疲労困憊の釈迦ヶ岳


-『スーパー地形』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

積雪期釈迦ヶ岳の過去の記事
    2024年03月11日  微風快晴の釈迦ヶ岳
    2018年03月03日  続、今年の釈迦ヶ岳
    2017年02月25日  今年の釈迦ヶ岳
    2016年02月27日  冬期釈迦ヶ岳登頂 だが雪は少なくちょっと残念
無雪期釈迦ヶ岳の過去の記事
    2020年05月17日  まだあったアカヤシオ
    2018年10月21日  5ヶ月ぶりの山行は部活のシゴキ並み!
    2018年05月20日  鶏頂山敗退なるもシロヤシオロードを満喫
    2016年05月14日  守子神社ルートより権現沢左岸へ周回
    2015年10月18日  西平岳を目指して釈迦ヶ岳
    2010年10月16日  大間々より西平岳
    2008年10月25日  紅葉間に合わず!ガスの高原山を歩く
    2007年06月16日  高原山最高峰 釈迦ヶ岳へ登る

 2016年から三年連続で登った守子神社登山口から積雪期の釈迦ヶ岳。その後6年間のブランクを挟み昨年から再開したが、今年も好天が約束されたこの日、登山を敢行した。

 ルートについては積雪期と無雪期を通して何度も歩いているので熟知しているが、積雪状況は毎年異なっているのでそこが読めない。また、駐車地に至る道路の状況も山行計画上非常に重要で、路面の凍結状況が深刻ならずっと手前に駐車するしかないので行動時間が増えてしまうのだ。基本的にタフなルートなので余計な時間と体力は使いたくないのが正直なところだ。
 幸いにして昨年と同じ場所まで車で入ることが出来た。更に先、登山口直下までは以前パジェロミニで入れたが、アイスバーンの斜面が続くのでFFシャトルには自殺行為に等しいだろう。

 駐車地で支度をしていると、傍らを軽快にジムニーが走り去って行った。先行登山者かと思ったが、登山口で車を見るとリアに犬のケージを乗せていたのでハンターさんだろう。予想が的中し、登り始めると黒沢沿いの土上平放牧場側で発砲音が幾度か聞こえてきた。登山道がある側は禁猟区なので安心だが、相変わらず近くで聞くライフル音ははっとさせられるものがある。


下の駐車スペースで準備をしている脇を軽快に凍結林道を駆け上ったジムニー
リアに犬のケージがあったのでハンターさんのようだ
燃費と積載性に目をつむれば軽四駆をまた入手したいとは思うが経済的にそんな余裕は無し


まずは朝日が差し込む植林地を進む


ほどなくランドマークの守子神社へ


雪が出てくる 風で消されつつあるがトレースは明瞭


西平岳分岐地点でスノーシューを履いた


前山に向けて雪が増えてくるとトレースは千々に乱れその痕跡も僅かとなる


枝が描く芸術


トレースは完全消失


ミニ雪庇は断面がソフトクリームのようだ

 今日は調子が出ない。前山への急登区間は頭の中では織り込み済なのだが、雪質とスノーシューが合わないのかスリップが多発して無駄に体力を消耗すること多々。
 昨年、MSRのライトニングアッセントのベルト破断で買い替えたTUBBSのFLEX TRKの性能が不足しているのか正直わからないところだが、後になって思ったのはスノーシューにこだわらず早いタイミングでアイゼンに履き替えておくべきだった反省。ワカンとアイゼンの重ね履きも時として有効で軽量化にはもってこいの組み合わせだ。だが沈み込む雪面だとスノーシューの快適さは比べようがないので悩みどころになるのだ。

 これに加え、今回はザックのショルダーベルトにカメラを下げるアタッチメントを追加しての初運用であったが、実際にカメラを取り付けると微妙にザックのバランスが崩れ肩に違和感が強かった。携行品も少し余計な物があっていつもより明らかに重量が増えていたのも疲労を呼ぶ要因であったのは間違いない。


写真じゃ伝わらないが結構斜度あり 今日は緒条件が重なりヘロヘロになりながら登っていく


前山まではいつも辛いが今日はその比ではない
“前山にて撤退”も頭をよぎったがまだ時間は充分にある
休憩をしたら幾らか元気が出てきた


とは言っても山頂はまだまだ遠い彼方


ふと横を見ると微かに富士山が見えて元気を貰った


何が辛いって、呼吸がすぐ上がって登り続けられない
前山への登りで雪質とスノーシューが合わずに消耗した体が尾を引いている


山頂がだいぶ近づいてきた 元気な時にはあと少しと感じるのだが・・・


中岳と肩を並べるくらいまで標高を稼いだのだから、あともうひと頑張り💦💦

 山頂肩稜線まで標高差50mを切ったあたり、スノーシューでのグリップが限界を超えて危険を感じるようになった。一旦斜面に広場を作ってそこでアイゼンに履き替えるが、もっと穏やかな場所で判断すれば良かったと反省した。帰りはまたここを通過するのでスノーシューは雪面に突き刺しデポして上を目指す。

 幸いにしてひどい踏み抜きはなく、稜線上に這い上がると素晴らしいビクトリーロードが眼前に広がり思わず感動する。数歩踏み出すと片足がすっぽりと埋まって這い出すにも一苦労だが、先ほどまでの登りの苦闘に比べればわけもないこと。


残り標高差50mの壁を突破できず、その場でアイゼンに換装してスノーシューはそこへデポ ようやく山頂稜線に登り上げると素晴らしいビクトリーロードが待っていた

 山頂へ到着すると先行者一名、そのあとも数名が入れ替えで登ってきた。皆さんは鶏頂山経由のルートのようだが、そちら側も決して楽では無い筈。でも、天気予報を見て、今日しかないと思った人は少なからず居たということだ。さもありなん。この眺望を見たらやはり登りたくなるというものだ。


今日の山頂到達は値千金 途中で諦めなくて良かった 鳥居の埋まり具合を見ると明らかに昨年より雪が多いことがわかる


西平岳


日光ファミリー


日光白根山


お隣の鶏頂山


燧ヶ岳


会津駒ケ岳から三岩岳方面へかけての稜線が美しく輝いている


特徴的な七ヶ岳


前黒山越しに男鹿山塊


那須岳ファミリー


お釈迦様は雪の量に左右されず毎年この位の埋まり具合
せめて腰浴くらいは見てみたいものだが・・・ 実は秘密裡に台座にヒーターが設置されているのか😆


南側の巨大雪だまりは初めて見た 新設の石つくり山名碑は雪の中に埋まっている


超えてきた前山稜線


山頂の正午気温は未だ氷点下を維持している模様


さて、下山しますか


最後の登りで苦労した急斜面を気を付けながら直下降

 今回初めて経験したのはスノーシューの裏に雪玉が着いたことだ。アイゼンならよくあるが、面積が広いだけあって大量に雪が着くとかなり重く疲労した足に更にダメージが加わる。キックして雪を落とすのにも力が要るのでじわじわと効いてくるのだ。
 気温が徐々に上がりつつあるので雪が着きやすいのだろう。こうなるとスノーシューも外したほうが正解だが、背負うのもまた重いし、アイゼンで踏み抜きが多発するとそれはそれで体力を消耗する。雪山に王道はないのである。


先ほど悶絶しながら格闘していた登りの痕跡
スノーシューでは押し戻されて登る事が出来なかった


ようやく穏やかになり景色を見る余裕が出来てきた


往路でも見えた那須岳ファミリーだが全く余裕がなくて写真撮らず 下山時に撮影した


シュカブラが美しい


自分のルートを忠実に辿った 体力が低下しているので手堅い所以外は歩かない


ミツモチ山の青空コース方面かな


帰りの雪庇箇所


長い長いルートだったが登山口まで無事帰還


後は微妙に凍った林道歩き 途中でピカピカに凍って溶けかけた箇所で転んでしまった
注意すれば回避出来たはずだが案外難所だった
ここだけはチェーンスパイク装着が望ましいかも


やれやれ今日は期せずして消耗した一日だったが、無事に戻ってくることが出来た

 雪質によってこうも難易度が上がるものなのかという事を思い知らされる山行であった。このルートは基本的に登るのが大変という認識があったが、慣れていただけに装備に対する考え方がいささか甘かったというのが今回の大きな反省点だったと思う。

 無駄な荷物は持たず軽量化、面倒くさがらずに履物のチェンジをまめに行う。基本的な事を忠実に守ればもう少し楽に登れた筈だ。来年のこの時期にどれだけ体力気力があるかは未知数だが、再びこの雪稜を辿り山頂を踏みたいと思うのでった。

コースタイム等データ詳細
 YAMAP掲載 https://yamap.com/activities/38111031
 山レコ掲載 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7848053.html

撮影使用機材
・NIKON Z50
・NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR
・NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR
・iPhone 13 Pro Max

カテゴリー: 塩谷の山 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA