一切経山


-『GeoGraphica』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成-

 昨晩は道の駅猪苗代で車中泊する。ここは今年の五月に二泊して様子が判っていた。なかなか車中泊に適した所なので今回の旅でも泊地の有力候補としていたのだ。

 前回は大型トラックのアイドリング音が少しうるさかったのだが、今回は大型が少なく、至って静かな夜を過ごすことが出来た。また、前回と同じマイベストポジションの駐車位置に停められたのも嬉しかった。


磐梯吾妻スカイライン 国見台より会津磐梯山

 進む磐梯吾妻スカイラインからは、時折素晴らしい眺望が楽しめる。紅葉も部分的には進んでおり、ドライブでこの道を走るだけでも充分楽しめることうけあいだ。


浄土平が今日の登山口だ

 月曜日の朝だというのに次から次へと駐車場へ入ってくる車。全てが登山者ではなく、駐車場脇にある吾妻小富士狙いの観光客もいるので混雑に拍車がかかるようだ。今日の青空が人々を引っ張り出してきたのは間違いないところだ。


時折風に乗って来る硫化水素臭 もくもくと上がる噴煙 活火山の証


まずは東南東へ、東吾妻山の方角へと進む 見渡す限りの黄葉に心も高揚(;’∀’)


高度を上げると更に見事な黄葉ゾーンとなる


酸ガケ平小屋へ続く木道 右手の裸地が一切経山だ


一切経山から東寄りにある前大巓 たおやかな姿 登山道が無いのが惜しまれる


登山道は豪華絢爛


急登で一休みすると、背後には鎌沼とどっしりと横たわる東吾妻山


そして広大な山頂へ

 ビジターセンターのある登山口から酸ガ平までの標高差が180m、酸ガ平から山頂までの標高差が190mである。酸ガ平はまさに中間点だ。前半は黄葉に囲まれながら、後半は黄葉を俯瞰しながらと変化のある歩きが楽しい。

 自分にとって、遮るものの無い日差しに責められる後半は少し辛い筈だ。だが、登るほどに歩きにくい砂礫の登山道も、もうすぐ見ることの出来る絶景を前にあまり苦にならない。


そして五色沼、『魔女の瞳』との出会い なんとも神秘的な光景


深みのある碧色に魅せられる


北東に延びる県境稜線を辿れば、東大巓そして昨日歩いた西大巓まで繋がっていくこの雄大さ


吾妻富士の見事な円錐形にため息 でもあそこを歩くのは暑そうだな

 名残惜しい景色を後にして、来た道を戻る。左手にはまるで道具でも使って造り上げたような見事な円錐形の吾妻小富士の全景を見ることが出来る。浄土平の駐車場から手軽に登ることが出来るので一般観光客も多いようだ。だが暑さに弱い自分は陽光からの逃げ場のないあそこを歩く自信がどうにも出てこない。


酸ガ平湿原より一切経山(山頂は左奥で見えない)を振り返る


つくづく前大巓に登山道が無いのが残念だ しかし植生保護の為立入禁止なのだからいたしかたない


鎌沼越しの東吾妻山


再び木道から振り返る一切経山方面

 吾妻小富士について今思い返すと、『お鉢巡り』はともかく火口の縁までは登るべきだったのかなと後悔している。
 だが、先を急いだのにはもう一つ訳がある。
 今回の旅で楽しみにしていた『横向温泉 中の湯』である。

 ナビに電話番号で入力したら、国道115号の土湯トンネルに突入。
 いや、流石にこれは無いだろうと思いきや既に遅し。トンネルの出口まで3km以上走ってからUターンする。
 とんだ道草の末、ようやく温泉の入り口に到達だ。古めかしい門柱の先に延びる未舗装の路を見ると、既に秘湯感が高まってくる。


福島県で初めて湯治が始まったといわれる横向温泉


横向温泉の中でも秘湯感ダントツの中の湯へ

 門柱のある入り口から既に敷地であろう砂利道をなんと500mも進むとやっと旅館の建物に到着だ。
 車はどこにでも停められそうだが、なんとなく駐車場ぽいスペースに停まっていた一台の元へ、男性が気持ちよさそうな顔で手ぬぐいをぶらさげて帰ってきた。
 男性とは言葉を交わさなかったが、客は恐らく一人だったのではと直感。だってあまりにも周囲に人の気配が感じられないんだもの。


料金の支払いはセルフで 500円玉を入れてお釣りの200円を回収

 建物は昭和レトロ、鄙びた感は突出している。秘湯好きの方には垂涎の温泉だろう。
 料金を払って館内に上がるも湯治客はおろか日帰り入浴客も誰もいない。宿の関係者さえも文字通り外出中とある。勝手に入って勝手に入浴という感からして、もはや秘湯感満載だ。自炊専門で泊り客はほぼ常連のみらしい。

 源泉かけ流しの泉質はタール臭や鉄臭が特徴。古湯と新湯の二つがあって温度や泉質が異なる。しっかりと体に効いてくるようなキレの良い(という表現が正しいかどうかわからないが)感じ。

 開け放たれた浴室の窓枠から外に出るとサンダルが置いてあり、石段を登ると川沿いに作られた二つの露天風呂。瀬音、優しく緑さす陽光、あまり高すぎない湯温。登山の疲れがゆっくりと溶けて行く。

 一応男女別の浴槽とはなっているが、実質的に仕切りは無いに等しい。お湯が少し違うらしい女性風呂のほうに男性が入ることも珍しくないそうだ。勿論女性が居ない時ではあるが。男女風呂の往来は薄いレースのカーテンのようなものが一枚下がっているだけで、仮に女性が入っていればほぼ丸見えだろう。

 若い女性が日中入るのはかなりハードルが高いし、仮に高齢のおばぁちゃんが入っていたら逆にこちらのほうが恥ずかしい位の超混浴といって差し支えない状況だ。

 そんな杞憂もまったく無用の閑散たる秘湯。悠々と一人で楽しむ事が出来た。やがて別な男性が一人入ってくる頃にはすっかりのぼせ上ってしまった。

(中の湯についてはこちらの方の記事が詳細に書かれているので参考にされたし)


時間つぶしの桧原湖のほとり 風が心地よく流れる

 今晩の泊地は桧原湖のほとりにある駐車場を予定していた。
 車中泊地を紹介したサイトでは結構評価が高かったが、実際に行ってみるとトイレがいま一つだ。
 用を足すだけなら充分だが、洗面所で歯を磨いたりするのにはいま一つ残念な清潔感だ。

 湖岸のベンチで風に吹かれて夕景が覆われていくる景色を楽しんででいると、ようやく温泉の火照りも冷めてきた。
 読みかけの本を閉じ、第二候補の泊地へと車を走らせる。

概略コースタイム

浄土平駐車場発(08:30)-酸ガ平小屋(09:20)-一切経山(09:55)-酸ガ平小屋(10:39)-鎌沼周回-
浄土平駐車場着(11:58)

カシミール3Dデータ

沿面距離:8.0Km
所要時間:3時間28分

カテゴリー: 車中泊の旅, 福島県の山 パーマリンク

一切経山 への2件のフィードバック

  1. せろーG のコメント:

    吾妻小富士火口めぐりは バイクツーリングの途中でやっつけました(笑)

    • まっちゃん のコメント:

      アハハ!
      確かにそういう感じではありますね。

      駐車場料金500円かかったのでやっぱり後悔しちゃってます(;^ω^)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA