三床山~金原山縦走路を閑馬集落へ周回


-『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

三床山周辺過去の記事
   2012年12月16日 三床山から金原山へ縦走
   2008年12月23日 素晴らしき里山 三床山

 一年前の冬に金原山への縦走路を歩いた時、西側に見える尾根の存在がどうしても気になっていた。帰宅後改めて地図を眺めているとやはりその尾根への思いは募る一方である。
 着地点の選定と自転車のでデポ地探しに骨を折ったものの、数度の偵察を重ね見通しが付いた。距離的には金原山に行くよりも長丁場かつ後半の尾根がどうなっているかがまったく想像がつかない。周囲を集落に囲まれた低山だから、最悪タイムアウトで自転車デポ地に到達しなくても代替下山可能なポイントを幾つか想定して決行とした。

 今回のルートは恒例の鹿島神社駐車場へ車を置きスタート。一度目の三床山の時に下山で使った一床山ルートで登り、金原山縦走路へ。林山で金原山へ向かう稜線に別れを告げ、周回の踵をとって返す。着地点は随分悩んだ。梅園集落に降りる記録が幾つかあったが、それでは綺麗な周回軌跡とはならない点にこだわり、閑馬集落を目標地と定めて降下点は偵察の際に偶然見つけた神社に自転車をデポ出来る神社と設定した。

 朝早い鹿島神社駐車場の先客はハンターの車二台。荷台のケージに居るはずの犬達の姿も見えないのでとっくに出動しているのだろう。猟場は高松と西入の頭の中間辺りの谷間なので登山には問題無いが、念の為腰のホイッスルを確認した。

朝日に照らされる高松と三床山 先客はハンター 今日は一床山から

 西入の頭へ向かう登りは始め急登。そしてゆるゆる。最後にまた少し登りがきつくなって・・・となかなか緩急があってよろしい。
 真新しい道標が設置された西入の頭より一投足で展望の良い一床山へ到着。宇都宮からでも冬場は富士山が毎日見えるが、やはり幾らか南下した分だけより綺麗に見えるような気がする。

 西側に目をやると、眼下に拡がる集落の向こうに今日周回で降りてくる尾根が見えている。里に隣接してさほど標高も無いが、まるで大きな箱庭のようなこの山並みをこれから歩くと思うと心も弾んでくる。

西入の頭 一床山から見る富士山 眼下の集落の向こうに今日の下山尾根が見える

 三床山周辺は道標だけでなく、ロープを支える支柱もコンクリートで固定されていたり、随分整備が充実してきている。「栃木の山150」で紹介されたことと連動しているかどうかは解らないが、幅広い登山者層に安全に山を楽しんで貰うためには良い事だろう。だが手付かずの状態を知る者としては一抹の寂しさを感じてしまうのは我儘な事なのだろうか。

コンクリートを流して固定している いつ見ても高松は美しい

 ニ床山を過ぎると三床山の独特なシルエットが大きくなってくる。あと少しで三床山直下のコルという所で金原山分岐。ここも1年前は赤テープが一つ巻いてあったのみである。

 立派な道標に小三床山(5分)は良いが、金原山を記すのは如何なものか。距離もあるし果たして最後まで整備しているのだろうか?という疑問を抱えながらルートへ踏み出す。

三床山の坊主頭が近い 約一年前は無かった道標 小三床山も以前は山名板は無かった

 以前との明らかな違いは道形がはっきりとしてきている事。かなり人が往来していると感じた。栗谷坂峠から烏ヶ岳への登りは1年前に落ち葉に足を取られながら直登に難儀した記憶が鮮明だが、此処も見事にジグザグの明瞭な道形が出現している。

坊主頭よさらば ここも山名板で初めて名を知る 烏ヶ岳への登りは踏み跡濃し

 かまぼこ板位の大きさの白いプラスチック版にマジックで書いた文字が不明瞭だった山名板も今はすっかり新調され、通り過ぎるピーク毎に真新しい文字の山名が出迎えてくれる。

烏ヶ岳 つつじ山 たまに岩場もあるがどこも難しくない

 桜山には南西方面を向いた石祠が二基。東根集落にある神社に向いているのだろうか。日差したっぷりな長閑なその場所に思わず時間を忘れそうである。

青空が綺麗 桜山 文政年間!

 連なる小ピークの名前の由来は?などと考えながら進んでいくのも楽しい。大姫山があるなら(小)姫山もあったのかな?

 天ヶ岳に近くなると左手に形の良い小ピーク、その手前には僅かに岩を露出させている出っ張りが見えている。ここを伝って梅園集落に降りるのもいつか実現したいルートだ。

大姫山 一年前に昼飯を食べた伐採地 すぐ西側にあるこのピークも訪れてみたいものだ

 周回ルートの最高標高点であり、事実上の折り返し点である林山が向こうに見えてきた。弧を描くような尾根の湾曲最深部がようやく全て見通せる。

天ヶ岳 林山が見えてきたがまだ遠い 西根集落の向こうが帰路の尾根となる

 一年前に昼飯を食べた伐採地へ立ち寄った。あの時も確か風が強くて、南に面したこの場所は陽当りもよく風もしのげる最高の場所だった。しばし風景を楽しんで先を急ごう。

伐採地で小休止 三床山も遠くなった 最高標高点の林山へ到着

 林山からは金原山縦走路と離れ、南西の尾根へと踏み出す。入り口はうるさい程の赤テープも進む程にまばらとなっていくが、実際に歩いてみるとさほど難しげな雰囲気も無い箇所にも巻かれた赤テープが少し多いような気がした。折角ルーファンで歩いているのだから付けた方は回収して欲しいと思った。

 時折息継ぎのように強く吹く風を避けるようにして斜面に腰を降ろして大休止とした。ダイヤモンドダストのように輝く風花が舞う冷たさの中で摂る温かいものは(といっていつものカップラーメンとコーヒー)は格別だ。日光方面に目をやると男体山ファミリーは雪雲の中にすっぽり包まれてその姿は無い。前日光の低い山あいに、西から訪れた雪雲の断片が最後の力を振り絞るように白いものを落としながら通過していく様子がなかなか幻想的だ。

ここより初めてのルートへ踏み入る 金原山まで既に至近 風を避けて昼飯休憩

 昼食で大いに鋭気を養い再出発。金原山縦走路は既に随分歩かれているという感が強かったが、流石にこちらの尾根は未だ自然の色濃く、静寂と自然の支配する良い雰囲気に包まれている。

明るい尾根が暫く続く 葉が茂っていなければこれもまたよし 時折植林地が現れる
こんな穏やかな所も 進路変換が難しかった分岐点1 方角を合わせて下降開始

 赤テープとも別れを告げ、自らが引いたルート線は途切れた尾根形を降りていく。こんな箇所が難しいのは散々経験してきた筈なのに案の定方角違いの尾根に引き込まれそうになって一旦登り返す。復帰して地図とコンパスで進路を見極めた。ルーファンの現場では地形図でさえも表現しきれない地形の複雑さに翻弄されることが多々ある。そこがまた醍醐味なのだが。

緩斜面に出ればこんなにも穏やかで美しい 小ピークを幾つも越えていく だいぶ疲れが溜まってきたが精神的には絶好調
落ち葉の静寂 梅園集落を見下ろす木立 こんな贅沢な下りは滅多に無い

 進路変えが難しかった地点2。コンパスで定めた方向はかなり降りるのが厳しい。少し膨らむようにして、進路から離れすぎないようにGPSで修正をしながら下降していく。傾斜が緩み始めた頃眼前の風景がパッと拡がった。

 見上げると下降開始点直下は岩っぽい急斜面で、そのまま降りないで正解だった。先を見れば部分的に伐採されており前方の見通しも明るい。複雑だった筈の地形も一皮剥げばこんなにも単純なのだとわかり、地形図のままの現状に安堵する。

進路変換が難しかった分岐点2 そのまま降りることはやはり無理だろう 少し開けてその先の尾根

 高度が下がると薮がだんだん濃くなってきた。明瞭な尾根の突端からは左手の植林帯に寄りながら徐々に進路を変えて下っていく。

薮が多くなってきた 最後の降下起点 やがて植林帯となり

 最後は自転車をデポした羽黒神社の裏手の林へ飛び出し、約7時間の山旅は終了。恒例のワインレッド号の復路は下り坂基調で楽ちん楽ちん。鹿島神社の手前のほんの僅かな登りが辛かったのはこの際内緒にしておこう。

神社脇でフィニッシュ

概略コースタイム

鹿島神社駐車場発(07:44)-一床山登山口(08:00)-西入の頭(08:32)-一床山(08:43)-ニ床山(09:02)-
金原山分岐(09:11)-小三床山(09:18)-栗谷坂峠(09:24)-烏ヶ岳(09:32)-つつじ山(09:48)-さくら山(10:03)-
大姫山(10:09)-天ヶ岳(10:36)-伐採地頂部(11:06)-林山(11:36)-昼食ポイント(11:44)-昼食休憩-
行動再開(12:23)-389mP(12:33)-難しかった分岐点1(12:42)-318mP(13:11)-315mP(13:52)-
難しかった分岐点2(14:09)-羽黒神社(14:52)-自転車-鹿島神社駐車場着(15:29)

カテゴリー: 県南・両毛の山 パーマリンク

三床山~金原山縦走路を閑馬集落へ周回 への8件のフィードバック

  1. Non のコメント:

     こんばんは。よ、待ってました~! の気分です(^^)
    予告編を拝見した時から、すごいロングコースだなぁ、どんな薮っぽさ?
    とあれこれ考えていたので…
     最初に7時間というのが、ええ、これを7時間で回れるの?という衝撃。
    三床~一床山の周回がこんなに可愛らしく見えるというのに… すごいです。
    計画力、実行力に加えて、順調に脚力&体力を蓄えていらしたんですね。

     難所でもない箇所の赤テープは、感心できませんよね。あんまり多かったら、
    特に古いものは取っちゃってもいいと思いますが… (^^) 
     後半部分の藪、意外に濃くなかったようですね。藪化が進んでいない里山、
    貴重だし、いいなぁと思いますね。お疲れ様でした。

    • まっちゃん のコメント:

      前回の金原山縦走の時は随分長く感じましたが、今回は途中の様子が判っていたのと踏み跡が随分濃くなって歩きやすかったのが幸いでした。
      また、後半のルートは自分と同じような考えの”物好き”さんが居るということが実証出来たのと、意外に薮が薄くて楽に通過出来たのが印象的でした。
      正直薮が濃いと通常のペースの半分位になるのはざらですから。

      体力的には衰えないように日頃努力しているだけで決してUPしたという感じが自分はしませんが、楽しく山歩き出来るレベルが保てれば良しと思ってます。
      今回のような里山ルートはいつまでもひっそりと残っていて欲しいと、ある意味贅沢な思いで居ます。

  2. リンゴ のコメント:

    改めてルートを拝見すると一般的な三床山~一床山周回の4~5倍はありそうな超ロング。
    ただ長いばかりでなく、綿密な計画と読図技術と体力と勇気、全てを駆使しなければ成し遂げられそうももありません。
    達成感120㌫?間違いなしだったのではないでしょうか(^^)

    • まっちゃん のコメント:

      最近はMな山行でないと満足出来なくなってきました。
      ・・・とは言ってもやはり安全一番体力技術の範囲内でということで、標高数百mの里山は自分のような中高年にとっても安心なエリアです。

      自分の場合、計画段階からブログアップまで全て楽しみとなってますが、ネタ帳はまだ未消化のルート満載です。一番無いのは時間ですね(^^;

  3. ケン坊 のコメント:

    こんばんは。
    作成中の段階からコースを見てて”とてつもない距離”を歩かれたなと感心。
    ↑リンゴさんのコメに同じ(綿密な計画と読図技術と体力と勇気)
    コレ無くして走破は無理ですよね。
    ケン坊にあるのは”ささやかな体力”だけです。それもこのコースは無理でしょう!
    プラス、この文章力・素早さ・写真の構成には何時もながら頭が下がります。
    読むたびに自分の不甲斐なさが一層際立ち...
    悔しいけどまっちゃん”にも”太刀打ちできません。

    • まっちゃん のコメント:

      単純な距離だけだと先週の真岡浅間山のほうが長く歩いています。
      累積標高差も真岡の方が勝っていますが、やはり登り下りの角度とかが影響するのでしょうかね、微妙に筋肉の疲労箇所が違うような気がします。

      リンゴさんへのコメントでも書きましたが、自分は計画の段階から偵察も含めて全て楽しみとなっているので、贅沢な趣味だなぁと自認しております。
      山の楽しみ方はいろいろで、それ自体は全く異論の無いところですが、グループ登山で今日登るコースも判らずただついていく人などは山歩きの愉しみの半分も知らないのではと老婆心ながら思っちゃいます(^_^)

      ブログ記事についてはそんなに褒められるものでもないです。
      それなりに努力して書いているつもりですが、やはり人に読んでもらう文章って難しいです。
      新幹線の座席前に挟んである”トランベール”というJR東日本が発行している車内誌がありますが、これの巻頭コラムが文字数少なめでありながら簡潔にして叙情豊か。目指すはそこですが、未だ作文の山は麓をうろうろすることの連続です。

  4. 亀三郎 のコメント:

    おはようございます^^

    まっちゃんのコースは無理なので
    次の機会には、沢コースからスタートして、金原山分岐を越え
    桜山くらいまで行って、そこからピストンとかしてみようかなぁ
    って、、、このログを拝見して考えています。
    あ、ところで桜山って、春になると山桜、、、咲いてますかね
    この山域は、過去2度行きましたが
    山桜がチラホラあるのは、確認してるんです(笑)

    • まっちゃん のコメント:

      春に歩いていないので詳しいことはわかりませんが、是非亀三郎さんに検証していただきたいと思います。
      金原山縦走路は雰囲気良いのでお勧めですよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA