるようだ。
松倉山は有名な山で訪れる人が多いだろう。だから登山犬として案内役を買って出ているのかな。頼もしく思っていると、やがてどこかへ姿を消してしまった。時折立ち止まって後ろを見たり、回りを見渡しても姿が無い。安心するやら残念やら。
集落が切れた頃、登山道を示す渋い感じの道標があった。ここで失敗をした。道標に従い直進の車道を進んでしまったのだ。右手に登山道らしき雰囲気のルートがあったが、山頂までは無難な通常ルートでと考えていたので道標の指し示すままに進んでしまった。
結果的に退屈な車道歩きを強いられる事になってしまったのだ。「栃木の山150」ではこのルートを案内しているが、栃木百名山本では旧参道の登山道側も併せて紹介していたのを思い出した。解説本はよく読むものである。
右手の尾根を少し残念に思いながら歩いていると廃作業道を発見。GPSで現在地を確認してもルートの「乗換」はさほど難しくなさそうだ。躊躇せず廃作業道へ突入。
多少薮っぽいところもあるが元来は”道”なので進むに困難は無し。高度が上がって作業道が左手に折れかかる頃に右手の尾根によじ登るとやはりそこは旧参道。だいぶ過ぎてしまったが山道に戻ることが出来た。
岩が露出している箇所を進んでいくと車道に飛び出した。(下写真右)ここまで車で上って来られるのだ。
僅かな距離で観音堂へ到着する。左手の小高いところへ引き込まれて登って見たら「裏口」から入ってしまったようだ。改めて表から石段を登って観音堂へと進む。社叢というのだろうか、背の高い樹々に囲われてひっそりと佇む感じが良い雰囲気だ。
観音堂の下が町道終点とされている。最後の部分は登山道であっても、この観音堂があるので古くから”町道”としてきた地元の方々の信仰心が伝わってくるようだ。
観音堂より平坦な道を進むと、「いかにも」といった取付き地点がある。地図を見れば間違いなく松倉山への最終入り口点であるが、ここは是非道標を立てるべきなのではと老婆心。
僅かな距離で山頂へ到着。開けた山頂には立派な一等三角点がデンと鎮座している。だが残念なことに景色はあまり良くない。午前中は日差しがあると報じていた天気予報も外れか。少し鉛色した空に吹く風が冷たい。ここまで殆ど汗もかかずに登ってきたので余計寒さを感じるようだ。
さて、後半は本日のメインルートである。松倉山周辺は正直あまり研究していないが、今回のルートは距離的にも手頃であまり難しそうも無い。だが状況は分からないので一応藪こぎ用ヤッケに袖を通していざ出発。
先ほど取り付いた松倉山最終登山口の向こう側が目論見の尾根入り口となる。どうやら歩道を作った時に切り通しとなってしまったようである。登山道に一旦降りて右手より入っていくと賑やかなリボン、踏跡多数にて道形明瞭。その上刈払までされているという有り様。これじゃルーファンじゃないよなぁとちょっと落胆した。
尾根をたぐるように進むも、相変わらず随所のテープの多さには閉口する。それでも気持ちの良い自然感溢れる稜線を歩いていると次第に心も軽くなってくるというものだ。
少し岩が出来たなと思った頃右手(西側)に眺望が拡がる岩のテラスがあった。本日のルート随一の眺望である。
松倉山の南方、直線にして約760mにある259.3m三角点が今日の事実上の目的地である。三角点の丁度北にある小ピークでリボンに別れを告げて進路変えを試みる。等高線は込んでいないし落葉で視界も効くので方角さえ合わせれば問題は無いだろう。しばし枯葉の斜面を滑降していくと、一旦消えた筈のうるさいリボンが下のほうにまた見えている。見上げると先ほど進路変えをしたもう一つ西寄りのピークからトラバース気味にリボンコースは降りているようだ。
最後はGPSと睨めっこで三角点を追い詰めていく。目の前の一面の藪の中にあるのは間違い無いが、この背丈の高い藪をかき分けるのもちょっと憚れるなと思って周囲を探索していると・・・
藪が切れた所に三角点を発見。「ここだよ」と言わんばかりにリボンがひらひらしている。
三角点から先は、そのまま南下することも考えたが、地形図に藪地表記があるので避けた。藪好きが何故ためらうという指摘があるかもしれないが、地形図に敢えて藪地マークが記されている箇所は経験的に「かなり濃い藪」で突破に大変な労力が予想される確率が高い。
先ほど別なピンクリボンが三角点に向けて下りてきた尾根へと向けて谷沿いをトラバース気味に回りこんでいく。
難しい箇所というのは、いつも現実の複雑な地形と地形図をキチンと照合することが充分に出来ておらず、貧弱な読図力に戸惑いながらも進んでいくことになるものだ。正確に地図を読み解けば良いのだが、実際現地に立つと理屈では割り切れない部分の複雑さに翻弄されてなかなか正確な判断が難しいことがある。地図を頭で読むだけでは駄目なのだ。こうやって何回も悩みながら地形というものを覚えていくしかないのだろう。それもまた楽しみではあるが。
大トラバース後に乗った稜線は再びリボン多数。地形図の破線道の名残のような踏跡が見えた地点で、下の方に見えてきた車道に一気に降下した。道路沿いに擁壁が続くのでポイント選びが必要だなと思っていたが、他の踏み跡もこの一番安全な箇所に収束していた。
僅かに登り返して車道の峠へ。ワインレッド号に乗り換えて心地よいダウンヒル。自転車のブレーキは案外貧弱なので連続する下り坂って油断出来ない。こまめにスピードを落としてゆっくり下っていく。頬を伝う風が冷たく耳が痛くなってきた。
棚田が拡がる風景は田植えの時期、刈り取りの時期にもまた訪れてみたいものだ。
一旦集落まで降りきって、木須川沿いを北上していく。右手に、恐らく先ほど歩いただろう稜線が見える。朝何気なしに車で通過したこの道。基本的にペダルは軽快なれど、ちょっと登り勾配になるとなかなかきつい。周囲は人の姿もなく、冬枯れの田んぼで農作業の人、庭先でじっとひなたぼっこをしている老人が珍しそうにこちらを見ている。
そうだろう、山登りといっても殆どの人は登山口のピストンだから、こんな山仕度で折りたたみ自転車をフラフラ漕いでいる者はそれだけでかなり「変な奴」であること間違い無し(^_^)
オオムラサキ公園に到着。着替えを済ませて公園内をぐるりと散策してみる。もともと学校だったということで国旗掲揚のポール、二宮尊徳像、また片隅にはトラックのタイヤを埋めた飛び馬もあって、かつてここに集落の子どもたちが集まっていた様子が目に浮かぶようである。
時間は丁度12時であるが、今日は山中で食事をする予定はハナから無く、茂木の「まぎの」で蕎麦を食べるのも計画のうちであった。
「まぎの」はもう何回も訪れているが、いつ来ても混んでいる。だが、今日は車の数も少なく並ぶこと無く直ぐ席につくことが出来た。このあと続々と客が入ってきたのでたまたまタイミングが良かったのかもしれない。
少し固めの風味豊かな麺。自分にとっては濃さとダシの主張が程よいと感じるつゆを堪能する。野菜の天麩羅も揚げたてで良く油が切れていて素材の旨味が引き出されている。いつ来てもしっかりとした仕事をするお店だと思う。
さて、食後にもう一つ予定を組んであるのだ。
そばの里「まぎの」がある牧野地区から那珂川沿いに西走するとそこに鎌倉山がある。実は昨年の家内との山行で「本当の山頂」を踏んでいなかったのである。今回はそのリベンジを果たす。とは言っても前回同様、また裏口入学よろしく道路を使って最高地点まで行き、駐車場の片隅にある入口から先に進む。
笹はすっかり刈り取られ、丸坊主になった斜面を少し登ると僅か数分でそこが前回踏み残した鎌倉山の山頂であった。
駐車場へ戻る途中で菅原神社方面が見える。藪歩きの習慣で咄嗟にトラバースしたくなってくるが、既にスニーカーに履き替えてしまっているので大人しく道を進む。まぁ、ちゃんと整備しているのだから入るべきではないだろう。
先に進み那珂川を見渡せる地点に立つと低い山がうねうねといているのが見える。リタイヤして時間が出来たらこういった所を丹念に歩きつなげるのもまた楽しいことだろうにと、妄想しながらしばし景色に見入った。
帰りに菅原神社へ寄ると、社殿裏ののトタンに落書きを見つけた。
落書き自体は褒められたものではないが、なんとなく微笑ましいので許してあげましょう。一年前の事だけど、アキラ君、晴れて念願成就したかな?カズコさんとはその後どうなったのだろう・・・って。
概略コースタイム
オオムラサキ公園発(09:08)-路傍の三角点(09:11)-登山口案内板(09:18)-登山道道標(09:28)-
林道より登山道へ乗換(09:40)-観音堂(09:56)-松倉山頂上(10:07)-南尾根入口(10:17)-
岩がある好眺望地点(10:26)-259.3m三角点(10:55)-車道接合(11:24)-自転車走行-駐車地着(11:56)
大部分が車道歩きの松倉山もちょっとした味付けで随分雰囲気が変わるものですね。
解説本をよく読まないのは自分の場合も当てはまります。
この松倉山でも3ヶ所、登山口の案内見逃して行き過ぎ、右手の登山道気付かず、最後は山頂入り口分からず反対側から登頂といった具合でした。
当日朝に突然思いついて無計画で行く場合は特にそんな感じです(^_^;)
松倉山は思った通り地味な山でした。
他にいろいろ理由を考えても、一等三角点、観音堂以外は選出の理由が思いつきません。
でも、里山ルーファン素材としては結構楽しかったです。
こんばんは。
いま、予想通りの”まっちゃん歩き”を満喫して読んでます。
凄いですね~
魔女も”まっちゃんってどういう人なの? 信じられない”って
感心するやら呆気に取られるやら...
これで栃木百名山を完遂したことになりますか? だとしたら
おめでとうございます!
素晴らしい”偉業”達成ですね ケン坊には遠い話ですが。
次はどんなテーマでの山歩きの報告があるのでしょうか?
益々まっちゃんのブログから目が離せませんね>笑<
歩き残しの栃百という書き方が紛らわしかったですね。
正確には、歩き残しの栃百の中の一座です。
現在残っているのを改めて数えると、
黒滝山 大佐飛山 男鹿岳 前黒山(敗退) 葛老山 南平山 黒岩山 鬼怒沼山
錫ヶ岳 薬師岳 萬蔵山 高館山
以上、12座でした。
最強の男鹿山塊と長丁場の黒岩山と錫ヶ岳がやはり最後まで残りそうです。
今まであまり制覇を意識していなかったせいか、低山もいくつか残ってます。
それらは機会を見るとして、その他の箇所で実現可能なところ。鬼怒沼山は奥鬼怒温泉湯治を兼ねながら、黒滝山は夏になる前の涼しい時期にと、今年は予定しています。
仰られるほど大したものでもなくて、ただ意地っ張りで普通じゃ嫌だという性格なんでしょうかねぇ。
Mixi(ミクシィ)に居る知り合いで同年代の人には自分の数十倍は元気でアクティブな人も見かけます。
もう、決して若くは無いのでそこまではいかなくても、無理せず出来る範囲でこれからも楽しんでいきたいと思ってます。
こんばんは。意外にリボンやテープが多かったようで、部分的に楽しみが
削がれてしまったかもしれませんね。栃百に入った山の宿命とも言えそうな。
あと、植林帯が間伐や皆伐を含めた伐採時期にあたる里山も多いようで、
思いがけない展望に出逢う喜びはありますね。普通にピストンで歩いただけ
では分からない、というのが、この山のミソですね。
案内コースのとおりに歩いて、展望地まで行って戻るようにすれば、
雰囲気のいい観音堂もあることですし、まだ人気が出そうだなぁと思いました。
ネットで事前に情報収集したのですが、掲載がほとんど見られない割にはリボンが多い気がしました。
案外常連さんが楽しみの一つにしてるのかも。
古賀志山のレアバリエーションルート的な感じかもしれません。
こんばんは
私が斜面から拾って来て取り付けた「松倉山」の山名板
あってよかった~~~位置も変わってないような気が、、、(笑)
それと、首輪のないワンちゃん、、、
わたしも撮った記憶があるような、、、ないような、、、
いずれにしても
懐かしい光景が多くて、嬉しかったです。
が、、、しかし、、、相変わらずすごいルートで歩かれますねぇ
でも
読者としては、それが楽しいです!!
山名板、しっかり付いてましたよ。強風でもあれならバッチリです。
首輪の無いワンコは亀三郎さんも逢いましたか。
「俺のシマ通るんじゃ挨拶せぃ」ってな感じなんですけね。
そういえばどうりでハクがありそうな雰囲気でした。
私も、ここは栃木百名山消化のために、1/13にサクッと登ってきたばかりです。観音堂は、そこそこ見ごたえがありましたね。
そう言えば、「宇都宮山の会」の栃木百名山は、ご存知でしょうか?登山的には、こちらの方が楽しそうです。特に、スノーシューのネタにはいいと思います。
鈴木隆さんの栃木百名山も独特な選出で良いですね。
自分は、栃木の山紀行さんと倉持さんの栃木273山に刺激をうけたクチですが、鈴木さんの選出と紀行も面白いですね。じっくりと読んでいこうと思います。
今回の松倉山のようなルーファンは自分のような体力の無い中年でも遊べる里山でした。
南にもう一本ルートが引けそうなので、来年の冬のネタにとっておくつもりです。