今年の四月から車中泊で使用しているElecomの電気ポット(商品名:Cook Mug HAC-EP02)の調子が大変良好なのでそのレポートです。
今まで使っていたワクヨさんはそれ自身は素晴らしい製品だとは思うのですが、ポータブル電源との相性が良く無いようで、シガーソケットのプラグの本体部分が使用の度触れないほど異様に熱くなります。ケーブルのみならず電源の本体側のダメージが危惧される為、最近は使用しないようにしていました。
ワクヨさん製造元のサイトを見ると、自動車のシガーソケットに接続し、停車中にエンジンを停めないで使用することが前提となっています。ポータブル電源についてはこの会社が製造する専用の電源であるミツルくんの使用を推奨しています。
ネットで一般的なポータブル電源で使用しているという情報が沢山あるが、メーカーとしては電源側の故障が排除出来ないのでやめて頂きたいというアナウンスがありました。
専用設計の電源であるミツルくんの仕様を見ると特に突出したものも無く、むしろ電源としての容量は使用しているSUAOKI G500(以下G500と省略)のほうが勝ってはいるのですが、どうやら自動車のシガーソケット電源に関しては単純にポータブル電源のスペック値だけでは語れないものがあるらしいです。
ワクヨさん本体はまだまだ問題無く使えるので勿体ないですが、何か代替えをと探しました。しかし、汎用の電気ポットは消費電力が大きく800Wやそれ以上のものが殆どです。一般的に商用電源があるならば短時間で沸くほうが製品としては性能評価があがるので当然の結果です。しかし、G500の可能出力は300W(瞬間600W)となっているのでそういったポットは使用出来ません。
そこで「電気湯沸かし 300W以下」といったキーワードで検索すると商品が沢山出てきましたが、ほぼ中国製でした。中国製だからと言って粗悪な物ばかりではないのですが、口コミを見るとどの商品もあまり良い事が書いてありませんでした。
その中から目に止まったのがELECOM(エレコム)のCook Mugという商品です。製造は海外でしょうが、国内ではPC用品等を企画販売している一流会社ですか一発で露見するような問題点を抱えた商品では無いと思い、まずは購入してみました。
商品名の通り、調理(主に煮込み)に使う事が想定されています。室内でお一人様の場合は重宝しそうですが、車中泊の場合は無駄な電気消費は控えたいので湯沸かしモード以外は考慮しません。定格消費電力は100Vで275WとなっているのでG500での使用にも不安はありません。
G500と「ELECOM Cook Mug」
G500のACコンセントはアース付きの三極プラグに対応していますが、CookMug側は家庭での使用を前提とした通常の二極プラグなので安心感があります。こんな事は日本製品なら当たり前なのですが、中国製の製品の場合は三極プラグで別途変換アダプタが必要と明記しているものもあります。まぁ変換アダプタは安価で入手できるので問題無いのですが、余計なものを付けると出っ張ってしまって好ましくありません。
一般的な二極コンセント
一方本体側は取り外し可能になっています。これは商品名の通りマグカップとしての使用などを想定している為です。アースが無いコードなので三極にする意味はありませんが、恐らく毎回抜き刺しを必ず行うという仕様から接触不良を起こさない為の物理的な支柱として一極分を加えているのではと推察します。
また、マグカップとしての丈夫な取っ手は付いています。しかし、沸かした直後は熱くて口を付けることは出来ません。保温モードの60度位なら大丈夫なのかもしれませんが、私の場合は湯沸かし以外の用途は無いので問題ありません。
本体側は三極だが接触不良対策だと思います
水を140ml計量して沸かして見る
貴重な蓄電量を節約する為には最小限の使用にとどめるのに限ります。コーヒー一杯は140ml、みそ汁なら160ml程度が目安です。標準サイズのカップラーメンだと280ml程度です。ちなみに沸かす場合の最大容量は350mlなので一人用であれば問題はありません。
写真で計量に使用している秤はAmazonで買った送料込みで千円しなかったものです。車中泊に適した小ささと風袋引きも出来て通常使用するには全く問題の無い精度。マニュアルが怪しい日本語ですが、使用方法を理解するのには充分でした。
本体の消費W数は概ね正しい模様
通電を始めるとG500の表示板の消費W数が出力可能W数の300を超えますが、今のところ給電が休止したことはありません。しかし、大量の電力を出力ようとする為G500の冷却ファンが回転します。これは小電力を出力している時は起こりませんのでそれなりに負荷がかかっていることが解ります。
G500の表示に誤差があるかどうか確かめる為、コンセントに消費電力を測定する器具を中継させたところ、数ワットの差異があるも概ね正しいことがわかりました。
※ECO-keeper EC-05EB
沸かす時は蓋をかぶせる
140mlのお湯が沸くのに必要な時間は約3分30秒でした。充分実用性のある時間だと思います。ちなみにワクヨさんの場合はもう少しかかっていたような気がします。
心配だったG500のコンセン部分の発熱ですが、外から触った感じでは全く問題無く、抜いたプラグも発熱はしていません。この点はパーフェクトです。
以降は数字の上での検証です。
まずG500の基本スペックです
・バッテリーパワー:500Wh
・AC連続出力パワー:300W
・AC連続出力電圧:110V
・過負荷:116%<負荷<150%の場合2分 150%<負荷<200%の場合10秒
・AC出力最大効率:91%
CookMugは100Vで275Wが定格ですので、G500が110V出力している場合は、
275W÷100V=2.75A → 110V×2.75A=302.5Wとなるはずなのですが、
測定上は315W近く消費しています。これではG500が出力を停止してしまうのではと思いますが、G500の過負荷性能から見て行くと、300W×116%=348W以下であれば2分の制限を受けずに連続出力出来るということになり、実際に問題無く使用出来ています。
次にお湯を何回沸かせるかという試算をします。
G500の容量は500whですが、放電深度という仕組みがあるため、全容量の90%しか使用できないようになっています。10%はエネルギー損耗補填用にシステムでリザーブされているということです。更にAC出力を行う場合は変換効率が下がる(DCの場合は無いらしい)ため91%となります。
これらをまとめると500wh×90%×91%=409Whとなりますので、
409wh÷315W=約78分 一回3.5分使用するので22回で消費
すなわち、140mlのお湯を沸かすのが22回可能という事になります。
実際には電源側のメモリがもっと早く減っているような気がしますので計算通りにはいかないような気がしますが、必要最低限のお湯しか沸かさないような使い方をしていると案外電気を消費していないような気はします。
ちなみに最近の二回の車中泊では140ml~160mlのお湯を6~7回沸かしても電源のインジケーターが満タンの5から二つ減ったのみでしたので、あながち見当外れではなさそうです。
以上の事からG500を前提とした私の使用環境では「なかなか使える」電気ポットとして高評価という結論になります。
車中泊で必要な電気消費はお湯沸かしの他にスマホ、タブレット、カメラバッテリーの充電、車内照明などがあります。ポータブル電源の他にモバイルバッテリーを三台携行しており、大容量(30000mAh)なものだとスマホの満充電を数回は可能です。また小容量バッテリー(2000mAh)でもLED電球の車内照明は数日使用可能ですので、補完的に走行中はシガーソケットから取り出せるUSBで充電すれば使い続ける事が可能です。従ってG500をお湯沸かしメイン+アルファで使用した場合、5泊くらいまでは使えそうな感じがします。
いよいよG500本体の容量が心細くなってきた場合は、充電効率は悪いですがシガーソケットから走行中に充電するか、あるいは安宿に泊まってコンセントから一晩充電すれば長期の車中泊も可能という事になります。もっとも体力気力財力が続けばの話です(笑)
なるほど、電気マグカップと言うのがあったのですね。
自分もいろいろ検索してみたのですが、この商品には辿り着けませんでした。
一人分のカップラーメン、コーヒーぐらいなので容量は十分。
参考にしたいと思います。
マグカップというのが死角でしたが、普通は思いつきませんよね。
製品開発趣旨のマグカップと煮込み料理としては自分はまったく必要性を感じませんが湯沸かしとしてはなかなか秀逸な商品だと思います。