南平山と葛老山はいつかは登ろうと思っていた栃木百名山だ。ちょっと地味な雰囲気のするこの二座にどう登ろうかと随分思案してきたが、眺望もあまり期待出来ないということなら、紅葉狙いではどうだろうか。
先週歩いた高原山では標高1200mあたりの紅葉の雰囲気が良かったから、同じような標高のこの二つの山も期待出来るのではという浅知恵が今回の山行の原動力である。
葛老山は一般登山道のピストンだけではつまらないのでいろいろ考えていたのだが、今回は本番を積雪期と想定してその偵察の為のオーソドックスな山行となった。また、下山後は道の駅湯西川の温泉でまったり過ごすことが出来たのが良かった。惜しむらくはビールが飲めなかった事ぐらいかな。
南平山へは、県道23号線より鉄塔巡視路を使って登山道へ合流。ガイドブックで紹介されている川治河川運動公園からのルートに比べるとコースタイム上で往復約2時間の短縮となる裏口入山である。
ネットで知ったこのルートは大変効率が良く、県道脇にある巡視路の標柱箇所にもおあつらえ向きの駐車スペースがある。平日は”本職”の人が駐める可能性があるので遠慮したいところだ。
巡視路は、人工物での整備こそ無いがよく踏まれた(殆どが登山者かな)急登で始まる。だが、ものの数分で正規登山道へ合流。程なく鉄塔が現れて一旦明るく開けるが、その後はひたすら樹林の中を進んでいく。
よく歩かれた感じのする登山道には、山頂までの距離を書いた道標が続く。少し大袈裟と感じてしまうほどジグザグに付けられた道は、枯れ葉に覆われて見失いそうになること数度。道標の存在はありがたい。
見通しの良い樹林、加えて軽快な感じの尾根形も明瞭、登山道が無ければ思ったルートで自由奔放に登りたいところだが、余計な所に踏み跡を残すのはこの山ではマナー違反と考えて自粛モード。ひたすら登山道を追っていく。
高度を上げるも紅葉はにはまだちょっと早かったか。頭上のもみじ(かえで)は鮮やかな緑のままで輝いている。でも、よく見てみるとこの山は凄い山だ。見渡すかぎりのもみじの葉に、これが全て紅葉したら大変な事になるだろう・・・と。
更に登っていくとようやく色づきが見られるようになるが、それもまだちらほら。
先程から微かに聞こえていた熊鈴の持ち主はどうやら先行の単独者だったようだ。山頂まであと少しばかり残したジグザクの区間で後ろ姿が見えた。
山頂は織り込み済みの眺望無し。先行者もカメラを片手に山頂周囲を偵察していたが、これといった被写体も見つからなっかようだ。下山は先行した自分に彼が追いついた形となり、結局鉄塔のある巡視路分岐までご一緒することになった。
聞けば群馬県に住む方で、群馬百名山も終わり県内に登る山も無く、現在栃木百名山を目指している最中だとか。今日も南平山の後に栗山の月山、船生の鶏岳に登るらしい。大物は既に終わっているらしく、残すは県南だけであと数回で終了見込みだという。自分より一回り位年上にも見えるが、実に元気で溌剌とした人だ。自分もこれから葛老山に行くと話すと、先週登って来たらしい。毎週栃木の山を歩いていれば確かにあっという間に終わってしまうかもしれないが、車でのアクセスがさぞかし大変だろうと自分は思ってしまう。
「こうして群馬から来ているので、是非栃木からも登りに来て下さい」と言われると、これはますます一念発起して赤城山くらいは登りに行かなければと改めて思った次第だ。
南平山からは超特急下山。車に戻って登山靴を脱ぐのが面倒だったのでそのまま運転して道の駅湯西川へ。一番奥の駐車場に駐めて第二ラウンド開始だ。こちらの登山口はもう何度も見ているが実際に歩くのは今日が初めてである。
序盤の階段にはいささか辟易するも、我慢して登っていくとやがて穏やかな山道へと変わっていく。
味わいのある河童七福神、立派な道標、土留されてジグザグに切られた登山道。迷う要素は200%無いと言っても過言でない立派な遊歩道が続いていく。斜度も緩いのでどなたにもお勧め出来るコース間違いなしだ。道の駅肝いりの観光登山ルートと考えれば頷ける。派手さこそ無いが押さえるべきはしかっり押さえた、かなり「お金」のかかったルートであるのは間違い無い。
鉄塔の箇所は南北の眺望が開けて気持ちが良い。北側は高瀬山、南には葛老山南東尾根が伸びる。高瀬山は随分前から計画はしていたのだが、こうして堂々たる山姿を目にすると、かつて火戸尻山へ向かう時に六郎地山を見た時の感情が蘇ってくる。
鉄塔から少し登った所にある東屋周囲の紅葉の色づきがことさら素晴らしかった。他の場所にもちらほら紅葉は見られたが、とにかくこの東屋周囲は別格の鮮やかさである。眺望は先程の鉄塔箇所、紅葉は此処が今日のベストポイントであったと言えよう。
見事な紅葉を過ぎると再び地味な山道へ逆戻り。それでも標高950mを越えると今度は笹丈が良い具合に高くなって雰囲気が出てきた。最後の主稜線をゆったりと登り詰めると山頂の東屋が見えてきた。
山頂からの眺望は枝に邪魔されてほぼ無し。唯一すっきり見えるは湯西川ダムだけである。
時折吹く強い風に徐々に体が冷えてきたので、ザックからダウンを取り出して着込む。カップラーメンをすすれば、じわっと体いっぱいに暖かさが染み渡る。寒い時期はやはりこれだね。
コーヒーを飲みながらまったりと過ごしていると三人組の登山者が登ってきた。彼らが食事の準備をはじめた頃に自分は片付けを済ませ撤収。一旦、山頂先の西の尾根に少し入って見ると、一面の笹原の中に静かに燃える紅葉を見ることが出来た満足な山頂となった。
下山時は、1060m地点から伸びる南東尾根、980.1m三角点に伸びる尾根への入り口を偵察。もともと葛老山はこの尾根とセットで完全に葉が落ちた真冬の積雪期に歩こうと思っていたのだ。膝丈の笹薮は今現在でも軽快に進むことが出来そうだったが、今回は下見と考えてあえて先に進むのはやめにした。楽しみはとっておくものだ。
鉄塔地点へ戻ってきた。しばし眺望を楽しんだ後は、鉄塔電線が下降していく集落目指して古い登山道を辿りながら下山開始である。
最近はあまり歩かれていない感じのする荒れた登山道であり、途中に崩落が数か所あった。案外簡単に見える箇所も、よくみると露出した岩肌に細かい砂利が乗っただけの斜面。捕まってしまうと蟻地獄のような滑落の可能性が否定出来ない所もあった。そんな箇所は急斜面を掴んで這い上がり上を巻いた。
小さな崩落はそのまま慎重に渡ることが出来たが、一箇所だけかなり大規模な崩落箇所があった。倒木が道を塞ぎ、下も伺えない程前方が塞がれている。急傾斜を下り沢に降りてみると、頭上にあったのであろう砂防ダムの一部が濁流によって破壊されて流されていた。写真ではスケールがよく解らないが、かなり大きなコンクリートのブロックが無残にも横たわっていたことから、その時何が起きていたのかは容易に想像出来た。
一旦降りた沢底から対岸を直登して登山道へ無事復帰する。歩き出してすぐ古い道標を見ると、住宅地へ飛び出したのだ。その唐突さにいささか驚かされた。
この住宅地は県道沿いの上野集落から1Km程隔絶された場所にある団地だが、いったいどういう経緯でこんな奥地に造られたのかまったくもって謎だ。団地から離れて車道を延々歩いていくと、途中には台風禍の土砂で流されたガードレールが飴のように伸ばされ破壊されている光景に出くわす。自然の猛威に圧倒されながら進む山奥の林道のような1Kmは結構長く感じた。
あの団地での生活は車が無かったらまさに陸の孤島での暮らしといいう言葉がぴったりと当てはまるだろうにと、つくづく思った。
県道まで降りてくると後はトンネルをくぐれば出発点の道の駅。温泉は想像以上のクオリティーに満足した。硫化水素臭の漂う好みの泉質。内風呂と露天があるが、露天は内風呂の延長で屋根が無いというだけなのはちょっと拍子抜け。また、内風呂からガラス越しに見える五十里湖対岸の山が露天風呂から見えないのが残念であった。
そんなデメリットを補ってあまりある、「下山して即風呂」というアドバンテージは高いだろう。葛老山に登った人限定の特権かもしれないが(笑)
入浴後、休憩室で昼寝をしたあと第二ラウンドで風呂に入ると、葛老山で会った人達に再会する。宇都宮から来た三人組の方はわざわざ電車で来たという。彼らもまた下山に旧登山道の崩落地を降りてきたらしい。途中で道間違いのおまけ付きで随分時間が掛かってしまったようだ。普段は寡黙な自分であるが、珍しくおしゃべりになり「車じゃないなら飲めますね」との問いに、「半分以上はそれが目的ですから」と言って破顔したのが印象的であった。
概略コースタイム
南平山
駐車地発(07:07)-登山道合流(07:11)-東屋(07:52)-山頂(08:10)-東屋(08:29)-駐車地着(09:00)
葛老山
駐車場発(09:20)-鉄塔(09:46)-東屋(09:53)-山頂(10:40)-昼食休憩-行動再開(11:21)-
鉄塔(12:02)-大崩落地(12:18)-団地(12:25)-県道(12:45)-駐車場着(12:56)
こんばんは
未踏の南平山 もみじ これが色づいたら凄い!!
う~~~この まっちゃんのコメで 急に予定を組みたくなりました
あとは ネットで行った人の情報を
マメにチェックが必要か、、、笑
そして、、、川治温泉でまったり、、、
いいぞ いいぞ それ いいぞ!って
勝手に盛り上がってる 亀三郎、、、相変わらずのアホですねぇ (^_^;)(^_^;)
いや、実際このもみじが全て色づいたら大変な事になると思いますよ。
問題はタイミングですね。
是非是非、亀三郎さん、ベストタイミングでクリーンヒットして欲しいです。
そうしたら我が家も家内を伴って後追いします。
山頂踏まなくても、紅葉しまくった状態なら我が家は山頂踏まなくても満足出来ると思います。
& 下山後に川治温泉。これも良いですね。
電車で行って風呂あがりに一杯というのもありますよ\(^o^)/
2年前だったかな?いや、3年前か?・・・って、記憶が曖昧ですが、1座ずつ別の日に登りました。
距離も近いし、どうせなら1日でやっつけたいですよね。
コースもアレンジが加えられてまっちゃんらしいです。
やはり真夏には登れないと思いましたが、
秋から春にかけてのんびりと雰囲気を楽しむ山なんですね。
南平山は埋蔵金伝説の話を聞いていると、ちょっと雰囲気を感じながら登る事が
出来るのも楽しみのうちかもしれません。
紅葉の葛老山もいいですね。私は、積雪期に2回登っただけですが、山頂付近の雪原は気持ちがいいです。
1月に南東尾根をたどりましたが、ちょっとヤブが濃いですね。980Pからトンネル方向へ下山してしまいましたが、まっちゃんは、848Pまで歩いてください。楽しみにしてます(笑)
やはり、北斜面にはしっかり雪がついている印象です。次は、山頂から真北に降りたいです。西に下るのも楽しそう♪
鋭いご指摘!
ネタバレですが、848Pまで行ったら南東の尾根を下り鉄塔巡視路に拾われて
川治湯元駅に着地という塩梅で考えてました。
着地点の偵察を一度済ませておこうかと思ってます。
山頂から真北は、今回下山した団地の先の車道から尾根がよく見えました。
あそこを降りてくるのも面白そうですね。途中で尾根がY字に派生していますが、
車道にぶつかるほうは法面でブロックされているので左でしょうか。
西に降りる、というより高土山までの縦走が面白そうですね。
あんまり深薮だと嫌になっちゃいそうですが、歩きやすければ複雑な地形故
楽しいルーファン天国になりそうな予感。
問題は高土山からどう降りるかですね。
明神ヶ岳トンネルの左右出口のの僅かな所に着地するしかなさそうですが、
ここも現地を良く見ておかないと「降りられない~」という事態が発生するとかなり辛いですよね。
NYAAさんはロープワークもバッチリでこういうときも安心(装備していればの話)
ですが、自分はこうなるとお手上げで来た道を戻るのみです(;´∀`)
こんばんは。
5年前に南平山、そして4年前に葛郎山を別々に登りました。
南平山は11月だったので紅葉は終盤でしたが綺麗でした。
(駅に駐車してピストンして来ました...)
葛郎山は、旧コースを歩こうと思いましたが不明な個所があるとの
情報に諦め、道の駅から一番簡単なルートをピストンで...
懐かしいです...でもまっちゃんの場合は下見ですから
本番のレポが楽しみですね~
南平山、紅葉が楽しみな山ですが11月で終盤ということは結構見頃の期間が
短そうですね。
うーん、やはり花と紅葉は手強いです。
本番のほうは期待しないで下さい。企画倒れ・・・というかネタ帳の優先順位が
気分でコロコロ変わる可能性がありますので(笑)
でもでも、いつかは必ず行きますよ。
群馬百名山 終了して 栃木百名山!
わたしも そうゆう人になりたいけど、、、
聞けば まっちゃんよりも一回り 上っぽい?とか
あるいみ
目標みっけ!!の気分です
が、、、
栃木百名山も中途半端で
ほかの百名山を
食い散らかしてるわたし、、
でも
いんです
合算して 百名山を目指していますので 笑
百名山巡りってある意味コレクターみたいなもので、
それ自体に満足感があるのは確かですが、結局は選出した人の感性とか理屈で成り立っている
部分が多いのだと思います。
自分にとっての百名山はこうだった、と胸を張って言えるような山歩きであれば良いのではないでしょうか。
いろいろな地域の山にチャレンジする亀三郎さんが羨ましいと最近思いますよ。
自分も栃木の殻を破りたいと思う今日この頃。
葛老山は道の駅からの道ができる前に登りました。
旧道は崩落しているのですねえ。この間の大雨の影響でしょうか。
横レスになりますが、葛老山から高土山へは烏ケ森の住人さんがかなり前に歩かれています。
道をロストして10時間以上かかっていたようです。
藪好きのまっちゃんさんにも是非挑戦していただきたいところです。
高土山からの下りは道がありますので進退窮まることなく下りられると思います。
旧道の崩壊は間違いなくこの間の台風ですね。
ああなってしまうと、人が沢山来る山なら確実に通行禁止措置が取られるものですが、
やはり訪れる人が居ないのか放置されたままでした。
烏ケ森の住人さんの葛老山から高土山、先ほど読んできました。
神のような方がこれだけ大変だったのだから、自分ではちょっと無理かなぁと思いました。
せめて薮が薄ければ何とかなりそうなんですが。
(神といえば、野球親爺さんも自分にとっては神の存在ですよ)
明神ヶ岳は山頂に立った時に見た南尾根の薮深さを知っているので、高土山への長丁場の
ハードさが容易に想像できます。
でも、こんなルートも皆さんやすやすと歩かれてるんですね。
いやぁ、まったく脱帽ものです。
葛老山の鉄塔の場所から 北に見える山
高瀬山
というのですね
わたしも 写真を撮ってカッコイイ形って
思っていたんです。
でも
高瀬山、、、栃木の山150にも
掲載されてないですよね??
登山道は あるんでしたっけ?
もしかして、、、登山道なし、、、かな、、、、(^_^;)(^_^;)
高瀬山、かっこいいですよね。
道は残念ながらありません。
北側の持丸やまから歩く人が多いようですが、途中は藪尾根です。
五十里湖側から登りたいので研究中です。