里山探検 戸室山

アーカイブ:宇都宮近郊の山達

投稿日:2008年01月20日 21:46

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 市内の高い場所から西側を見ると、一番手前に堂々と横たわる多気山、そしてその後ろに控えるゴツゴツとした古賀志山。さらにその遙か彼方にどっしりと、今の季節は白い雪をまとって凛と佇む日光連山。宇都宮市民なら山に興味が無くとも見慣れた景色である。
実はこの見慣れた景色の中に一つだけずっと気になっていた高みがあった。多気山からほんの少し視点を南にずらすと平地にぽこんと飛び出す独立峰の存在がある。今回の散策のターゲット、戸室山(とむろやま){228m}である。地形図上の山名表示はないが、近くから見るとなかなか形の良いシルエットだ。

 山の南側に神社の参詣用の石段がある。車を5~6台ほど置くスペースが有りここからスタートだ。鳥居をくぐり長い石段を登っていく。

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鳥居       まず石段を登る

 石段を登り詰めると一対の狛犬が迎えてくれる。振り向けば南側に冬枯れた里の風景が広がる。
かつて社殿があったのだろうか、平坦な場所に礎石が見られたり記念碑のようなものも残されている。右手の小高い場所には社殿というにはちょっと派手な建物がある。まったく人の気配もしない場所故、流石に腰が引けて中をよく見るのはためらわれた。従って正確には何が祀られていたのかは解らない。

 さて、地図に道の記載なぞ無ければ道標も全く無い山なので、ここからは勘で登る事になる。だが、社殿の裏側を覗いてみるとしっかり山頂方面へ踏み跡が続いているではないか。随分と歩かれた感じがするルートだ。

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石段の頂上から    何やら社殿?が    建物の跡か?

 社殿の場所から5分も登っただろうか、急に大きな岩が目立ち始める。途中、岩をくぐり抜けて向こう側に抜けることの出来る場所などもある。男抱山もそうだが、岩の多い古賀志山と血を分けた弟分の証のようでもある。きっと地元の子供達にとっては楽しい遊び場なのではないか。ドラエモンの裏山のような雰囲気一杯だ。もっとも、最近の子供は山で遊ぶなんて事はしないのかな?

 山頂直下には、通せんぼするように岩が立ちはだかる。切れ目に挟まれるようにしてにじり上がるとパッと眺望が広がった。GPSで確認すると山頂はもう少し離れた所だ。数十m離れた木々に囲まれた場所に三等三角点が埋め込まれた山頂があった。

 山名板が2枚掛かっていたが、"栃木の山紀行"さんやあちこちでよく見る山名板は掛かっていない。やはりマイナーな山なのであろう。

 山頂から先ほどの景色の良い岩場まで引き返す。東側は樹に邪魔されて景色は無いが、北側の古賀志山方面から西側は遮るものの無い素晴らしい眺望だ。男抱山も低い里山ながら堂々とした景色が得られるが、どうしてどうして、戸室山も決して引けを取らない素晴らしさである。宇都宮市内や近隣にお住まいの方なら一度登ってみても損は無いだろう。

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山頂直下の岩    ひっそりとした頂上    岩越しの古賀志山

一番高い岩の上に腰を掛けて、しばし景色を愉しむ。麓の田舎道を通り過ぎる軽トラックがおもちゃのように見えた。新緑の季節に登ったら、水彩画のようにさぞ綺麗だろう。夕日を眺めるのも悪くないかな。

 帰りは北側に張り出している尾根を伝って降りていくルートを考えていた。これまた目を凝らすと薄く踏み跡が続いている。地形図を片手に進むとほぼ想像通りのルートが続く。幾らか高度が下がると更に踏み跡は濃くなり、北側斜面に到達すると一転して薮に吸い込まれるように再び薄くなってくる。代わりに作業道が幾つか交差するようになってきた。予定していた着地ポイントへ向かうには小さな谷を越さなければならず億劫だった為、あえて作業道に引き込まれることにした。

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岩の上から    踏み跡辿って    いよいよ踏み跡微か

 作業道を進むと、程なく枯れ草の生い茂った広場に出た。足音を聞きつけて勢いよく草むらから飛び出した雉にハッと驚く。傍らを見ると、すっかり忘れ去られてしまったような石祠が寂しげに佇んでいる。戦中には大谷一帯に「中島飛行機の地下軍需工場」があったと聞くが、ネットで調べるとどうやら戸室山にも地下工場があったようである。草むらに奥深く進入すれば何事やあるかも知れぬ。そんな気配を感じさせる廃石祠であった。

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廃石祠    今回のルート   
概略コースタイム
駐車地発(13:01)-神社(13:08)-山頂(13:21)-車道着地(13:48)-駐車地着(13:57)

コメント (6)

なお:

コメント投稿日:2008年01月22日 10:14

まっちゃんさん、こんにちは!
長く続く石段、侵入者を睨みつける狛犬、そして不気味?な建物&建物跡。
戸室山は、なんとも冒険心をそそられる山みたいですね~
岩がゴツゴツしているようですが、山サイだとツラそうですか?(笑)

せろー:

コメント投稿日:2008年01月22日 21:19

まっちゃん こんばんわ

里山探検の頻度を増やす パジェロミニをご購入されたようでおめでとうございます。これで登山口までのアプローチが少し楽になるのかな?

まっちゃん:

コメント投稿日:2008年01月22日 22:42

>なおさん

戸室山。妖しくて冒険雰囲気ムンムンです。
おもろいですよ~
ボルダリングしている人も居るとか(私は無理ですが)

山サイだと担ぎっぱなしかも(^^;


>せろーさん

経費節減の為の軽自動車購入なんですが、「乗りたかっただけなんでしょ?」と家人に言われております(汗)
まぁ、外れているような当たっているような・・・(爆)

まつ:

コメント投稿日:2008年03月03日 23:50

始めまして

この「戸室山」、小学生の頃の遊び場でしたよ
昔は この神社で 祭りもありましたし、遠足も山頂まで いきました。
天気がよければ 遥か 富士山も見えましたよ(記憶が確なら)

まっちゃん:

コメント投稿日:2008年03月04日 21:57

まつ様、初めまして。お読み頂きありがとうございます。

おぉ!「戸室山」が遊び場でしたか。
この山って冒険心たっぷりな感じがありますよね。
西側眺望バッチリだからコンディション良ければ富士山も見えますね。

まつ様も是非また登ってみてください。

まつ:

コメント投稿日:2008年03月06日 23:28

こんばんは!
ふと 子供の頃を思いだし 地元の山、「戸室山」を検索したところ まっちゃんさんの この記事が出たのですよ。

写真の岩や 頂上等々 懐かしいものばかりです

自分はこの神社(鳴雷神社)とは反対側に住んでました。