赤岩山
アーカイブ:宇都宮近郊の山達
投稿日:2010年01月03日 17:54
2010年の歩き初めは、何となく歩き残していた古賀志山の西域である赤岩山。
年明け早々、くたびれきったトレッキングシューズを買い換えたので試し履きも兼ねた山行となった。
ルートは通称西登山口から風雷神社経由で赤岩山主稜線に乗り、尾根の西端にある猿岩(432.7m四等三角点)へのピストンの後、赤岩山を踏み御岳山より滝コースにて下山とした。
古賀志山と赤岩山の間は岩尾根で、場所によってはザイル確保が必要という記述がガイドブックにあるが、実際に歩いた人の話だと中尾根や東陵が歩けていればOKだという。まぁ危なければ撤退すれば良いだろう。あくまで今日は靴慣らしなのだから。
城山西小より少し先に宇都宮市で設置した駐車場があるが、混雑期以外ここに駐める人は数少ない。みな林道の途中のスペースに路駐しているようだ。自分も下山地を考慮して少し先の空きスペースに駐めた。舗装林道を西へ暫く歩くとパラグライダーの発進所(低いところにあるほう)を左に見る。程なく風雷神社の石鳥居に到着。ここが西登山口となる。
ゴーロとまではいかないが、小さめの石が目立ついささか歩きづらい登山道を行く。周囲は暗く鬱蒼としているが道はしっかりしている。やがて風雷神社の赤い鉄の鳥居の所へ着いた。暑くなってきたので一枚脱いで一息ついてから鳥居の先の急斜面を登ると、岩棚にひっそりと石祠が奉られていた。霊験あらたかな雰囲気とはまさにこのことか。岩のなせるわざなのか、えもいえぬ威圧感のようなものを感じた。
風雷神社登山口鳥居 | 風雷神社鳥居 | 岩棚にひっそりと石祠 |
左右を岩に囲まれた谷を急登していく。先ほどの鳥居の所で後ろから来た登山者に先行されたが、足が達者な人であっという間に背中が見えなくなってしまった。
自分としてはこの程度の急登なら呼吸を乱さず一気に登り切りたいという気概はあるが、まだまだそんな体力とは程遠いようである。
杉木立の合間から光が差してきた。稜線へ出るのかと思ったが、ハングライダー用の索道ルートであった。上を見るとハングライダーの発進所がある。折良く索道を遊園地の列車のような車両が上がってきた。乗客はめいめいに大きな荷物(ハングライダー)を抱えて降り立ち、床に幌を拡げる。一人が離陸するのを見届けて自分も登山道に戻ることにした。
谷を急登 | ハングライダーの索道 | TAKE OFF! |
登山道に戻る・・・筈だったのだが踏み跡が見つからない。上を見ると主稜線までは標高差数十m程度といったところか。ままよといつもの薮山よろしく直登す。新しい靴は実に素晴らしい。今までの靴はヘタリが激しくて、こういった所を歩くと全く踏ん張りが効かなかった。急斜面をトラバースする時などは、スキーの斜滑降のように谷足のエッジが効かないと大変だ。だが新しい靴はキチっと足をホールドしてくれてそれでいて柔軟性もある。ソールもビブラムでこれで1万円以下(在庫処分特価)とは実にお買い得であった。あとは耐久性だがこればかりは使い込まないと判らない。まぁ3年もてば御の字だろう。いつかしっかりした靴も欲しいところだが、もう少しいろいろ試してみたい気もする。
赤岩山の肩に辿り着くと、ひとまず西方を目指し高度を下げる。西端にある猿岩までのピストンだ。途中60歳台の単独男性と会う。話によると鉄塔巡視路を使ってアプローチして直接猿岩に到達したという。西側の市境あたりから上がってきたのだろうか。この先1つめのピークである篭岩がやや厳しく、2つめが猿岩であるとの情報を頂いた。
どんどん高度を下げていくと、成る程、一つめの大きな岩(篭岩)がここを通すものかとばかりに立ちはだかっている。左に巻いている道があるのでこれを少し歩いたが、高度を下げる一方。戻って岩をよく見ると、ちゃんと登路はある。慎重に手付き足付きを探りながら無事乗り越すと更に向こうにピークが見える。あそこが猿岩だろう。もう少しである。
最後の急登を登りきると、最初に三角点の石が目に入って次に男体山。おや、最近似たような景色が・・・そう、船生の富士山と同じパターンだ。
山頂からは、今自分が登ってきた道、そして北と南に、あわせて3ルートの明瞭な踏み跡があった。猿岩直登ルートがあるのだろうか。そういえば先ほどすれ違った男性もこの2本の踏み跡のどちらかを登ってきた訳だから、自分も次回の猿岩攻略が断然楽しみになるというものだ。
下(右)写真をご覧の方はお気づきかと思うが、SHCカワスミさんの山名板は間違いのようである。もっとも無名峰なので明確な定義があるわけではないものの、四等三角点のある432.7mPは通称『猿岩』、その東側約100mにある岩峰が通称『篭岩』とする情報が多い。したがってカワスミさんは、『猿岩』ピークに『篭岩』の山名板を付けてしまったようだ。
更に分県版「栃木県の山」では、一番西から篭岩・432.7mP・猿岩と記述しているが、これも全く違うのではと思うが。
篭岩ピーク | 猿岩山頂 |
急降下と難しい岩場の連続でいささか時間が掛かったのか、時計を見ると丁度12時だ。予定ではもう少し赤岩山寄りで食事をする筈であったが、この静かなピークでゆっくり休むのも良いだろう。腰を下ろしてバーナーに火を付ける。
眺望は西側を覆っている木のせいで今一つ。まぁ独り占めの景色だから良しとしよう。
長時間休んでいると体が冷えてしまうので早々に撤収。赤岩山へと戻る。来るときは急降下だったから、登り返しはなかなかキツイ。
猿岩より岩崎444mP | 同左 紫雲山方面 | 篭岩へ登り返す |
赤岩山の山頂は木に覆われ眺望は全く無し。そして、ここにある山名板もまた間違いがある。標高が520mと記されているが、地形図上では535mとなっている。
山頂東側にあるハングライダー発進所跡地からは南側と東への眺望が開ける。これから向かう546mPとその手前の岩峰がずんぐりととしていて壮観だ。成る程これを越えていくのか。やっと赤岩山の正体を見たような思いになった。
全てが岩尾根ではないのでさして緊張することもないが、所々にある岩超えを注意深く行けばさして危険では無い。546mP先に一箇所だけ垂直に近い岩があったが、それもせいぜい高さにして5~6m程度か。ホールドは充分にあるのでロープがあっても使わないで充分登れる。ただ、背の低い人、体重が重い人(身長や体力比)、高い所が苦手な人は、やはり途中で進退窮まる可能性も否めない。メンバーのレベルが多岐にわたる場合は、ザイルで確保したほうが良い場所も確かにあった。
赤岩山頂上 | ずんぐりとした546mP | 見慣れない大きな鳥が飛んでいた |
546mPの手前の岩峰を過ぎると黒く焦げた木が見られるようになる。07年2月の山火事の跡のようだ。広範囲に焼けた感じがあまりしないが、あの時は数日間に渡ってヘリで散水し、なかなか消火しなかったような記憶がある。
546mPから下ると正面に御岳山が見え、稜線縦走も終盤に近いことを知る。垂直な岩場を一つ乗り越すとあとは穏やかな道になり一投足で眺望の御岳山へ到着した。
山火事の跡 | 546mP付近から御岳山方面 | 岩場の多い尾根 |
来し方の赤岩山、篭岩方面から鞍掛尾根までの相変わらずの好眺望である。眼前の岩崎444mPのピーク肩が良く見える。昨年の春の岩崎5峰周回の際にそこで食事をしながらこちら側を眺めていたのがつい昨日のようである。
良く言われる古賀志山馬蹄形縦走では、自分が歩いた岩崎5峰の一部もそのルート上にある。問題は559mPから西へどこを降りて383mPに到達するかだ。383mPから444mPまでは既に歩いているので問題無し。444mPからは西ないしは南西に降りないと馬蹄形にならないのだが、上から見るとなかなか一筋縄でないように見受けられる。もう少し情報を揃えて来シーズン辺りには実現したいところだ。
篭岩、赤岩山方面 | 岩崎444mP、奥は日光 | 鞍掛尾根、奥は高原山 |
昼食時は大変賑わう御岳山だが、時間を外しているので静かなものだ。夫婦連れのハイカーが去った後、一人になってしまった山頂を自分もまた辞する。
下山は御岳山脇の階段を降りた所で南へ下降。大きな岩をいくつも背にしながら谷を下っていく、通称『滝コース』を使って新年の初山行を終えた。
回を分けたがこれで半蔵山から赤岩山西端までを全て歩いた事になる。(半蔵山北側日光街道までは未踏)
改めて古賀志山群を振り返ってみると、赤岩山から猿岩までは人影まばらの奥座敷、古賀志連峰の離れといった趣。起伏に富み岩の厳しさと自然ななままの雰囲気が色濃く、なかなか良いエリアである。
赤岩山から御岳山はとにかく岩に次ぐ岩。案外ハイカーも多いので静かさではイマイチだが、単純に岩超えが楽しい箇所。
御岳山から古賀志山までは、これは言わずと知れた古賀志山銀座である。その北559mPももはや銀座の仲間入りと言ってよいくらいに賑わっている。
鞍掛尾根は起伏が多いので結構体力を使うが、コース自体は難しくない。もっとも、最近ネットで調べていると、猿岩から尾根に取り付き、赤岩山・古賀志山・559・鞍掛尾根・鞍掛山・半蔵山とずっと繋いで古賀志連峰縦走とする報告が見られる。今の自分には体力的にほぼ不可能だが、近隣の宇都宮市民ハイカーなら一度は歩いてみたいと夢見る縦走ではないだろうか。
駐車地帰着 |
コメント投稿日:2010年01月06日 21:09
まっちゃん あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
岩場を楽しんでますね~。
私でも行けるかなあ・・・
実は、今シーズンの計画の一つに、岩崎と赤岩山の間の林道から546mPの北側の尾根を登って、御岳と546のコルに出るっていうのを考えていました。年末に偵察したのがそれです。
まっちゃんに古賀志山系側を偵察してもらったような感じで、ありがたく参考にさせていただきます。
546~御岳間の岩場は、順層の層状チャートみたいですね。少し安心しました。
ただ身長が低くて体重が重い人なのでどうなることやら・・・
馬蹄形縦走の件ですが、岩崎444mPの西側は植林帯にルートを引けると、個人的には考えています。
先日の546北尾根偵察のときに取り付き(推定)付近を見ましたが、Yoshiさんの岩崎周遊レポートにあるような雰囲気でした。
ところでトレッキングシューズは何のモデルにしたのですか?
そちらのレポートもちょっと見てみたいです。
コメント投稿日:2010年01月06日 22:54
けむさん、あけおめことよろです。
>私でも行けるかなあ・・・
いやいや全然大丈夫ですよ。岩が有ると言ったって、自然のままの薮山を考えればほぼハイキングコースですから。
546mP先の下りの垂直岩はホールド充分ですから、私ですらあっという間にクリアできました。ジャングルジム並で楽しかったですよ。
西側は、篭岩にちょっと足を踏み外しちゃいけないところがありましたが、ずり落ちたりしなけりゃ全然大丈夫です。
全般的には、あくまで「初めて山行きます」的な人はちょっと・・・という程度です。
>実は、今シーズンの計画の一つに、岩崎と赤岩山の間の林道から546mPの北側の尾根を登って、
>御岳と546のコルに出るっていうのを考えていました。年末に偵察したのがそれです。
うーーん。なるほど。これは報告が楽しみだなぁ。
確かにあの一帯で北から侵入するにはそこしかないかもしれませんね。
トレッキングシューズは恥ずかしくて語る程のものでも無いです。
○ビオスポーツのショップブランドみたいで、通常価が1万、特売価8千円というこれまた怪しいやつです。
店に並んでいるなかでは一番足に合ったのでこれにしました。
本当はコロンビアのやつを欲しかったのですが、どうも扁平足気味の自分には外人的足型が合わないような気がしました。
あれはあれで、実は「土踏まず」を創り出すという意味で良いのではないかと思いましたが、それで足が疲れちゃったら嫌だし無難なほうを選んだ次第です。
専門店で、それなりの品(性能も値段もしっかり)をアドバイスを受けながらを選ぶのがベストなのでしょうが、少しづつ視点を替えながら何足か試していこうとおもってます。
コメント投稿日:2010年01月07日 01:47
こんばんは。一気に拝読しました。そっか~、こういうルート取りで、ハングライダーの発進所も
こんなところにあったんですね。当時は今より全然、読図も出来なくて、どの辺を歩いているかも
あやふやでしたので、そっか~、なるほど~で納得しきりです… まあ、踏み跡が消えて迷うような
箇所はなかったですけどね(^^;)
猿岩辺りは、自分でもしっかり歩いてみたいですね。山火事の跡は、かなり小さくなったような?
考えたら、もう2年前になるんですね… なんだか山歩き出してからは早いなぁ…
猿岩~古賀志~鞍掛~半蔵の縦走はすごいですね~~ 里山もそこまで歩くと相当に鍛えられそう…
そうそう、おニューの靴、足によく合っているようで良かったですね。我が家もレザーは3足目でした
ら、次こそは…?(^^)
コメント投稿日:2010年01月07日 22:44
Nonさん、こんばんは。
古賀志山と赤岩山は(東と西)は全然表情が違うのにビックリしました。
御岳~赤岩山間は岩稜だけあって景色がよくて気持ち良いですね。植林地や薮歩きが多いとたまにこういった山行はスカッとして爽快です。
次の目標は、猿岩に西側から取り付いて、馬蹄形縦走です!
コメント投稿日:2010年01月09日 12:17
まっちゃん こんにちは。
4年前位に まっちゃんの歩いたコースを逆に歩いたことがあります。
たまたま 山初心者の人を連れていったんですが 途中の岩場の下りは 初心者には危険でしたね。
岩の上に立つと 自分の身長を足した目線になるので 高度感が増し 怖さを感じ 腰が引け
初心者を連れてきたことを 後悔したものです。
逆の登ってゆくコースだと初心者でも案外楽にいっちゃいますよね。
スノーシュー初体験レポートアップ 楽しみに待ってます。
コメント投稿日:2010年01月09日 21:30
>せろーさん ↑お名前入ってませんでしたが合ってますよね?
確かに。急斜面や岩場は下りは登りより慎重に行かないとヤバイですよね。
馴れてないと気後れするというのも大きいですね。ガイドブックに「経験者とザイル携行」と書かれているのが解る気もします。
スノーシューは楽しみです。案外病み付きになっちゃったりして。
困るなぁ。またやることが増えちゃって。