冠雪の弥太郎山を歩く

アーカイブ:塩原の山達

投稿日:2009年11月03日 17:47

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-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 日光の高山以来一緒に歩いていないH君だが、実は単独で古賀志山「自主練」を敢行し、そろそろ一緒に歩けそうだという事だ。そこで何処か手軽な所はと探していた。歩きやすい所、標高差があまりない所、塩原の若見山と弥太郎山が頭に浮かんだ。若見山は一度訪れているので、今回は弥太郎山をチョイス。塩原から大きく蛇行しながら伸びていく塩那スカイラインをアプローチに使うのも前から興味があったので楽しみな山行となりそうだ。

 前日に寒気が流れ込んで大荒れの天気であったが、朝になると平野部は天気が良い。県北のほうは降雪が午前中一杯続くと予報されていたので少し心配だったが、車窓から真っ白に冠雪した日光連山が見えると、本当に雪が降ったのだなと実感。今年は紅葉も冠雪も実に早い。

 国道400号に入り塩原の温泉街を抜けた。此処までは近くの山肌にも明るい陽差しが照りつけ長閑な山行が予感されたが、塩那スカイラインのつづら折れから上を見ると標高の高い部分には幾らか雪雲のようなものが掛かっている。

 塩那スカイラインは絶景ロードで意外や穴場。途中の好眺望ポイントから撮影したのが下の2枚だが、紅葉と冠雪という貴重な画をカメラに収めることができた。

 雪なのかふっかけ(栃木方言で風花のこと)なのか、ちらちらと白いものが舞う土平駐車場に着く。身支度を調え駐車場奥の鉄塔巡視路へ入った。

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紅葉と冠雪    塩那スカイライン    土平駐車場

 まだ誰も足を踏み入れてないまったくのバージンスノー。針葉樹の葉が雪の中に何層にも閉じこめられているのが美しい。そっと添えられたように顔を覗かせている赤い葉が雪に映える。踏み出すのに躊躇するような大自然の贈り物の中を進んで行った。

 新雪なれど深さはさほどでは無く、靴がすっぽり埋まることはない。それに超とびっきりに整備された巡視路が雪の歩行を助けてくれる。荒れた登山道なら途中で断念しただろうに、歩くのが実に楽しい。

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新雪を行く      

 ジグザグに付いた道を暫く登ると9号鉄塔に向かう道と巻道とに別れるが、この山は鉄塔が半分は主役のようなものなので、各鉄塔を順番に丁寧に廻っていこう。

 9号鉄塔へ到着すると威風堂々の高原山山塊に圧倒される。北の空は重く、日本海側からの湿った冷たい空気が少しづつ太平洋側に流れ出している様子が見て取れるようだ。今まさにその最先端にいるような感覚。時折強い風が吹くと雪の粒が顔にあたって痛い。そして晴れ渡った東側の平野の風景。実に対比的で面白いものだ。

 9号鉄塔のピークを後にして先ほどの巻道に合流すると暫くは高低差が殆ど無い尾根道となる。正確には尾根を一つ外したトラバース道なのだが、巡視路は流石効率的な無駄の無いコース取りである。

茂みから飛び出して巡視路を元気よく横切っていった足跡を見つけると、足跡の持ち主を想像するのもまた楽しい。小さい足跡大きい足跡、それからとても大きな足跡・・・? 谷から這い上がってまた脇の斜面に登って行っている。この足の大きさの動物といえば・・・(^^;
普段中々見ることが出来ない山の住人達の姿を垣間見たような気がする。
(このあとクマ鈴じゃんじゃん鳴らして、帰路はホイッスルも鳴らしながら下山す)

 途中8号鉄塔への分岐を折れ寄り道だ。

 8号鉄塔からは、先ほどの9号鉄塔が見えるが僅かな時間なのに随分遠くまで歩いてきたのだなと錯覚する。直線にしてしまえば僅か600m程度なのだが。

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9号鉄塔より高原山    8号鉄塔分岐    8号より9号鉄塔を望む

 8号鉄塔よりは再びジグザグの登りに転じる。初めの登りより幾らか急な感じもするが、いずれにせよコースは良く整備されているので不安感は全く無い。折からの強い風で、表面が磨き込まれた輝く雪面に踏み込む足元が心地良い。

 登り切ると7号鉄塔の元へと辿り着く。鉄塔奥には小ピークがあるが、ちょっと見たところ登路は見あたらない。僅かの距離なので適当に薮を踏みしめ登ってみたが景色はあまり良くない。高原山が枝の向こうに見える。

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7号鉄塔より山頂    7号鉄塔より8号方面    7号鉄塔奥ピークより高原山

 7号鉄塔下の鞍部からは最後の登りだ。笹藪登りとガイドブックに書いてあった。雪に覆われていてどう登ったらよいものかと一瞬思案するも、笹の丈が低い箇所を選んで進むとどうやら正解のようである。

 三等三角点のある山頂は樹に覆われていて眺望はほとんど無い。南東側に平野部が一部望めるが、それよりも枝に張り付いた雪が樹氷のようで綺麗だ。昨晩は余程風が強かったのだろう。

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雪の笹原を最後の登り    弥太郎山頂上    東側平野部

 一旦7号鉄塔まで降り、鉄塔の土手脇で北風を避けて昼食とした。どの位の気温なのだろうか。ストーブの火力がなかなか強くならずにお湯が沸くのに随分時間が掛かったが、こんな寒い所で食べるカップラーメンは格別のご馳走である。

 帰りの巡視路は気温も幾ら上がっていたせいか所々地面が顔を覗かせていて穏やかな表情に変わっていた。今日の弥太郎山で我々以外の唯一のハイカーは後続で歩いていた家族連れの3人のみ。我々が食事中に既に下山している。5人分の往復の足跡で雪が剥がれる程の軽い積雪ではあったが、季節外れの美しい弥太郎山を体験できたのもまたこの5人だけであった。

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帰りの巡視道の様子       ひなたはもう雪が無い

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塩那スカイラインよりパノラマ      
概略コースタイム
駐車場発(10:22)-9号鉄塔(10:51)-8号鉄塔(11:12)-7号鉄塔(11:45)-
山頂(11:50)-7号鉄塔脇(11:59)-昼食休憩-再出発(12:45)-8号鉄塔脇(13:07)-
登山口寄り9号鉄塔分岐(13:24)-駐車場着(13:42)

コメント (2)

Non:

コメント投稿日:2009年11月06日 20:09

 こんばんは。わー、塩那スカイライン! その名の通りの素晴らしい展望ですね~。
通り抜けもできず、ただ調査のためと考えても税金の無駄のように思える林道ですが、
この景色を見るために時季を選んで訪れてみるのも、意外に良いでしょうね。
その際には、私はもちろん弥太郎山にも登ると思いますが、いつもと違って、
山頂の景色よりも他の展望ポイントを楽しみに向かおうと思います。
それにしても、男鹿山塊の懐の深さに想いを馳せるだけでも、楽しそうな景色です。
容易には人を近づけない雰囲気があるというか…

 さてさて、Hさんってば「単独で古賀志山「自主練」を敢行」なさっていたとのこと、
そっか~、諦めずに頑張っていらしたんだ、と思わずニッコリでした(^^)
新雪歩きは、想像通り気持が良さそうですね~。まさに「紅葉と冠雪」の世界で、
真冬とは違う雪景色を楽しまれて、これも山選びの妙でしたね。

まっちゃん:

コメント投稿日:2009年11月06日 22:08

 御存知の通り塩那スカイラインは11月末で通行止めになります。

 それを考えると、浅雪とはいえこの山域で雪を踏むことが出来たのはかなりラッキーな事だったなぁと思っています。これもひとえに気まぐれ寒気のお陰でしょうか。

 数日来の寒さも一段落。週末は気温も元に戻って天気も良さそう。土曜日は生憎の仕事ですが、日曜日に家内と紅葉狩ドライブ&新蕎麦でも食しに行く予定です。